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もっと語りたい!泣ける邦画6. ぼけますから、よろしくお願いします。

もっと語りたい!泣ける邦画6. ぼけますから、よろしくお願いします。
画像:Amazon

ドキュメンタリーの感動は劇映画を軽々と超える

87歳の母がアルツハイマー型認知症と診断される。95歳の父が老老介護に挑む。そしてそれをひとり娘の「私=監督」が記録する――。最後にご紹介するのは劇映画ではなくドキュメンタリー映画、それも動員20万人超の大ヒットを記録したドキュメンタリー映画です。

認知症という繊細な対象を間近で撮影する、それができるのは確かに肉親だけなのかもしれません。とはいえ肉親であるからこそ、介護からは一歩引いてカメラマンとしての立場を優先しているようにも見える監督に、若干の疑問を抱く気持ちもありました。しかしその点について作中では、筋が通った家庭内でのやり取りを見せてくれています。

ドキュメンタリー作家だった監督は、両親の記録を残すことを以前からライフワークとしていました。その過程で母親が認知症になったわけです。作家として記録を続けるか、ひとり娘として介護に専念するか、選択を迫られます。ここで登場するのが、母親より年上でありながら心身ともに強靭な父親。「(介護は)わしがやる。あんたはあんたの仕事をせい」と、監督に言うのです。

自分の親と重ね合わせてもよし、自分自身の老後として見るもよし、この一家なりの親孝行の物語として、厳しい状況下でも垣間見える老夫婦の絆の物語として見るもよし。問答無用で「泣ける」映画となっています。これ、わたしは映画館で観たのですが、映画館で泣くのって多少はばかられるじゃないですか。それが本作は、みんな涙腺との闘いを放棄してボロ泣きでした。ちょっと笑いました。

なお、2022公開の続編は「本作が公開された世界線」から始まります。

映画の詳細データ
公開年 2018年
製作国 日本
監督 信友直子
出演者 信友直子 ほか
時間 102分

まだまだ語りたい! 泣ける映画のこと

まだまだ語りたい! 泣ける映画のこと
画像:123RF

「【2022年】おすすめの泣ける映画50選! 心のデトックス、しませんか?」で取り上げた邦画作品から6本を、「深掘り」的にご紹介してみました。

日本人にとって唯一「母国語」で楽しめる日本映画というのは、やはり外国語映画とは少し違った映画体験になるのかもしれません。
機微を隅々まで味わえることもそうですが、今回のラインナップからは日本特有の「死生観」も浮かび上がってきたように思います。意識したつもりはなかったのに、と不思議な気持ちです。

 

編集:まっぷるライフスタイル編集部
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【筆者】353

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ただの雑食な映画好き。——だったはずが、気付けば映画館スタッフに。
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