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2023年「駅弁大会」で楽しむ日本縦断、駅弁の旅!

駅弁こんしぇるじゅマルワ

更新日: 2023年1月26日

2023年「駅弁大会」で楽しむ日本縦断、駅弁の旅!

全国津々浦々から、ふるさとの味が届く『京王百貨店 元祖 有名駅弁と全国うまいもの大会』。300種類以上が集結する駅弁の中から、昨今の物価高騰に負けない1個千円前後の美味しい駅弁をご紹介。現地直送の「輸送駅弁」を中心に、実食主義の筆者が自信を持っておすすめする「駅弁で綴る日本縦断の旅」をお届けします。

※各駅弁の販売駅名は、代表的な販売箇所を記載しています。

「第58回 元祖 有名駅弁と全国うまいもの大会」

「第58回 元祖 有名駅弁と全国うまいもの大会」

例年1月中旬に開催され半世紀以上の歴史がある『京王百貨店 元祖 有名駅弁と全国うまいもの大会』の醍醐味は、なんといっても全国の有名駅弁が一堂に会する “博覧会” 的な楽しさ。とくに、毎日現地から直送される「輸送駅弁」の充実ぶりは目を見張るものがあります。開店直後は商品を積んだワゴンが山盛りで、順に眺めているだけでもワクワク! 今回は、駅弁大会にエントリーされた約300種類の中から、1個千円前後のお手ごろな駅弁を中心にご紹介していきましょう。

1■カニ・サケ・イクラ 素材の紅さが際立つ 北海道エリア

はじめは東日本、北海道の駅弁です。圧倒的に海鮮ものが多く、カニやイクラの写真を使ったパッケージがずらりと並ぶと、その一帯がぽわっと紅く染まって見えるほど。ひと目見て内容がわかるのは写真のメリットですが、盛り付けは違えど生食の素材は見た目が同じ。どの駅弁もイメージが似かよってしまい、差別化が難しいようです。ここはひとつ、一点豪華主義で自分が一番好きな食材を選ぶのがコツかもしれません。

手堅いところで、札幌駅のロングセラー『石狩鮭めし』1,250円。濃厚な磯の香りを楽しむ厚岸(あっけし)駅『氏家かきめし』1,190円、パツッと張りのいいイカが魅力の森駅『いかめし』880円。この3品は、北海道の定番駅弁として一度は味わってほしい名品。お手ごろ価格の中では、海の幸がいろいろ楽しめる札幌駅『海鮮えぞ賞味』1,100円、もちもちごはんが美味しい釧路駅『釧路のかに飯』1,080円、珍しいところで札幌駅『ジンギスカン丼』1,000円がおすすめ。ジンギスカン鍋を模した容器もポイントです。

2■ご当地色を前面に打ち出す個性派ぞろい 東北エリア

こちらは東北エリア。一転して「肉」の駅弁が優勢。秋田は鶏、宮城は牛タン、山形は牛肉と、それぞれの地域の強みを打ち出して、選択肢の幅が広いエリアです。
買いやすい価格帯では、ご当地色の豊かな新青森駅『十和田バラ焼き重』1,200円がユニーク。牛バラ肉とたっぷりの玉ねぎを甘辛いタレで調理する、青森県十和田市のご当地B級グルメがメイン。一ノ関駅『金格ハンバーグと牛あぶり焼き弁当』1,380円は、和と洋を合わせた独自路線が光っています。がっつりお肉を食べたい方に。

県外では買いにくい大館駅『鶏めし弁当』920円は、駅弁大会などで見掛けたときが購入のチャンス。ふんわりと甘いごはんと弾力のある鶏肉のマッチングが最高。秋田駅『秋田比内地鶏いいとこどり弁当』1,150円は、フタを開けると「いぶりがっこ」のスモーキーな香りが立って個性的。お米が好きなら、郡山駅『海苔のりべん』1,100円が味・コストともに鉄板です。
今回の駅弁大会で初めて食べた米沢駅『牛肉どまん中(カレー味)』1,350円は、写真に撮ると、オリジナルの『牛肉どまん中』との見分けがつきません。匂いも控えめ。おかずも同じ。でも、食べると甘口のドライカレーといった味わいで、まったくの別物になっているのが面白かったです。みそ味、塩味といった姉妹品の中で、このアレンジが一番意外性があって好みでした。

3■身近なようで案外知らない名品ぞろい 関東エリア

続いて関東。まさに「灯台もと暗し」で、近いからいつでも買える、と後まわしにしがちなところ、実は案外手に入りにくい商品があるのです。
東海道新幹線の改札を入らなければなかなか買えない「JRCP(ジェイアール東海パッセンジャーズ)」の駅弁は、ふだん新幹線を使わない方へ特におすすめ。定番の幕の内『東海道新幹線弁当』1,080円は、見るからに旅情をそそられるパッケージ。東海道新幹線沿線の名物料理が楽しめる豪華版です。『品川貝づくし』1,080円は筆者の大のお気に入りで、茶飯の上に5種類の貝(ハマグリ、アサリ、シジミ、貝柱、焼きホタテ)を豪快に敷き詰めた逸品。貝といえばホタテや牡蛎のイメージですが、小粒だって、負けてない。貝の力量に圧倒される美味しさ。
東京の郷土食『深川めし』1,000円は、東京駅「駅弁屋 祭」などで購入できる「日本ばし大増」(JR東日本グループ)版の『深川めし』980円と食べ比べるのも一興。同じネーミングでも、具や味わいがまったく異なるので、面白いですよ!

東京都内では買いにくい、千葉駅の駅弁もおすすめです。低価格帯の代名詞ともいえる千葉駅『トンかつ弁当』が、ついにワンコインを卒業して620円になりましたが、その知名度と人気は衰えず。また、昨年の大河ドラマで注目を集めた鎌倉では、「鎌倉ハム」を刻み入れた変わり種と、生姜・梅・抹茶の3色を詰め合わせた『名代 鎌倉いなり』650円が美味しかったです。見た目が単調になりがちな稲荷ずしも、味や色彩にバリエーションがあると楽しさが増しますね。ちょっとした手土産にもおすすめ。

4■海鮮好きを唸らせる豊富なラインナップで勝負 北陸エリア

そして北陸。日本海側の海の幸をたっぷり使った駅弁が、どっ!と勢ぞろい。北陸といえば、まずはノドグロ。そしてカニや甘エビ、サバにマス。調理系海鮮がお好きな方は、ぜひこのエリアのラインナップにご注目。北陸の駅弁は、写真を多用せず、イラストやデザインで勝負。同じ海鮮系ながら、生食が多い北海道の駅弁とはパッケージのイメージが異なる点も、売場鑑賞のポイントです。
富山駅『源 ぶりかまめし』1,350円は冬季限定。肉厚で脂ののったブリカマは箸でほろほろと崩れるほど柔らかく、鳴門産わかめのキュッキュした歯ごたえ、わさび風味の軽やかな酢飯が最高。加賀温泉駅『輪島朝市弁当』1,100円は、日本酒のアテにぴったりなおかずがたっぷり。駅弁のお供に、地元のお酒を選んでみては?

「鉄道開業150周年」を迎えた昨2022年(令和4年)は、各地でこれを記念する駅弁が多数販売されました。かつて使用されていた掛け紙の復刻や、地域の味わいを集結させた新作が誕生して、華やいだ雰囲気がお祭り気分を盛り上げたと思います。
富山駅『復刻 ますのすし小丸』1,100円も、そのひとつ。笹に包んだ円い形はそのままに、おひとり様で食べきれる可愛いサイズになりました。復刻版のレトロな掛け紙も魅力的。添付のナイフで切り分けながら、独り占めする楽しさが味わえます。駅弁の中では比較的長くもつので、手土産にも。北陸の海の幸をあれこれ楽しみたい方には、ちょっと奮発して、加賀温泉駅『鉄道開業150周年記念弁当 北陸めぐり』1,580円もおすすめ。

5■さすが米どころ、歴代の名物駅弁がずらり 甲信越エリア

甲信越も、幅広い食材で駅弁のバリエーションが豊かなエリア。新潟駅『えび千両ちらし』1,500円や上越妙高駅『鱈めし』1,400円、小淵沢駅『ワインのめし』1,500円など、駅弁の人気イベント「駅弁味の陣」でグランプリを受賞した歴代の名物駅弁がぞろぞろ並びます。
米どころゆえ、ごはんの美味しさもピカイチ。高く積み上げた商品へ次々と手が伸びていき、あっという間に山が低くなっていく様が爽快です。価格帯は若干高めですが、食べたことがなければ、ここは迷わず殿堂入りの駅弁を堪能してください。少しお高く感じても、食べてみれば納得の味わい。後悔はさせません!

今年の駅弁大会で注目を集めたのは、フードロス対策を謳う「SDGs駅弁」として登場した、人気駅弁の “端材” を活用したおにぎり。小淵沢駅『八ヶ岳高原の鶏めし』も、通常品が1,080円のところ、端材をギュッとにぎったおにぎりが1個400円で販売されていました。物価高騰の煽りを受けて駅弁の高価格化が進む中、新たな選択肢をもたらしたと思います。

6■押しの強さは日本一!我が道をいく赤味噌文化圏 東海エリア

続いて西日本へと移りましょう。まずは東海エリア。太平洋側になると、食材にウナギやアナゴ、キンメダイなどが登場します。手ごろな価格帯の商品が多いのも魅力的。熱海駅『甘鯛と金目鯛と穴子の合いのせ膳』1,230円は、一度に3種類の味わいが楽しめるオトク感、ごろっと大きなエビが嬉しい名古屋駅『大えび天むす』690円は、可愛い値段と見た目で会場でも人気がありました。

駅弁のチョイスに迷ったとき、「味めぐり」系の駅弁はとても便利。東海地方の名物をまとめた『鉄道150周年記念弁当 東海味めぐり』1,580円もそのひとつです。静岡のしらすと桜エビ、岐阜の赤かぶらと飛騨牛、三重のトンテキと松阪牛、愛知のあんかけスパと味噌かつ。進行方向の順で食べると旅気分も深まります。

牛の顔の形をしたフタを開けるとメロディが鳴るサプライズ付きで一躍人気になった、松阪駅『モー太郎弁当』1,500円は、今年で誕生から20年。ネーミングも『二十歳・成人式のモー太郎弁当』と改めての登場となりました。駅弁の苛烈な競争の中で20年も愛されるのは、その実力にほかなりません。冷めても柔らかいお肉と脂のうまみは感動もの、数ある牛肉駅弁の中でもトップクラスの美味しさです。成人式の思い出に、同じ年の駅弁はいかが?

東海エリアで特に異彩を放つのは、なんといっても愛知のご当地グルメ。味噌、味噌、味噌!と、畳みかけるようなネーミングが特徴です。赤味噌文化圏の押しの強さ、見習いたいかも。せっかくなので、名古屋めしの代表格2種類が味わえる『大海老フライ&味噌ヒレカツ弁当』1,200円など、いかがでしょうか。名古屋城のシャチホコを連想させる金ピカのパッケージが強烈。見た目のとおり、ボリュームも満点です。
ちなみに、金のキラキラが映えるパッケージでは、関東エリアの東武日光駅『SL大樹(たいじゅ)日光埋蔵金弁当』1,450円も負けていません。埋蔵金?をザクザク掘れるよう、お土産に持ち帰れるスコップ型のスプーンが付いています。マツケンサンバでも聴きながら陽気に食べ比べると、金運を呼ぶかもしれませんよ??

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

駅弁大好き歴25年。平成の”Windows95”時代から某IT企業のインストラクターとして全国の官公庁・小中学校へのパソコン導入に携わりながら、各地の駅弁や名産品を食べ続けるうち「うまいもの」「みやげもの」で日本地図が描けるようになりました。これまで全国を旅して食した駅弁は2,000個以上、「駅弁大会」と聞けば連日通って“大人買い”、休日は朝昼夕と駅弁が食卓に並ぶような家庭です。時々ちょっと苦手な食材もありますが、そこはすべて「実食」してのルポがモットー。食味の感想には個人差がありますので、その点はご容赦ください。