更新日: 2024年9月15日
野反湖は知る人ぞ知るトレッキングやキャンプの穴場エリア。涼風吹く天空の湖で初めてのテント泊登山を楽しもう!
厳しい灼熱の都会生活から脱出して、登山初心者でもテン泊登山デビューにチャレンジできる野反湖へ出かけてみませんか?
バンガロー棟や自炊施設も整っているのでキャンプ初心者でも安心です。周りを山に囲まれた野反湖の湖畔は、星空が綺麗なことで有名です。標高1500mの山上湖では、一足早く秋の花々が咲き始めてあなたを歓迎してくれることでしょう!
気心の知れた仲間や家族と、この夏一番の思い出に残る登山を計画したいあなたの参考になること間違いなしです!
執筆・写真:山と高原地図17志賀高原 著者 木村正臣
目次
長野原草津口駅に到着!六合の里の路線バス旅で、いざ涼風吹く野反湖へ
天下の名湯草津温泉の玄関口でもあるJR吾妻線長野原草津口駅が野反湖の最寄り駅です。東京駅から新幹線と普通列車で約2時間半。
長野原草津口駅では、ほとんどのお客さんは慌ただしく草津温泉行のバスに乗り込んでいきます。でも野反湖行きの路線バスは発車までゆっくり時間待ちです。
長野原草津口駅の駅舎は八ッ場ダム建設による再開発で新しくなりました。駅内にはお土産屋や簡単な軽食が食べられる「長野原・草津・六合ステーション」が利用できます。(営業時間10時~16時)今回はここが旅のスタート地点。
目指すは、標高2000m前後の山々に囲まれた天空の湖、野反湖へ。野反湖は登山を楽しみながらノゾリキスゲ(ニッコウキスゲ)をはじめとするたくさんの高山植物を愛でることができるのも魅力です。
この日は天気にも恵まれ朝から快晴。駅前のバスターミナルで「花敷温泉野反湖線」のバスに乗り込みます。⇒時刻表はこちら
本数が少ないので帰りの時間を必ず計画しておきましょう。
バスに揺られること1時間半。標高1561mの野反峠に到着です。
バスから降りると、長野原草津口駅から標高差1000mも高いこともあり、風の気持ち良さが違います。
そして峠からは野反湖の全体が見渡せます。天空の湖とそれを取り囲む日本離れした山と高原の風景に思わず言葉を失います。
草津白根山、浅間連峰、榛名山、はるかに霞む秩父連峰の奥には富士山の姿も。なるほど、野反峠は地元で富士見峠とも呼ばれています。
時刻はちょうどお昼の時間。野反峠休憩舎でピザを注文してまずは腹ごしらえ。涼風が気持ちいい野外テーブルで野反湖を眺めながら大満足。
山と高原地図アプリで今日のコースを確認!まずは一つ目のピーク弁天山へひと登り
山と高原地図を広げて今日と明日のコースも確認。ここからは野反湖全体を見渡せるので、コースの距離感や上り下りの標高感覚が良く分かって、登山初心者にとっては大変役立ちます。
トイレを済ませていざ出発。弁天山へ軽くひと登りです。花咲く草原を抜けて急坂を上がると弁天様が祀られている山頂です。弁天様に山の安全を祈願して山頂を後にします。
急な階段を降りていくと樹林越しに野反湖が垣間見えます。ホツツジや岳樺の林を抜けると根広禿です。花敷温泉や尻焼き温泉へとつながる根広古道との分かれ道があります。
さらに十二山の裾を気持ちいい木陰道が続きます。林床にはアカモノやシロモノの実が熟し始めていました。根広禿から5分ほどで押出し三叉路です。道標はないので地図で現在位置を確認しておきましょう。
ここでエビ平方面への道を下ります。なだらかな下り道を快適に歩きます。道が平らになるとエビ平分岐でここも三叉路です。まっすぐ進めばエビ山です。
「山と高原地図アプリ」は機能充実の登山専用地図アプリです。
地図面をスマートフォンで見られるだけでなく、GPSを使って地図上で現在地を確認できます。
自分が登ったルートの記録と共有機能により、登山がますます安全で楽しくなるアプリです。
「山と高原地図」のラインアップ全63点が見られ、登山計画機能も付いたサブスク版が便利です。
★アプリDLはこちらから
→ iPhoneをお持ちの方:https://x.gd/7MfJl
→androidをお持ちの方:https://x.gd/vofUB
野反湖畔の奥にはエビ平という草原が広がり初秋のお花が色とりどり!
今回は右に折れてエビ平を目指します。エビ平はお花が楽しめるところです。トリカブトやサワギキョウ、シシウドなどいろいろな花々がたくさん咲いていました。
湖畔遊歩道に出るところにはちょうど休憩にもってこいのベンチがありました。湖面より吹く気持ちの良い風からは秋の匂いをかすかに感じます。
ここからは、よく整備された湖畔遊歩道を歩きます。蛇帝ガ原という怖そうな道標がありました。名前から想像すると大蛇の伝説でもあるのでしょうか。
笹原の草原の一本道がしばらく続きます。雄大な野反湖と湖を取り囲む山々の風情はなんだか日本離れして異国情緒たっぷりです。やがて岳樺の美しい林の中を歩きます。シラカバ渕という道標がありました。白樺の木を探しましたが、すべて岳樺なのは何故でしょう?
岳樺の林を抜けるとテン場のお花畑です。ここは時期によって様々な種類のお花畑になります。
今はヤナギランとマルバダケブキ、キオンなどが見頃でした。お花畑を抜ければ、もう野反湖キャンプ場です。
知る人ぞ知る玄人キャンパー御用達のキャンプ場で初キャンプにチャレンジ!
キャンプ場の受付を済ませるためにまずはビジターセンターへ。ここにはキャンプに使う物品類や簡単な食材も販売しているので、必要なものが調達できて便利です。またテント泊は自信が無くてバンガローという手もあります。
テント泊もバンガロー泊も必ず事前予約しておきましょう。⇒予約はこちらから
今夜は焚火も楽しみたいので、薪も購入。夜はテントからの星空観察も楽しめることでしょう。
翌朝は早起きして湖畔の幽玄な朝霧の景色を堪能しながら八間山へ
昨夜は疲れていたのか楽しみにしていた星空を見る前に、うっかり深い眠りに落ちてしまいました。
都会の蒸し暑さを忘れ、フカフカの寝袋にくるまってぐっすり朝5時まで睡眠できました。釣り師のテントも隣でガサゴソ準備しています。私たちも熱いコーヒーを飲みながら、テントを撤収。今日のトレッキングスタートです。
野反湖のダム堰堤を渡って、白砂山登山口から池ノ峠展望台を目指します。
ここはわかりにくいですが、スマホでルートを確認すれば問題ありません。急な階段がしばらく続いて息が切れますが、上がり切った小さな展望台からは野反湖が一望です。
昨日歩いた野反湖のエビ平には湖面から立ち上る移流霧が滝のように逆流するという珍しい光景に遭えることもあります。
ここにはベンチもあるので、ゆっくり休憩しましょう。登山道は池ノ峠展望台からいったん国道405号線と合流しますが、池の峠駐車場の八間山登山道入り口から再び登山道になります。
最初は平坦な森の中を進みます。小さな池を過ぎるとだんだん傾斜が急になってきます。陽もだんだん高くなってきて今日も暑い日になりそうです。しかし山頂までは日陰の涼しい森の中。オコジョに出逢えることもあるかもしれません。
1時間ほど登りを頑張ると白砂山からの登山道が左から合わさって、もうすぐそこが八間山山頂です。
山頂からの景色は素晴らしく、草津白根山から浅間山、榛名山、赤城山、そして名もわからない白砂川源流の山々と白砂山が一望できます。
山頂からの下山コースはパノラマ最高、これぞプチ稜線漫歩を体験!
八間山からの下山ルートは昨日バスで下車した野反峠へ。
山頂部が東西に長いから八間山という名前が付けられた通り、しばらく森の小道を横移動します。抜けると眼下に笹原の大斜面が広がります。
昨日野反峠のベンチから見えた気持ちよさそうな緑の草原がどんなところか気になっていました。
笹原の草原は急な下りですが、眼下に雄大な景色が広がっています。
冬に一面の銀世界になれば、スキーやスノーボードで滑ったら楽しそうなロケーションです。
イカ岩の頭を過ぎるとホツツジの花の尾根歩きです。時々右側に開ける野反湖や湖を取り囲む山々の景色が眼下に広がってプチ稜線漫歩です。
イカ岩の肩の道標からまた急坂を下ります。眼下には野反峠です。途中もウスユキソウやウメバチソウ、マツムシソウなどいろいろな花が楽しめました。
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】山と高原地図 編集部
『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図。深田久弥による「日本百名山」をすべて収録し、主要な山岳エリアを網羅しています。
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