更新日: 2024年8月22日
「小国和紙」の郷・長岡市小国町で、紙漉き体験やおみやげ選び&ご当地グルメを楽しもう
新潟県第2の都市であり、県中央エリアをめぐる旅の起点としてもにぎわう長岡市。
その南端近くにあって、心癒される里山風景が魅力となっているのが小国町です。
旅行ガイドブックでも取り上げられることの少ない小国町を2023年冬、ぐるりとめぐってきました。
あえて雪に覆われるこの時期を選んだのは、伝統工芸品の「小国和紙」を今に伝える唯一の工房を訪ねて、手仕事のすばらしさに触れ、和紙を使ったお気に入りのアイテムを見つけるため。
そして、夏はキャンプが人気の「おぐに森林公園」で、他地域には出回らない幻のコシヒカリの新米を味わうためです。
雪国だからこそ生まれた「小国和紙」の工房では、製造工程を見学したり、紙漉きを体験したりするのも楽しいですよ♪
目次
新潟県長岡市にある小国町ってこんなところ
上越新幹線が停車する長岡駅から路線バスでおよそ1時間。
長岡市小国町は、信濃川の支流の一つである渋海川沿いの丘陵地帯に続いています。その中心地は四方を山々に囲まれた平地に田畑が広がり、Aランクに格付けされているコシヒカリなどを栽培。
時間が止まったようなのどかな里山風景も魅力となっています。「小国和紙」の里として知られていますが、雪国ならではの生活の知恵を長岡市小国民俗資料館などで学ぶのも楽しみの一つ。
コシヒカリや郷土料理のへぎそばなど、地元で採れた食材を使ったご当地グルメも楽しめます。
小国町への行き方
公共交通機関を利用する場合、長岡駅前から運行している越後交通バス小国車庫前行きを利用するのが一般的なルート(終点まで所要1時間5分/790円)。
多い日でも1日8本と本数が少ないので、事前にしっかりとプランニングしておきましょう。
車の場合は、小国の東側に位置する小千谷ICが最寄りとなります。
小千谷ICからは、国道291・404号を経て約8㎞です。
雪国ならではの「小国和紙」を知ろう
小国町で必ず訪れたいのが、300年を超える歴史を持つ伝統工芸品「小国和紙」を製造する唯一の「おぐに和紙の店」。原料のコウゾの栽培から紙漉きまで一貫して行っている、全国でもめずらしい工房です。
観光で訪れた人でも現場を見学しながら学べる、和紙が完成するまでの製造工程を教えてもらいました。
「小国和紙」ができるまで
白さを追求するために手作業で塵や筋を取り除き、雪にさらすなどのていねいな工程を知れば、和紙への愛着が湧いてきますよ。
ちなみに、和紙をできるだけ白くするのは、見た目の美しさのほか、油脂などが混じって痛むのを避け、保存性を高める効果もあるためです。
「小国和紙」ができるまで 工程①皮引き
葉が枯れる11月頃に原料となるコウゾを収穫。続いて蒸して柔らかくしたら、包丁や専用の機械などで表面の皮を削り取ります。芽の跡やキズも取り除きます。
「小国和紙」ができるまで 工程②雪晒し
冬のよく晴れた日に雪の上にコウゾを並べ、天日に当てるのがこちら。紫外線がコウゾの色素を破壊し、より白く変化させるために行う雪国らしい工程です。この風景が見られるのは、例年2月下旬~3月中旬のおぐに森林公園の駐車場など。晴天が続かない場合は、軒先などに並べて日光に当てます。
「小国和紙」ができるまで 工程③チリより
雪上に晒したコウゾをひと晩水に浸して、釜で4時間ほどかけて柔らかくなるまで煮ます。その後、水の中で広げながら、目についたチリやスジ、キズなどを手作業で取り除きます。このていねいな作業も和紙を白くする大切な工程です。
「小国和紙」ができるまで 工程④紙叩き
コウゾを繊維状にほぐしていくのがこの工程。小国和紙は昔ながらの槌(つづ)という棒で、コウゾを叩きます。叩き解して繊維状になった状態は紙素(かみそ)と呼ばれます。
「小国和紙」ができるまで 工程⑤紙漉き
紙素を紙状にしていくのが紙漉き。漉舟(すきぶね)と呼ばれる水槽に水を張り、紙素とトロロアオイ(ネリ)を入れて均一になるまで混ぜ合わせます。続いて、桁(けた)という木の枠に竹ひごを糸で編んだ簀(す)を挟み、漉舟の水を汲みながら平らな紙になるように縦横に桁を揺すって紙を漉きます。漉いた紙は紙床(しと)という山状に積み重ねます。
「小国和紙」ができるまで 工程⑥紙干やかんぐれ
通常の和紙は1日置いた後に油圧ジャッキを使ってさらに水分を抜き、1枚ずつ剥がして温めた鉄板に張り付けて乾燥させたり、天日干ししたりします。さらに、こちらでは絞らずに重ねた状態のまま雪に埋めて春まで低温保存する、「かんぐれ」と呼ばれる工程を経る和紙も。雪の中は一定の温度のため、腐らず凍らずに保存できます。
「小国和紙」の紙漉きを体験してきました
木枠で原料をすくい上げて作る本格的な「小国判」(29㎝×39㎝)と、長岡市寺泊で生産される曲げわっぱに流し込んで作る「わっぱ型」から選べます。すいた紙には、切り紙や草花で模様をつけることもOK。好きな絵柄を伝えれば、その場で切り紙を作ってもらえるのもうれしいポイントです。
さらに、柄や色の入った和紙を使って、4種類から形を選ぶ「こあんどん」作り、和紙を花びら型にしたパーツに色を付けていく「和紙の花びらアクセサリー」作りもできます。
●事前に要予約/1組で最大5名まで体験可能
●10:00~16:00(おぐに和紙の店の営業時間)
●紙漉き1組4400円/こあんどん作り1人1320円/和紙の花びらアクセサリー作り1320円
「小国和紙」のかわいい雑貨をチェック!
工房にはショップも併設されていて、やさしい風合いの雑貨がそろっています。生活に取り入れやすいアイテムも多いので、旅の思い出にお気に入りを探してみましょう。
TEL:0258-41-9770
営業時間:10:00~16:00
定休日:土・日曜、祝日(予約があれば営業)
所在地:長岡市小国町小栗山145
アクセス:小国車庫前バス停から徒歩20分
駐車場:10台
小国町の人気スポット「おぐに森林公園」へ!
おぐに和紙の店から歩いて20分ほどの山の中腹にある複合施設。グリーンシーズンは林間でのキャンプが人気で、最近は雪中での冬キャンプも話題を集めています。
準天然温泉を引く入浴施設「養楽館」には、食堂も併設。多彩なメニューがそろうなか、他店などに卸していない地元産のコシヒカリを使った、おにぎりセット500円はぜひ味わいたい逸品です。そのほか、和紙を使った作品作りやそば打ちなどの体験なども開催しています。
TEL:0258-95-3161
営業時間:【日帰り入浴】10:00~20:00(閉館は21:00、12~3月は~19:00、閉館は20:00)、【食堂】11:00~14:00、17:00~19:00(土・日曜、祝日は11:00~20:00、12~3月の土・日曜、祝日は~19:00)
定休日:水曜
料金:日帰り入浴大人400円、小人200円
所在地:長岡市小国町上岩田208
アクセス:小国車庫前バス停から徒歩20分
駐車場:50~60台
小国町のランチは「へぎそば」の人気店へ!
厳選したそばとふのりをつなぎに使った、新潟名物のへぎそばの人気店。のど越しのよさを味わうなら、冷たいそばがおすすめ。地元の野菜を使った天ぷらやカツ料理も人気です。
TEL:0258-95-2366
営業時間:11:00~19:00
定休日:火曜
所在地:長岡市小国町諏訪井52-4
アクセス:小国車庫前バス停から徒歩30分
駐車場:あり
小国町のお土産は「笹だんご」がおすすめ
こちらの和菓子店のおすすめは、地元産のもち米や笹、自家製の餡子で作られる笹だんご。新潟の郷土料理として県内全域で買えますが、一般的な笹だんごに比べて、笹の葉がフレッシュな状態なので色味も風味もバツグンです。
TEL:0258-95-3419
営業時間:8:00~18:00
定休日:水曜
所在地:長岡市小国町法坂923-1
アクセス:健康センター前バス停からすぐ
駐車場:6台
新潟・佐渡の新着記事
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】ブラックフィッシュ
SNS
国内、海外を問わず、旅行系のメディアを制作するチーム。30年近くにわたって、旅行ガイドブックや旅雑誌などを制作し続けています。とくに箱根や千葉、新潟は、現地での広いネットワークを生かして多彩な情報を発信。各地をじっくりとめぐったからこそ見つけられた、知られざる穴場スポットも続々と発掘していきます。
さらに、それぞれ異なる趣味趣向を持ったメンバーが集まっていますので、多彩なジャンルの記事も手がけていく予定です!