『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』聖地巡礼！作者の故郷・岩手で感じる物語の空気

『ゴミ捨て場の決戦』は、「春高バレー」こと「春の高校バレー 全日本バレーボール高等学校選手権大会」の場が舞台となります。

この実在する大会が開催されているのは東京・千駄ヶ谷の東京体育館。アリーナ部分を地下に埋めた設計となっているため、外観は低重心な印象。しかし中に入ってみると、天井にアーチ状のデザインが施されたメインアリーナは圧倒的な高さ・広さを感じさせられます。

本作品の上映時間は85分と、映画としては短め。ですが、凝縮されたその中身から得られるのは圧倒的な充足感。ふと、建築と通じるものを覚えたりもするのでした。

さて、ここからは岩手県に視点を移していきます。

『ハイキュー!!』の作者・古舘春一さんは岩手県の出身。高校卒業後に住んでいた宮城県を『ハイキュー!!』の主な舞台と設定しつつ、故郷である岩手県九戸郡軽米町の風景もディテールに多く取り入れています。

『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』でも、日向翔陽（ひなた しょうよう）と孤爪研磨（こづめ けんま）が出会う印象的な冒頭シーンはおそらく軽米町の風景でしょう。コンクリートブロックとフェンスがあるだけの、ちょっとしたスペース。町を歩きながら探してみてください。見上げればカラスが、塀には猫がいるかもしれません。

軽米町には沢山の『ハイキュー!!』聖地がありますが、今回の劇場版に登場する場所は限られます。そのなかで、最後の最後に回想シーンとして数秒映る電気屋さん「ユキガオカデンキ」こと舘坂電器商会は最重要スポット！

画像はイメージです

そのほか、作者の出身校でもあり日向が通う「烏野（からすの）高校」のモデルともなっている岩手県立軽米高等学校なども最重要スポットの一つ。物語に奥行きを持たせる確かな空気を、感じてみてください。

『ゴミ捨て場の決戦』で「烏野高校」と戦う「音駒（ねこま）高校」は、東京の学校です。本作では、音駒に通う孤爪研磨と幼馴染の黒尾鉄朗（くろお てつろう）、二人の幼い頃が試合に並行して描かれます。河川敷でバレーボールをする二人、とても微笑ましい場面です。

じつはこの河川敷も、設定としては東京ですが、モデルは岩手県軽米町にある雪谷川の河川敷とされています。気兼ねせずのんびりできる聖地として、おすすめの場所です！

のんびりできる聖地、の極めつけは「宿」かもしれません。『ゴミ捨て場の決戦』で日向ら烏野高校が宿泊した東京の宿は「かけす荘」という民宿でした。ここまでくればもちろん、この宿のモデルも岩手県にあります。金田一温泉駅からバスで約7分の「岩手の名湯 侍の湯おぼない」です。

ファンの中では言わずもがなの「泊まれる聖地」となっているそうで、なんでも「ハイキュー!!部屋」まであるとか。看板が「かけす荘」に入れ替わっている時もあったようです。聖地巡礼の拠点にこれ以上ない宿と言えましょう。

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ご紹介してきたスポットが劇中で登場するのは、時間としては本当にわずか。しかし試合中心に構成されたソリッドな映画でありながら、シリーズ初見だとしても一定量のエモーショナルな感動を得ることができるのは、このわずかな回想シーン・日常シーンの効果かと思います。そしてもちろん、お互いへのリスペクトに溢れたキャラクターたちの魅力でしょう。

なお、この『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』は二部作の第一部として発表されました。近い将来観ることができるであろう第二部にも期待が高まります！