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山景のこん沢と海景の東山、絶景を求めていざ林道へ! 八丈島林道ツーリング・後編【林道こん沢線・林道東山線】 ここはどんな林道だろう? この先に待ち受ける風景に胸が躍る

コイズミユウコ

更新日: 2024年10月2日

山景のこん沢と海景の東山、絶景を求めていざ林道へ! 八丈島林道ツーリング・後編【林道こん沢線・林道東山線】

海の幸、山の幸だけでなく、火山の恩恵を受けた豊穣な土によるおいしい農作物も採れる常春の島・八丈島。
港や空港付近など標高の低い部分が島の中心部であり、そこから少し道を行けばもう一面自然にあふれた景色が広がり、八丈富士と三原山では形成する溶岩タイプや土質などさまざまな点で異なり、走りや景観の違いとなって楽しめます。

そんな自然あふれる八丈島でも、山なら当然どこでも走っていいわけではなく、ふと目に入る脇道や支線はほぼ私有地であることを理解した上で走ることも、八丈島の林道を楽しむために重要なポイント!
八丈島の方いわく、「ああいう道路脇から入れそうな未舗装路は、だいたい誰かの畑に通じてるよ(笑)」と。
でもご安心を! 東京都八丈支庁HPで八丈支庁管理林道の通行情報を閲覧できるので、通行可能かチェックしてから行きましょう。

それでは八丈島富士のある島の北西を走った前編に続き、後編では三原山のある島の南東の林道情報をご紹介します!
林道案内の参考までに、筆者はバイク歴10年でオフロード歴は6年目。周りいわく中級レベルだけど、安全第一すぎてビビると初級者マインドに戻ってしまうので、初中級者レベルの目線でお送りします。

ジュラ感あふれるダート区間と名所を有する舗装区間の2区間で結ぶ【林道こん沢線】

起点である完全舗装路の登龍側と、町道区間を挟んで終点のダート部の神子尾側の2区間からなる完抜林道「林道こん沢線」。登龍側にある「ポットホール」は観光スポットとして有名ですが、舗装された登龍側から観光客が訪れるためか、神子尾側では人の気配はまったくありませんでした。

※マップは国土地理院(電子国土Web)にスポットとルートを追記

八丈町末吉に位置するこん沢線の終点となる神子尾側の入り口(A)は、都道215号沿いにポコっと現れます。だいたいの位置さえ把握していれば、見過ごすこともないわかりやすい入り口です。

観光客が多い時期はレンタカーやレンタルバイクが飛ばしてくるらしいので、出入り時には周囲確認をしっかりと

入ってしばらくすると小さな分岐がありますが、右手は民家へと下る道なので左へ進みます。道幅の広い方へ進めばいいのでわかりやすいです。分岐を過ぎるとすぐに、緑のトンネルに吸い込まれるようなこん沢線のダート部が始まります!

神子尾側の入り口(A)から300m弱で始まるこん沢線の貴重なダート部

路面はキュッとしまった路面で、ところどころ砂利があるものの走りやすいフラットな道でした。クルマだと大きくガタガタしそうな場所もあったけど、オフロードバイクにとっては完全に心地よい振動ですね。

亜熱帯感がスゴいこん沢のダート部

基本的に東白雲山や西白雲山の山腹の森をトコトコ行くルートなので景色の変化は乏しいものの、鬱蒼と生い茂る暖地の常緑広葉樹林やシダなどの植物がジュラ紀の森を彷彿とさせます。

穏やかに山腹を走る完全なる静寂に包まれたこん沢のジュラ部(と、もう呼びたい)は、朝方の小雨で緑がキレイに色づいていました。雨の林道も色彩がより一層鮮やかになってとても美しいんです。

木からぴろーんと垂れ下がったツタのようなものが、鬱蒼感をさらに演出していた

そして梅雨期ならではの植物のムキムキ度に、ムワッとする気温と湿度もベストな雰囲気で、エンジンを止めて「クェーケケケッケッ」と翼竜鳴きをしてみたら、予想を遥かに超えた雰囲気フィットに震えました。

この分岐(B)を左へ

トコトコと走りを楽しんでいると、一旦町道へと出る分岐(B)で神尾子側は終了。この先の登龍側は観光スポットとして観光客が多く訪れるためなのか舗装されているので、ダート部ともココでお別れです。

※マップは国土地理院(電子国土Web)にスポットとルートを追記

分岐を左折して500mほど進むと、登龍側のこん沢線がスタートします(C)。ここからはもう舗装路となり、人や車も増えるので対向車や歩行者に注意しましょう。

まるで起点かのように「ここからこん沢線」とあるが、あくまで中間地点なのだ

登龍側のこん沢線は完全に舗装路。(C)から1.7kmほど進むと観光名所であるポットホールに到着しました。ポットホールとは、川底や川岸にできる円形の深い穴のことを指し、これは川床の岩盤のくぼみに入り込んだ小石が、渦流によってくぼみ内をクルクル転がることでだんだん円形の穴を拡大させることでできるそうです。

円形の深い穴がずっと続く不思議な光景

八丈島のこん沢線内では、このポットホールが数百mも連なっている姿を見ることができるんです。これはかなり珍しいんだそう。ポットホール散策路が橋のすぐ左手にあるので、上流から見下ろすポットホールを眺めるのもオススメです。
筆者は残り2本の林道探索タイムを気にして、ポットホール散策路は登らず軽く歩き回って走り去りましたが、このあとの梅雨期トラップフェスを思えば大正解でした(詳細は前編で)。

こん沢橋からもポットホールをバッチリ眺めることができるので、先を急ぐ人でも大丈夫!

ポットホールから2.6kmほど進むと、こん沢線起点(D)となり、登龍峠付近の末吉地区辺りの都道215号に戻ります。ここから都道215号を2.5kmほど北上すると登龍峠展望台に出られるので、ひとっ走り後の休憩にぴったりですよ。
こん沢線では全線で誰にも会わずにプライベート感を楽しめましたが、そもそも梅雨期&嵐で船や飛行機が欠航した翌日だったので無人の極みでした!

※マップは国土地理院(電子国土Web)にスポットとルートを追記

ヌタチュル路面が出迎える東京都最南端の林道【林道東山線】

都道215号から八丈島南端にピッと尻尾のように突き出た岬「小岩戸ヶ鼻」へと続く林道東山線。岬に向かうということで、「広大な太平洋を見ることができるのでは」と期待大。さらにピストン林道なので、入れば往復で約7.6kmのダート走行が楽しめます。

※マップは国土地理院(電子国土Web)にスポットとルートを追記

が……、八丈島の方いわく「東山ね。あの辺の土は……(笑)」と。入って激しくそのお言葉を実感しつつ、苦手な路面と向き合ういいお時間も楽しめた林道でした。そう、ここの土は……滑る!

八丈町中之郷の都道215号沿いにある農業用ため池の「安川溜池」横から、起点(E)への道に入ることができます。林道の青看板がパッと見では見当たらないので、最初は少しわかりづらいですが、石碑を目印にするのがいいかと思います。

林道の看板が奥まったところにあるのでこの分岐を見逃さないように

分岐を入ってすぐのつきあたりを右に曲がると、やっと林道の看板が出てきます。看板からすぐにダート部が始まりますが、もうすでに「あの辺の土は……」が顔を覗かせます。ちゅるヌタの土がベースの林道なんですね。

青看板を見つけて一安心

入り口から噂に違わぬチュルの洗礼!

チュルッと滑りやすい土質の東山林道ですが、前日までの晴天などで乾いていれば硬くしまった走りやすい林道だと思います。水捌けの悪いポイントや泥濘になってしまっている部分は、充分に気をつけて走れば大丈夫です。

前輪だけは滑りたくない……と思いながら走っていた

ただ、わかりやすい「ちゅるヌタポイント」よりも、乾いてる顔をしていきなりその下で滑るポイントや粘り気のある「泥アンコ」でタイヤをひっかけられるポイントも多いので、初級者は気は抜かないように!
梅雨期の植物ムッキムキもあるかもだけど、道中の海側の視界は悪く、そこに海が……という期待だけを膨らませ続けます。林道の途中には突然左手に廃墟があったりとドキッとさせられるも、少し奥では休憩できる広場もありました。

ランチ休憩をしたくなる広場だったが、まだ前半なのでスルー!

※マップは国土地理院(電子国土Web)にスポットとルートを追記

大きく左にカーブするポイントで念願の視界良好ポイント(F)に出会えました! 鬱蒼部から開放されたやや奥行きのある明るいミニ広場然となっており、これぞ求めていた絶景ポイントである、と疲れも吹き飛ぶほど。

うっすら見える八丈小島のかわいさ!

数少ない視界が一気に開けるポイントからは海岸線が一望でき、その先には八丈島沖合に浮かぶ「八丈小島」まで見ることができます。
本来ならば途中の道行でも見下ろし絶景ポイントがあるはずですが、梅雨期のムッキムキの植物に阻まれて眼下の展望はきかないものの、それもまたこの時期ならではの景観で楽しめました。

目の前には太平洋!

最後半部は〝梅雨期フェスティバルポイント〟が発生しており、見えない足元でちゅるヌタ部も悪化していたのと、時刻も17時をまわってしまったので、安全のため途中で引き返しました。ここもリベンジせねば!

富士縦断線に比べれば視界良好!

なお、MAP上の太い黒線で示した部分(G)はずっと下っていくゾーンになります。オフロードバイクなら問題ないだろうけど、もしオンロードバイクでここまで来た場合は、上りで滑ったり最悪タイヤがワダチなどにハマって動けなくなってしまうこともありえるので注意しましょう。ちなみに梅雨期は……いわずもがなです。

八丈島の林道たち、ありがとう!

今回走った林道3本のほかにも、走ってみたかったダート林道は2本ありました。どちらも八丈支庁の林道情報で全面通行止めだったので諦めたけど、いつか必ずリベンジ林道をしたいですね。

林道こん沢線、林道富士縦断線、林道東山線とまわった八丈島の林道たち。次回は植物たちが落ちついている時期に訪れたいです。
みなさんもぜひ八丈島に遊びに行って走ってみてください。ココでしか感じることのできない八丈島の山パワーをバッキバキに感じられますよ! 植物パワーをこれでもかと感じたい人には、梅雨期の渡航をオススメします(笑)。

<DATA>
■林道こん沢線
■所在地:東京都八丈町末吉
■総距離:約7.3km

■林道東山線
■所在地:東京都八丈町中之郷
■総距離:3.8km

※マップは国土地理院(電子国土Web)にスポットとルートを追記

※マップは国土地理院(電子国土Web)にスポットとルートを追記

■取材協力:東海汽船 https://www.tokaikisen.co.jp/

PHOTO:コイズミユウコ

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

【筆者】コイズミユウコ

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