更新日: 2024年10月2日
八丈富士に登る前に2km未満の冒険へ!八丈島林道ツーリング・前編【林道富士縦断線】
伊豆諸島に属し、東京・羽田空港から約290kmと飛行機なら約1時間で訪れることができる東京都の島・八丈島は、周囲約60kmの島とはいえ海、山、温泉、伝統、グルメが楽しめるアクティビティに満ちた魅惑の南の島です。
八丈島は東京の南方海上286kmに位置するひょうたん型をした面積69.11㎢の島。富士火山帯に属する火山島であり、北西部を占める八丈富士(854.3m)と南東部を占める三原山(700.9m)から成り立ちます。
これは絶対に入ってもいい熱い林道があるに違いない……ということで、カブ110乗りの友とCRF250Lの筆者で11時間弱かけて、人生初の八丈島上陸をはたしました。今回、次回と2回に分けて、八丈島の林道情報をご紹介します!
林道案内の参考までに、筆者はバイク歴10年でオフロード歴は6年目。周りいわく中級レベルだけど、安全第一すぎてビビると初級者マインドに戻ってしまうので、初中級者レベルの目線でお送りします。
目次
バイクを載せた東海汽船でいざ梅雨期の八丈島へ
年間の気温差が緩やかで過ごしやすい高温多湿な南国の島・八丈島は、黒潮暖流の影響も受け雨が多いことも特徴。どうせ雨が多いならと、あえての梅雨期に八丈島行きを決行することに。
八丈島へ渡る東海汽船の船は”カーフェリーではなく大型客船〃なので、バイクはコンテナに積まれて「受託手荷物」として運ばれます。
バイクと一緒に船で行く場合の注意点は、「バイクは250ccまでしか受託手荷物として載せられない&必ず受託手荷物バイクとしての予約が必要」なので、東海汽船のHPで空き状況を確認しましょう。乗船予約と受託手荷物予約を同時にできればOKです。
気になる受託手荷物バイクの料金は250ccの筆者が往復2万5000円(税込)、110ccの友が往復1万7000円……。バイクで八丈島を走りたいから財布のヒモも緩めます。
預ける際の注意点ですが、受託手荷物受付の時間はかなり厳しく決められているのでHPに書いてあっても予約時に再度確認し、「絶対に遅れないよう」にしましょう。「スマホホルダーやキャリアなど積載物はすべて外さないといけない」ので、事前に外しておくこと。
各島によっても受付時間が違ったりするので、島についたらその島の案内所に確認をするのが吉!
八丈島へ向かう「さるびあ丸」に乗り、22時半に竹芝客船ターミナルを出発。レインボーブリッジの真下を通り抜け、東京タワーに見送られ、ハシャギ倒した後で2等和室に転がって寝ていると、気づけば翌日朝9時前に八丈島の底土(そこど)港に到着。
準備万端で八丈島の林道探索へ
それではさっそくメインの林道探索へゴー! 当然ながら、林道といえど山に入る前には水分や行動食の確認と仲間への位置情報や予定時間の共有も忘れずに。
なお、走行可能な林道は、東京都八丈支庁HPで八丈支庁管理林道の通行情報を閲覧できるので、チェックしてから行きましょう。
自然のトラップでリアルアドベンチャーに!【林道富士縦断線】
八丈富士の山麓から山腹へと向かって延びる、ほぼダートの完抜林道「林道富士縦断線」。縦断の名のとおり、延長1.8kmで少し巻きながらも山裾から中腹まで200mの高度を一気に登坂する林道です。
八丈支庁HPにも完抜で4WD車などオフロード車なら通行可能と書いてあるほどなので、道幅もシングルトラックのように狭いわけではないのですが、この2km弱の林道にあそこまで苦しめられるとは思わなかった……です……。なので、林道名に「梅雨期」と注意書きを……。
「梅雨期の雨の力を得た植物の力、侮るなかれッ」と、先に書いておきます!
距離でたったの1.8kmほど。地図さえあればわかりやすい起点から八丈富士に続くメイン通りに抜ける、迷いようのないこの林道富士縦断線。
起点(A)は八丈島空港の北部にあり、島の中心部からさほど離れていないことに驚きました。滑走路を左手に見ながら都道216号(八丈空港道路)を走ると右に入る分岐が出てくるので、そこを右折します。
右折後、キレイに舗装された道路を道なりに走り続けると、右手に八丈島クリーンセンターの建物が目に入ります。このクリーンセンターを目的地に設定すると、ここまでの道もわかりやすいかもしれないですね。そしてその直後に突然道路がブツッと途切れ、富士縦断線の起点(A)の看板が出てくるという不思議な入り口でした。
起点から500mほど苔ッコケの舗装路が続き、いよいよダート部が始まりそうな空気を感じ取った瞬間、目に飛び込んできたのは簡易ゲート……。思わず「え、ここで通行止め?」な恐怖に襲われましたが、一安心。はい、オフロード車なので大丈夫です!
ゲートを越えて足を踏み入れた林道富士縦断線のダート部。「ややガレや大きなワダチがあるからたぶんキツいと思うよ」と八丈島の方に聞いたけど、走行ラインを慎重に選んでいけば大丈夫だろう……と思った筆者をあざわらうかのごとく行く手を阻んだのは、むせかえるような緑の大群でした。
植物がムッキムキなだけならまだいいものの、筆者にとっては未知の林道。植物たちの生え方でなんとなく林道と獣道の違いはわかるものの、「葉っぱがなんぼのもんじゃー」と走り抜けようとすると……。深いワダチが突如現れたり、むき出しのゴツゴツの溶岩部があったり、草の中に大きなゴロ石が転がっており前輪を取られてリカバリーするもさらにヤブに突っ込んでしまったり。
はい、こういった道。比較的路面が見えていて余裕なフラット路面の登坂に見えます。奥は木漏れ日も当たっており、路面も見えやすくなって鬱蒼ゾーンからの解放か? と心躍り、路面への安心感も生まれます。こういうポイントが随所にあるんですが、路面が見えづらい道よりこういう道の方が危ないかもです。
まさにそんな道でまんまとコケました(笑)。左側の植物で深めのワダチが隠れており、前輪が滑り落ちた瞬間にワダチからリカバリーしたものの、エンストして足が届かず勢いのまま右へ爆沈(泣)。
この後また違うポイントで2回コケて、そのうち1回は泥濘で滑って起こすのに時間がかかり、起こした瞬間また滑って倒すという悲劇もありました。でも、それもまた楽し!
もちろん路面が見えている場所もあるので、しばし息抜きも。息抜きといえど、他に比べればまだ路面状況がはっきりわかるので、ピキッピキの集中を解除できる……くらいの息抜きポイントでした。
この林道はダート路かつ高度を上げ続ける斜度がキツいルートなので、バイクを止めるときは硬い路面もしくは石などをスタンドの下にかませて、1速で停めましょう。あとヤブ蚊を中心に虫がスゴイので虫除けは必須。
林道後半に差し掛かると、一部舗装路が出てきたり、路面は見えるものの左右が壁のようになったりシングルトラックのような姿になったり様子が変わってきます。分岐はここまでで2カ所あるものの、迷う要素はこの植物ムキムキ状態でも一切なかったので、やはりわかりやすい林道ですね。
林道富士縦断線終点にゴール!
八丈富士登山口に向かう標高約357m地点の道にある、林道富士縦断線の終点(B)。苔の急坂は慎重に上ること。終点はカーブの中間地点にあるので、林道を抜けた解放感で飛び出さないように走行車両や人に注意しましょう。
出口にも、起点そばのダートスタート部と同じように簡易ゲートがあったので、バイクを外に出したらゲートをまたそっと閉め、一礼。そういえば、こちら側にはオフロード車オンリーの注意書きはなかったです。
たかが1.8km、されど1.8km。梅雨期の林道富士縦断線は亜熱帯のジャングルのようでした。一言で言うと「超絶怖楽しかった!」。小さな大冒険でした。
ただ、360度カメラだけを共にしたソロ林道だったので、4度ほどひとりぼっちで心が折れそうになりました。そして心は持ち堪えたけど、ブレーキレバーの先っぽが折れました。
初級者は梅雨期を避けて楽しもう!
おそらく梅雨期でなければ、林道富士縦断線はかなり楽しいややガレありワダチありの林道だと思います。ほどよくコーナーもあり(今回は植物たちに教えてもらったけど)、上りっぱなしと下りっぱなしと往復で全然違う顔も見ることができて楽しめると思います。
でも、梅雨期は植物たちの大合唱による本気のトラップ林道となっているので、植物たちが落ち着く9月以降から4月くらいまでが走るのに適している予感です。
中上級の人は短いながらもちょっとした冒険気分を味わえるのではないでしょうか。初級者の人がムリして入った場合引き返すのがかなり困難なので、植物たちが落ち着いた時期に挑戦してみてください。
きっと今回とはまた違う景色と走りを楽しめるハズです!
■林道富士縦断線
■所在地:東京都八丈町大賀郷~三根
■総距離:約1.8km
PHOTO:コイズミユウコ
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【筆者】コイズミユウコ
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オフロードバイク専門誌を中心にバイク雑誌やアウトドア本などに携わる、プライベートでも旅や林道ツーリングを楽しむフリーの編集者。ステキ景色の中でリコーダーを吹くのが大好き。いろいろな林道情報を紹介できるといいな(‘□’)ノ*