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自信を持っておすすめ!ラガービール5本を実飲レポート!
それでは数あるラガービールの中から、自信を持っておすすめできる製品をご紹介していきます。筆者が「どうしても今一度、自分の舌で再確認してみたい」と感じた5つの銘柄を実際に取り寄せて飲んでみました。
皆さんもぜひ一緒にバーチャルなラガービール体験をしてみてください!
※各項目における★の数は優劣を意味するものではなく、その項目の個性や主張の強さの目安として、筆者の個人的印象に基づいて記しているものです。最大で「★★★」の3つ星評価、なお☆は★の半分を意味します。
おすすめのラガービール1. キリン「HEARTLAND」【ピルスナー】
目にも涼やかなエメラルドグリーンのボトルが印象的なラガービール。御覧の通り、紙のラベルは貼られておらず、ボトル本体に浮き彫りの形でロゴが刻まれています。これは「実際に手にして触れてみて、初めて伝わるものもある」という商品コンセプトを反映しているのだそう。
現在は缶タイプはなく、すべてリターナブルな瓶製品のみというところも含めて、いろいろと理念を感じさせるブランドです。
グラスに注ぐと、色はすっきりとした金色です。香りは控えめですね。
ひと口め。苦みもさほど感じません。軽やかですが、決して薄っぺらという意味ではありません。奥行きを感じさせつつ、押し付けがましくなく透明な印象です。飲み込んだときののど越しも、実につるっと滑らか。
ただ飲み込んだ後、だいぶ時間が経ってから舌の奥の方に控えめな苦みがフワッと現れます。そしてこの苦み、控えめながらなかなか消えません。まるで「忘れてもらっては困りますよ」と、大きな声は出さないながらも、伝えるべきところは最小限、しっかり伝える……という感じです。
ひと言で表現するなら、とても「軽やかな」ラガービールです。間違えてほしくないのは、決して「軽い」ビールではない、ということ。
人を評するのに「あの人は軽やかだね」と「あの人は軽いね」とでは、全く印象が違うでしょう。その違いは、「中身がしっかりあるか、ないか」。それと同じく、しっかりした中身を持ちつつも、出しゃばらない軽やかさ、上品な控えめさを備えたラガービールです。
ラガービールに合わせるおすすめの料理
合わない料理はないですね。何とでも合います。一般的にビールと合わせにくいと言われている、ご飯ものでも楽々とこなすのではないでしょうか。鮨にもピッタリかと思います。
キリン「HEARTLAND」 | 著者の三つ星評価★★★ |
香り | ☆ |
苦み | ★☆ |
キレ | ★★ |
コク | ★ |
おすすめのラガービール2. 宮下酒造「独歩 デュンケル」【デュンケル】
次は独歩です。「独歩」といえば作家の国木田独歩が有名ですが、もともとは仏教の教えにある言葉で、「独立独歩、信念のビール作りをする」という心意気を表したものだそう。またドイツの「独」ともかかっているとのことです。
奇をてらわない、渋いボトルデザインもこうした信念を反映していそうですね。
色味はレンガ色という感じでしょうか。焙煎の香りはかなり柔らかです。
飲んでみると……ほのかな酸味がありますね。そして、多くのビールが苦みとともに舌の後ろ側に向かって風味が広がるのに対し、このラガービールは口の中の比較的前の方に向かって膨らんでいくのが新鮮です!それも舌の奥の方から上あごの形に沿って前方へと、コンパスで円弧を描くように、グルッと広がっていくんですよ。不思議……。
理由はよく分からないのですが、脳内には一面鮮やかなオレンジ色の夕焼けの光景が浮かびました。色味のせいか、どこか郷愁を感じさせる味のせいなのか……。
飲み進めますと、このラガービールは「調和型」だな、と感じられました。「ズドン!」と断ち切る感じではないんです。学校にも組織にもいますよね。グイグイ引っ張るリーダーじゃないけれど、「この人がいると、なんかまとまるんだよね」という、調和に導くのがうまい人。そんな感じのラガービールです。
ですからたとえば、ちょっと自分の好みとは違っていたな、というビールをチョイスしてしまった後に、軌道修正というか、路線を戻すようなタイミングで挟むといい仕事をしてくれそうです。
ラガービールに合わせるおすすめの料理
合わせる料理としても、あまり個性が強すぎない、マイルドめのものの方が、しっくりとまとまってくれると思います。卵料理とかですかね。オムレツとかピカタとか、いかがでしょうか。
宮下酒造「独歩 デュンケル」 | 著者の三つ星評価★★★ |
香り | ★ |
苦み | ★ |
キレ | ★☆ |
コク | ★★☆ |
おすすめのラガービール3. 丹後王国ブルワリー「メルツェン」【メルツェン】
今度はメルツェン。これ面白いラガービールなんだよね……と、記憶を掘り返しながら「お久しぶりです!」という感じでご対面。京都らしく和のイメージをモチーフとしながら、古臭さとは一線を画すネオ・ジャポニスム的デザインのラベル。
注ぎます。色味は一見普通。「わ!」というインパクトはありません。オーソドックスな印象ですね。
そして香り……甘やかなんですけど、その正体が見えてこないミステリアスな感じ。本当に誤解を恐れずに言うなら、「甘い香りつきの石鹸」が一番近い気がします。焙煎香が、何か、ひとつ変化している感じがするのですよね……。
飲んでみます。焙煎感はあまりありません。苦みはほどほどですが、全体的にとてもまろやかな印象です。
そんなこのラガービールの特筆すべき点は、ビンビンに感じる「旨味成分」です。これまた誤解を恐れずに言うならば、熟成して発酵が進んだ漬物のような旨味なんですよ。いきなりこう言うと引いてしまう方もいるかもしれませんが、「漬物をつまみにビールを飲む」と考えれば、全然違和感ないのではないでしょうか?
筆者は栄養学には明るくないため、この旨味をグルタミン酸がどうの、イノシン酸がどうの……と論じることはできません。ですが、「旨味利いてるよねえ!」という点だけは、声を大にして訴えたいと思います。
ラガービールに合わせるおすすめの料理
料理と合わせるならば、これはもうストレートに、ぬか漬けです。それも深漬かりでいきましょう。相乗効果で、口の中が旨味パラダイスとなることうけあいです。
丹後王国ブルワリー「メルツェン」 | 著者の三つ星評価★★★ |
香り | ★☆ |
苦み | ★★ |
キレ | ★☆ |
コク | ★★★ |
おすすめのラガービール4. 細川酒造「上馬ビール ボック」【ボック】
それでは上馬ビールの「ボック」のほう。グラスに注ぐと、香りは……この甘やかさに一番近いのは葡萄じゃないでしょうか?芳醇な実りの香りです。
口にすると……第一印象は甘くてまろやか。焙煎香は鼻腔の奥の方で感じてはいますが、そこまで「焦げ臭い」という感じではありませんね。柔らかです。甘さも口の中にふんわりと優しい空気を作り続けてくれます。
そして2、3杯目と進むと……舌の上で、軽く跳ね始めるんですよ。踊るんですよ、このラガービールは。そしてその後で、ベリー系の後味を残してくれるんです。
筆者は、ボックというネーミングの由来で「飲むと『雄ヤギのように元気になるから』」みたいな説を読んだときは、鼻で笑うまではいかないにせよ、まあ、曖昧な微笑を浮かべるしかなかったんですね。なにぶん実感がなかったもので。
ただこれ改めて実飲してみますとね、確かにこの夏の暑さのせいか今一つ元気がなかった胃腸が活発になってる気がするんですよ(※あくまで個人の印象です)。何でしょうね、薬草成分が……とかいう話は確認できなかったのですが……。あくまで筆者個人の印象体感として述べるのであれば、「身体にいい刺激を入れてくれた」感はありました。
ラガービールに合わせるおすすめの料理
合わせるなら。これは断然、高級ソーセージです!腸詰を噛みしめて、そこからあふれ出てくる肉汁とともに、このラガービールをグイッと飲み干せば……ビール党のみなさんが、もし夏バテを自覚されたときは、緑黄色野菜と一緒にぜひ一度お試しあれ。
細川酒造「上馬ビール ボック」 | 著者の三つ星評価★★★ |
香り | ★★ |
苦み | ★★ |
キレ | ★★ |
コク | ★★☆ |
おすすめのラガービール5. 細川酒造「上馬ビール ヘレス」【ヘレス】
さてトリを飾るのは、再びの上馬ビール、今度はヘレスです。色味はオレンジがかっていますね。濁りはなく、澄んだゴールデンオレンジという感じ。ほんのかすかに、フルーツ系の香りが柔らかくしています。
口に含んでみますと……直接的な苦みは弱いですね。ですがこの苦み、飲み進めていくうちに、少しずつ舌の上に蓄積していく感じです。とはいっても、全体的に苦みは「弱め」の範疇なのですが。
香りは、飲んでいる分にはあまり感じません。口から鼻の方に抜けていく感じではなく、最初に口元にグラスを近付けたときにわずかに香ったエキスの余韻という印象です。
しかしこのラガービールには、他の製品とは明らかに違う部分がありました。それは食感(舌触り)。舌の上でごくわずかですが、トロン……と流れる「とろみ」を感じたのです。実はボトルからグラスに注ぐときにも、普通に流れ出すのではなく、傾けた角度に対して本当に一瞬、出るのをためらうようにしてから、トプトプッ……と流れ出ていったんですね。
もしかしたらですが、上馬ビールのヘレスは、他の製品よりホンのちょっとだけ、液体の粘度が高いのかもしれません。もちろん単に瓶の形状による可能性もありますが……。
このラガービール(ヘレス)とピルスナーとの関係性についていえば、「絶妙の間違い探し」。もちろん、どっちが正解とかいうことはありません。気分と好みによって正解は決まるのですから。まあ筆者は、すぐに「間違いか正解かだなんてどうでもよ」くなってしまうタイプなのですけどね。
ラガービールに合わせるおすすめの料理
これも本当に料理の味は邪魔しない万能タイプですね。あえて言うなら、薄味の野菜料理でしょうか。野菜の旨味をしっかり味わいたいときなら、これくらい「邪魔にならない」ビールがよろしいのではと思います。
細川酒造「上馬ビール ヘレス」 | 著者の三つ星評価★★★ |
香り | ★ |
苦み | ★★ |
キレ | ★★☆ |
コク | ★☆ |
その他のおすすめラガービール5選
5種類のラガービールでしたが、もちろんラガービールには他にも多くのブランドがあります。比べてみると個性が分かりやすいですから、普段飲んでいるブランドに「ちょい足し」的に試してみてはいかがでしょうか。
おすすめのラガービール6. アサヒビール「ピルスナーウルケル 4.4%」【ピルスナー】
ピルスナービールの、ひいては「いわゆるビール」の元祖とも言われているのが、このピルスナーウルケルです。
チェコのピルゼンという街で生まれたこのラガービールは、ヨーロッパでは珍しくカルシウムやアルカリ度の低い軟水を使うことにより、麦の風味を豊かに残しながらもキリッと引き締まった苦みが膨らんでいく爽快感を実現しています。それでいて濁りも尖りもない繊細さは、まさに直球王道のラガービールと言えるでしょう。
おすすめのラガービール7. 八ヶ岳ビール「タッチダウン デュンケル」【デュンケル】
ローストしたカラメル麦芽の風味が香ばしいラガービール。甘み、苦み、コク、ホップの香りなど、すべての要素がバランスよく備わっています。
「これに慣れると、他のビールでは、必ず『何かが、どこかが足らない』ように思える」という声もあるほど。なにせ創業時から醸造長を務める山田一巳氏が、「自分の最高傑作であり、自分自身一番大好きなビール」と断言しています。さらに「World Beer Awards」でも、2015年には日本の「Dark Lager」部門で「金賞」を受賞しているのですから、まさにお墨付きです!
おすすめのラガービール8. ヘラー「シュレンケルラ ラオホ メルツェン」【メルツェン】
「ラオホ」とはドイツ語で「燻す」という意味。地元のブナの木を使って焙煎した大麦が使われています。このため知らずに飲んだ人は「あれ、焦げ臭い?」と感じてしまうこともあるでしょう。しかしそのスモーキーな香りこそがこのブランドの持ち味。すぐに慣れて病みつきになる人が続出しています。
10月に向けて醸造されるメルツェンは秋以外には品薄になるものが多いのですが、このブランドは比較的通年入手しやすいのもありがたいところです。
おすすめのラガービール9. GKB 御殿場高原ビール「ヴァイツェンボック」【ボック】
アルコール度数は7%とやや高めの、無濾過のラガービール。このため、非常にコクのある仕上がりになっており、味の分厚さは国内で入手できるビールの中ではトップクラスとも言われています。
ヴァイツェン特有のバナナのようなフルーティーな香りと、ボックの特徴であるローストの風味を兼ね備えており、しかもホップの苦みは比較的抑えられているので、より一層コクを堪能することができます。どっしりしたビールを探している人はぜひ!
おすすめのラガービール10. アレフ「小樽ビール ヘレス」【ヘレス】
19世紀の終わりごろに、チェコ系のピルスナーに対抗するために開発されたラガービールが、このヘレスです。ピルスナーに比べてホップの苦みが弱く、その分麦芽の旨味が深くなっています。また甘みもあり、ラガーの中では比較的「まったり」した味わいです。
苦みが弱い分、どんな料理とも相性がよく、合わせやすいと評価する声も挙がっています。小樽ビールでは例年4月頃が作りたてなので、その時期には特におすすめ!
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【筆者】まっぷるライフスタイル編集部
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