米油と和の素材を使用したスティック形状の「和フィナンシェ」。

基本の生地の表面にざらめををまぶした「ざらめ」、沖縄県産の黒糖パウダーとシュガーを使用した「黒糖」、特殊製法でしっかり練り上げた黒ゴマを使用した「ごま」、国産の粒あんを練り込んだ「小豆」、高知県産柚子皮を使用した「柚子」など、7つの和のフレーバーをくらべながら味わえます。

バターは使用せず米油を使用したフィナンシェとは、いったいどんなものかとやや疑念を抱きながらも、いざ、実食です。

プレーンな生地を使用した「ざらめ」からいただくことに。米油の効果なのか、しっとりしていて食べやすいところに好感を持ちました。また、スティック形状だから口をそんなに大きく開けなくてすみ、食べやすいのです。

「和フィナンシェ」というところからも、幅広い年代の人に食べてほしいと意識したのかも知れません。

肝心の味は、やはりバターを使用していないために、フィナンシェらしい濃厚さが弱く、和のフレーバーのしっとりした焼き菓子といった印象。新しいフィナンシェの世界を味わってほしい一品です。
 

メープルの本場、カナダ・ケベック州産の風味豊かなメープルシュガーを使用したお菓子で人気の「ザ・メープルマニア」。その自慢のメープルシュガーをたっぷり使ったメープルフィナンシェがこちらです。パッケージはメープル坊やの写真付き。古き良きアメリカに育った、メープルシュガーが大好きないたずらっ子をイメージしているのだとか。

開封するとメープルの香りがふわりと周囲を包みます。見た目はほどよい黄金色。表面は凹凸があり、素朴な雰囲気をまとっています。いざ、実食です。

外側のカリっと感、そして内部のメープルシュガーがぎゅっと詰まったしっとり感。そのギャップに舌が驚きます。そして、リッチなメープルの香りが鼻孔に残り、いつまでも余韻を楽しめるようです。断面からもそのメープルシュガーの量が確認できるのではないかというほどに、たっぷりと使用されているのが伝わってきます。

とても濃厚で美味しいのですが、あえてマイナス点をあげるとバターの風味よりメープルの香りが勝っている点。メープル菓子部門では堂々1位をとれる実力のフィナンシェです。
 

国産米粉を使用したグルテンフリーのフィナンシェ。小麦グルテンを使用していない専用工場で、衛星設備を完備したクリーンな空間で丁寧につくられているので、小麦アレルギーの人におすすめのフィナンシェです。

小麦粉で出来たフィナンシェにくらべると、見た目のツヤはないですが、形がとても美しいですね。新たな食感が楽しめるのではと期待しながら、いざ、実食です。

「これはこれでアリ！」と、思わずうなずいてしまう素朴な美味しさです。確かに小麦粉で出来たフィナンシェにくらべると食感は少し固めでしっとり感は劣りますが、そこに嫌な食感はまったく感じません。

バターがほんのり香り、やさしい甘みが口中に広がれば、心は幼少期の懐かしいおやつの時間に飛び立って行きます。小さな子どもも満足する素朴な味わいのフィナンシェです。
 

「第1回JR東日本おみやげグランプリ」において、栄えある総合グランプリに輝いた実績を持つバター・バトラーのフィナンシェ。ポップなカラーリングの箱の上には、執事がクローシュをかぶせたフィナンシェを丁重に差し出しているイラストが描かれています。

「ご主人様。こちらバターが主役のお菓子でございます。」と、ショップカードに書かれた言葉から、そのシチュエーションを想像。

スマートな四角形のフィナンシェをお皿に盛り、ナイフとフォークでいただきましょう。いざ、実食です。

ランキングしているフィナンシェのうち、これほどサクっと軽快な食感をしたフィナンシェはほかにありません。四角形の薄い生地がさらにこのサクサク感をひき立てています。

フランス産のゲランドの塩を使用している効果なのか、砂糖が違うのか、素人には測りかねますが、じつに新鮮な食感です。ヨーロッパ産の発酵バターを使用しているというだけあって、気品ある風味もさすが！

ただ、そのせっかくのバターの香ばしさにメープルシロップの香りがやや勝ってしまっている印象も否めません。メープルシロップの効果でしっとり感は★5つなので、好きな人にはたまらないフィナンシェではないでしょうか。
 

果物一筋120年！フルーツポンチの産みの親であり、高級フルーツの代名詞的な存在である銀座千疋屋。こちらの銀座フルーツフィナンシェは、アップル、パイナップル、マロン、ストロベリーの4種のフレーバーが楽しめます。

バターとアーモンドプードルにこだわった基本のフィナンシェ生地に、自慢のフルーツピュレを混ぜ込んだ上、さらに果肉もトッピングするという豪華さ。舌の上のフルーツとバターの共演を想像しつつ、いざ、実食です。

まず、4種の味のいったいどれから食べようかと迷います。1931年に宮内庁御用達として国内で初めてのリンゴ（スターキング種）を献上した歴史がある銀座千疋屋。最初はその格調高いリンゴからいただくことに。

口中に広がるリンゴのピューレとバターの芳醇な香り、ちょっぴり塩気を感じるのがいいアクセント！コリっとしたトッピングのドライアップルとしっとりしたフィナンシェ生地のギャップを心ゆくまで楽しめます。

マロングラッセを生地に練り込み、しっかり栗の甘みが堪能できるマロン、ココナッツを生地に混ぜ込んで南国気分にさせてくれるパイナップル、トッピングのクランベリーの酸味が口の中を爽やかにしてくれるストロベリー。どれもバラエティ豊かで飽きさせません。

洋菓子としても秀逸、でも、あくまで果物屋の老舗であるという千疋屋の本懐が垣間見えるフィナンシェなのです。
 

静岡の「茶の祖」と呼ばれる、かの鎌倉時代の高層・聖一国師になぞらえて「静岡のお茶スイーツの祖と呼ばれるお菓子」づくりを目指している雅正庵。

静岡県といえば、言わずと知れた茶の名産地ですが、抹茶に関しても、名高い宇治抹茶にひけをとらない品質を誇るのだそう。清々しい緑色、爽やかな香り、強い旨みと甘みが魅力といわれます。

深い緑色の姿につい目を奪われるこちらのフィナンシェですが、さて、バターと抹茶を掛け合わせた風味は、いかなる具合なのでしょうか。いざ、実食です。

抹茶の洋菓子にありがちなのが、抹茶かバターかどちらかが一方の魅力を削いでしまっているという問題。ところが、こちらのフィナンシェは両雄一歩も譲らず、拮抗の様相。お互いの魅力をそれぞれ認め合っているかのようです。

口に入れた最初はバターがふわっと香りますが、そしゃくするごとにグングン抹茶の風味が引き出されていく。かすかな塩気が旨みをさらにひき立てます。

しかも、抹茶は食べることで、カテキン、ビタミンC、ビタミンEなどの栄養素もしっかり摂取できるのだそう。健康を気にする世代の方にもおすすめのフィナンシェです。
 

生乳生産量全国第2位の栃木県の強みを生かし、1994年那須塩原に創業したチーズガーデン。豊かな自然の中で、真心を込めたお菓子づくりを続けています。

まず、届いたときこの洒落た箱に胸を打たれました。フィナンシェを食べ終わったあともとっておきたくなる箱です。お菓子をすべて食べてしまっても箱が家に残っていれば、ふとした瞬間そのお菓子の記憶がよみがえるというもの。

とはいえ、大事なのは箱の中身です。都会的な本来のフィナンシェの形とは異なり、那須の自然を思わせる牧歌的な印象。丸みをおびた山頂を思わせる形状に心躍らせながら、いざ、実食です。

ナチュラルチーズパウダーを使用しているという通り、口に入れる前から、ふんわりと高級感あるチーズの香りがただよいます。一口ほおばると、チーズパウダーの塩気とはちみつの柔らかい甘みが絶妙な加減！

こんもりと盛り上がった山の表面は、光に反射してきらきらと極小のダイヤをちりばめたかのように輝いています。この輝きは那須で育まれた旨味のあるバターの魔法なのでしょうか。フィナンシェの丸かじり、という言葉がこれほど似合う大ぶりな形状もないでしょう。

紅茶に合うというアドバイスどおり、スーパーで購入した一番安価なティーバッグの紅茶の価値をも高めてくれるほどに相性バツグンです。