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「出会い頭のバッタリ」を避ける術は?全国でクマ出没激増中!被害に遭わないために知っておきたいこと【vol.02 遭遇回避編】

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日: 2024年12月26日

「出会い頭のバッタリ」を避ける術は?全国でクマ出没激増中!被害に遭わないために知っておきたいこと【vol.02 遭遇回避編】

アウトドアを楽しむとき、自然の中に入っていく人間側が不用意にクマに出遭ったり襲われたりしないためには、どのような注意が必要なのでしょうか。

クマがどんな物を好んで食べるのか

クマは本来、臆病で人を避ける動物です。人を襲う理由のほとんどが、ふいに人と出遭ってしまいクマが恐怖で驚き、自身の安全を確保しようとする防御的攻撃か、またはブラウチャージと言われる威嚇攻撃です。

それとはまた別に、小さな子グマを連れた母グマが人に遭遇した場合も、子どもを守ろうとして攻撃してくることはあります。母グマがよりナーバスになる時期という意味においては、冬眠明け、母グマは穴で生んだ子どもを連れて出てくるため、出遭ってしまうと攻撃を受ける可能性が高くなるとも考えられます。

子連れのクマに遭うことは可能な限り避けたい

冬眠明けのクマは空腹だから気が立っている、という説もありますがそれは不確か。冬眠穴から出て、食べ物を探すため行動範囲を広げて移動するため、人と遭遇する確率が上がる、というのが本当のところです。冬眠明けの春先、クマが好きで食べたいものがある場所に人間も行ってしまうため、バッティングすることが危険なのです。

タケノコ類はクマの大好物。タケノコやさまざまな山菜を採りに山へ入った人が、クマに襲われる例があとを絶たないのはそのためです。人もクマも山菜などに夢中になっているとお互い気づきにくく、出遭ってしまうと、どちらもびっくりして突発事故になりやすいのです。

人もクマも大好きなネマガリダケは、えぐみが少なく甘味がある春の山菜

人の存在をあらかじめクマに知らせることも大事

クマの被害事故について、ヒグマ研究者・北海道大学の坪田敏男教授によると、「総体的な個体数を見ればツキノワグマはヒグマより圧倒的に多い。被害事故の発生数を比べればツキノワグマの方が断然多いです。しかしどちらも力は強いので、攻撃されると人はケガをしますがヒグマの方が大型なので、一撃で死亡につながる事故が圧倒的に多いのです」

ヒグマの鋭い爪は一撃で大事故につながる

ですから、まずはクマに出遭わないことが第一。クマが驚く「バッタリ遭遇」を避けることです。山などに入るときには、人間がクマの生息域に踏み込んで行くわけですから、こちらからその存在を先にクマに知らせながら道を進むことが大切です。手を叩いたり、笛やクマ鈴を鳴らしながら歩く、複数で会話しながら歩くなどを行いましょう。

山の中に入る際には一人ではなく複数人で

身近な里山でもクマはいるので油断は禁物

関東最後の秘境といわれる群馬県みなかみ町の奥利根。ここで25年以上、クマ撃ち猟師を続け、若い世代にその技術を伝えている高柳盛芳さんによると、「山道はカーブが多く、見通しが悪いから要所要所で人の存在を知らせることだね。クマやシカは暗いところから暗いところへ、スギやヒノキなど常緑樹のある場所を伝って姿をカモフラージュしながら移動するからね。クマ鈴なんか鳴らしていても、このあたりのクマは慣れちゃっていて逃げないよ。俺は爆竹鳴らしながら行くよ」と言います。

群馬県奥利根をフィールドに猟を行う高柳さん(前列左端)/写真提供:高柳盛芳

気をつけなければならない特定の時期があるとは一概にはいえず、危険度は、そのときのさまざまな状況や条件によっても変わってくるようです。

今は、街の近くの森でも公園でもクマは出没します。キャンプ場でも、クマに遭遇する可能性はあるので、どんなに身近な里山でも、そこに入ったらクマはいると考えましょう。通常、クマの活動時間帯は〝薄明薄暮型〟といわれているので、明け方と日暮れ時には特に気をつけて行動してください。

TEXT:兼子梨花

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