更新日: 2024年11月15日
『千と千尋の神隠し』の温泉 ー「勝手にセレクト!極私的テーマ別温泉」by 滝野沢優子 vol.03
国内外問わず、さまざまな温泉をまわっている滝野沢優子さん(ツーリングマップル関西担当)による、「テーマ別おすすめ温泉」紹介。映画の舞台やモデルになった温泉から、特殊な立地や外観を持った温泉など、様々なテーマに応じた温泉が登場!温泉ソムリエの資格も持つ滝野沢さんのおススメを参考に、温泉ツーリングに出かけてみては!?
※画像はスタジオジブリの公式サイトで公開・提供されているものを引用しています
https://www.ghibli.jp/info/013344/
著・滝野沢優子
※本記事は、ツーリングマップルが運営するRoute!に掲載されている記事です
第3回 『千と千尋の神隠し』の舞台となった温泉
『千と千尋の神隠し』は、2001年に公開されたスタジオ・ジブリ制作の長編アニメ作品です。
興行収入308億円!ぶっちぎりで国内歴代興行収入第1位を記録し、2019年現在も破られていません。ちなみに記憶に新しい『君の名は。』(2016年)は4位で250億円です。3位は『アナと雪の女王』で255億円。2位は『タイタニック』(1997年)で262億円。
以下は興行通信社さんのページをご覧ください。
さて、『千と千尋の神隠し』。私的にも、ジブリ作品の中で一番印象に残っている作品です。日本と中国と西欧が混じり合った、あの独特な世界は何度見ても新鮮だし、温泉(湯屋)が舞台になっているのも興味深いところです。登場するのも不思議な生き物ばかりで、そういえば「カオナシ」という不気味なキャラクターも、この映画に出てきたんでしたっけ。
ストーリーは、10歳の女の子である千尋が、両親と車で引っ越し先に行く途中、トンネルを抜けた先で神々が住む不思議な世界に迷い込むところから始まります。無人の町で勝手に食堂の料理を食べた両親が、豚に変身させられてしまい、千尋は両親を人間の姿に戻すため、湯婆婆が経営する「油屋」という湯屋で働き始めます。
余談ですが、トンネルを抜けて最初に出てくる無人の町がオーストラリアの田舎町風なのですが、人間だけが突如いなくなってしまった感じが、福島第一原発被災地の町を彷彿とさせました。
その先いろいろあって、最後は無事に人間の世界に戻って来られるのですが、この映画の舞台でもあり象徴的な存在なのが、「油屋」という湯屋。赤い橋を渡った先にある、5階建て(4階?)の和風建築に中国テイストがミックスされたような建物です。広い館内は一部吹き抜けになっていて、いくつもの湯船や豪華な宴会場、従業員や湯婆婆の居住スペースなどがあります。
この「油屋」は実在するいくつかの温泉を組み合わせてイメージされているそうですが、モデルになったと言われているのが、以下の温泉地です。
●四万温泉「積善館」(群馬県)
赤い橋を渡って行くところが、映画の中のイメージにぴったり。積善館本館の建物はレトロだし、本館から別館「山荘」へ行くアクセス路がトンネルになっているのもなんとなくそれっぽいです。
また、映画とは無関係ですが、ここではなんといっても「元禄の湯」が秀逸です。昭和5年に造られた和モダンな浴室で……
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