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運悪く出くわしてしまったら……。全国でクマ出没激増中!被害に遭わないために知っておきたいこと【vol.03 対峙編】

まっぷるアウトドア編集部

更新日: 2024年9月8日

運悪く出くわしてしまったら……。全国でクマ出没激増中!被害に遭わないために知っておきたいこと【vol.03 対峙編】

前回の記事では、季節に関係なく「どんなに身近な森でも、そこに入ったらクマはいる」という意識を持つことを学びました。

クマは臆病な動物で、人間を恐ろしく思っているので、山中や沢などにおける「バッタリ遭遇」は避けなければなりません。急に目の前に人があらわれると、クマの方も驚いてしまい突発事故につながることが多いからです。

人の目の位置が大きなポイントに

「バッタリ遭遇」の場合、クマはそのまま逃げるか、または恐怖を排除しようとして襲ってくるか、子連れグマなら子どもを守ろうと人を排除するなど、そのときの状況やクマの判断によって被害の大小が変わってきます。

子連れグマに出遭ったら、なるべくじっとして刺激しないこと

人が冬眠穴に近づいただけで、クマは不安になり襲ってきた事例もあります。人がクマに不用意に近づくことはできるだけ避けるべきです。

しかし、もしも運悪くクマと出くわしてしまった場合。人だって正常ではいられないでしょう。あらかじめ知識を持っていれば、最悪の事態を避けることができるかもしれません。

まず知っておくべきは、クマにとっては人の目の位置がポイントとなることです。人は目の位置が高いので、クマからすると、その背後の構造がどうなっているのか想像できず、大きな動物と感じるようです。

クマは、臭覚は優れているが視力はあまりよくないといわれている

例えば、腰を曲げて山菜採りに夢中になっているとき、ふと顔を上げて前を見るとクマがいて襲われた、という事例が毎年数多く起きます。それは腰を曲げていることで目の位置が低くなり、弱いものと判断され、倒して逃げた方がよいとクマは考えるからとも言われています。

山菜採りの際にはクマとの遭遇に十分注意を払いたい

絶対に避けるべきは「背を向けて逃げること」

とっさの策としては、両手を上にあげて左右にゆっくり振る、あるいは上着などを広げて体全体を大きく見せることはある程度有効です。大きく見せながら、大声を出したらクマが逃げて行ったという例もあります。

しかし、クマがこちらに向かってくることもあります。走ってくる、またはゆっくり歩いてくるなどパターンはさまざま。走ってきた場合は、威嚇突進攻撃(ブラフチャージ)をしようとするとき。しかしその場合でも、直前で踵を返し、逃げていくことも多いといいます。

そのようなシチュエーションなら、人間側も恐怖のあまり生きた心地がしないでしょう。しかしひとつだけ、絶対にやってはいけないことがあります。それは「背を向けて逃げること」。後ろを向くとクマに弱いと判断され、衝動的に追いかけられて背後から倒されます。

クマは、威嚇突進してきた場合でも直前で踵を返すことも多い

目をそらさず前を向いていることがもっとも大切ですが、本当に襲ってきた場合は、地面に腹ばいになり、頭と顔を守る防御姿勢をとります。手近なもの、持っていた道具を武器にして戦ったという事例はありますがクマは力が強く、まず頭部や顔を狙ってきます。

一発叩かれただけで目がとれる、頭の皮を剥がされるなどの重傷を負うリスクが高くなるので、リュックを背負っていたらそれを後頭部に当てるなどして腹ばいになって防御。ケガを最小限にしてクマが離れるのを待つ方法がベターです。

いざというときのためにクマ撃退スプレーは必携

そこで、クマを調査する研究者が山へ入るとき、必ず携帯するというのがクマ撃退スプレーです。クマが走って向かってきた場合、射程圏内でスプレーすることで追い返すことができます。

北海道の知床半島はヒグマの密集地帯として知られていますが、知床自然センターでは山に入る観光客向けに、クマ撃退スプレーのレンタルを行っています。事前に使い方のレクチャーがあるほどなので、扱い方には注意が必要ですが、いざというときのカウンター(反撃)としては有効なアイテムです。

クマとの遭遇は突然。事前にリハーサルをしておきたい/写真提供:モンベル

ある程度の距離の先にクマがいて、人に気付いていない場合は静かに立ち止まり、じっとして動かずにクマを観察し、やり過ごすのが一番です。遠くにいるクマが人に気付いている場合は、落ち着いてクマをよく観察し、次にどうするかを人間側が考えます。

まずは出遭わないことが大切ですが、クマに出遭ったら最後、必ず襲われると決まっているわけではありません。過度に恐れることはありませんが、知識を持って冷静な行動ができるように準備をしておきましょう。

クマ撃退スプレー

TEXT:兼子梨花

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