ヘッドランプの選び方
それでは次に、具体的なヘッドランプの選び方をご紹介していきましょう!ポイントは電池方式、ルーメン数、照射時間、その他機能の4点になります。
電池式か充電式か
ヘッドランプ選びで必ずつきまとってくる「電池をどちらにするか?」問題です。簡単にまとめると、両者の特徴は以下の通りです。
電池式・・・初期投資が安い。乾電池が必要なため、ランニングコストがかかる。
充電式・・・充電による長期的な低ランニングコストが魅力。電池式と比べると、少し高価な傾向がある。
筆者としては充電式をオススメします。なぜならバッテリーを持ち歩けば、いつでもフルパワーで使用できるため。
最近は、スマートフォン用のモバイルバッテリーで充電できるモデルも増えているほか、充電と電池の両方で使用できるハイブリットモデルも主流になってきています。
ルーメン数
照度を表す指標として「ルーメン」という単位があります。このルーメンの値こそ、ヘッドランプの大方のスペックを決めると言っても過言ではありません。
以下の通り、基準となるルーメンについて少し解説します。
300ルーメン
少なくとも欲しいルーメン数が300です。10m先の状況を視認できる明るさになります。価格が抑えめで、コンパクトなモデルが多いです。
450ルーメン以上
できれば欲しいルーメン数が450です。地面の凹凸もより鮮明に照らし出し、10m以上先の状況を完全に視認できます。コストパフォーマンスに優れたモデルが多いです。
600ルーメン以上
ハイスペックと言われるルーメン数が600以上です。20m先も視認でき、夜間の歩行において抜群の安心感があります。スペックに合わせて価格が上がります。
照射時間
ルーメン数とともにヘッドランプのパフォーマンスを特徴付ける照射時間。自分の登山スタイルに合わせて適切なものを選びたいですね。
オススメは300ルーメンを4時間以上継続できるモデルです。早朝2時間、テントの中で2時間ほど使用するイメージ。モードでルーメン数を下げれば、テントの中では、もう少し長く使用できるスペックになります。
その他機能
ビームモードを有していたり、防水性を備えているなど、様々な個性をもつヘッドランプが存在します。
ビームモードはルーメン数自体を上げ、照射範囲を広げられるとっておきの機能です。車のハイビームを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
また厳しい自然環境でも安心して使用できるのは大きなメリット。可能であればぜひ耐久性の高いモデルを検討したいですね。
100円ショップのヘッドランプやスマートフォンでは代用できないの?
ここでたまに耳にする「100円ショップのヘッドライトやスマートフォンでは代用できないの?」という質問に、答えようと思います。
100円ショップのヘッドランプ
2点の理由からオススメできません。
まずは光量の不足。インターネット上では、100円ショップのヘッドランプを「かなり明るい」と絶賛する記事が多いですが、ルーメン表記が書かれていません。
次に故障のリスクです。100円ショップなどの安価なヘッドランプは耐久性や防水性が考慮されてなく、持ち運び時の振動や気温・湿度・気圧の変化などの影響を受けて、肝心なときに使用できなくなる恐れがあります。
日常用にはコストパフォーマンスも高く、使い勝手の良いアイテムですが、登山にはオススメできません。
スマートフォン
これも以下の理由からオススメできません。
まずは光量の不足。100ルーメン以下なのでアウトドアで安全に使用できるスペックから劣ります。
次に安全上の問題です。スマートフォンでライトを使用すると当然バッテリーが減ります。遭難のリスクもある山では、通信できるスマートフォンの役割は重要と言えるでしょう。
またスマートフォンのライトを使って歩くと片手がふさがります。周囲を明るく照らせないスペックなので、転倒時の怪我のリスクも上がってしまいます。
オススメモデル10選
それでは筆者オススメのヘッドライトを10つご紹介したいと思います。
コストパフォーマンスの高いモデルから、安全性の高いハイスペックなものまで多数。ぜひあなたに合うヘッドライトを手に取ってみてくださいね。
ライト専用メーカー
登山ギアでは総合アウトドアメーカーが強いですが、ライトにおいては専業メーカーも高いシェアを有しています。実用性やコストパフォーマンスに優れたモデルが多いです。
GENTOS(ジェントス)WS-343HD
基準の明るさ:320ルーメン
照射時間:6時間
モード切り替え:320-140-15-10
使用電池:単4形電池×3本または、専用充電池(別売り)
その他仕様:2m落下耐久、耐塵・防滴仕様(IP64準拠)コストパフォーマンス ★★★★★
明るさ ★★★
信頼性 ★★★★
追加機能 ★★
国内を代表するライトブランド「GENTOS(ジェントス)」。元々、懐中電灯のメーカーとして始まりましたが、近年はヘッドランプをはじめとして、アウトドア用の照明にも注力しています。
WS-343HDは、320ルーメンで6時間照射できるスタンダードモデル。モードを切り替えることができるほか、高い耐久性も備えています。コストパフォーマンスも非常に高く、1つ持っておいて間違いないヘッドライトと言えるでしょう。
GENTOS(ジェントス)HLP-2104
基準の明るさ:700ルーメン
照射時間:8時間
モード切り替え:700-270-40
使用電池:単4形電池×3本または、専用充電池(別売り)
その他仕様:1m落下耐久、耐塵・防滴仕様(IP64準拠)コストパフォーマンス ★★★★★
明るさ ★★★★★
信頼性 ★★★★
追加機能 ★★
GENTOSが手がけるハイスペックなモデルです。700ルーメンを8時間照射できるというスペックは、1泊2日以上の長い登山において、かなり心強いと思います。また270ルーメンまで下げれば、21時間使用できるため、テントの中でも活躍してくれます。
同等のスペックになると、他メーカーでは少なくとも2,000〜3,000円ほど価格が上がります。お得にハイスペックなヘッドランプを検討したい方にとって、かなり購入の視野に入るモデルではないでしょうか。
Ledlenser(レッドレンザー)MH4
基準の明るさ:400ルーメン
照射時間:4時間
モード切り替え:400-20
使用電池:単4形電池×1本または、専用充電池
その他仕様:防滴仕様(IP54準拠)、アドバンスフォーカスシステムなどコストパフォーマンス ★★★
明るさ ★★★
信頼性 ★★★★
追加機能 ★★★★
1993年にドイツで創業した「Ledlenser(レッドレンザー)」。ポータブルライトの専用メーカーとして始まり、アウトドア用途のライトも積極的に開発しています。スペックや使いやすさはもちろんのこと、スタイリッシュで格好良いデザインも支持されています。
MH4は夜間歩行に使える、標準的なスペックのヘッドランプです。切り替えモードは少ないですが、シンプルで使いやすく、照射時間も4時間確保されています。リフレクターとレンズの構造により、同じルーメン数でも他メーカーと比べてLedlenserの方が明るい印象を受けるモデルが多いです。
Ledlenser(レッドレンザー)MH8
基準の明るさ:400ルーメン(ブーストモードは600ルーメン)
照射時間:3.5時間
モード切り替え:600-400-170-20
使用電池:単4形電池×2本または、専用充電池
その他仕様:防滴仕様(IP54準拠)、アドバンスフォーカスシステムなどコストパフォーマンス ★★★
明るさ ★★★
信頼性 ★★★★
機能性 ★★★★
MHシリーズの最上位モデルとなっているMH8。ブーストモードで600ルーメンを確保しており、様々な明るさに切り替えられるのが特徴です。600ルーメンで長時間使用することは想定しておらず、400ルーメンで8時間の照射を基準としています。
Ledlenserのヘッドライトには、ダイヤル式の無段階調光で、ワイド・スポット照射が自在に調整可能な「アドバンスフォーカスシステム」が付いています。明るさだけでなく照らし方へのこだわりも垣間見えますね。
Ledlenser(レッドレンザー)H8R
基準の明るさ:600ルーメン
照射時間:10時間
モード切り替え:600-250-10
使用電池:専用充電池
その他仕様:防滴仕様(IP54準拠)、アドバンスフォーカスシステムなどコストパフォーマンス ★★★★
明るさ ★★★★
信頼性 ★★★★
機能性 ★★★★
MHシリーズよりハイスペックなモデルが多く揃うHシリーズの中核モデルH8R。600ルーメンを10時間照射し続けることができ、夜闇の登山で大いに活躍してくれます。また少し薄暗い明け方には、250ルーメン(15時間照射可能)と使い分けるのも良いでしょう。
大容量バッテリーの専用充電池を採用しているので、ハイスペックながら重量が約160g弱と抑えられているのもポイント。装備にとことんこだわりたい方にオススメのモデルです。
アウトドアメーカー
ライト専用ブランドと並んで、ヘッドライトの大きなシェアを誇るアウトドアメーカー。充実したラインナップの中から、選りすぐりのモデルをご紹介します。
Black Diamond(ブラックダイヤモンド)SPOT(スポット)325
基準の明るさ:325ルーメン
照射時間:65時間
モード切り替え:325-6(4段階でディミング=光の無段階調整が可能)
使用電池:単4形電池×3本
その他仕様:防水仕様(IPX8準拠)、耐温性(-17℃〜43℃)コストパフォーマンス ★★★★★
明るさ ★★★
信頼性 ★★★★★
機能性 ★★★★★
アメリカの老舗アウトドアブランド「Black Diamond(ブラックダイヤモンド)」。実用性と洗練された見た目を備えたギアが、高い人気を誇っています。
そんなBlack Diamondのベストセラーモデルが、SPOT(スポット)325。最大照度325ルーメンの照射を65時間継続できる、驚異のスペックを備えたヘッドライトです。厳しい自然環境での信頼性も高く、コストパフォーマンスも非常に高いため、持っておいて間違いないライトと言えるでしょう。
Black Diamond(ブラックダイヤモンド)ICON(アイコン)700
基準の明るさ:700ルーメン
照射時間:7時間
モード切り替え:700-350-6(ディミング=光の無段階調整が可能)
使用電池:単4形電池×4本
その他仕様:防水仕様(IP67準拠)、耐温性(-17℃〜43℃)コストパフォーマンス ★★★★
明るさ ★★★★
信頼性 ★★★★★
機能性 ★★★★
スペックがさらに上がるICON(アイコン)700。700ルーメンで7時間照射することができ、350ルーメンまで下げれば80時間まで照射が可能になっています。SPOT325の魅力である継続時間の長さが、ICON700でもしっかりと反映されている点が素晴らしいですね。
防水性や耐温性も高く、6段階表示のバッテリー残量メーターなども設けられており、数日間にわたる山行でも無充電でこなすことができます。
PETZL(ペツル)タクティカ E093HA
基準の明るさ:300ルーメン
照射時間:2時間(リザーブ40時間)
モード切り替え:300-100-6-2
使用電池:単4形電池×3本
その他仕様:防水仕様(IPX4準拠)コストパフォーマンス ★★★★
明るさ ★★★
信頼性 ★★★★
機能性 ★★★
フランスの老舗アウトドアブランド「PETZL(ペツル)」。クライミングギアが有名ですが、ヘッドライトについても精力的にラインナップを展開しています。
そんなPETZLで、もっとも安価なモデルがタクティカ。300ルーメンで2時間照射できるという必要最低限のスペックではありますが、コストパフォーマンスが高い&軽量のため、2点買いして使用するのもあり。メインライトが切れた後でも、光を照射できるリザーブ機能も安心ポイントです。
PETZL(ペツル)アクティックコア E099GA
基準の明るさ:450ルーメン
照射時間:2時間(リザーブ3時間)
モード切り替え:450-100-6-2
使用電池:単4形電池×3本
その他仕様:防水仕様(IPX4準拠)コストパフォーマンス ★★★★
明るさ ★★★★
信頼性 ★★★★
機能性 ★★★
PETZLのベストセラーモデルであるアクティコア。450ルーメンという高照度を確保していながら、75gという圧倒的な軽さを両立しています。
例えば、夕方や早朝での使用機会はそれほどなく、テント泊での使用がメインという方にとっては、かなり有力な選択候補になるでしょう。また、タクティカとアクティコアを2つ揃えて使い分ける、というマニアなユーザーの方も多くいらっしゃいます。
PETZL(ペツル)スイフトRL E095BA
基準の明るさ:900ルーメン
照射時間:2〜30時間
モード切り替え:900-550-300-200-100-10
使用電池:専用充電池
その他仕様:防水仕様(IPX4準拠)コストパフォーマンス ★★★★★
明るさ ★★★★★
信頼性 ★★★★
機能性 ★★★
PETZLが手がけるヘッドライトの上位モデルであるスイフトRL。900ルーメンという高い照度と、6段階も切り替えられるモードの充実が魅力です。専用充電池を採用しており、長時間の継続使用も可能になっています。
言わずもがな、このモデルもPETZLらしい圧倒的な軽さが健在!このスペックを100gで実現しているのだから驚きです。価格は上がるものの、このクオリティであれば十分に検討できるモデルではないでしょうか。
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】まっぷるライフスタイル編集部
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