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ときめきの先で「泣ける」恋愛映画
惚れた腫れた、振った振られただけが恋愛映画ではありません。恋愛の先にある愛のかたちを描いた映画や、広く人生そのものを考えさせられるような映画。そんな作品たちを集めてみました。
泣ける恋愛映画25. きみに読む物語
こんなふうに人を愛せたら……と思ってしまう
とある介護施設。認知症を患った女性に、毎日のように「物語」を読み聞かせている男がいた。「物語」の舞台は1940年代アメリカ。年若い男女ノアとアリーの、ひと夏の恋のお話。身分の違いから二人は引き離されてしまうも、ノアはアリーを想い、長年待ち続けた。そして運命が二人を再会させる。 「いい話だわ。はやく続きを聞かせて」。毎日読み聞かせたとて忘れてしまう彼女に、男が物語を語り続けるわけとは——。
「泣ける恋愛映画」といったらこれ!というぐらいの名作です。『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングと『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』のレイチェル・マクアダムスが、「物語」の中で熱く切ない大恋愛を繰り広げます。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2004年 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ニック・カサヴェテス |
出演者 | ライアン・ゴズリング/レイチェル・マクアダムス ほか |
時間 | 123分 |
泣ける恋愛映画26. 劇場版「きのう何食べた?」
ゲスト出演のSixTONES松村北斗が鮮烈
よしながふみの人気コミックを原作としたテレビドラマ『きのう何食べた?』の劇場版。シロさん(西島秀俊)とケンジ(内野聖陽)の中年カップルを主人公に、二人が大好きな「食」のこと、中年ならではの悩みや苦労、ゲイの葛藤など、さまざまな角度から「生活」を描きます。
劇場版らしく「京都旅行」から始まる本作。しかし普段と違ってやたら優しくエスコートしてくれるシロさんに、ケンジは動揺を隠せません。何か病気でも? それとも別れ話? 問い詰めるケンジにシロさんは、両親から頼まれた「言いにくいこと」を打ち明けるのですが——。
親とか子供とか生き方とか死に方とか世間とか。ところどころで不意打ちに目頭が熱くなって、かと思えば笑ったりお腹がすいたり、情緒不安定だけど素敵な泣ける恋愛映画です。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2021年 |
製作国 | 日本 |
監督 | 中江和仁 |
出演者 | 西島秀俊/内野聖陽/山本耕史/磯村勇斗/松村北斗 ほか |
時間 | 120分 |
泣ける恋愛映画27. 博士と彼女のセオリー
電子音声を介した後年の会話が不思議と感動的
イギリスの理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士と、彼の最初の妻ジェーンとの関係を描いた、事実に基づく物語です。ホーキング博士というと車椅子に乗った姿を思い浮かべるかもしれませんが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患ったのは大学院在学中のこと。偏屈でこそあれ、普通の学生生活を送る若者だったのです。
「余命2年」と診断された学生時代のスティーヴン。周囲の反対を押し切り、最後の2年間に全てを捧げる覚悟で彼と結婚したジェーン。しかし私たちが知る通り「ホーキング博士」は76歳まで生き、ジェーンは25年以上にわたり妻として彼を支えました。きれいごとだけでは済まされない「博士と彼女の」半生を、エディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズが全身全霊で演じる泣ける恋愛映画です。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2014年 |
製作国 | イギリス |
監督 | ジェームズ・マーシュ |
出演者 | エディ・レッドメイン/フェリシティ・ジョーンズ ほか |
時間 | 124分 |
泣ける恋愛映画28. 今度は愛妻家
薬師丸ひろ子の愛らしさは必見
かつては売れっ子カメラマン、今や貯金を切り崩すのみのダメ亭主・俊介(豊川悦司)は、長年連れ添った妻・さくら(薬師丸ひろ子)にも愛想を尽かされようとしていた。そんなことはお構いなしで好き勝手に暮らす俊介だったが、さくらから「離婚する前に写真を撮って」と言われ、一年ぶりにカメラを手に取る。
2022年にも舞台化されている人気戯曲の映画化です。一軒家のリビングを主な舞台に、個性豊かなキャストが出たり入ったりのまさしく舞台劇が繰り広げられます。しばらくは「泣ける」気配のないドタバタ喜劇が続くのですが、ある時を境に虚実が入り乱れていき——。
作家の中谷まゆみさんは「明日が今日と同じように、平凡だけど穏やかで、ありきたりだけど幸せな一日とは限らないから、毎日を大切に生きよう」という思いで、20年前この戯曲を書いたそうです。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2010年 |
製作国 | 日本 |
監督 | 行定勲 |
出演者 | 豊川悦司/薬師丸ひろ子/水川あさみ/濱田岳/石橋蓮司 |
時間 | 131分 |
泣ける恋愛映画29. ぼけますから、よろしくお願いします。
ドキュメンタリーの感動は劇映画を軽々と超える
87歳の母がアルツハイマー型認知症と診断される。95歳の父が老老介護に挑む。そしてそれをひとり娘の「私=監督」が記録する——。動員20万人超の大ヒットを記録したドキュメンタリー映画です。
監督は、両親の記録を残すことを以前からライフワークとしていました。しかしその過程で母親が認知症に。「作家」と「ひとり娘」の間で選択を迫られるなか、母よりも年上の父は「介護はわしがやる。あんたはあんたの仕事をせい」と娘に言います。
健康に人生を全うしたとしても、必ず万人に訪れる最期のとき。「一緒になる」とはどういうことか。恋愛のずっとずっと先にある愛のかたちは、自分の親と重ね合わせてもよし、自分自身の老後として見るもよし。いずれにせよ、落涙を禁じ得ない泣ける恋愛映画です。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2018年 |
製作国 | 日本 |
監督 | 信友直子 |
出演者 | 信友直子 ほか |
時間 | 102分 |
泣ける恋愛映画30. A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー
すごいものを見た、と思える映画
若くして事故死した男が、シーツを被った幽霊となって妻のもとへ帰る物語。——なんて言うと感動的なファンタジーを思い描くかもしれませんね。でもじつはこれ、非常に独特な映画です。「シーツのオバケ」から想像するような映画では全くありません、おそらく。
極端な静けさ、普通ではない時間の流れ、挙げ句の果てには「宇宙」「観念」といった言葉が似合うようなスケールとなってゆき、お疲れの夜に観たら寝落ちしてもおかしくない泣ける恋愛映画。だけど、どこか目を離せない映画なのです。そして「90分間」見守り続けた者のみが味わえるラストの余韻。
恋愛の行き着く先として、ときにはこんな物語に想いを馳せてみてはいかがでしょう。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2017年 |
製作国 | アメリカ |
監督 | デヴィッド・ロウリー |
出演者 | ケイシー・アフレック/ルーニー・マーラ ほか |
時間 | 92分 |
泣ける恋愛映画は用法用量を守ってご鑑賞ください
いかがだったでしょうか。
涙腺にフィットしそうな「泣ける恋愛映画」は見つかりましたか?
執筆のために毎晩泣いていた筆者はもう燃えかすとなっておりますが、読者の皆さまにおかれましては過剰摂取にご用心の上、ほどよいデトックスをお楽しみくださいませ。
最後に、今月の一言です。
「涙腺は人それぞれ!」
お読みいただき、ありがとうございました。
旅行だけでなく日常も楽しく!をコンセプトに、生活を豊かにしてくれるアイテムを厳選して紹介。
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】353
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ただの雑食な映画好き。——だったはずが、気付けば映画館スタッフに。
映画を観る時間がめっきり減ってしまうというジレンマと戦いながら、映画ブログ『353log』を時々更新中。
不勉強なことばかりですが、皆様に「観たい!」と思っていただけるようなご紹介ができるよう努めます。
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