登山用ヘルメットの選び方
それでは登山用ヘルメットの選び方について、押さえておきたいポイントを4点まとめます。
安全基準規格に適合しているか
市販されているほとんどの登山用ヘルメットでは、安全基準規格に適合しています。安全基準規格には、欧州標準化委員会が定めているEN規格と、国際山岳連盟が定めているUIAA規格があり、UIAA規格の方がEN規格より厳しい規格になっています。
一部安いヘルメットをインターネットで見つけることがありますが、安全基準規格を満たしていないことも。そのためアウトドアブランドが手がける登山用ヘルメットから選定するのがベターです。
軽さとコストパフォーマンス
常に頭にかぶり長時間歩行する、登山用ヘルメット。そのため負担軽減のために、軽さは重要になってきます。
一般的に200g前後が軽量で、300g〜400g前後が一般的となっています。軽量であればあるほど、価格が上がる傾向にあり、入門モデルにはコストパフォーマンスが高いものが多いです。
ちなみに「軽いヘルメットは安全上大丈夫か?」という意見もあるかもしれません。ヘルメットの軽さと耐衝撃性・耐久性は一概には関係しないので、安心してください。
ハードシェルかインモールドか
登山用ヘルメットには大きく、ハードシェルとインモールドの二つのタイプが存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。
ハードシェル・・・合成樹脂で構成。堅牢な作りでコストパフォーマンスの高いモデルが多い。
インモールド・・・発泡材+合成樹脂で構成。通気性があり、軽いモデルが多い。価格は少し上がる。
ハードシェルか?インモールドか?選ぶ際には、前述した軽さとコストパフォーマンスに大きく関わってきます。
着脱・調整のしやすさ
使いやすさの観点で、意外と重要なのが着脱のしやすさです。樹林帯や稜線などコース変化のある登山道では、道の状況に合わせてヘルメットを着脱したり、休憩の際にはヘルメットを脱ぐことも多いです。
その際に、いかにストレスフリーにストラップを外せるか?は使い心地に影響します。頭囲のサイズ調整方式は、簡便なダイヤル方式を採用しているものを選びましょう。
サイズの適合有無
最後に欠かせない観点が、頭にジャストフィットするかどうかです。登山用ヘルメットについては、スペックがかなり近いモデルでも、メーカーによって標準としている頭部の形状が異なっています。
そのため試着してみないと、自分の頭がどのブランドの、どのモデルに適合しているか?正確には分かりません。一度購入する前に、ショップで試着をすると良いでしょう。
その際には、前述の着脱のしやすさについても確認できますよ。
登山ヘルメットおすすめモデル10選
ここまで登山用ヘルメットの役割と選び方について解説してきました。それではオススメするブランドとモデルをご紹介したいと思います。
MAMMUT(マムート)
スイス発の登山用品の総合メーカー「MAMMUT(マムート)」。もともとクライミング用のロープへ着手したことをきっかけに、登山用品の開発を始めた歴史を持っています。クライミングには欠かせないヘルメット。MAMMUTの原点というべき、堅牢なものづくりのDNAが詰まっています。
MAMMUT(マムート)Skywalker 2
安全基準規格 EN規格
頭囲のサイズ調整方式 ダイアル
目安の価格 7,500円前後
軽さ ★★
コストパフォーマンス ★★★★
着脱・調整のしやすさ ★★★★
もっともベーシックな「Skywalker2」は、コストパフォーマンスの高いハードシェルヘルメットです。重量は380g。耐衝撃性や耐久性、コストパフォーマンスやスペックなど、本格登山に重要なポイントは全て押さえられており、総合力では申し分ない内容となっています。
またストラップの着脱も簡単で、片手で調整可能。シンプルな使い勝手の良さも人気の理由の一つです。
MAMMUT(マムート)Crag Sender Helmet
安全基準規格 EN規格
頭囲のサイズ調整方式 ダイアル
目安の価格 11,000円前後
軽さ ★★★★
コストパフォーマンス ★★★
着脱・調整のしやすさ ★★★★
グレー&オレンジの、MAMMUTらしいカラーが特徴的な「Crag Sender Helmet」は、高性能なインモールドヘルメットです。重量はSkywalker2の半分弱にあたる199g、価格は1.5倍ほどになっています。
通気性をもたせながらプロテクションを強化しており、使いやすく軽く、そして頑丈という3点を両立しています。また形状にもこだわっており、高いフィット感も多くの登山愛好家に支持されている理由です。
Black Diamond
1989年にアメリカで創業した「Black Diamond」。クライミングやスキーといった、厳しい自然環境のシーンで活躍するギアを手がけており、信頼性の高いアウトドアメーカーとしても知られています。登山用ヘルメットのラインナップがもっとも充実しているメーカーの一つです。
Black Diamond(ブラックダイヤモンド)ハーフドーム
安全基準規格 EN規格
頭囲のサイズ調整方式 ダイアル
目安の価格 7,000円前後
軽さ ★★★
コストパフォーマンス ★★★★★
着脱・調整のしやすさ ★★★★
クライマーに支持されている「ハーフドーム」は、基本性能とコストパフォーマンスの高さにおいて、申し分ないハードシェルヘルメットです。重量は約250g。300g〜400gがメインのハードシェルの中では、極めて軽量な部類に入ります。
ポリカーボネートシェルとEPSフォームを一体成型しているのが軽さの秘訣。シンプルなサスペンション機構を配しており、簡単にサイズ調整も可能です。使い手を選ばないシンプルなデザインも魅力と言えるでしょう。
Black Diamond(ブラックダイヤモンド)ビジョン
安全基準規格 EN/UIAA規格
頭囲のサイズ調整方式 ダイアル
目安の価格 11,000円前後
軽さ ★★★★
コストパフォーマンス ★★★★★
着脱のしやすさ ★★★★
登山ガイドをはじめとして、山のプロにも選ばれる「ビジョン」は、渋い見た目と本格的なスペックを備える、インモールドヘルメットです。最大の特徴は、EPP+EPS+ポリカーボネートの複合シェル。軽量でありながら、UIAA 規格も満たすタフネスな作りになっています。
それに加えてベンチレーションもしっかり備えているので、通気性、快適性も申し分ありません。ハイエンドモデルに迫るスペックながら、手が届く価格であるのも嬉しいポイント。
Petzl(ペツル)
世界初の登山用ヘッドランプを開発したことで知られる「Petzl(ペツル)」。ケイビング(洞窟探検)という特殊なジャンルのギアを手がけてきたメーカーで、ヘルメットにおいてもケイビングの知見やこだわりが大いに生かされています。熱烈なファンも多いメーカーです。
Petzl(ペツル)BOREO
安全基準規格 EN/UIAA規格
頭囲のサイズ調整方式 ダイアル
目安の価格 8,000円前後
軽さ ★★
コストパフォーマンス ★★★★★
着脱・調整のしやすさ ★★★
ベストセラーを誇っている「BOREO」は高いコストパフォーマンスと堅牢性を誇るハードシェルヘルメット。重量も285gと、ベーシックモデルにしては軽量でありながら、UIAA規格も満たす耐久性を備えているのが魅力です。
また頭の形によくフィットするヘッドバンドや、頭の後ろまでカバーするヘッドカバーが付属し、一度試着したら購入即決という方もいらっしゃるほど、抜群の被り心地も誇っています。
PETZL(ペツル)SIROCCO
安全基準規格 EN/UIAA
頭囲のサイズ調整方式 ベルトストラップ
目安の価格 16,000円前後
軽さ ★★★★★
コストパフォーマンス ★★★★
着脱・調整のしやすさ ★★
巷では”ドラゴンボールのフリーザ”のようだと話題の「SIROCCO」ですが、登山用ヘルメットにおいて最軽量を誇るインモールドヘルメットです。最適な素材をハイブリッドに組み合わせることで、160gという驚異的な軽さを実現しています。
一度持つと大丈夫なのか?というぐらい軽いのですが、UIAA規格も満たしており、高い防護性能を有しています。また通気孔が大きく快適性も高い点も支持される理由の一つ。
Grivel(グリベル)
イタリアの老舗クライミングギアメーカー「Grivel(グリベル)」。アイゼンやピッケルなど雪山登山で用いるギアで世界トップクラスの地位を確立していますが、実は登山用ヘルメットも精力的に展開しています。厳しいシーンでこそ活躍する、ギア性能の高さは折り紙付きです。
Grivel(グリベル)サラマンダー2.0
安全基準規格 EN規格
頭囲のサイズ調整方式 ベルトストラップ
目安の価格 8,500円前後
軽さ ★★★
コストパフォーマンス ★★★★★
着脱・調整のしやすさ ★★★
ベストセラーモデルの「サラマンダー2.0」は、高いコストパフォーマンスと堅牢性を誇るハードシェルヘルメットです。重量も355gとスタンダードで、見た目もすっきりしています。
特徴は、ジャパンフィットの形状を採用していること。西洋人に比べて丸い形状の日本人の頭に合うように、内側の幅と深さをデザインしています。すっぽりと収まるフィット感が絶妙です。
Grivel(グリベル)Stealth Helmet
安全基準規格 EN規格
頭囲のサイズ調整方式 ベルトストラップ
目安の価格 12,000円前後
軽さ ★★★★
コストパフォーマンス ★★★★
着脱・調整のしやすさ ★★★
斬新なポリゴン形状が特徴的な「Stealth Helmet」は、軽さと高い防護性能を備えた本格仕様のインモールドヘルメットです。斬新な見た目でありながら、衝撃吸収性に富んだ20mm厚のポリスチレンパッドや、ハイパーベンチレーションといった機構を備え、しかも200gという軽さを実現しています。
こちらもサラマンダー2.0と同じくジャパンフィットの形状を採用し、被り心地は折り紙付きです。見た目やスペック、使い勝手について全て妥協しない方に、ぜひオススメしたいモデルと言えるでしょう。
EDELRID (エーデルリッド)
世界最高水準のクライミングロープやギアを製造するドイツの総合メーカー「EDELRID (エーデルリッド)」。カーンマントル構造のロープは、クライミングロープのスタンダードになりました。クライミング界での知名度が高いですが、登山でも重宝する高性能なヘルメットも手がけています。
EDELRID(エーデルリッド)ZODIAC
安全基準規格 EN/UIAA
頭囲のサイズ調整方式 ダイアル
目安の価格 7,000円前後
軽さ ★★
コストパフォーマンス ★★★★★
着脱・調整のしやすさ ★★★★
クライマーから登山者まで愛用している「ZODIAC」は、圧倒的な堅牢性とコストパフォーマンスを誇っているハードシェルヘルメットです。重量は359gと軽量の部類ではないですが、その代わりにUIAA規格も満たす頑丈さを備えています。
また内部は比較的横幅が広く円に近い形状のため、日本人の頭にもフィットしやすい仕様となっています。クライミング、岩稜歩き、沢登り等など、あらゆる用途で活躍してくれる汎用性の高いモデルとしてもオススメです。
EDELRID(エーデルリッド)SALATHE
安全基準規格 EN/UIAA
頭囲のサイズ調整方式 ベルトストラップ
目安の価格 14,000円前後
軽さ ★★★★
コストパフォーマンス ★★★★
着脱・調整のしやすさ ★★★
EDELRID (エーデルリッド)の上位モデルである「SALATHE」は、知る人ぞ知る登山用ヘルメットの名作です。最軽量に迫る210gという重量でありながら、UIAA規格を満たしており、人間工学に基づいたジャストフィットの内部構造も追求しています。
また大きなベンチレーションホールは、ヘルメット内部の蒸れを防ぐ効果も抜群!長時間歩行する山行でも、快適に使用することが可能です。ヘッドランプ取り付け用のクリップやストラップもあり。
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】まっぷるライフスタイル編集部
SNS
旅行だけでなく日常も楽しく!をコンセプトに、生活を豊かにしてくれるアイテムを厳選して紹介。
日用品からコスメ、ベビー用品、音楽、DIY用品など、ジャンルという壁を作らず、目利き力のある編集者がおすすめアイテムをセレクトします。
何を買えばよいかわからないを無くすことをモットーに、皆さんの生活が豊かになるアイテム選びのお手伝いができるコンテンツを日々制作しています。