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もっと語りたい!泣ける映画5. ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)
恋愛だけじゃない、一期一会の尊さを描いた作品
一人旅が好きです。いくらでも予定を変えられるし、出会おうと思えばいろんな出会いができるから。『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』は、ヨーロッパ周遊列車で偶然出会った男女二人が、途中下車したウィーンの街で語らい歩き回りながら「ビフォア・サンライズ=夜明けまで」思い出作りをする物語。気ままな旅好きさんに猛烈なロマンを与えてくれる映画です。
旅先の刹那な一期一会はわたしにも色々あります。
福岡・中洲の屋台で話に付き合ってくれたサラリーマン二人組。広島・尾道のゲストハウスで最初の会話が「もうチェックアウトしちゃうんですか」だった同室の彼。ニューヨークのホテルで「加トちゃんペッ!」「コマネチ!」等々のおもてなしワードを繰り出してくれたフロントのおじさん。今頃どうしてるでしょうか。ロマンスのかけらもなくてすみません。
本作は、9年ごとに同じキャストで続編が作られています。まずは2004年の『ビフォア・サンセット』。「あの日」から9年を経て再会した二人が、今度は夕暮れまでほんの数時間、パリを歩いて語らいます。「美化された記憶との再会」を幻滅なしで見事に描いた、おすすめの続編です。
そしてさらに9年、18年後の二人を切り取ったのが2013年の『ビフォア・ミッドナイト』。こちらは一転いわゆる「倦怠夫婦もの」へ。つまり少なからず「幻滅」させられる続編となっています。とはいえ、あらゆる倦怠した関係に当てはまる普遍的な映画なので、自分と重ねて刺さる方は多いはず。
ちなみにもう9年経つと2022年なのですが、ほろ苦くも美しい記憶は3作目で止めておくことになったようです。
映画の詳細データ | |
公開年 | 1995年 |
製作国 | アメリカ/オーストリア/スイス |
監督 | リチャード・リンクレイター |
出演者 | ジュリー・デルピー/イーサン・ホークほか |
時間 | 105分 |
もっと語りたい!泣ける映画6. ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートが眩しい!
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの豪華W主演で、ハリウッドで実際に起きた殺人事件を描きます。この映画は、その背景を知らないで観るのと知って観るのとでは全く見え方が変わってきます。端的に言えば、背景を知っていると「泣ける」んです。
単刀直入に史実上のネタバレを書いておくと、マーゴット・ロビー演じる女優「シャロン・テート」は1969年8月9日、チャールズ・マンソン率いるカルト集団「マンソン・ファミリー」に惨殺されます。これはハリウッドを震撼させた有名な事件で、つまり本作は「行き着く先に強烈なバッドエンドが待っている物語である」という大前提があるわけですね。
とはいえ本作はドキュメンタリー映画じゃない、あくまでタランティーノ流のエンタテインメント。背景となった時代については説明もなくさらっと通り過ぎていくのみ。
そこでおすすめしたいのが「シャロン・テート殺害事件」に関連したノンフィクション本です。事件当時「ファミリー」の一員であった少女が数十年の時を経て書いた自伝『マンソン・ファミリー 悪魔に捧げたわたしの22ヶ月(ダイアン・レイク 著/山北めぐみ 訳)』、淡々と調査結果が書き連ねられた『ファミリー シャロン・テート殺人事件(エド・サンダース 著/小鷹信光 訳)』といった関連書籍を読むことで、劇中の全てが「見える」ようになります。
1969年8月に差し掛かってからの緊張感、その先に待つ結末の後味。実在の人物が多数登場する本作において、あえて架空のキャラクターとして投入されたディカプリオとブラッド・ピットの役割とは。「背景」を知り、味わい尽くしていただきたい作品です。
映画の詳細データ | |
公開年 | 2019年 |
製作国 | アメリカ/イギリス |
監督 | クエンティン・タランティーノ |
出演者 | レオナルド・ディカプリオ/ブラッド・ピット/マーゴット・ロビーほか |
時間 | 161分 |
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】353
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ただの雑食な映画好き。——だったはずが、気付けば映画館スタッフに。
映画を観る時間がめっきり減ってしまうというジレンマと戦いながら、映画ブログ『353log』を時々更新中。
不勉強なことばかりですが、皆様に「観たい!」と思っていただけるようなご紹介ができるよう努めます。
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