東福寺は紅葉が舞う、日本屈指の渓谷美が広がる寺。1236（嘉禎2）年の創建で、月輪山の山麓に建ち、京都五山のひとつとなって大いに栄えました。現存する禅堂、愛染堂、仁王門、六波羅門などはすべて重要文化財、三門は国宝という貴重な寺で、なかでも三門は室町初期の建築で、禅寺の三門としては日本最古といわれています。紅葉の海に浮かぶような通天橋は究極の紅葉の景色が眺められると、毎年多くの人でにぎわいます。

東福寺通天橋は『遺留捜査』の中で物語の舞台として第5シーズンの第2話に登場します。

イベント企画会社社長・山田一郎（村田雄浩さん）が事務所で毒殺されていた事件。その毒物に入っていた成分から捜査線上に浮かんだのがショコラティエール・若名友子（谷村美月さん）でした。糸村と神崎が友子と山田一郎の関係を尋ねた場所こそが通天橋だったのです。
糸村は事件の背景にあった優しい真実をいかにして突き止めるのか…。数日後、物語のクライマックスで再度通天橋が登場します。どこか青紅葉から真紅の紅葉へと素晴らしいもみじの色の移り変わりを見せてくれる通天橋という舞台が、このシーンに相応しいと思わせてくれる場面となりました。

上賀茂神社の正式名称は賀茂別雷（かもわけいかづち）神社。豪族賀茂氏の祖先神を祀る神社として天武天皇の御代に造営された歴史をもつ神社です。広大な境内には白砂の参道や小川があり、憩いの場としても人気があります。国宝の本殿と権殿、重要文化財41棟を含む、約60もの建築物があり、また世界遺産にも登録されています。

被害者のもう一つの遺留品である銀のスプーンについて語る糸村　©テレビ朝日・東映

上賀茂神社は第5シーズン、第4話に登場しました。

糸村と村木が川で釣りをしていたところ、偶然遺体を発見！そんな仰天のエピソードから物語は始まります。遺留品である修正ペンから事件の真相に迫る糸村。真実を突き止めた糸村が事件関係者に真相を語ったのが上賀茂神社でした。

物語の最後で流れる「もしかしたらあったかもしれない」シーンも上賀茂神社が舞台となります。小田和正さんの主題歌「やさしい風が吹いたら」の歌詞・メロディーと相まって、胸がいっぱいになる印象的なシーンとなりました。

柳谷観音は長岡京市に建つ眼病祈願のお寺として有名な古刹です。秋には山全体が燃えるような紅に染まり、とくに秋限定で公開される上書院からは、紅葉の大木が目の前に揺れ、色づく浄土園や境内を見下ろせると話題のスポットに。色鮮やかな御朱印や花手水めあてに訪れる参拝客もおり、近年ますます人気が高まっています。

亡くなってしまった由紀の想いを伝える糸村　©テレビ朝日・東映

柳谷観音は第6シーズンの第3話で登場します。

雑木林で見つかった射殺体が特別捜査対策室のリーダー佐倉路花（戸田恵子さん）の亡き友人・前園慶介（東根作寿英さん）の妹で、元警察官の前園由紀（黒川智花さん）だったことから始まる物語。柳谷観音は14年前の回想シーンで登場します。

物語のクライマックスシーンで、舞台は再び柳谷観音へと移ります。事件の背景にあった真相に辿り着いた糸村は、柳谷観音にて佐倉にそのことを伝えます。いつもはサバサバと現場を取り仕切る佐倉が、感傷的な表情を垣間見せる名シーンとなりました。

嵐山にある渡月橋は、いにしえより愛される風雅な天下の名勝です。嵐山の中心を流れる大堰川に架かる全長155mの橋で、鎌倉時代に月が弧を描いて渡る姿に似ていると言われたことから、この名が付きました。輝く新緑の季節や、燃えるような紅葉に染まる秋と、四季折々に訪れる人の目を楽しませてくれます。

嵐山へ向かう途中、二条大橋を走る雨宮　©テレビ朝日・東映

そんな渡月橋が登場するのは第6シーズンの第5話です。

物語は、朝もやに美しく染まる京都東山に鐘が鳴り響くシーンから始まります。渡月橋に颯爽としたランニング姿で現れたのは雨宮宏（永井大さん）でした。「京都名所マラソン」に出場すべくトレーニングを重ねていたようです。その後、雨宮が頭を殴られたことによって死亡した人物を発見し、身元不明の死体付近から、京都名所マラソンを中止せよとの犯行予告が書かれた紙が見つかり、物語が展開していきます。

スポーツ万能の永井さんゆえに、東山から嵐山への10㎞ほどのコースも納得の印象でした。実際に京都を颯爽と走る永井さん、見てみたいですよね。

清凉寺は光源氏のモデルとなった源融（みなもとのとおる）の山荘跡で、浄土宗のお寺です。本堂には、37歳の釈迦の姿を生きうつしにした本尊が安置されています。火災と応仁の乱で諸堂が焼失するも、江戸時代に住友家の援助によって再興しました。秋には広大な境内を紅のもみじが風雅に彩り、多くの人が訪れます。

こはぜに込められたメッセージを糸村が伝えるシーン　©テレビ朝日・東映

清凉寺が登場するのは第6シーズンの第8話です。

撮影所で若い女性の絞殺体が見つかります。発見者は、人気アクションシリーズに主演として出ていた女優・大峰恵（高梨臨さん）でした。遺留品に秘められた真相を突き止めた糸村は、恵自身も気が付いていなかった想いへと、優しい口調で真実に誘います。

会話の舞台となった本堂でのシーンは、寺のシンボルでもある高さ18mの仁王門が映り込み、京都らしい風景が広がるなか、物語がより深みを増していました。

東映太秦映画村は、映画や時代劇の撮影風景やアトラクションが魅力的なテーマパーク。江戸時代のオープンセットはタイムスリップ気分が味わえると大人気です。嵐電・撮影所前駅からすぐの場所に立地しています。嵐電も『遺留捜査』の中で度々登場しています。第4シーズンの第6話では車内での撮影もありました。ぜひチェックしてみてくださいね。

西沢紗香（大幡しえり）が撮影所を訪れるシーン。恵に渡したい大切なものを手にしてました　©テレビ朝日・東映

東映太秦映画村が舞台となったのは、第6シーズンの第8話でした。

人気アクション時代劇シリーズの撮影所として登場します。主演女優・大峰恵（高梨臨さん）が殺陣などのアクションシーンを颯爽とこなす姿も美しく、名女優としての凛とした表情を引き立たせてくれる舞台となりました。

第4シーズンから舞台となった京都のシーンを一気に振り返りをしましたが、思い入れのあった回があった！という方はいらっしゃいましたでしょうか？もちろん第3シーズンまでの放送回や、スペシャルドラマの中に一番お気に入りの回があった、という方もいらっしゃいますね。

『遺留捜査』の魅力はなんといっても、物語のベースに“やさしさ”があることでしょう。本来刑事ドラマは、事件の犯人が捕まったら解決するのが王道ですが、その一歩先まで糸村は踏み込んで、人々の想いを救済します。木曜の夜に、そんなやさしさに触れ、ほっと一息リセットできる時間が、7月14日（木）からまた始まります。夜８時からの放送にもしリアルタイムに視聴できない場合は、民放公式ポータル「TVer」でも視聴できますので、ぜひご覧になってくださいね。

この後、まっぷるトラベルガイドでは『遺留捜査』で登場した京都のロケ地をめぐるコースプランや、出演者がおすすめする京都の観光スポットなど、続々記事を展開する予定です。こちらもぜひご覧ください。