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東京から電車で2時間、海の絶景を楽しむ登山に出かけよう!日本一の大仏がたたずむ鋸山(千葉県)には見どころがいっぱい!

山と高原地図 編集部

更新日: 2024年9月15日

東京から電車で2時間、海の絶景を楽しむ登山に出かけよう!日本一の大仏がたたずむ鋸山(千葉県)には見どころがいっぱい!

富津市と鋸南町きょなんまちのちょうど境に位置する鋸山のこぎりやまには、石切り場として使用された壮大な歴史の痕跡。日本一の大きさを誇る摩崖仏まがいぶつとして有名な日本寺にほんじの大仏。そして海が近い山ならではの絶景と魅力がいっぱいつまっています。
「千葉県には山が無い」などと言われることがありますが、あなどるなかれ。低山ながらも魅力にあふれた山がたくさんあります。
今回はそんな鋸山を満喫できるおすすめ登山コースをご紹介します。

執筆・写真:山と高原地図編集部 編集長ウダガワ

1.登山のスタートは浜金谷はまかなや駅から。徒歩で車力道しゃりきみちを使い山頂を目指す

1.登山のスタートは浜金谷はまかなや駅から。徒歩で車力道しゃりきみちを使い山頂を目指す
スタート地点のJR内房線浜金谷駅。フェリーにロープウェー、車と鋸山へのアクセスの起点となっています。

東京湾フェリーの発着所としても知られる浜金谷駅。ここが登山のスタート地点です。東京から電車で約2時間、駅から直接登山口を目指せるアクセスの良さも鋸山の大きな魅力の一つといえるでしょう。

はたまた、横須賀の久里浜港から東京湾フェリーを使って快適なクルージングを楽しんでから登山にのぞむのも小旅行気分が味わえてよいかもしれません。
また、浜金谷駅からは鋸山ロープウェー(※時間や料金については公式サイト参照)を利用して手軽に山頂を目指すこともできますし、車であれば鋸山登山自動車道という有料道路を使って山頂付近の駐車場まで一気に登ることも可能です。
登山者だけではなく、観光地としても人気なのはこうした豊富なアクセス方法によるところも大きいようです。
※有料道路の料金についてはこちらのサイトを参照

前置きが長くなりましたが、いよいよ浜金谷駅を出発します。
はじめはのんびりと市街地を歩いていると約10分で登山口に到着します。さらに少し歩くと目の前に分岐が現れます。
今回は車力道を通るのでアプリで確認しながら左手に進みましょう。

車力道は左へ道を進みます。

分岐に差しかかった際の実際の画面。自分の位置が人型のアイコン、向いている方向が扇形で示されるので道迷いのリスクが圧倒的に下がります。迷わずに車力道に入ろう。

 

車力しゃりき」とは、鋸山から切り出された房州石ぼうしゅういしを運んだ人たちのことで、驚くことにその多くは女性が担いました。
石を敷いた急な坂道をねこ車と呼ばれる荷車を使って運び出していたそうです。
石の、いや歴史の“重み”を感じながら車力道を登っていきます。

※房州石・・・鋸山で切り出されていた石材の名称。火山の噴出物が海底で固まった凝灰岩ぎょうかいがんと呼ばれる岩石でできている。特に建築資材に適しており、江戸時代中頃から明治、大正まで日本の近代化を支えた。

実際の車力道の様子。石畳に残る轍からもかなりの重量を運んでいたことがうかがえます。

道迷い対策には山と高原地図アプリ!!インストールしてから登山へいこう

山と高原地図アプリを使えば、自分の今立っている場所が人型のシンボルで表示されます。また、自分の向いている方角(スマートフォンの正面が向いている方向)が扇形に示されるので、道迷いのリスクが格段に下がります。これらの機能はGPSの測位によるものなので、スマートフォンが圏外でも使用可能です。

また、歩いてきたルートも同時に記録できるので、山行記録の整理にも持って来いの便利なアプリです。

山と高原地図アプリに興味を持ったそこのあなた!⇒さらに詳しい情報はこちらから

2.巨大な岩舞台いわぶたい、まるでダンジョン!?な石切り場跡、山頂付近には見どころがいっぱい!

車力道を登りきるとそこはいよいよ、鋸山の本丸である石切り場が広がります。
自然の山肌が削り取られた垂直壁が林立し、時には狭く暗い切通しを縫うように進むその場所はまさにダンジョン。異世界に迷い込んだような気分が味わえます。

東京からほんの2時間の場所にこんな非日常があったとは!感動できること間違いなしです。

昭和60年まで採石を続けた最後の石の元締め「芳家石店」の石切り場。岩が舞台の形のように平らに残されていることからそう呼ばれています。

入り組んだ細い道を抜けていく様はまさにダンジョン。異世界気分が味わえます。

3.石切り場を抜け海の絶景を堪能、そして山頂へ

石切り場の歴史を十分に堪能したら、いよいよ今回の登山の大きな目的の一つ、海の絶景を目指しましょう。
石切り場周辺は狭い階段が多いので足を滑らせたりしないように要注意。
丁寧に階段を登っていくと爽やかな潮風ともに、一気に視界が開け、目の前に東京湾の絶景が広がります。沖を行き交うタンカーやフェリーの向こうに対岸の三浦半島はもちろん、遠方には伊豆大島を眺めることができます。空気の澄んだ日であれば東京湾越しに富士山が美しい姿を見せてくれます。

涼やかな海風とともに絶景を十分に堪能したら、次は鋸山の山頂を目指します。
展望台から分岐地点へと戻り、東へと進路を取ります。方角を間違えないようにアプリでルートをよく確認して進みましょう。
分岐点から約30分、岩がちな一本道を進むと山名標識と一等三角点のある山頂に到着です。展望は北側が開けており、君津の工場地帯がよく見えます。

鋸山の山頂付近は道幅の狭い階段が多い。特に雨上がりなどは足を滑らせないように気を付けて。

展望台から南方向を望む。眼下に保田漁港やその街並みと南へ続く房総半島が見えています。東に目を移せば、伊豆大島、対岸の三浦半島、空気が澄んでいれば富士山も姿を見せてくれます。

鋸山の山頂周辺の道は狭く入り組んでいる。休憩のたびにアプリで現在位置の確認をしよう。

4.山頂を後にし、ラピュタの壁へ。日本寺にほんじの境内に入ればいよいよ日本一の大仏とご対面

山頂からはもと来た道を西へ西へと戻ります。この間にも石切り場の痕跡をそこかしこに見ることができ、歩いていて飽きません。
日本寺の境内に入る手前には「ラピュタの壁」と呼ばれる見どころがあります。一度でも映画を観たことがある人であればあっという間にその壮観な眺めのとりこになるはずです。ぜひ立ち寄りましょう。

垂直に削り出された絶壁と横穴、森林のコントラストが生み出す壮大な景色が「天空の城ラピュタ」の世界観を思い起こさせることからそう呼ばれます。

 

その後は一路、日本寺の境内を目指します。
鋸山の南側が主に日本寺の境内となっており、今回は北口から拝観料(大人700円、小人400円)を払って入ります。境内は拝観時間が決められている(9時~16時、最終入場15時)ので注意しましょう。
境内に入るとすぐに百尺観音ひゃくしゃくかんのんが出迎えます。戦没者、交通犠牲者供養のため6年の歳月をかけ、かつての石切り場跡に掘られたものです。交通安全守護の本尊として崇められています。

そのまま境内を進んで視界が開けると、有名な地獄のぞきが姿を現します。鋸山の代名詞ともいえる景観が広がります。最高のフォトスポットだけに、連休ともなると記念写真を撮るために長蛇の列ができているので、どうしても写真を撮りたい方は早めに立ち寄りましょう。

北側から日本寺に入ると最初に出迎えてくれるのがこの百尺観音。あまりの荘厳さに思わず手を合わせてしまいます。

絶壁から突き出した足場から下を覗けば、地獄の底へと吸い込まれてしまいそうです。ガイドブックなどで一度は見たことある人も多いはず。

 

地獄のぞきを過ぎたら少し階段を下り、羅漢エリアと呼ばれる場所を通ってやがて大仏広場に到着。
いよいよ眼前に高さ31mを超える摩崖仏まがいぶつとしては日本一の大きさを誇る大仏様がその荘厳な姿を見せてくれます。
正式名称は「薬師瑠璃光如来やくしるりこうにょらい」といい人々を病から救う仏様で、その左手には薬の壺を持っています。

摩崖仏まがいぶつ・・・石仏の一種。自然の岩や崖などに彫った仏像のこと

摩崖仏としては日本一の大きさを誇る日本寺の大仏(薬師瑠璃光如来)。天明三年(1783年)に3年の歳月をかけて彫刻されました。現在の姿は昭和四十四年(1969年)に再建されたものです。

5.大仏様にお参りをして、日本寺の境内を仁王門まで下山。ゴール地点の保田ほた駅へ

大仏広場を後にし、日本寺の境内をひたすら南へと下っていきます。いかにも山寺といった雰囲気のある階段が続きます。仁王門を過ぎれば日本寺の境内も終わりです。
ここからは保田駅までのどかな田園風景の中を進みます。少し長く感じるかもしれませんが、みどころたっぷりだった鋸山山行の余韻にひたりながらゆっくりと歩きます。駅までは30分ほどです。

線路をくぐるとゴールの保田駅に到着です。お疲れ様でした!!

静寂に包まれる山寺の階段。ここまで歩き続けてきた足に下りは少しこたえるかもしれません。

ここから内側が日本寺の境内です。仁王門をくぐって、日本寺を後にします。

ゴール地点のJR内房線の保田駅。こちら側から鋸山を目指す登山者も多い。

6.今回歩いたコースはこちら

山と高原地図30 三浦・房総2024年版

浜金谷駅
→観月台コース登山口
→車力道
→車力道分岐
→展望台
→鋸山
→日本寺分岐
→地獄のぞき
→大仏
→表参道入口
→保田駅

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図。深田久弥による「日本百名山」をすべて収録し、主要な山岳エリアを網羅しています。

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