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もっと語りたい!泣ける邦画4. SUNNY 強い気持ち・強い愛
キラキラ眩しく、笑って泣いてすっきりできる作品
コギャル全盛の90年代に高校生活を謳歌していた主人公・奈美は、今や娘を持つ専業主婦。ある日、20年以上会っていなかった親友・芹香に病院で偶然再会するも、彼女は末期がんを患っていた。「もう一度あの仲間たちに会いたい」という芹香の願いに応えようと、奈美は高校時代の仲良しグループ「SUNNY」を再結集させるべく動き出す――。
大ヒット韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』を、『モテキ』などの大根仁監督がリメイクした作品です。公開前年の秋頃から大根監督のSNSにはルーズソックスの女子高生たちが突如出現。ソックタッチの時代を通っているアラフォーのわたし(’22現在)は、これは何かすごいものが生まれるに違いないと大いなる期待を抱いていました。そして公開当日、幕開け早々の安室奈美恵『SWEET 19 BLUES』にいきなりクラッと立ち眩み、以降ひたすら涙を搾り取られてふらふら映画館を後にしたのでした。
まあ「余命もの」ということで、基本的に「泣ける」ことはお約束できます。ただそれ以上に、特定の世代にとっては数段「エモい」映画体験ができてしまう作品でもありまして。タイトルに小沢健二、主演は篠原涼子、音楽は小室哲哉、劇中曲として90年代を彩ったJ-POPの数々……、こんなあざとい映画もなかなかないと思うので、心当たりのある方はぜひ飛び込んでみてください。
オリジナルの韓国版と見比べてみるのもおすすめです。驚くほど忠実になぞられている一方で、時代背景は巧みにローカライズされていることが分かります。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2018年 |
製作国 | 日本 |
監督 | 大根仁 |
出演者 | 篠原涼子/広瀬すず/板谷由夏/三浦春馬 ほか |
時間 | 119分 |
もっと語りたい!泣ける邦画5. 花束みたいな恋をした
観たら思わず自分語りをしたくなってしまう作品
『東京ラブストーリー』から『大豆田とわ子と三人の元夫』まで、数々の名作を生み出し続けてきた脚本家・坂元裕二による作品。共通のサブカル趣味をきっかけに交際し始めた若い男女「麦」と「絹」の5年間を濃密に描きます。特筆すべきは生々しく映し出される「別れ話」。楽しかったあの頃を思い出しながら、二人はそれでも別れを決断するのです。
これはもう本当に、畏れ多くも自分なんぞの体験を菅田将暉さんや有村架純さんに投影して身悶える映画、と言っていいでしょう。恋の始まりのときめきから、なんの感情もわかない倦怠期、そして別れ話。「これって私の映画化?!」と目を泳がせた人、いっぱいいるはず。でもそれって自分の人生を肯定してもらえることでもあって。「花束みたいな」という言葉にはさまざまな解釈があると思いますが、個人的には文字通りの意味で捉えています。
ところで今回「泣ける」映画を50本セレクトした中で(連動記事:【2022年】おすすめの泣ける映画50選! 心のデトックス、しませんか? )、邦画だけ明らかに「自分の記憶と向き合わされる」タイプの作品を多く選んでいたことに気付きました。他人のストーリーで泣く、というよりは、重ね合わせた自分のストーリーで泣く。日本人にとって日本の映画は、ひときわ解像度高めで「投影」できてしまうのでしょうね。
ちなみに劇中序盤では、とある作品が「泣ける映画」として紹介されています。それ以外にも小説やマンガなど実在の作品が多数登場する本作。配信やソフトでの鑑賞なら、気になる本棚を一時停止して眺めたりすることも可能! いろんな角度から何度も楽しめる作品です。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2021年 |
製作国 | 日本 |
監督 | 土井裕秦 |
出演者 | 菅田将暉/有村架純 ほか |
時間 | 124分 |
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
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【筆者】353
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ただの雑食な映画好き。——だったはずが、気付けば映画館スタッフに。
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