

更新日: 2025年3月31日 [PR]
【和歌山県】熊野古道「中辺路(小雲取越・大雲取越)」で、熊野本宮大社から熊野那智大社へ!
和歌山県の霊場・熊野三山へと至る参詣道「熊野古道」は、遥か昔、平安時代から歩き継がれている道で、複数のルートがありますが、そのなかでも「中辺路(なかへち)」は、上皇が行う熊野詣(熊野御幸)の公式参詣道とされた重要なルート。その中辺路のなかでも今回は、「小雲取越〜大雲取越コース」について、1泊2日のモデルコースを詳しくご紹介します。熊野本宮大社から熊野那智大社へと続く、中辺路ウォークのハイライトをお楽しみください!
目次
熊野古道「中辺路」ってどんな道?
神話の時代から、神々が鎮まる特別な場所と崇められた紀伊山地。その自然豊かな山岳地帯にある「熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)」、「熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)」、「熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)」及び「那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)」の三社一寺は、熊野三山(くまのさんざん)とよばれ、古来より広く信仰を集めてきました。

那智山の大門坂にて
平安時代に上皇・法皇が熊野御幸(くまのごこう)を行うようになると、熊野詣は次第に貴族、武士、庶民へと広まりました。身分や男女の別を問わず、あらゆる人々が熊野を目指した様子は「蟻の熊野詣(ありのくまのもうで)」と形容されるほどで、その参詣道となったのが「熊野古道」です。
中辺路は熊野御幸の公式参詣道
聖地「熊野」を目指すための巡礼道「熊野古道」には、複数のルートがあります。そのなかでも「中辺路(なかへち)」は、田辺から本宮・那智・新宮を目指す山岳路であり、熊野御幸の公式参詣道(御幸道)として幾多の人々が行き交いました。今もなお山深い自然のなかに残された道を歩けば、いにしえの趣を感じることができます。
熊野古道「中辺路」の歩き方は?
中辺路は、田辺から新宮まで100km以上続く、とても長い道のりの山岳路です。そのため、中辺路ウォークを気軽に楽しむなら、まずは一部の区間だけ歩くセクションハイクがおすすめです。和歌山県では、日帰りで歩ける10km弱のショートコースなど、様々なセクションハイクのコースを紹介。いくつかのコースを組み合わせて、1泊2日や2泊3日で数十kmを歩くミドルコースを楽しんだり、4日以上かけて歩くロングトレイルに挑戦したり、様々な歩き方で中辺路ウォークを満喫することができます。
事前準備&旅のお供に!和歌山県街道マップを活用しよう
和歌山県が発行している「和歌山県街道マップ」では、中辺路の歩き方をわかりやすく紹介。セクションハイクのコースごとに、見どころや所要時間などを確認することができます。マップにはトイレや自動販売機などの情報も掲載されているので、中辺路ウォークの心強い味方になること間違いなし!こちらのマップは、沿道の町役場や観光協会などで配布されているほか、和歌山県観光振興課(TEL:073-441-2424)に問い合わせれば無料で送付してもらうことも可能です。問い合わせの際に「まっぷるWEBを見た」と伝えれば、スムーズに送付してもらえます。また、和歌山県公式観光サイトからダウンロードもできます。
魅力満載!中辺路の小雲取越〜大雲取越コースを1泊2日で楽しもう
中辺路のセクションハイクのなかでも、今回は「小雲取越(こぐもとりごえ)」と「大雲取越(おおぐもとりごえ)」のコースに注目!
「小雲取越」は、田辺市本宮町の請川から桜峠を越えて、新宮市熊野川町の小口へと続く道です。そして小口からさらに進んで、那智勝浦町に向かう道が「大雲取越」です。これらは、本宮と那智を結ぶ重要な参詣道であり、「小雲取越〜大雲取越」コースは中辺路全体のハイライトともいえます。
ポイント①熊野三山や絶景スポットなど、見どころが豊富
小雲取越〜大雲取越コースには、たくさんの見どころがあります。スタート地点の本宮には「熊野本宮大社」、ゴール地点の那智には「那智山青岸渡寺」と「熊野那智大社」があり、世界遺産の寺社を詣でることができます。また、その道中には「百間ぐら」や「舟見茶屋跡」などの絶景スポットや、「賽の河原地蔵」や「円座石」などの歴史スポットもあります。緑豊かな山道を歩きながら、これらの見どころを訪ねるのは、まさに熊野古道ウォークの醍醐味です。
ポイント②本宮・那智周辺では、温泉やグルメも楽しめる
本宮には、湯の峰温泉・川湯温泉・渡瀬温泉からなる「熊野本宮温泉郷」、那智には太平洋の絶景が広がる「南紀勝浦温泉」があります。どちらも日帰り入浴施設や温泉自慢の宿があり、名湯に浸かれば山歩きの疲れも心身ともに癒されます。また、山川海の自然に恵まれた和歌山県南部には、生まぐろや天然鮎などおいしいグルメもいっぱい!熊野古道ウォークと合わせて、周辺観光もぜひ楽しんでくださいね。
ポイント③小雲取越〜大雲取越コースを1泊2日で踏破しよう!
小雲取越の標準歩行時間は4時間25分、大雲取越の標準歩行時間は7時間なので、2日間に分けてプランを立てましょう。前泊・後泊をプラスすれば、熊野古道や南紀の周辺観光も楽しむことができ、さらに思い出に残る旅になります。
【プラン例】
前泊:熊野本宮温泉郷に宿泊
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●1日目:小雲取越(歩行距離13km)
請川から桜峠までは比較的快適な尾根道が続き、アップダウンもあまり多くありません。木立のなかで爽快なハイキングが楽しめます。
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宿泊:中継地点の小口に宿泊
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●2日目:大雲取越(歩行距離14.5km)
中辺路のなかではアップダウンが多く、難易度はやや高くなるものの、事前にしっかり準備しておけば安全にトライできます。
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後泊:南紀勝浦温泉に宿泊
今回は、小雲取越〜大雲取越コースを1泊2日で歩くモデルコースをご紹介!コースの起点となる本宮、終点となる那智の周辺ガイドも合わせてお届けします。
【小雲取越コースの起点】本宮の周辺ガイド
小雲取越コースの起点となる本宮は、熊野の神々を祀る熊野本宮大社が鎮まる地。熊野信仰の中心地であり、熊野詣に訪れた人々の憧れの場所として、古来より数多くの参詣者を迎えてきました。また、熊野本宮大社の周辺には、3つの名湯が湧く熊野本宮温泉郷があります。熊野詣の旅人たちの身を清め、疲れを癒してきた歴史ある温泉地には、公衆浴場や温泉宿が点在しています。
熊野本宮大社に向かう交通アクセス
熊野本宮大社へは、JR新宮駅またはJR紀伊田辺駅から、路線バスで行くことができます。路線バスの時刻表を事前に確認し、旅のプランを立てましょう。
【JR新宮駅(名古屋方面からの最寄り駅)】
●熊野御坊南海バス
JR新宮駅から、川丈線(51・53系統の本宮大社前方面行き)で約1時間〜1時間15分、本宮大社前下車。1日9便、片道運賃1560円。
●奈良交通
JR新宮駅から、八木新宮特急バス(大和八木駅行き)で約1時間20分、本宮大社前下車。1日3便、片道運賃1560円。
【JR紀伊田辺駅(大阪方面からの最寄り駅)】
●明光バス
JR紀伊田辺駅から、熊野古道線・快速 熊野古道号で約1時間35分、本宮大社前下車。1日2便、片道運賃2100円
●龍神バス
JR紀伊田辺駅から、熊野本宮線(81・85系統の発心門王子または道の駅奥熊野行き)で約2時間、本宮大社前下車。1日5便、片道運賃2100円。
出発前日に現地入り!おすすめの宿泊スポットはこちら
路線バスは早朝から運行していますが、ゆとりのある旅のプランを立てるなら、出発日の前日に現地入りして熊野本宮温泉郷に宿泊するのがおすすめです。
開湯から1800年以上の歴史があり熊野詣の湯垢離場(ゆごりば)として栄えた「湯の峰温泉」、熊野川の支流・四村川のほとりに湧く「渡瀬温泉」、野趣溢れる仙人風呂で有名な「川湯温泉」は、それぞれに異なる風情がたっぷり。路線バスを利用すれば、本宮大社前から湯の峰温泉へ約11分→渡瀬温泉へ約6分→川湯温泉へ約2分と近い場所にあり、3つの湯めぐりも楽しめます。
【湯の峰温泉】あづまや
江戸期創業の老舗旅館。風情溢れる大浴場は、浴槽に高野槙、床に那智黒石を敷き詰めた伝統ある造り。掛け流しの湯に心身とも癒され、めずらしい木製の蒸し風呂も楽しめます。夕食には熊野牛の温泉しゃぶしゃぶ、朝食には温泉粥など、温泉を使った料理を召し上がれ。
■あづまや
住所:田辺市本宮町湯峯122
電話:0735-42-0012
料金:1泊2食付1万8300円〜
時間:IN13:00/OUT10:00
交通:バス停湯の峰温泉からすぐ
【川湯温泉】山水館 川湯みどりや大塔川のほとりに立つ自然豊かな宿。大浴場から一歩外に出れば、大塔川を目の前に眺められる開放的な露天風呂があります。夕食は四季折々の熊野食材を丁寧に調理した会席3品に加えて、熊野産の食材を中心とした約30種類の料理をバイキング形式で存分に堪能できます。
■山水館 川湯みどりや(さんすいかん かわゆみどりや)
住所:田辺市本宮町川湯13
電話:0735-42-1011
料金:1泊2食付1万8150円〜
時間:IN15:00/OUT10:00
交通:バス停川湯温泉からすぐ
【渡瀬温泉】わたらせ温泉 ホテルささゆり西日本最大級の露天風呂と8つの貸切風呂が自慢の宿。湯浴みをしながら、名物のあまご酒2200円を湯船でいただく風流な体験もできます。吊り橋で結ばれた広大な敷地には、姉妹館の「ホテルやまゆり」と「ホテルひめゆり」もあり、雰囲気や予算に合わせて宿泊可能。
■わたらせ温泉 ホテルささゆり(わたらせおんせん ほてるささゆり)
住所:田辺市本宮町渡瀬45-1
電話:0735-42-1185
料金:1泊2食付2万7500円〜
時間:IN14:00/OUT11:00
交通:バス停渡瀬温泉から徒歩5分
【モデルコース1日目】小雲取越:熊野本宮大社〜小口
【1日目:小雲取越コースの概要】
「小雲取越(こぐもとりごえ)」は、流れる雲が手に届くほど高いところを越えるという意味が語源とされています。熊野本宮大社で参拝した後、旧社地の大斎原を経て、熊野川を左手に眺めながら、小雲取越の登り口である請川へ向かいます。請川から本格的な山登りに入りますが、所々で樹林のすきま越しに熊野川が見えます。百間ぐらでしばし長めの休憩を取り、賽の河原地蔵、石堂茶屋跡や桜峠を経て、東屋のある桜茶屋跡へ。ここからは長い下り坂ですが、眺望の良い道です。小和瀬の渡し場跡に架かる橋を渡ると小口にはほどなくして到着です。
1日目コース【1】熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)
今回の小雲取越コースで最初に訪れるのは、熊野詣の最初の目的地であった熊野本宮大社です。一の鳥居をくぐった先は神域とされ、杉木立に囲まれた聖地には荘厳な雰囲気が漂います。
結宮(むすびのみや)・証誠殿(しょうじょうでん)・若宮(わかみや)からなる社殿群は、明治22(1889)年の大洪水による流出を免れ、旧社地である大斎原(おおゆのはら)から遷されたものです。熊野本宮大社は、大斎原のイチイの木に、主祭神の家津美御子大神(けつみこのおおかみ)が降臨したことから信仰がはじまったと伝えられ、樹木の神様として崇められています。
■熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)
住所:田辺市本宮町本宮1110
電話:0735-42-0009
料金:宝物殿300円
時間:拝観7:00〜17:00、授与所8:00〜17:00、宝物殿9:00〜16:00(土・日曜、祝日は9:00〜12:00、13:30〜17:00)
0.8km
1日目コース【2】大斎原(おおゆのはら)
明治22(1889)年に大洪水が起こるまで、熊野本宮大社が鎮座していた旧社地。熊野川の支流・音無川と岩田川が熊野川と交わる場所にあり、江戸時代までは、川の水で身を清めなければ神域に入ることが許されなかったといわれており、これを「濡れわらじの入道」とよんでいました。広大な境内に12の社殿が横一列に並んでいましたが、水害後は高台へと遷座。現在は御本殿の跡地に石祠があり、その入口には、高さ33.9m・幅42mの日本一の大鳥居が立っています。この大鳥居は2025年に建立25周年を迎えます。

請川~松畑茶屋跡
熊野本宮大社・大斎原から、小雲取越の入り口にあたる請川へは、歩くと約1時間かかりますが、路線バスを使えば約6分で移動することができます。ご自身の体力やスケジュールに合わせて、どちらで移動するか事前に決めておきましょう。請川からはいよいよ、樹木がうっそうと生い茂る聖地巡礼の山岳道へと入ります。
6.6km
1日目コース【3】松畑茶屋跡(まつはたちゃやあと)
請川から比較的緩やかな坂道を上って、尾根道をしばらく歩くと、松畑茶屋跡があります。小雲取越〜大雲取越コースの沿道には、かつて旅人をもてなした茶屋の跡が多く残されており、こちらもその一つ。元文4(1739)年の参詣記『熊野めぐり』には「松畑茶屋とて四、五軒も有。」と記され、評判だった茶屋の跡です。茶屋としては昭和の中頃まで続き、現在も広い平坦地に高い石段を積んだ二軒の屋敷跡と墓地跡がはっきりと残っています。
1.5km
1日目コース【4】百間ぐら(ひゃっけんぐら)
木々が連なる峠道から突然視界が開ける「百間ぐら」は、小雲取越コースで1番の絶景ポイント。「ぐら」とは「高い崖」の意味とされていて、崖の際にたたずむお地蔵さんとともに、熊野の美しい山並みをぐるりと見渡すことができます。どこまでも果てしなく広がる熊野三千六百峰の風景は、まさに圧巻!熊野古道ウォークの記念ぴったりの撮影スポットとして人気を集めています。夕暮れ時には、北西方向に沈む夕日が美しく、夕日の名所としても知られています。

百間ぐら~賽の河原地蔵
百間ぐらで絶景を堪能したあとは、再び木立の峠道を進みます。木々の間から時折り差し込むやわらかな木漏れ日は、どこか神秘的な雰囲気を感じることでしょう。また、百間ぐらから約0.9kmの場所にある林道交差から、小雲取越の道を外れて150mほど林道沿いを下った場所にはトイレがあります。この先の小口まではトイレがないので、立ち寄るのをお忘れなく。
1.3km
1日目コース【5】賽の河原地蔵(さいのかわらじぞう)
熊野詣で亡くなった人々の霊を供養するために作られたと伝わる地蔵です。「賽の河原」とは、幼くして亡くなった子どもが行く所といわれる三途の川の河原であり、子どもはその河原で親の供養のために石を積み上げて塔を作りますが、絶えず鬼に壊されてしまいます。そこへ現れて子どもを救うのが地蔵菩薩といわれています。熊野が「隠国(こもりく)」、つまり「霊魂の籠もる地」といわれてきた所以をそこはかとなく感じることができます。
0.4km
1日目コース【6】石堂茶屋跡(いしどうちゃやあと)
元文4(1739)年の参詣記『熊野めぐり』には「石堂峠」として、茶屋が2軒あり旅客を泊めていた、と記されています。江戸時代には近くの山中で砥石が採れたため「石砥茶屋」とも呼ばれていたようで、現在は水場跡、墓石などが残っています。
2.1km
1日目コース【7】桜茶屋跡(さくらちゃやあと)
桜峠を越えてしばらく歩くと、苔むした石積みで築かれた桜茶屋跡が現れます。茶屋の庭先に桜の大木があったことが名前の由来といわれ、明治末期まで現存していました。その昔は、見晴らしの良いこの茶屋から、南に見える楠の久保あたりから登ってくる白衣の巡礼者を見かけると、茶屋の主人は大急ぎで茶を沸かし、餅をついてもてなしたといいます。現在は休憩ができる東屋が立っています。

桜茶屋跡~尾切地蔵
桜茶屋跡から先には、急な下り坂があります。足元に気をつけて、ご自身のペースで進みましょう。石段の手前には、視界が開けた眺望スポットもあるので、美しい山並みを眺めてちょっぴりひと休み。石段を下りた後も、小口までは急な下り坂が続きます。
2.3km
1日目コース【8】尾切地蔵(おきりじぞう)
下り坂の途中、右手にある小さな祠には、尾切地蔵が安置されています。尾切地蔵が立つ場所は、赤木川に囲まれた半島状の付け根あたり。その昔、「半島状にある集落は栄えない」という言い伝えを聞いた村人が、「尾を切る」という意味を込めてこの場所にお地蔵さまを祀り、村の繁栄を願ったとされています。
0.4km
1日目コース【9】小和瀬の渡し場跡(こわぜのわたしばあと)
小和瀬にはかつて渡し船があり、列をなした熊野三山の参詣者を、赤木川の対岸へと渡していました。その船賃は、川の水量によって定められていたそうです。昭和29(1954)年につり橋が架かり、現在ではコンクリートの立派な橋に架け替えられています。
1.0km
1日目コース【10】小口(こぐち)
1日目のゴール地点にようやく到着!熊野古道「中辺路」の小雲取越と大雲取越のちょうど中間にある小口は、和田川・小口川が合流する狭い谷口にあることが地名の由来とされています。標高60mに位置している小さな集落ですが、郵便局や商店などが立ち並んでいて、参詣者を迎え入れる宿泊施設もあります。
1日目おつかれさまでした!おすすめの宿泊スポットはこちら
1日目の小雲取越コースを踏破したら、この日は小口にある宿泊施設に泊まりましょう。小口には、中学校の校舎をリノベーションした宿泊施設や、熊野古道ガイドのご主人が営むゲストハウスなど、魅力溢れるお宿があります。ここでゆっくりと体を休めて、翌日の小雲取越コースに向けて英気を養いましょう。
【小口自然の家】
かつて中学校だった校舎を改築した宿泊施設。客室は8畳から12.5畳までの和室が13部屋。屋外のグラウンドには、テントを張ることができるフリーサイトキャンプ場と、野外炊事施設も整備されています。談話室では無料Wi-Fiを利用できるほか、洗濯機と洗剤は利用無料で乾燥機(1回100円)も完備。また、事前に予約しておけば、2日目の熊野古道ウォークの昼食用にお弁当550円も注文できます。お弁当は宿を出発する前に食堂で受け取ることができ、飲み物も自動販売機で購入することができます。
■小口自然の家(こぐちしぜんのいえ)
住所:新宮市熊野川町上長井398
電話:0735-45-2434
料金:1泊2食付9000円〜
時間:IN15:00/OUT9:00
【民宿 百福】熊野古道ガイドのご主人が営む純和風のゲストハウスは、温かいおもてなしが魅力。1日限定2組・合計3名までの小さなお宿ながら、海外からの熊野ビジターにも「泊まってみたい民宿」として人気を集めています。ご主人が腕を振るった朝夕の料理も好評で、熊野古道ウォークのお供に、昼食用のおにぎり弁当500円も販売。小雲取越登山口まで約1km、大雲取越登山口まで約100mの場所にあり、小雲取越〜大雲取越コースの宿泊にぴったりです。
■民宿 百福(みんしゅく ももふく)
住所:新宮市熊野川町西224-3
電話:0735-45-2016
料金:1泊2食付1万2500円〜
時間:IN15:00/OUT9:00
【モデルコース2日目】大雲取越:小口〜熊野那智大社
【2日目:大雲取越コースの概要】
中辺路ルートの中でも一番の難所といわれるのが「大雲取越(おおくもとりごえ)」です。出発地の小口から石段を登っていき、民家の庭先を通り抜け、山道へ入ると熊野の神々が腰をかけて談笑したと伝わる円座石があります。そこから少し上がると旅籠が軒を並べた楠の久保旅籠跡を見ながら、急坂の石畳道の胴切坂を峠へ向けて登っていきます。越前峠を越え、次の石倉峠も越えると東屋やトイレが備わる地蔵茶屋跡に辿り着き、しばしの休憩を取ります。前半のような大きな登り坂はなくなり、林道を経て色川辻を経由し舟見茶屋跡から那智勝浦の絶景が楽しめます。ここからは那智山青岸渡寺、熊野那智大社まで長い下り坂が続きます。
2日目コース【1】円座石(わろうだいし)
小口から大雲取越コースの山道に入って約1kmの場所には、円座石があります。「円座(わろうだ)」とは、わらやいぐさ等を丸く編んだ敷物のことで、石の上面の模様がそれに似ていることから名づけられたといわれています。この石に刻まれた梵字は右が阿弥陀仏(本宮)、中央が薬師仏(新宮)、右が観音仏(那智)を表し、熊野三山の本地仏を表現しているとされていますが、制作年代や背景はわかっていません。なお、熊野三山の大神の「御茶屋所」(『紀伊続風土記』)とされたためか、三山の神々がここに座って談笑したとの言い伝えも残っています。
1.4km
2日目コース【2】楠の久保旅籠跡(くすのくぼはたごあと)
約1.5kmの区間に複数の屋敷跡が見られる楠の久保周辺には、江戸時代には十数軒の旅籠があり、とても賑わったといわれています。また、18世紀に書かれた参詣者の日記には、旅籠の亭主が野菜を植えても鹿や猿に食べられてしまうため、干ワラビ以外には菜や大根の類はない、ということが記されていました。なお、大正時代まで旅籠が営まれており、「豆腐あります、風呂わいています」が宿の宣伝文句であったそうです。

楠の久保旅籠跡~越前峠
楠の久保旅籠跡から少し歩くと、3体のお地蔵さまが道ゆく人々を見守っています。苔むした台座に長い年月を感じますが、いつ頃に建立されたものかはわかっていません。その先にある「胴切坂」は大雲取越の最大の難所であり、坂を上ると横腹が切れそうなほど痛くなる、という意味から名付けられた通り、石畳の急な上り坂が続きます。足元が滑らないように注意しながら、一歩一歩ゆっくりと進みましょう。
2.4km
2日目コース【3】越前峠(えちぜんとうげ)
中辺路ルートの中では、このあと訪れる舟見峠と並んで、高所に位置している峠です。スタート地点の小口は標高約65m、越前峠は標高840mあるので、わずか約5kmの道のりで約800mも一気に上ってきたことになります。かつては遠く越前まで見晴らすことができたそうですが、植林された現在は木立に囲まれており、昔あったという茶屋の跡もはっきりとわからなくなっています。
1.2km
2日目コース【4】石倉峠(いしくらとうげ)
標高840mの越前峠から、いったん谷へ下りて小川を越え、再び急な上り坂を辿った先にあるのが、標高800メートルの石倉峠です。ここには歌碑とともに、お地蔵さんが鎮座しています。石仏には「是ヨリ北小口村、是ヨリ南色川村」と刻まれており、現在の新宮市と那智勝浦町の境界に石倉峠が位置していることを示しています。
0.5km
2日目コース【5】地蔵茶屋跡(じぞうちゃやあと)
この場所にはかつて、地蔵茶屋がありました。大正10(1921)年になくなり、やがて荒廃していましたが、平成16(2004)年に熊野古道が世界遺産に登録されたことを機に、参詣者の休憩所として新しい建物が建てられました。休憩所は紀州材を使った山小屋風の造りで、自動販売機やトイレ(冬期は凍結のため使用不可)もあり、絶好の休憩スポットになっています。また、すぐ近くには地蔵堂が立っており、お堂の中には旅人を見守る仏・地蔵菩薩の石像が32体安置されています。
2.7km
2日目コース【6】色川辻(いろかわつじ)
地蔵茶屋跡からは、右手に川を眺めながらしばらく舗装道路を歩き、林道に合流したら標識に従ってまた山道へと入ります。その先にある色川辻は、色川集落へ続く花折街道との分岐であり、立派な切通しである「八丁の掘割」が残っています。ここから舟見茶屋跡まではまた上り坂が続きます。
1.1km
2日目コース【7】舟見茶屋跡(ふなみじゃやあと)
大雲取越で一番高い標高870mにある舟見峠。その頂上には『西国三十三所名所図会』にも登場する茶屋がありました。熊野本宮大社から熊野那智大社に向かう道中の参詣者にとって、ここは最初に海と目的地の姿を遠望できる場所でした。現在は茶屋の礎石の上に東屋が立てられており、左手眼下に熊野灘、右手に妙法山、那智高原、那智勝浦町を一望することができます。 東屋でしばしの休憩とともに、いにしえの旅人たちもきっと見惚れたであろう大パノラマの景色を楽しみましょう。
1.7km
2日目コース【8】登立茶屋跡(のぼりたてじゃやあと)
大雲取越で那智に最も近い茶屋があった場所です。登立茶屋は茶屋であると同時に市場でもあったらしく、那智の漁村に暮らす人々と内陸部にある田辺の商人たちがそれぞれの商品を交換するため、この場所に集まっていたようです。登立茶屋は地元の住民の日常生活に溶け込んでいたため、人々はこの場所を単に「馬つなぎ」と呼んでいました。
2.5km
2日目コース【9】那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)
石畳の道を下ると、那智山青岸渡寺があります。こちらは隣接する熊野那智大社と一体となり、神仏習合の修験道場として栄えた由緒あるお寺です。明治時代に神仏分離令が発令されたあとは、独立して天台宗の寺院となり、永暦2(1161)年にはじまった西国三十三所巡礼では第一番札所となりました。江戸時代には多くの巡礼者が、伊勢神宮・熊野三山・西国三十三所を一度に巡礼したといわれています。
境内には、江戸時代に倒壊したのち、昭和47(1972)年に再建された三重の塔もあります。本堂の後方から眺めると、朱塗りの塔の向こうに那智の滝を望むことができ、絶好のフォトスポットとなっています。
■那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)
住所:那智勝浦町那智山8
電話:0735-55-0001
料金:三重塔500円
時間:参拝自由(本堂は5:00〜16:30、三重塔は8:00〜16:00)
休み:無休
2日目コース【10】熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)
熊野本宮大社から、小雲取越〜大雲取越の参詣道を踏破し、目的地である熊野那智大社にいよいよ到着!熊野三山の一つである熊野那智大社は、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)を主祭神とし、12柱の熊野の神々とお滝の神様をお祀りする神社です。境内には樹齢約850年と伝わるクスノキの御神木があり、空洞化した幹の中に入って無病息災を願う「胎内くぐり」を体験することができます。
熊野那智大社では、八咫烏おみくじ(初穂料600円)が人気を集めています。「八咫烏(やたがらす)」とは、『日本書紀』にも登場する三本足のカラスで、太陽の化身とされています。熊野地方では昔から、「おカラスさん」と親しみを込めてよんでいます。
■熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)
住所:那智勝浦町那智山1
電話:0735-55-0321
料金:宝物殿300円
時間:拝観7:30〜16:30(宝物殿は8:20〜15:40)
休み:無休(宝物殿は水曜休)
2日目コース【11】那智の滝(なちのたき)
熊野那智大社を参拝したあとは、別宮の飛瀧(ひろう)神社もぜひお参りしましょう。飛瀧神社の御神体である那智の滝は、一段の滝としては日本一の高さを誇り、その落差は133mにも及びます。言い伝えによれば、日本の初代天皇・神武天皇(紀元前711〜585年)が、熊野灘の沖合から光り輝く山を見て、この御滝を見つけられたとされています。御滝のそばには熊野の神々が祀られていましたが、仁徳天皇5(317)年には那智山中腹に社殿が造営され、熊野の神々と御滝の神様を遷してお祀りすることになったと言われています。那智の滝はその後、平安時代(794~1185年)からは、山岳信仰を基本とする民間信仰の修験道の修行の場としても崇められてきました。
■那智の滝(なちのたき)
住所:那智勝浦町那智山
電話:0735-55-0321(熊野那智大社)
料金:お滝拝所舞台300円
時間:7:30〜16:00
休み:無休
【大雲取越コースの終点】那智勝浦の周辺ガイド
熊野本宮大社から熊野那智大社へ、熊野古道を歩く聖地巡礼の旅もいよいよ終わりを迎えます。熊野那智大社の麓にある那智勝浦は、南紀でも随一の良港を有する漁師町。鮮度抜群の生まぐろをはじめ、勝浦漁港に水揚げされたばかりの魚介を味わうことができます。また、勝浦漁港周辺の沿岸地域には、南紀屈指の大温泉郷・南紀勝浦温泉があり、熊野古道ウォークで疲れた体をゆっくりと癒すことができます。
熊野那智大社からの交通アクセス
熊野那智大社からは、JR那智駅やJR紀伊勝浦駅に向けて路線バスが運行しています。熊野那智大社の近くにはバス停那智山、那智の滝の近くにはバス停那智の滝前があり、どちらから乗車しても駅まで楽に移動できます。
●熊野御坊南海バス
バス停那智山から、那智山線(31系統の紀伊勝浦方面行き)で約25分、紀伊勝浦駅駅下車。1日17〜18便、片道運賃630円。
当日中に大阪方面へ戻られる方は16:00頃まで、名古屋方面へ戻られる方は15:00頃までを目処に、熊野那智大社に到着しておく必要があります。路線バスと電車の時間を事前にしっかり確認しておきましょう。
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JR紀伊勝浦駅の近くには、豊富な湯量を誇る南紀勝浦温泉があり、旅の疲れをゆったり癒せるお宿が点在しています。勝浦漁港で水揚げされた生まぐろをはじめ、漁師町ならではの海鮮グルメが味わえるのもうれしいポイント。時間に余裕のある方はぜひもう1泊して、旅の思い出を増やしましょう。
【南紀勝浦温泉】ホテル浦島勝浦湾に突き出た狼煙半島全体が敷地という、まさに大自然に抱かれたホテル。敷地内にはなんと10本もの源泉が湧き、2カ所の天然洞窟温泉と3カ所の大浴場で湯めぐりが楽しめます。そのなかでも「忘帰洞(ぼうきどう)」は、紀州の殿様が「帰るのを忘れさせるほど心地良い」と称賛したことから命名された名湯です。
■ホテル浦島(ほてるうらしま)
住所:那智勝浦町勝浦1165-2
電話:0735-52-1011
料金:1泊2食付1万6280円〜
時間:IN15時/OUT10時
交通:JR紀伊勝浦駅から徒歩6分の観光桟橋から送迎船で5分
【南紀勝浦温泉】碧き島の宿 熊野別邸 中の島勝浦港から専用客船で渡った島に立つ絶景ホテル。海辺に迫り出す露天風呂では、目の前に打ち寄せる波音に耳を傾けながら、源泉掛け流しの天然温泉で湯浴みを満喫。客室は全室オーシャンビュー&露天風呂付き、夕食は四季折々の割烹料理で、極上のステイを堪能できます。
■碧き島の宿 熊野別邸 中の島(あおきしまのやど くまのべってい なかのしま)
住所:那智勝浦町勝浦1179-9
電話:0735-52-1111
料金:1泊2食付3万4100円〜
時間:IN15時/OUT11時
交通:JR紀伊勝浦駅から徒歩7分の勝浦観光桟橋から専用客船で5分
【南紀勝浦温泉】亀の井ホテル 那智勝浦毎分200リットル湧出する自家源泉の宿。開放感溢れる庭園露天風呂は、すぐ目の前に海景色が広がり、遠くには熊野の山々や那智の滝を望むことができます。夕食は、勝浦漁港で水揚げされた新鮮な生まぐろが味わえる会席料理が人気で、プランによって熊野牛や伊勢エビなども登場します。
■亀の井ホテル 那智勝浦(かめのいほてる なちかつうら)
住所:那智勝浦町勝浦216-19
電話:0735-52-0333
料金:1泊2食付1万5000円〜
時間:IN15時/OUT10時
交通:JR紀伊勝浦駅から徒歩12分
還元される場合があります。
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