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もっと語りたい!泣ける邦画2. ワンダフルライフ

もっと語りたい!泣ける邦画2. ワンダフルライフ
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ドキュメンタリー出身な是枝監督の個性が光る2作目

『海街diary』『万引き家族』などの是枝裕和監督による、「天国の手前にある施設」を舞台とした異色のファンタジー映画です。死んだ者はその施設で自分の人生を振り返り、ひとつだけ選んだ「大切な思い出」を再現映像として撮影。上映会で鑑賞し、心が満たされたならその気持ちを胸に天国へ行けるのだとか。月曜日、今週も22人の故人たちが施設の門をくぐった――。

図らずも1本目の『異人たちとの夏』と同じく死生観の揺らぐファンタジーが続いてしまいましたが(なんならこちらの作品は死者しか出てきませんが)、どうもこういう映画が好きなのでしょう。SF的ガジェットは用いずに「設定」だけで見せる非現実、たまらぬものがあります。

本作、もしかするとそんなに「泣ける」映画ではないかもしれません。ただ、作品を通して語られる「あなたの人生にとって一番大切な思い出は何ですか?」という問い掛けは、とても考えさせられます。映画を観ている約2時間の間、自分にとって一番大切な思い出とは何だろう……と記憶を辿っていく体験。うっかり感情を刺激してしまうことも、きっとあるはず。

なお劇中で大きなウェイトを占める「故人のインタビュー映像」は、その多くが役者ではなく一般人かつ実話なのだそうです。また後半いきなり登場する「再現映像」の撮影シーンも、実際のメイキング映像を急遽本編映像に組み込んだもの。きわめてドキュメンタリックな手法で、文字通り浮世離れしたファンタジーを作り上げたという、かなりおもしろい作品だと思います。

映画の詳細データ
公開年 1999年
製作国 日本
監督 是枝裕和
出演者 井浦新(ARATA)/小田エリカ/寺島進 ほか
時間 118分

もっと語りたい!泣ける邦画3. 横道世之介

もっと語りたい!泣ける邦画3. 横道世之介
画像:Amazon

「大学生の青春」を擬似体験できるような作品

吉田修一による同名小説の映画化。80年代を舞台に、長崎から大学進学のため上京してきた青年・横道世之介の、ありふれた、しかし振り返れば尊い青春の日々を描きます。高良健吾さん演じる世之助の素朴な人柄に魅了され、吉高由里子さん演じる生粋のお嬢様・祥子さんの眩しさにも射抜かれること必至。そして、やがて明かされるビターな事実にも胸打たれること必至、です。

――と約150文字でまとめたこの映画、観終わってみれば上述の通り、ほろ苦い後味と、でもすごくやさしく温かい、ああ本当にいい映画を観たなあという気持ちになれる作品なのですが、あらためて観直してみると序盤は結構しょうもないというか、どうでもよさ満点なんですよね。

でも綾野剛さん演じる「加藤」が登場したあたりから世之介の人生は加速度的に面白くなって、名ゼリフ「すてきなお名前! 韻を踏んでらっしゃるのね!」と共に最強ヒロイン「祥子さん」が投下されてしまえばもう最後まで心掴まれっぱなし。これからご覧になる方、どうか45分間は彼の冴えない大学ライフにお付き合いください。

語りたいシーンは山ほどあるのですけども、「写真」の細やかなディテールとか本当に秀逸だなと思うんですけども、ここでひとつ豆知識として触れておきたいのが、原作小説にしか明記されていない祥子さんの「その後」。彼女が働いているのは、昨今のウクライナ情勢でもよく耳にする国連の「UNHCR」なんだそうです。唐突にも見えるあの変化、しかし劇中でちゃんと「きっかけ」が描かれています。注目したいポイントです。

映画の詳細データ
公開年 2013年
製作国 日本
監督 沖田修一
出演者 高良健吾/吉高由里子/池松壮亮/綾野剛 ほか
時間 160分
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

【筆者】353

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ただの雑食な映画好き。——だったはずが、気付けば映画館スタッフに。
映画を観る時間がめっきり減ってしまうというジレンマと戦いながら、映画ブログ『353log』を時々更新中。
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