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爽快な稜線歩きがたまらない!日本百名山で初心者でも安心のトレッキング【大菩薩嶺・後編(山梨県甲州市・丹波山村)】

旅音(たびおと)

更新日: 2024年12月26日

爽快な稜線歩きがたまらない!日本百名山で初心者でも安心のトレッキング【大菩薩嶺・後編(山梨県甲州市・丹波山村)】

標高2057mの大菩薩嶺(だいぼさつれい)は、山梨県の北東部に位置する日本百名山のひとつ。
都心からのアクセスが良い上に、富士山や南アルプスといった美しい展望が楽しめること、気持ちよく開けた稜線を歩けることなど、一度は訪れたい山として大変人気があります。

前回は、上日川峠から唐松尾根を通って大菩薩嶺までの様子をお届けしました。後編では雷岩でのひとときと大菩薩峠までの稜線歩きについてレポートします。

雄大な眺めを楽しみながらの贅沢な休憩タイム

雷岩に戻ってきたのは午前11時過ぎ。お昼近くということもあり、多くの登山者で賑わっていました。ここは唐松尾根からアクセスする時計回りコースと、大菩薩峠からの反時計周りコースの合流地点、かつ広場になっているので、休憩するのにちょうどいいスポット。

国土地理院(電子国土Web)にスポットとルートを追記

さらにナイスビューも堪能できるとなったら、ここで休まないわけにはいかないでしょう。

雷岩で思い思いに休憩する登山者

富士山に南アルプスの峰々、そして眼下には甲府盆地。視界に収まりきらないダイナミックな風景を、どうすればしっかり目に焼き付けられるのだろう。そんなことを思いながら、右に左に首を動かして、ただひたすら眺めていました。

雷岩からの展望は山の雄姿が注目されがちですが、盆地の特徴を実際に見られたのもよかったです。周囲を山に囲まれた平らな土地は人が住みやすく、そのために大都市が形成されやすい、ということがよくわかります。

〝生きた教科書〟のような甲府盆地の眺め

もうひとつのユニークな出会いは、ニホンジカのもぐもぐタイム。「先客の邪魔にならず、それでいて座り心地のよさそうな場所はどこだ……」と、うろうろしていたとき、ガサゴソ動く何かが視界の端に入ってきて気づきました。

雷岩付近にひょっこり現れたニホンジカ

シカの食害が問題になっている昨今、ふわふわしたおしりがかわいい野生動物との遭遇を素直に喜んでいいのか悩ましいところですが、一生懸命草を食む姿からはしばらく目が離せませんでした。

開放感抜群の稜線歩きに心が弾む

30分ほど休憩したら雷岩を後にして、草原の尾根を下りていきます。

稜線歩きも大菩薩嶺を訪れる楽しみのひとつ

それにしても、なんと気持ちの良い稜線でしょう。「大菩薩嶺のハイライトは、雷岩から大菩薩峠まで続く約2kmの稜線歩き」という方が多いのも納得です。ゆるやかな傾斜で道幅が広いのもうれしいポイント。許されるなら、両手を大きく広げて駆け下りていきたいぐらいです。

途中にある岩稜の少し奥まったところには、誰にも邪魔されずにパノラマビューを満喫できる場所がありました。いつかここでゆっくりコーヒーを味わえたら、なんて妄想が膨らみます。

南アルプスと甲府盆地という〝ザ・山梨〟の絶景を楽しむのに最適

標高2000m地点の標識がある神部岩(かんべいわ)を横目に通り過ぎ、道に沿ってのんびり歩を進めます。道中ずっと、富士山が見守ってくれているのが心強いです。

大菩薩嶺の山容を一望できるのは親不知ノ頭まで

シンプルなログハウスといった風情が漂う賽の河原避難小屋、そのすぐ先にある親不知ノ頭を越えれば、大菩薩峠まではあと少しです。

大菩薩峠まで来ればゴールは目前

雷岩から約50分、大菩薩峠に着きました。見晴らしのよいチェックポイントにたどり着いてうれしい反面、「ああ、あの素晴らしい稜線歩きが終わってしまうのか」という一抹のさびしさも。ちょっぴり感傷的になるほど、充実した時間だったと思うことにしましょう。

大菩薩峠の標識前は人気のフォトスポット

すぐそばにある山小屋「介山荘」で買ったソーダ味のアイスキャンディーで糖分を補給し、ふたたび歩き出します。

数分ほどたった頃、「予定ルートから外れたようです」という音声がスマホから聞こえてきました。アプリで慌てて現在地を確認。どうやら福ちゃん荘に戻る道ではなく、さらに大きく周回する石丸峠コースの道に来てしまったようです。

アプリを見ながら「介山荘」まで戻ると、建物脇にペンキで上日川峠と書いてあるのを発見。疲れはあまり感じていないつもりでしたが、見落としていたのは注意散漫の証でしょう。ちょっぴり反省して、気を引き締め直します。

先ほどまでの開放的な稜線歩きとは打って変わって、鬱蒼とした樹林帯が続きます。途中の開けた場所には閉業した山小屋2軒があり、これを過ぎればスタートのときに通った「福ちゃん荘」が見えてきます。大菩薩峠からノンストップで30分といったところでしょうか。

あとは往路と同じ登山道を通って、バス停のある上日川峠へ。14時前に戻ってくることができました。

手軽なのに、ダイナミックな風景がいっぱいで大満足の大菩薩嶺トレッキング。「10月上旬から中旬の紅葉シーズンもまた美しいだろうなあ」と想像しながら、甲斐大和駅のバスに乗り込むのでした。

<データ>
■登山口所在地 山梨県甲州市塩山上萩原
■登山口までのアクセス JR甲斐大和駅からバスで約40分
■アドバイス
①繁忙期やハイシーズンの週末だと、中央本線の乗り換えの際にホームも車内も大変混み合う。万が一座れなくても相模湖駅、藤野駅、大月駅で途中下車する人もいるのでしばらく辛抱しよう。
②最寄りの上日川峠第1~3駐車場は早朝で満車というケースが多いので、はじめから登山口まで徒歩約10分の大菩薩湖北岸駐車場(第4駐車場、約300台収容可能)を目指すのも手だ。
■標高 2057m(大菩薩嶺)

国土地理院(電子国土Web)にスポットとルートを追記

PHOTO:旅音

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

カメラマン(林澄里)、ライター(林加奈子)のふたりによる、旅にまつわるさまざまな仕事を手がける夫婦ユニット。国内・海外の旅に加えて、最近は登山もライフワークになりつつある。著書に『インドホリック』(SPACE SHOWER BOOKS)、『中南米スイッチ』(新紀元社)。