更新日: 2024年7月31日
映画『キングダム』シリーズのロケ地を知ってもっと楽しむ!日本から中国へ、海を越えた撮影秘話とともにロケ地をご紹介
「週刊ヤングジャンプ(集英社)」にて2006年9号より連載中の、原泰久さんによる超人気コミック「キングダム」。舞台は古代中国、春秋戦国時代。中華統一を果たした始皇帝と、彼を支えた武将・李信がモデルの歴史劇です。
そのスケールに「実写化不可能」とも言われた作品。しかし2019年、佐藤信介監督×主演・山崎賢人さんのタッグにて実写映画版第1作『キングダム』が堂々公開。邦画実写作品における興行収入1位を記録し、2024年7月12日(金)には、シリーズ4作目『キングダム 大将軍の帰還』も公開されました!
実写化に付きまとう不安を拭うように、実写映画版の製作には原作・原泰久さんが全面参加。幸せな実写化としてファンからも高い評価を得ている本作ですが、舞台となる中国でのロケが多かったり、コロナ禍に突入してしまったりと、「聖地巡礼」の面では少し物足りなさもあるかもしれません。
ここでは、映画前3作の物語のおさらいをしつつ、明かされているロケ地、撮影のエピソードなどをご紹介していきます。
目次
映画第1作目『キングダム』—物語のおさらい
紀元前245年、春秋戦国時代。戦災孤児で奴隷の少年・信(しん/山崎賢人)と漂(ひょう/吉沢亮)は、いつの日か「天下の大将軍」に成り上がることを夢見て、剣術の修行に励んでいました。
しかしやがて漂だけが王宮へ連れていかれ、二人は離れ離れに。再会の誓いを胸に信は村で修行を続けますが、ある日、瀕死の状態で漂があらわれ、絶命。最期に手渡された地図を頼りに、信は村を飛び出ていきます。
地図に書かれた場所で信が出会ったのは、漂と瓜二つの秦王・嬴政(えいせい/吉沢亮)でした。盟友・漂が王の替え玉として死に至ったことを悟った信は怒りをあらわにするも、刺客の襲撃を受けたことで休戦。嬴政もまた、弟の成蟜(せいきょう/本郷奏多)の謀反で王座を奪われ、流浪の身となっていたのです。
嬴政と敵対することが漂の意に反すると理解した信は、王都奪還への協力を渋々承知。道案内を引き受けた謎の山民族・河了貂(かりょうてん/橋本環奈)と共に、歩みを進めます。
物語の幕開けとなる本作では、シリーズ通して登場する中間管理職・昌文君(しょうぶんくん/髙嶋政宏)、カリスマ性あふれる山の王・楊端和(ようたんわ/長澤まさみ)、そして2作目以降どんどん存在感を増していく大将軍・王騎(おうき/大沢たかお)など、印象的なキャラクターが豪華キャストで続々登場します!
映画『キングダム』のロケ地は実際に中国! 納得の「リアル」
ロケは、多くの部分が物語の舞台である中国でおこなわれています。
ロケ地の拠点として選ばれたのは「象山影視城(ぞうざんえいしじょう)」という映画村。春秋戦国時代の宮殿を再現したオープンセットがあることが、決め手となったそうです。
また、中国だからこそ用意できた約100頭もの「馬」。延べ1万人もの兵士役エキストラ。700人のスタッフ——。かの世界的大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』にも引けを取らないような映像の数々は、こうして「CGではない説得力」から生まれたのですね。
象山影視城
住所 浙江省 寧波市 象山県
映画『キングダム』第1作目のクランクアップは静岡!
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映画の冒頭、信と漂が奴隷として生きる村。このロケ地に選ばれたのは、静岡県裾野市。須山地区にロケセットが設置されました。
時代考証によれば春秋戦国時代の中国・秦は緑豊かだったということで、市民ボランティアの協力により、畑を耕し、木や草を植え、土の色まで当時のものに近づけたのだそう。
ちなみに、総勢200名以上の市民がスタッフやエキストラとして参加したこの「ファーストシーン」の撮影が、じつは全撮影のクランクアップ! そう知った上で、もう一度観てみるのもおすすめです。
国内で映画『キングダム』の気分を味わえる所も
中国だったり、今はもう解体されてしまっているオープンセットだったりと、なかなか「ロケ地巡り」のハードルは高い『キングダム』シリーズ。
そんななか、例えば序盤の「吹き矢の戦い」で舞台となる竹林などは手軽に訪れることができるロケ地です! 場所は、栃木県宇都宮市の「若竹の杜 若山農場」。土日祝は竹林のライトアップもされていて、間違いのない「映えスポット」と言えるでしょう。
若竹の杜 若山農場
- 住所
- 栃木県宇都宮市宝木本町2018
- 交通
- JR宇都宮駅から関東自動車バス山王団地・石那田行きほかで30分、野沢寺前下車、徒歩10分
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 9:00~17:00、土・日曜、祝日は~20:00(最終受付は30分前)、時期により異なる
- 休業日
- 不定休
- 料金
- 入場料(通常時)=大人750円、小・中学生500円、3歳~未就学児250円/入場料(夜間ライトアップ時)=大人1500円、小・中学生1000円、3歳~未就学児500円/
映画第2作目『キングダム2 遥かなる大地へ』—物語のおさらい
原作の「蛇甘平原編」を軸に構成されるシリーズ2作目。
王都奪還から半年。隣国「魏」が侵攻をしてきたという知らせが入り、蛇甘平原(だかんへいげん)に軍が招集されます。
歩兵として戦に加わることになった信ですが、いざ歩兵隊の最小単位である「伍」を組む段になると、集まったのはどうにも頼りなさそうなメンバーたち。中でも、哀しい目をして口数も少ない羌瘣(きょうかい/清野菜名)などは謎しかなく——。
信が初めて戦に加わるエピソードとなるため、スペクタクルだけでなく、信や羌瘣をはじめとする「伍」のメンバーたちが「仲間」としてのチーム感を育んでいくのも見どころ。物語の「先」を見据えたシリーズ2作目として、意義が大きい作品です。
映画第2作目『キングダム2』のロケはコロナ禍の創意工夫に溢れていた
ロケは2020年。映画の制作現場はコロナ禍に突入。しかし、むしろそんなことは思わせないスケールなのがこの2作目です。第1作では予算の都合で描かれなかった合戦シーンもふんだんに盛り込まれ、日本映画の限界突破に挑戦した作品と言えるでしょう。
世界的に映画・ドラマの撮影がストップしていたこの時期。中国ロケも必要な本作を、ではどのようにロケをしたのか。松橋真三プロデューサーはインタビューにて、「究極のリモート撮影」を考えたと語っています。
映画第2作目『キングダム2』での「究極のリモート撮影」とは?
「究極のリモート撮影」について、松橋プロデューサーは「選りすぐりのダイナミックなシーンを中国で現地スタッフに撮ってもらうという方法です」と説明しています。
中国で撮影予定だったシーンを絵コンテに起こし、日本で撮れるシーンと中国でなければ撮れない(大量の馬や兵士が出てくるような)シーンに仕分ける。そして、ジャッキー・チェン作品なども手がけるアクション監督を現地の監督として立てる——。
海を越えたリモート撮影で、およそ1,000人のスタッフ・キャストを動かす。単純に「すごい」ですよね!
映画第3作目『キングダム 運命の炎』—物語のおさらい
原作の「馬陽の戦い」と「紫夏編」を軸に構成されるシリーズ3作目。
蛇甘平原の戦いから、さらに半年ほど後。今度は隣国「趙」が秦へ侵攻してきます。嬴政がこの戦いの総大将に任命したのは、長らく戦場から離れていた王騎。修行中の身にあった信も、王騎と共に嬴政のもとへ戻ってきました。
総大将の命を受けるにあたり王騎は、かねてより嬴政が掲げている「中華統一」という目標の、そのわけを問います。嬴政の信念を支えていたのは、かつて自分を救ってくれた紫夏(しか/杏)の存在。3作目にして、初めて明かされる嬴政の過去。物陰から聞いていた信も、想いを新たに戦地へと向かうのでした。
前作をさらに上回る合戦シーンのスケール感、一方でより深く描かれる人間ドラマ、そして羌瘣を含む「伍」の面々との「嬉しい再会」。さらには、「一本の矢」として仲間を重んじる信の、チームワークが呼ぶ勝利。シリーズ物の醍醐味がいよいよ炸裂する作品となっています。
映画第3作目『キングダム』のロケ地に使われたというGoogleマップで見つけた巨大な空き地
前作同様、コロナ禍ど真ん中に製作された本作は、中国における「究極のリモート撮影」をふんだんに使用。並行して、日本国内でも工夫を凝らしたロケが多数おこなわれています。
例えば「中国のような広大な大地」のロケ地として使われたのは、長野県東御市の工場用地。Googleマップで見つけ出したというこの「巨大な空き地」は、不幸中の幸いと言うべきか、コロナ禍により建設がストップし空き地となっていたのだそう。
高さ約12メートル×長さ約200メートルの巨大なグリーンバックを設置して多くのシーンが撮影されました。
映画第3作目『キングダム』のロケ地は兵庫県にも多数あった
王騎から「飛信隊」という名を授かった信たちが、馮忌(ふうき/片岡愛之助)の首を取るため攻めていった岩山は、兵庫県神戸市北区の白水峡(はくすいきょう)にて撮影。花崗岩が風化した丘陵地の露出した岩肌は、信たちの心が折れそうになるのも納得のロケーション。印象的でしたね。
また、この「馮忌戦」のロケは兵庫県赤穂市の採掘場跡でもおこなわれたとのことです。
日本映画の可能性を切り拓く超大作映画『キングダム』、目撃せよ!
実写化不可能とも言われた人気コミックを、原作者全面協力のもと実写化していくという奇跡。
コロナ禍という未曾有の「壁」が立ちはだかっても、国内最大規模の予算とスケールで逆境を好機に変えていく製作陣の胆力。
気軽に訪れることのできる「ロケ地」が少ないのは寂しくもありますが、実写映画ゆえの「時代性」を含めて、この超大作をお楽しみいただければと思います。そして2024年7月12日(金)公開のシリーズ4作目『キングダム 大将軍の帰還』で、ますます盛り上がりをみせる『キングダム』シリーズ。これを機に一気見してみるのもおすすめです!
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【筆者】353
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ただの雑食な映画好き。——だったはずが、気付けば映画館スタッフに。
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