更新日: 2024年9月8日
山の天気を学んで、もしもに備えよう!【山と高原地図編集部 連載 Vol.4】誰もが頷く!?登山あるある
登山をする際に、直前まで気がかりなことと言えば‥そう、「山の天気」ですよね。
せっかく準備を整えていざ登ろう!としても土砂降りだったら悲しいもの。
しかし山の天気は変わりやすいものなので、起こり得る気象事象を事前に理解・想定しておくことで、より安心安全に登山を楽しむことができますよ。
目次
今回の登山あるあるは?
友達の誘いにのって登山を始めたものの、今ではその魅力にどっぷりな20代。
日帰りから小屋泊テント泊まで色々チャレンジしてみたい!
最近の疑問は、登山中にすれ違うお姉さま方のメイクが何故崩れないのかということ。
稀に見る好天の登山日和に恵まれたちず子ちゃん。山頂からの展望が素晴らしいと言われる今回の山!ワクワクしながら山頂にたどり着いたものの、そんな時に限ってあたりにガスが漂い始めるのでした。
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今回の登山あるある、頷く方も多いのではないでしょうか?
登頂した時に限ってガスに見舞われ、いざ下山し始めると先ほどまでのガスがウソのように晴れ渡る‥。時間的にも体力的にも登り返すわけにもいかないし、後から降りてきた人に「いやあ、凄い展望だったね!」なんて言われた日には、悔しくて悔しくてたまらない。
そんな気まぐれな山の天気を、皆さんはどれほど理解していますか?
そもそも何故、山の天気は変わりやすいのか?
そもそも何故山の天気は変わりやすいのでしょうか?答えはシンプル、「山があるから」です!
上の図を参考に確認してみましょう。
海から吹き込む湿った空気が平地(左図)に入ったとしても、地形上雲は出来にくいです。一方で山(右図)があると、山肌に沿って水蒸気が上昇させられ、断熱膨張 ※します。これによって大気中の水蒸気が水滴に変わり雲となり、時には雨と変わっていくのです。
反対に山肌に沿って下降していくと、断熱圧縮 ※により雲が消滅します。この場合、天候に恵まれることが多いです。しかし山は複数の尾根・谷によって複雑に地形が入り組んでいるため、風向きが安定せず、天気が変わりやすいと言われているのです。
※本項における断熱膨張、断熱圧縮とは
断熱膨張:空気の体積が大きくなり、気温が下がること
断熱圧縮:空気の体積が小さくなり、気温が上がること
山の天気① 晴天
全登山者が望むであろう天気、晴天。視界良好の中、遠く続いていく稜線を見ると、どこまでも歩いて行ける気持ちになります。
ちなみに雲一つない快晴のことを「ピーカン」とも言います。
この言葉、元々は映画業界で使われ出したと言われており、その由来は「ピントが完全でなくとも、良い画が取れるくらいの青空」からきているとか。その一方で、「太陽がピーピー晴れて、カンカン照りだったから」「晴れ渡る青空がタバコのピース缶の色に似ていたから」などなど。その語源は今も曖昧で明かされていないようです。
一方で好天と言えども注意すべき点もあります。
気温・湿度の上昇や登山という激しい筋肉運動は、汗と皮膚温度での体温調節を怠ると、身体にどんどん熱が溜まっていき熱中症を引き起こします。
予防するためにも、帽子の着用、水分と塩分のバランス補給を心掛けましょう。
登り始めは急ぎ進むのではなく、身体を暑さに慣らす意味でもスロースタートが適切です。
好天時に見られる特別な気象事象:ブロッケン現象
好天時に見られる特別な気象事象として、ブロッケン現象が挙げられます。
朝夕の斜光線の時間帯に見られることが多く、太陽を背にして霧が流れ込む稜線上に立てば、伸びた影の周りに円形の虹が浮き立ちます。滅多に出会う事が出来ない景色なので、見られた方はラッキーかも!?
山の天気② ガス、霧
山では想像を超えるガス、霧にまかれることがあります。濃い霧の場合は濃霧と呼ばれることもあります。
積雪時の場合にはどこが雪面か、どこが空かも区別することが難しくなりますし、夏山の場合にも、正しいルートを導く紅がらやペンキ印を見落とす危険性があります。
こうした場合の対処法は「動かないこと」です。一時的にもガス、霧が薄まって周りの状況を確認できるチャンスを待ちましょう。待っている間は焦るかもしれませんが、無闇に動き回ることだけは控えましょう。
山の天気③ 雨
天気予報では晴れだと言っていたのに雨が降ってくる、山ではあるあるですね。
平地に比べて温度が低く、風も強く吹く山では、夏であっても低体温症に繋がる危険性があります。まずは体温を下げないことが第一です。レインウェアはザックのすぐに取り出せる場所に入れておきましょう。やむを得ず雨の中を進む場合にはレインウェアを雨や風が入らぬようにきちんと着用して進みましょう。
加えて雨による川や沢の増水にも要注意。増水したそれらには絶対に近づかず、可能であれば引き返す、もしくは迂回路を使用しましょう。
山の天気④ 雷
雷は入道雲が発達し、雷雲となることにより発生します。
いつどこで発生するかを知ることは困難ですが、雷が発生する前兆はいくつかあります。ラジオに雑音が入り始める、遠くで雷鳴が聞こえる、帯電により地面がジリジリと鳴り出すなど‥こういった前兆が見え始めたら一刻の猶予もないと思ってください。
雷が鳴り始めてしまったら、すぐに近くの山小屋に避難しましょう。もしなければ、樹林帯やくぼみへ。その際木の真下ではなく、枝からは3、4m以上離れたところで姿勢を低くすることが重要です。
稜線に出ているのであれば少しでも下って標高を下げることも対策としてあげられます。特に山頂や突起部分に居た場合は、すぐにその場から離れましょう。
天気予報を登山計画にどう活かす?
近年、天気予報の精度が上がってきているとはいえ、局地的な地形、風向き等に左右される山の天気は、平地の予報と比べるとその精度にばらつきがあります。
しかし、おおむねの傾向はテレビの天気予報から参考にすることも可能です。一般に週間予報の精度に比べると日々の天気の予報精度の方が高いので、週間予報で傾向を掴んだら、山行の3日前には最終決定を出しましょう。
また山専門の天気予報サイトや行き先の山小屋のホームページなど、多角的に情報収集をしていきましょう。
山と高原地図で登山を楽しもう
『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図です。谷や尾根、等高線や登山道を綿密に描き、実踏調査に基づいた登山ルート・コースタイムなどを掲載、
その『山と高原地図』シリーズアプリは、慣れ親しんでいる地図をお手持ちのスマートフォンでも見られるだけでなく、GPSを使って地図上で現在地を確認したり、自分が登ったルートの記録をする、といった機能により 登山・ハイキングがますます楽しくなるアプリになっています。
記録したルートをメールで送信して、PCで登山記録を管理したり、登山コミュニティサイトに投稿して記録を共有することもできるので、活用方法は無限に広がります。地図データは全てスマートフォン本体に格納しますので、携帯電話の電波が届かない山中でも安心して使用することができますよ。
アプリアイコン | ||
アプリ名称 | 山と高原地図 | 山と高原地図ホーダイ |
料金 | DL1回につき650円(税込) | 月額500円(税込)もしくは 年額4800円(税込) |
DLできる登山地図 | 1回のDLで山と高原地図1エリア分をDL可能 | 山と高原地図全63エリア分をDLし放題 |
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】山と高原地図 編集部
『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図。深田久弥による「日本百名山」をすべて収録し、主要な山岳エリアを網羅しています。
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