トップ > アウトドア >  登山・ハイキング >

歴史深く神聖なパワーを授かりに、涼しさを求めて高野山に行こう!摩尼山まにさん、楊柳山ようりゅうさん、転軸山てんじくさんの高野三山を巡る山旅へ

山と高原地図 編集部

更新日: 2024年9月15日

歴史深く神聖なパワーを授かりに、涼しさを求めて高野山に行こう!摩尼山まにさん楊柳山ようりゅうさん転軸山てんじくさんの高野三山を巡る山旅へ

和歌山県の北東部、標高約800mに位置する高野山は、弘法大師空海が開創した真言密教の聖地として知られています。
高野山上の気温は平地に比べて5~6℃低く、残暑にでも涼しげな山歩きが楽しめます。そして高野山には、もっとも神聖な場所とされる奥の院御廟があり、その御廟を摩尼山まにさん楊柳山ようりゅうさん転軸山てんじくさんの高野三山で呼ばれる山が取り囲んでいます。

今回は涼しさを求めて、高野三山めぐりに出かけてみましょう。

執筆・写真:山と高原地図53「高野山・熊野古道」著者 児嶋弘幸

1.電車、高野山ケーブルカーを乗り継いで高野山駅へ。バスに乗り換えて奥の院前バス停からスタート!

スタート地点は南海高野線の極楽橋駅。駅から高野山ケーブルカーに乗り継ぐと、高低差328mを5分ほどで、標高約800メートルの高野山駅に降り立ちます。気温が下界に比べ5度から6度ほど低く、夏の暑さを忘れさせてくれます。
高野山ケーブルカー公式HP

2019年春に新しくなった高野山ケーブルカーで高野山駅へ

その後南海りんかいバス(HPはこちら)に乗り換え、奥の院裏参道入口の奥の院前バス停下車します。バス停前には、高野山内で最も大きな中の橋駐車場が整備されています。無料で24時間利用可能ということで、マイカー利用者にはありがたい駐車場です。
中の橋駐車場は朝早いというのに、既に大勢の参拝客・観光客で賑わっていました。

奥の院裏参道の入口風景、奥の院目指してスタートです。

2.奥の院裏参道に入り、一路御廟橋ごびょうばしから奥の院御廟へ

2.奥の院裏参道に入り、一路御廟橋ごびょうばしから奥の院御廟へ

横断歩道を渡り、墓碑・供養塔が立ち並ぶ奥の院裏参道を進んでいきます。
参道脇には有名企業をはじめ、比較的新しい墓碑・供養塔が立ち並んでいます。

奥の院参道には、名だたる戦国武将の墓などが多数点在しています

やがて一の橋からの奥の院参道が左手から合わさると奥の院の寺務所となる御供所ごくしょに到着します。ここ御供所では、今なお瞑想し続けているという空海に食事を届けるための儀式が行われています。

御供所では、空海に1日2回の食事を奥の院御廟へ届ける「生身供(しょうじんぐ)」の儀式が行われています

御供所・護摩堂の先には、御廟橋がかかり、隣に手向地蔵と水行地・三山巡り碑が並んでいます。
御廟橋は高野山の中で最も神聖とされる奥の院の弘法大師御廟への入口で、ここから先の写真撮影はNGです。カメラはザックに収めてから御廟橋を渡ります。
まずは御廟橋を渡り、弘法大師御廟のある燈籠堂に参詣し、今日一日の安全登山を祈願しましょう。

参詣を済ませたのち御廟橋まで戻り、御供所の隣の御茶処とも呼ばれる頌徳殿しょうとくでんに立ち寄ります。ここでは、暖かいお茶がいただけるため、ひと休憩してから、いよいよ高野三山めぐりをスタートします。

奥の院御供所の隣に建つ「茶処」とも呼ばれる頌徳殿。参拝者用の休憩所です

頌徳殿では、セルフサービスで、茶釜に入った暖かいお茶が頂けます。タイミングが良ければ和尚さまの法話を聞くこともできます

ちなみに2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』の中に登場する藤原道長は、信仰心が篤く、いち早い高野山参詣を行っており、奥の院の燈籠堂は藤原道長によって現在の大きさになったとも言われています。

3.三山碑に従って、高野三山めぐりをスタート!奥の院峠に登り、三山一つ目の摩尼山へ。

3.三山碑に従って、高野三山めぐりをスタート!奥の院峠に登り、三山一つ目の摩尼山へ。

高野三山巡り碑の指し示す方向に従い道路を横切り、谷沿いの道を進みます。朝が早かったこともあり、霧がかかり深山の雰囲気が漂っています。

車道を横切り、谷沿いの道を進むと、深山の雰囲気が漂ってきます

苔むした木橋を渡ると、傾斜が強まり、約20分ほどで奥の院峠に到着します。ここ奥の院峠は高野山が女人禁制の山であった頃に結界線が引かれていた峠で、女性たちは、女人道と呼ばれた結界線から奥の院御廟を拝んだと言われています。左右の道が女人道です。周辺では、高野六木と呼ばれる高野まき、高野杉、アカマツ、ヒノキ、モミ、ツガの樹木を多く見ることができます。
奥の院峠を左にとって、一気に尾根道を登ると如意輪観世音菩薩の小祠を祀る摩尼山山頂に到着します。

奥の院峠には、お大師さまの小祠が祀られています

 

高野三山を登るなら!山と高原地図アプリ

「山と高原地図アプリ」は機能充実の登山専用地図アプリです。
地図面をスマートフォンで見られるだけでなく、GPSを使って地図上で現在地を確認できます。

自分が登ったルートの記録と共有機能により、登山がますます安全で楽しくなるアプリです。
「山と高原地図」のラインアップ全63点が見られ、登山計画機能も付いたサブスク版が便利です。

⇒詳しくはこちら

★アプリDLはこちらから
→ iPhoneをお持ちの方:https://x.gd/7MfJl
→androidをお持ちの方:https://x.gd/vofUB

4.次なる目的地、高野山最高峰の楊柳山へ!

摩尼山頂をあとに、時折樹間から吹きぬける涼風に癒されながら、緩やかな起伏の尾根道を進みます。以前は途中から山容のきれいな楊柳山を眺めることができましたが、現在は木が茂り、わずかに頭をのぞかせる程度です。

摩尼山山頂を下ると、ゆるやかな起伏の尾根道が続きます

黒河峠を直進し進んでいきます。急坂を登りきると、楊柳観世音菩薩像の小祠を祀る楊柳山に到着。
高野三山の最高峰ということですが、残念ながら展望は期待できません。しかしブナ・カエデ等の自然林に、なんだか落ち着きを感じますね。

高野三山の最高峰・楊柳山へは、今日一番の急登です

楊柳山山頂は、楊柳観音菩薩の小祠を祀る落ち着いた雰囲気の小台地です

5.太閤秀吉の伝承が残る黒河道くろこみち子継峠こつぎとうげを経て、気持ちの良い広谷を下る

楊柳山山頂をあとにして、道を急下降していきます。「スグ下ル転軸山近道」の石碑の立つ分岐を左に見送ったのち、緩やかな起伏の尾根道をたどります。
右手に雪池山の道を分け、子継峠へ。すぐに高野七口こうやななくちのひとつ黒河道くろこみちが右手から合流します。

子継峠に下ると、太閤秀吉の伝承が残る黒河道が右手から合流してきます

ここ黒河道には、かの太閤秀吉が高野山内で、禁令の能狂言を開催していたところ、突然の雷雨と雷鳴に、弘法大師の怒りと思い、馬で駈け下ったという伝承があり、太閤道とも呼ばれています。あくまでも伝承ですが、高野山での禁令を破ることに、当時の最高権力者をも恐れされるものであったのでしょうか?そんなことを思いながら、黒河道を左へ。気持ちの良い広谷沿いの道を下っていきます。

6.樹齢700年以上の一本杉をあとに、高野三山のラスト転軸山てんじくさんへ!

6.樹齢700年以上の一本杉をあとに、高野三山のラスト転軸山てんじくさんへ!

やがて自然の生命力に圧倒されてしまいそうな樹齢700年以上とされる一本杉に到着。すぐに道路に突き当り、右は鶯谷、左は奥の院方面。ここでは直進します。

いよいよ高野三山ラストの転軸山へ向かいます

いよいよ転軸山の登りにかかります。最後とはいえ、さすがにつらい登りが続きますが、木の根が天然の階段を作っており、心地よくも感じます。うっそうとした杉に囲まれた転軸山の山頂には、弘法大師が不動明王の宝剣と経巻を埋納したとも伝えられています。

7.高野山スキー場から高野三山を一望。奥の院参道を経てゴール!

転軸山山頂を南から西尾根を急下降、森林公園シャクナゲ園に下り、車道を左へ進みます。中之橋霊園入口からすぐ右手の階段を下り、高野山スキー場との間を進むと、奥の院に向かう道標が目につきます。道標に従えばスタート地点に帰り着くことができますが、ここでは少し寄り道をすることにします。

中之橋霊園から奥の院参道へと向かう分岐。右手に高野山スキー場が開けています

右手の高野山スキー場を登っていくと、中央に転軸山、左に楊柳山、右に摩尼山がせりあがり、5分ほどで横一直線に並んだ高野三山とご対面です。

高野山スキー場を5分ほど登った高台からは、左から楊柳山・転軸山・摩尼山の高野三山を望むことができます

高野三山の山容を心行くまで満喫したら、今回のゴール地点である奥の院前バス停に向かいます。

奥の院への道標に従って進むと、奥の院参道の母子像前に合流、右にとると一の橋、ここでは左の中の橋方面に向かいます。老杉が立ち並ぶ参道には冷気が漂い、神秘的な時間が流れています。中の橋の手前の小径を右に入ると、スタート地点の奥の院前バス停に帰り着きます。

奥の院参道の中の橋手前の小径を右にとると、奥の院前バス停に帰り着きます

1 2

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図。深田久弥による「日本百名山」をすべて収録し、主要な山岳エリアを網羅しています。

まっぷるウェブでは、登山、トレッキング、ハイキングに関する情報や、おすすめの登山ギアについて紹介していきます!

>>ウィキペディア(Wikipedia)

エリア

トップ > アウトドア >  登山・ハイキング >

この記事に関連するタグ