更新日: 2024年9月1日
【徹底解説】ポータブル電源の寿命を長持ちさせるには?知っておきたい5つの方法!
コンセントを使えない場所でのアウトドア遊びにはもちろん、庭先でのDIY、停電などの非常時にも活躍する家庭用蓄電池「ポータブル電源」。
今回は、長くポータブル電源を使用していくために避けては通れない、ポータブル電源の寿命こと「内蔵バッテリー」に着目!
バッテリー寿命を長持ちさせる5つの方法と、高性能バッテリーを搭載したおすすめのポータブル電源をご紹介いたします。
ポータブル電源とは
最初に「ポータブル電源」の特徴を押さえておきましょう。
ポータブル電源とは、その名のとおり持ち運びができる電源。簡単に言ってしまうと、出先でスマートフォンなどの機器を充電する「モバイルバッテリー」が大きくなったものです。
では、両者の違いは何でしょう?一般的に「ポータブル電源」「モバイルバッテリー」と呼ばれている商品には、それぞれ以下のような特徴があります。
ポータブル電源の基本仕様 | モバイルバッテリーの基本仕様 | |
本体のサイズ |
モバイルバッテリーより「大きい」 |
ポータブル電源より「小さい」 |
バッテリーの平均容量 |
100,000~300,000mAh程度 |
10,000~30,000mAh程度 |
出力端子 |
USB・AC電源(コンセント)・シガーソケットなど |
基本的にはUSBのみ |
価格 |
15,000~200,000円前後 |
2,000~5,000円前後 |
※機種により異なります
モバイルバッテリーと比較すると、バッテリー容量の大きさ、家電製品をはじめさまざまな機器に対応できる汎用性の高さが魅力的ですね。
もうひとつ、同じように持ち運びのできる電源が「発電機」。発電機もポータブル電源同様、家電製品などのさまざまな機器に電力を供給することができます。
両者の最大の違いは燃料。
・ポータブル電源は、本体のリチウムイオン電池に電荷(電気)を蓄積しておくことで稼働させることができます。
・発電機は、ガソリンを使い現地で電気を作り出すアイテムです(カセットガス対応の機種もあります)。
事前に蓄電させた分しか動かすことができないポータブル電源。対して、ガソリンの準備さえあれば長時間運転も可能となる発電機。
優劣はつけられませんが、発電機は燃料の性質上どうしても排気ガスや騒音が出てしまうため、使う場所を選びます。手軽で安全に大容量の電源を確保したい場合には「ポータブル電源」がおすすめ!
ポータブル電源の寿命を延ばす5つの方法
ポータブル電源のバッテリーに採用されているのは、ほとんどがリチウムイオン電池と呼ばれているもの。ノートパソコンや携帯電話、モバイルバッテリーに搭載されている電池と同じです。
最初の1日・2日は充電いらずだった新品スマートフォンも、長く使っていくうちにバッテリーの減り方が早くなってきますよね。
最終的には毎日数度の充電をしなければ心細くなってくるもの。日を追うごとに、充電回数を重ねるごとに、ゆっくりと劣化していくのはリチウムイオン電池の特徴なのです。
バッテリーの容量差はありますが、同じことがポータブル電源にも起こります。残念ながら劣化を避けることはできません。
しかし、5つの方法を頭の片隅に入れておけば、そのスピードを緩やかにして寿命を延ばすことができるのです!
ポータブル電源の寿命を延ばす方法1.使用回数を減らす
「使用回数を減らせば寿命が延びる」という当たり前のような方法ですが、少し意識しておくだけでかなりの効果が実感できるはず。
ポータブル電源のカタログで「サイクル(回数):500回以上」といった表記を見かけることがあります。いったい「サイクル」とは何でしょう?
・バッテリー容量が空っぽの状態からフル充電をして、それを再び空っぽまで使い切った状態が「1サイクル」
・バッテリー容量0→100、その後70%を使いフル充電、翌日100%の状態から30%分を消費しても「1サイクル」
単純に書くと、
・「バッテリー容量0→100→0%」=1サイクル
・「バッテリー容量0→100→(70%消費)→30→(充電)→100→(30%消費)→70%」=1サイクル
「100」消費すると「1サイクル」ということですね。
仮に、サイクル数500回のポータブル電源を、1年間毎日使い切るような運用方法(365回のサイクル)で愛用した場合、1年と5ヶ月を過ぎたころには、カタログどおりの力を出しきれないバッテリーとなってしまいます。
ポータブル電源によく使われるリチウムイオン電池をはじめ、バッテリーというものは基本的に消耗品。充電回数を重ねればその容量は徐々に減少し、新品のときのような「持ちの良さ」は失われていきます。
長くポータブル電源を使うためには、無駄な稼働を極力避けるというのが大事なポイントです。
ポータブル電源の寿命を延ばす方法2.快適な環境で稼働させる
バッテリーの寿命は温度や湿度によっても影響が出るもの。リチウムイオン電池も例外ではありません。
機種により程度の差はありますが、動作可能な温度帯はだいたい0℃から40℃前後。極端な温度下ではバッテリー容量も減りやすく、動作可能とはいえ、0℃に近い環境下では体感できるレベルで性能が劣化する機種も少なくありません。
リチウムイオン電池にとって最も負担がかからないのは16℃~25℃くらいです。人間が快適に感じる温度とほとんど同じですね。
・動作可能温度:0℃から40℃前後
・適温:16℃から25℃前後
夏場のキャンプ地で活躍させたいポータブル電源ですが、運び込む際には車内の温度に注意してください。現地で直射日光に晒し続けるのもできれば避けたいところ。
「アウトドアでしか使わないから」という理由で、冬場は車内に置きっぱなしにしておくのも、ポータブル電源の寿命のためにはおすすめできない保管方法となります。
ポータブル電源の寿命を延ばす方法3.1カ月に1回は箱から出してあげる
普段は家のコンセントを使うから、ポータブル電源は出番があるまで箱の中で待機させておく。ポータブル電源の運用方法としてこの考えは正解。
ですが、バッテリーには「使わずにいると容量が少しずつ減っていく(放電し続ける)」という特性があります。
皆さんは、大掃除の最中に「昔の携帯電話が見つかったけど、電源は入らなかった」という経験をお持ちではないでしょうか。まったく同じことが、ポータブル電源の内部でも起こっているのです。
リチウムイオン電池には「放電終止電圧」という値があります。何もしなくても放電し続けるリチウムイオン電池ですが、この放電終止電圧の値を超えてさらに放電をし続けると……?
性能が著しく落ち込み、最悪の場合には再度の充電ができなくなってしまいます。
逆もしかり。リチウムイオン電池の「充電上限電圧(充電終止電圧とも)」という値を超えて、さらに充電をし続けると……?
過充電となり、こちらも性能が落ち込んだり故障の原因となります。
いざというときに使えない!そんな状況を避けつつ、寿命を長くする秘訣はバッテリーの容量を50%~80%でキープし続けること。
1カ月に1回はポータブル電源の様子を見て、バッテリー容量が半分になりそうだったら充電スタート。80%を上回らないあたりで充電終了。習慣化させることが、ポータブル電源の寿命を延ばす秘訣となりそうですね。
ポータブル電源の寿命を延ばす方法4.パススルー対応を疑う
「パススルー」という単語をご存知でしょうか?
ポータブル電源の寿命について解説しているこのページでは「ポータブル電源を充電しながら、その他デバイスに給電すること」を意味しています(金融用語の「パススルー証券」とは異なります)。
今まさに充電中というポータブル電源を使い、家電製品を動かしたり別の機器を充電することはやめましょうというのが通説。バッテリーへかかる負荷が大きく、寿命を縮める恐れがあるためです。
「充電中のポータブル電源に入る電力よりも、動かす家電の電力が小さい場合には問題ない」という説もありますが、編集部の見解としては、この「ながら充電」は極力避けたい使い方です。
ポータブル電源の中には「パススルー対応」を売り文句とした機種も存在しています。ですが、たとえ対応機であったとしても、通常の使用方法と比べればバッテリー負荷は増す傾向。寿命のことを考えるのであれば、パススルー充電はできるだけ行わないほうがよいでしょう。
ポータブル電源の寿命を延ばす方法5. リン酸鉄リチウムイオンバッテリーという選択肢
最後にご紹介するのは「最初から長寿命バッテリーを搭載した機種を選ぶ」という究極的な方法です。
実はこれまで解説してきた「リチウムイオン電池」には、いくつかの種類が存在しています。私たちに一番馴染みが深いのは「リチウムポリマー系」のリチウムイオン電池。重量の軽さが特徴的で、ほとんどすべてのスマホやタブレット、モバイルバッテリーに搭載されているのがこちらの電池です。
ポータブル電源で主に使われている2種類のリチウムイオン電池を見てみましょう。
1つ目は「三元系(NCM)※」といわれる高密度エネルギーのリチウムイオン電池を使ったもの。
※ニッケル・コバルト・マンガンの三元素の化合物をつかった電池
2つ目は「リン酸鉄系」のリチウムイオン電池。ポータブル電源の寿命を第一に考えたときに注目したいのはこちらです。
「リン酸鉄系」の主な特徴は2つ。
特徴1:「寿命を延ばす方法1」で解説したサイクル数が、その他種類のリチウム電池の倍以上であることが多い
これは大きなメリットですよね。
特徴2:その他種類のリチウム電池よりもエネルギー密度が低い(耐熱性が高い)ため、発火等の事故が起こりにくい
こちらは一長一短。安全性が高いのは言うまでもなく利点ですが、エネルギー密度の低さはサイズと重量を犠牲にしがちです(その他種類のリチウム電池と比較すると、大きい&重たくなります)。
総合的に考えてみると、ポータブル電源を長く安全に使っていきたい場合には「リン酸鉄系」という選択肢を視野に入れるべき。
では、どんな機種がリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載しているのか、具体的にチェックしていきましょう!
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】まっぷるライフスタイル編集部
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