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梅雨が明けたら涼を求めて日本百名山の霧ヶ峰に行こう!絶景が待つ車山山頂まではリフトで約15分。八ヶ岳連峰、日本アルプス、浅間山に富士山まで。名峰の数々を一望する

山と高原地図 編集部

更新日: 2024年9月15日

梅雨が明けたら涼を求めて日本百名山の霧ヶ峰に行こう!絶景が待つ車山山頂まではリフトで約15分。八ヶ岳連峰、日本アルプス、浅間山に富士山まで。名峰の数々を一望する

八ヶ岳のふところに抱かれた日本有数の岳都がくと茅野ちの。新宿駅からは特急あずさを使って約2時間15分ほどの距離ながら、東を八ヶ岳、西を中央アルプス、南を南アルプス、北を乗鞍岳と四方を名だたる名峰に囲まれた正に岳都と呼ぶにふさわしい街です。今回はここが旅のスタート地点。日本百名山の霧ヶ峰きりがみねを舞台にした、ちょっとつうな満喫ハイクをご紹介します。ピークハントだけじゃ物足りない、そんなあなたにピッタリな登山計画の参考になること間違いなしです!

霧ヶ峰きりがみね・・・長野県の茅野市、諏訪市、下諏訪町、長和町ながわまちにまたがる高原で深田久弥ふかだきゅうやの日本百名山に数えられる。最高峰は標高1925mの車山くるまやま八島ヶ原湿原やしまがはらしつげん、車山湿原など多数の湿原が存在し、植物の宝庫でもある。

執筆・写真:山と高原地図編集部 編集長ウダガワ

1.茅野駅に到着!駅前のバス停からアルピコ交通のバスで車山高原へ

1.茅野駅に到着!駅前のバス停からアルピコ交通のバスで車山高原へ
今回の旅のスタート地点である茅野駅。八ヶ岳方面への玄関口となっています。今回は「白樺湖・車山高原線」で車山高原を目指します

東京から特急あずさに揺られること約2時間。朝早かったせいもあり、ウトウトしているとあっという間に茅野駅に到着。この日は天気にも恵まれ朝から快晴。気温は高いものの高地特有の爽やかな風を感じつつ、ご機嫌で駅前の「白樺湖・車山高原線」のバスに乗り込みます。本数が少ないため時刻表(詳細はこちらでチェック)で帰りの時間を計画しておきましょう。

1時間ほどバスに揺られると目的地の車山高原バス停に到着です。さらに涼しく、澄み渡った風が山への意欲をいっそう掻き立てます。「さすがはエアコンの名前の由来になっただけのことはある」そんなことを考えながらリフトに向かいます。

車山高原に到着。爽やかな風が吹きわたっています

2.リフト券を買って、いざ山へ!つうなリフトの使い方もご紹介

車山高原バス停で下車したら、リフト乗り場までは歩いてすぐです。売店も併設されているので色々なグッズもここで手に入ります。さて「では窓口で山頂往復券を・・・」と普通はなりますがちょっと待って!!この後の「霧ヶ峰満喫山行きりがみねまんきつさんこう」のことを考えてここは「中腹往復券」を購入します。料金も少し抑えられます。なぜ山頂までの往復券を買わないのかって?その詳細については後ほど。(リフトの運行時間や料金についての詳細はこちらでチェック

およそ10分で車山の中腹に到着です。多くの人はここから「スカイパノラマ」と呼ばれる山頂へと続くリフトに乗り継ぎますが、今回リフトはここまで。いよいよ本格的な登山の開始です!

車山の中腹へと続くスカイライナーの乗り場。青空に白の「SKYLINER」の文字が映えます

リフトに乗って車山の中腹へ。怖さもあるのですが、この浮遊感がクセになるというか。分かる方いらっしゃいますかね・・・?

車山の中腹に到着、展望カフェレストランもあります。時間があればぜひ立ち寄りましょう

3.中腹をスタート、一路レーダー観測所が建つ車山山頂を目指します

車山の中腹から歩き始めます。山頂までは約20分、傾斜はややきついですが歩きやすい道が続きます。振り返れば八ヶ岳が美しい姿を見せてくれています。目印のレーダー観測所が見えてくれば山頂はもうすぐです。

山頂からは360°の絶景が広がります。東には八ヶ岳連峰が大きな裾野を広げ、その奥には浅間山が火山らしい荒々しい姿を見せています。南に目を向ければ甲斐駒・仙丈をはじめとした南アルプスの山々がその大きな山体を横たえています。空気が澄んでいれば富士山もはっきりと見えるので探してみてください。西には木曽駒・空木の中央アルプス、遠方には御嶽山も姿を見せています。北を仰ぎ見れば、乗鞍岳・穂高岳・槍ヶ岳といった北アルプスの峰々がそびえます。

「一度は登ってみたい」そう思っていた憧れの山々が一望のもとに集結しています。一つの山頂からここまで多くの有名な峰々を見ることができる場所はなかなかありません。木製の展望テラスも設置されているので、存分にこの美しい景色を目に焼き付けましょう。

中腹から山頂までは歩きやすい道が続きます。レーダー観測所が見えたら山頂はもうすぐ

レーダー観測所が見えてくれば山頂はすぐそこ

山頂から西方向に御嶽山が見えています

4.「霧ヶ峰満喫山行」はまだ終わらない!山頂を後に、日本を代表する高層湿原、八島ヶ原湿原やしまがはらしつげん

山頂の絶景は名残惜しいですが、見どころはまだまだあります。次なる目的地に向けて車山を下山します。なだらかな道を下りきると大きな駐車場があり、近くには山小屋ころぼっくるひゅってが建っています。ボルシチが有名で、ケーキなどの軽食も楽しめます。時間に余裕があればぜひ立ち寄りましょう。

車山下山途中の一枚。駐車場や赤い屋根のころぼっくるひゅってが見えている

こちら側にも車山肩バス停がありますが、ここからは茅野駅に向かうバスは出ていないので注意。全て上諏訪かみすわ駅行のバスとなります。(詳しくはこちらをチェック

道はなだらかに高度を下げていきます。沢渡さわわたりという場所でその名の通り沢を渡ってしばらく進み、木道が始まるといよいよ八島ヶ原湿原に到着です。

ここまでくれば八島ヶ原湿原は目の前。獣害防止柵を開けて進みます

5.日本有数の高層湿原「ハート形の八島ヶ原湿原」を楽しもう!

八島ヶ原湿原の周囲には木道が整備されており、歩きやすくなっています。また、背の高い樹木が発達していないため、見晴らしが非常に良いです。吹きわたる爽やかな風、池に映る青い空と白い雲。湿原が見せる独特の表情は見ていて飽きることがありません。景色を楽しみながら進みましょう。

木道を一番奥まで進むと、ビジターセンターがあります。ここで八島ヶ原湿原の成り立ちなどについて学ぶことができるので、休憩がてら立ち寄るのがおすすめです。隣の八島山荘では食事を楽しんだりお土産を購入したりすることもできます。

ここにもバス停がありますが、やはり茅野駅ではなく上諏訪駅方面に行くバスのみなので要注意です。(詳しくはこちらをチェック

ビジターセンターを後にし、再び木道を進みます。やがて獣害防止柵が現れ、外に出れば湿原歩きも終了です。

高層湿原こうそうしつげん・・・寒い地域では土中の微生物の活動が鈍るため、枯れた植物が分解されず泥炭となり、周囲の地形よりも高く積もっていきます。その結果、雨水からの水の供給のみで維持されるようになった湿原のこと。寒い地域に発達するため、八島ヶ原湿原が日本の高層湿原の南限とされる。

泥炭でいたん・・・気温が低いため植物が完全に分解されずに堆積してできた土のこと。

湿原独特の景観を楽しみましょう

八島ヶ原湿原はハート形の湿原です。恋人の聖地とも言われています。恋愛に悩んでいるそこのあなた!ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか

湿原の奥にはビジターセンターと八島山荘が並んでいます。休憩に最適

6.湿原を離れ、雄大な稜線歩きへ。様々な顔を持つ霧ヶ峰を楽しみ尽くす

湿原を離れると登山道の様相は一気に変わります。ここからは霧ヶ峰の北側外輪山がいりんざんを歩くことになります。外輪山の登山道に入る手前には分岐がいくつか連続しますので、アプリで十分に現在地と進行方向を確認しながら進みましょう。

時おり現れる急斜面を攻略しながら、男女倉山おめくらやま(ゼブラ山)、北の耳、南の耳と連続して現れるピークを制していきます。男女倉山(ゼブラ山)以降の道はなだらかな草原の道が続き気持ちのよい稜線歩きが楽しめます。霧ヶ峰の中でも一番、霧ヶ峰らしい雰囲気を味わえるコースの一つかもしれません。終始展望もよく、八ヶ岳や浅間山方面の眺望がすばらしいです。

また、八島ヶ原湿原に向かう人の多くは物見石~蝶々深山のルートを通るため静かな山歩きを堪能できるのも魅力の一つです。

筆者はこの場所を通りたいがために今回のルートを選択したといっても過言ではありません。自信をもっておすすめできるので霧ヶ峰を訪れる際はぜひ計画に盛り込んでみてください。

山行もいよいよ終盤戦です。足に疲労を感じながらもご褒美のような美しい景色に癒されながら歩をどんどん進めていきます。

外輪山手前の登山道の様子。いくつか分岐が連続します。アプリを使って進行方向と現在地を確認しながら進みます。

正面に八ヶ岳の峰々を眺めながら、草原の中を進みます。疲れが吹き飛ぶほど充実した時間が流れます

男女倉山(ゼブラ山)より、八島ヶ原湿原を望みます。ハートの形をしているのが伝わるでしょうか・・・?

稜線ではクラブアップルの花が満開でした

道迷い対策には山と高原地図アプリ!!インストールしてから登山へいこう

 

山と高原地図アプリを使えば、自分の今立っている場所が人型のシンボルで表示されます。また、自分の向いている方角(スマートフォンの正面が向いている方向)が扇形に示されるので、道迷いのリスクが格段に下がります。これらの機能はGPSの測位によるものなので、スマートフォンが圏外でも使用可能です。

また、歩いてきたルートも同時に記録できるので、山行記録の整理にも持って来いの便利なアプリです。

山と高原地図アプリに興味を持ったそこのあなた!⇒さらに詳しい情報はこちらから

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図。深田久弥による「日本百名山」をすべて収録し、主要な山岳エリアを網羅しています。

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