目次
おすすめのファンタジー映画5. 夜は短し歩けよ乙女
ミュージカル要素は、のちの『犬王』にも繋がる
森見登美彦のベストセラー小説を、『犬王』などの奇才・湯浅政明監督がアニメーション映画化。好奇心旺盛で自由奔放な「黒髪の乙女」が、ただただ本能のまま夜の京都を闊歩する物語です。声優キャストは、無敵のヒロイン「黒髪の乙女」に花澤香菜さん、彼女に恋する「先輩」に星野源さんが起用されました。
湯浅監督が森見作品を映像化するのは、これが初めてではありません。2010年には、本作と通じる世界観の作品『四畳半神話大系』をテレビアニメ化。人気イラストレーター・中村佑介氏をキャラクター原案に据え、現実世界の京都を忠実かつポップに描く独特のタッチと、そのシュールでシニカルな語り口により多くのファンを獲得しました。今作は待望の再タッグでのファンタジー映画となります。
「偽電気ブラン」「赤玉ポートワイン」といった魅力的なお酒たちと共に先斗町を練り歩く乙女。下鴨神社の古本市で思い出の絵本『ラ・タ・タ・タム』を探し求める乙女。学園祭の「ゲリラ演劇」に巻き込まれてミュージカルのヒロインとなってしまう乙女。雨にも風にも竜巻にも負けず、風邪っぴきの「先輩」を看病しに行く乙女――。
たわいもない物語たちは、しかし次第にファンタジックがエスカレートしていきます! もはや笑うしかないアニメーション表現の暴発っぷりをお楽しみください。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2017年 |
製作国 | 日本 |
監督 | 湯浅政明 |
出演者 | 花澤香菜/星野源/神谷浩史/秋山竜次 ほか(声の出演) |
時間 | 93分 |
おすすめのファンタジー映画6. 今夜、ロマンス劇場で
2022年には宝塚歌劇団で舞台化もされている
綾瀬はるかさんと坂口健太郎さんのW主演による、日本の実写ファンタジー映画です。映画から飛び出てきたお姫様と冴えない映画青年のラブストーリー、ひとことで言ってしまえばそんな物語なのですが、誰もが思い浮かべるような「王道展開」とはちょっと異なる道を進んでいくところがポイントです。どう違うのか、は実際に観ていただくとして――。
本作で興味深いのは、「映画から飛び出てきたお姫様」が単なるお姫様ではなく、「“映画というもの”の象徴」である点だと思います。
発明されてから今に至るまで、星の数ほど作られてきた「映画」。しかしそのほとんどは、人々の記憶に残ることなく消費されていってしまう。この映画は「消えてしまった何万本もの映画に捧げるレクイエム」でもある、と、本作のプロデューサー・稲葉直人氏は語っています。
そんな「お姫様」を魅力的に演じ切った綾瀬はるかさん。その凛とした佇まいはオードリー・ヘプバーンに見える瞬間があるほど。時々思うんです。私たちが今リアルタイムにスクリーンで観ている俳優さんも、劇中に登場する『カサブランカ』のイングリッド・バーグマンのように、いつかは「往年の名優」になる日が来る。未来の映画少年少女たちが憧れるであろう俳優たちと同時代に生きているのって、幸せなことなんですよね。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2018年 |
製作国 | 日本 |
監督 | 武内英樹 |
出演者 | 綾瀬はるか/坂口健太郎/本田翼/柄本明/加藤剛 ほか |
時間 | 109分 |
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
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【筆者】353
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ただの雑食な映画好き。——だったはずが、気付けば映画館スタッフに。
映画を観る時間がめっきり減ってしまうというジレンマと戦いながら、映画ブログ『353log』を時々更新中。
不勉強なことばかりですが、皆様に「観たい!」と思っていただけるようなご紹介ができるよう努めます。
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