更新日: 2024年7月30日
家呑みに駅弁はいかが? お取り寄せOKもある「おつまみ駅弁」ベスト10選
春は、出会いと別れの季節。お子さんの卒業・入学といったお祝いごとや、就職、転勤など、人生の節目となるイベントが多いのもこの時期です。本来なら皆が集まって、お酒を酌み交わして語らう場面も、今はまだ自粛ムード。そんな折には、家吞みにぴったりの “おつまみ駅弁” はいかがでしょうか。
今回は、お酒――日本酒に限りません――によく合う、おつまみ(関西でいうアテ)になる “おすすめ駅弁” をご紹介します。お気に入りのお酒を用意して、ゆったりした時間を過ごしませんか?
※掲載は順不同です
※時期や年によっては販売していない駅弁もあります
目次
- 1 『鰊みがき弁当』 函館みかど(函館駅・新函館北斗駅)980円
- 2 『浜べん』 小名浜美食ホテル(いわき駅)1,480円
- 3 『湘南チョイス つまんでよし、食べてよし』 大船軒(大船駅ほか)1,100円
- 4 『磯の漁火』 ホテルハイマート(直江津駅)1,250円
- 5 『輪島朝市弁当』 高野商店(金沢駅)1,100円
- 6 『山陰の旬の味 とっとりの居酒屋 ふるさと鳥取の宴』(アベ鳥取堂・冷凍品)1,500円
- 7 『せとうち横丁 おつまみ弁当』 三好野本店(岡山駅)1,200円
- 8 『ワインのめし』 丸政(甲府駅)1,500円
- 9 『Suicaペンギン 東北つまみぐい弁当』(日本ばし大増)1,200円(終売)
- 10 『津軽めんこい懐石弁当 ひとくちだらけ』 つがる惣菜(弘前駅・新青森駅)1,350円
- 人気駅弁をゲットするには?
- お気に入りの駅弁とお酒でリフレッシュ
1 『鰊みがき弁当』 函館みかど(函館駅・新函館北斗駅)980円
カニ、ウニ、カキ、ホタテ、鮭、イクラ――。新鮮な海産物が豊富に獲れる北海道には魅力的な駅弁がたくさんありますが、その中から “お酒に合う” スペシャルな一品を選ぶとしたら、「函館みかど(JR北海道フレッシュキヨスク㈱)」の『鰊みがき弁当』をおすすめします。鰊(ニシン)の旬は3~5月。北海道を代表する「春告げ魚」ともいわれることから、この季節にぴったりではないでしょうか。
この駅弁は、1966年(昭和41年)の発売から半世紀以上の歴史を持つロングセラー商品。天日で干したあと秘伝のタレでじっくり煮込み、一晩寝かせて、骨までほろっと柔らかくなった「鰊の甘露煮」と、黄金色でプチプチこりこりの食感が魅力の「数の子」。どちらもお正月にいただく「おせち料理」の主力メンバーだけに、ちょっぴり贅沢な気分も味わえます。JR東日本が開催した「駅弁味の陣2018」では、購入者のハガキ投票で「味覚賞」を受賞しました。
親と子の競演を引きたててくれるのは、やはり日本酒でしょう。表面に “けしの実” を振った鰊の、深い照りと甘さ。その奥に感じられる微かな苦み。そして、数の子の控えめな塩味とのバランス。それらがお酒の香りと相まって鼻に抜けるとき、思わず目を閉じて余韻を追いたくなるかもしれません。
最後は、ニンニクと唐辛子を隠し味に使った茎わかめの醤油漬と、大根のみそ漬でごはんを。上ものを先に食べてしまっても、甘露煮のタレがしみているので、最後まで美味しくいただけます。
駅弁の函館みかど JR北海道フレッシュキヨスク
公式サイトはこちら:https://www.hkiosk.co.jp/mikado/
2 『浜べん』 小名浜美食ホテル(いわき駅)1,480円
2011年(平成23年)に東日本大震災と原発事故で寸断されたJR常磐(じょうばん)線。それから9年後の2020年(令和2年)、全線復旧を記念して販売された駅弁です。
調製元は福島県いわき市の「小名浜(おなはま)美食ホテル」。この『浜べん』は、「駅弁味の陣2020」に新作駅弁として参加、南東北部門でエリア賞を受賞しました。通販では「東北・関東・信越・北陸・中部地域」のみへの販売・配送が可能です。
「潮目の海」と呼ばれる常磐沖の豊かな漁場で水揚げされた海産物がギュっと詰まっています。パッチワークのような鮮やかな色彩のセンターポジションを飾るのは、自慢の「ウニの貝焼き」。高級食材の存在感を存分に発揮しています。ほかにも、カツオおろし煮、サンマみりん干し、メヒカリ・ホタテひも・わかめの唐揚げ、さつま揚げなど、つまみに嬉しいラインナップ。締めのごはんも、鮭とイクラ、牛しぐれ煮がたっぷり乗って、飽きずにいただけます。おかずをアテに軽く飲んでから、最後にしっかり食事をしたい人におすすめ。
3 『湘南チョイス つまんでよし、食べてよし』 大船軒(大船駅ほか)1,100円
次にご紹介するのは、大船軒(神奈川県鎌倉市)の『湘南チョイス つまんでよし、食べてよし』。江の島近海をイメージする青海波を背景に、躍るアジのイラストとポップなフォントが、楽しい雰囲気を醸しています。「駅弁味の陣2021」では、新作駅弁としてエントリーされました。
調製元の大船軒は、1898年(明治31年)創業。翌年に日本初のサンドイッチ駅弁『サンドウヰッチ』を発売して人気を博し、大正に入ると『鰺(アジ)の押寿し』が大ヒット。どちらも湘南名物として、今に続くロングセラー商品になっています。2022年(令和4年)のNHK大河ドラマは、地元「鎌倉」が舞台。鎌倉みやげとして企画された駅弁も続々登場し、さらに躍進が期待される調製元です。
ご覧ください。中身はこのとおり、色とりどりの華やかさ! 三崎マグロの角煮や鰺マリネ、しらすのごま油炒めなど、地元食材を活かしたメニューはもちろん、合鴨スモークや明太ポテトサラダといった洋風のおかずも入り、どこから食べるか箸先が迷ってしまう賑やかなラインナップ。見ただけでもウキウキしませんか?
ビールやハイボールを片手にチマチマつまんで、締めは自慢の押し寿司と3色いなり寿司で胃袋もしっかり満たされるこの商品。実は、惜しくも終売となった2種類の人気駅弁、おつまみだけを詰めた『湘南チョイス』と、お酒に合うおかずに自慢の押し寿司などを合わせた『つまんでよし、食べてよし』の2品をドッキングして復刻した、いいとこどりの「進化版酒肴駅弁」なのです。美味しい進化は嬉しい限りです。
4 『磯の漁火』 ホテルハイマート(直江津駅)1,250円
次は日本海側、新潟県の直江津(上越市)から実力派のおつまみ弁当をご紹介。JR東日本が毎年開催する「駅弁味の陣」で幾度も受賞経験のある調製元、「ホテルハイマート」が手がける『磯の漁火(いさりび)』です。2012年(平成25年)には、この商品が準グランプリ「駅弁副将軍」に選ばれました。
片手に乗るサイズの2段重。黒い外箱に白い掛け紙、紅い掛け紐が高級感を演出しています。マチのあるビジネスバッグや紙袋に収まりやすい大きさで、持ち運びしやすい点でもプラスの評価。新潟は米どころ、美味しい日本酒もそろっていますから、ここは奮発して、ふだんよりちょっぴり贅沢なお酒をお供に選んでみては? リッチな晩酌タイムを楽しめること、請け合いです。
上段はおつまみ、下段には、締めにいただける梅、鮭のおにぎりと、わさび漬けが入っています。
まず目を引くのが、地ものの「殻付きサザエ煮」。殻から楊枝でチョイチョイ……、スポッと身が出せると気分がいいですね。コリコリとした食感と肝の苦みが、日本酒にとてもよく合います。彩りを添える甘えびの素揚げ、ニシンの昆布巻き、焼いたスルメイカ。日が暮れて、海岸線を走る車窓から眺める日本海の向こうにチラチラと漁火が見えたなら、思わず「肴はあぶった イカでいい~♪」と鼻歌(舟唄)を歌いたくなる、そんなこだわりのラインナップです。カニの身が入ったもずくは、甘みのある三杯酢。お酒がまわって、程よく温まった喉をつるりと通る冷たさがなんともいえません。磯の香りいっぱいの商品、予約が必須です。
ホテルハイマートには、ほかにも『鱈(タラ)めし』や『鮭めし』といった名物駅弁が勢ぞろい。どれも日本酒と相性バッチリです。最近は姉妹品『にしんめし』も登場し、「駅弁味の陣2021」で準グランプリ(駅弁副将軍)にも選ばれました。機会があれば、先述した函館『鰊みがき弁当』との食べ比べも、ぜひお試しあれ。
ホテルハイマート
公式サイトはこちら:http://www.heimat.co.jp/
5 『輪島朝市弁当』 高野商店(金沢駅)1,100円
続いてご紹介するのは、1896年(明治29年)創業、北陸で最初に駅弁を販売した「高野商店」(石川県加賀市)から、北陸の海の幸をふんだんに使った『輪島朝市弁当』です。筆者は、年始めに開催される京王百貨店「全国有名駅弁とうまいもの大会(以下、駅弁大会)」の輸送駅弁コーナーでゲットしました。
輪島の朝市は、日本三大朝市に数えられる日本有数の市場。遠く平安時代から千年の歴史を持ち、今もなお食材流通の要として賑わっています。この駅弁は輪島市朝市組合公認ゆえ、自然と期待も高まります。
フタを開けると、……来ました、磯の香り! カキめしに載った能登産のカキが、 “待ってました、さぁ召し上がってください” とばかり、存在感を放っています。ぷりぷりのカキからいただくか、それとも最後に残しておいて、カキめしと一緒に食べるべきか、のっけから悩ましいことこの上なし。
このほかに、厚焼き玉子、白身魚のふんわり揚げ、イカとわかめの酢の物、サザエの “いしる煮”、タラコ旨煮、ブリ角煮、 “中島菜” 入り固豆腐、ゴリの佃煮、大根味噌漬け。一般的な幕の内弁当の構成と異なり、海鮮ものが中心のラインナップは、日本酒のアテにぴったりです。
“いしる” は、イワシやサバを塩漬けし、木樽で1~3年ほど発酵させた魚醤のこと。濃厚なうまみ調味料とでもいいましょうか。また、 “中島菜” は能登の伝統野菜で、独特の苦みと辛味が特長。関東ではお目にかからない野菜なので興味がわきます。
最近では、冷凍便で通販も始まりました。電子レンジで加熱、または自然解凍でいただけるので、気軽に“おうち居酒屋”が楽しめます。冷凍品の盛り付けは駅売りのレギュラーと少し異なりますが、値段と内容は同じです。合計5,000円以上の注文で送料が無料になるのも嬉しいですね。
おべんとう 高野商店 全国発送可
公式サイトはこちら:http://obentou-takano.com/
6 『山陰の旬の味 とっとりの居酒屋 ふるさと鳥取の宴』(アベ鳥取堂・冷凍品)1,500円
日本海側からもうひとつ。1910年(明治43年)創業、名物駅弁『元祖かに寿し』で有名な「アベ鳥取堂」の『山陰の旬の味 とっとりの居酒屋 ふるさと鳥取の宴』をご紹介しましょう。
この商品は、もともとある駅売りのレギュラー駅弁『山陰の旬の味 とっとりの居酒屋』をアレンジし、「プロトン凍結」という最新技術で急速冷凍。クール便で国内流通できるようにしたものです。通販でお取り寄せできると知って、筆者もさっそく公式サイトから注文。冷凍技術の進歩と流通インフラのおかげで、傷みやすい食材や未経験の郷土料理を気軽に楽しめるのがうれしいですね。
山陰鳥取ならではの食材を豊富に使い、酒のアテに合う郷土料理を14種類、ぎっしり詰めた「居酒屋風駅弁」。センターポジションで “Vサイン” を見せるカニ爪が、何ともいえずキュートです。葉物野菜や、フルーツなど、繊維質の多い食材には冷凍に向かないものもあるため、冷凍品の商品化に合わせて一部食材が変更されました。
①ハタハタ押し寿し(飛魚寿し)、②ボイルいか(いか寿し)、③飛魚竹輪、④豆腐竹輪、⑤飛魚の梅紫蘇巻フライ、⑥鳥取牛の煮込み、⑦飛魚竹輪のきんぴら、⑧豆腐竹輪とわかめの酢味噌和え、⑨いかの子煮つけ、⑩山芋短冊揚げ(長芋の天ぷら)、⑪生姜甘辛煮カニ爪添え(大根なますカニ爪添え)、⑫鶏肉の南蛮漬け(あまさぎの南蛮漬け)、⑬スルメの麹漬け、⑭胡瓜の醤油漬け(甘酢ラッキョウ)
※カッコ内はオリジナル版のメニュー
美味しくいただくコツは、冷蔵室で “じっくり解凍”。「よし! 今夜は家呑みするぞ!」と思ったら、その日の朝に冷凍庫から取り出して、冷蔵室へ。約12時間後、帰宅するころにはちょうど食べごろになっています。プレミアムフライデーにいかがでしょうか。
アベ鳥取堂 全国発送可
公式サイトはこちら:https://www.abetori.co.jp/
7 『せとうち横丁 おつまみ弁当』 三好野本店(岡山駅)1,200円
海鮮系の駅弁が続いたので、今度は瀬戸内の “うまいもの” をご紹介しましょう。1891年(明治24年)、岡山駅開業と同じくして創業した「三好野(みよしの)本店」(岡山市)がつくる、その名もずばり『せとうち横丁 おつまみ弁当』です。夕焼けの街並みを思わせる、ほわっと温かなイラストが魅力的。筆者は、前述した「駅弁大会」の輸送駅弁コーナーで見かけて “ジャケット買い” しました。モデルになった横丁が存在するのか、現地で探してみたくなりますね。
この駅弁は、2013年(平成25年)に映画『あさひるばん』(やまさき十三監督)の公開を記念して、1か月だけ販売された『出張帰りのおつまみ弁当』の復刻版です。当時、「新幹線で飲むビールのお供に最適な駅弁」を目指して開発され、冷めても美味しく食べられるような居酒屋の人気メニューをそろえた駅弁というコンセプトは活かし、復刻時に内容を一新。瀬戸内をイメージした海の幸に加えて、牛・豚・鶏も入ったバラエティ豊かな構成になりました。
献立は、三元豚のロースカツ・デミグラスソース、鰆(サワラ)の白醤油焼き、タコと野菜の煮物、アサリの佃煮、牛肉のしぐれ煮、鶏ももネギ塩焼き、“いぶりがっこ” 入りポテトサラダ。締めに、三好野自慢の「祭ずし」が入っているのもポイントです。癖の強い献立がないので、海鮮が苦手な人でも美味しく召し上がれるのではないでしょうか。出張帰りにこの駅弁を買い、新幹線でプシュッ!と缶ビールを開ける瞬間を考えるだけで、その日の仕事が頑張れそうな気がしませんか?
三好野本店 全国発送可(10~3月限定)
公式サイトはこちら:https://miyoshino.com/
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】駅弁こんしぇるじゅマルワ
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駅弁大好き歴25年。平成の”Windows95”時代から某IT企業のインストラクターとして全国の官公庁・小中学校へのパソコン導入に携わりながら、各地の駅弁や名産品を食べ続けるうち「うまいもの」「みやげもの」で日本地図が描けるようになりました。これまで全国を旅して食した駅弁は2,000個以上、「駅弁大会」と聞けば連日通って“大人買い”、休日は朝昼夕と駅弁が食卓に並ぶような家庭です。時々ちょっと苦手な食材もありますが、そこはすべて「実食」してのルポがモットー。食味の感想には個人差がありますので、その点はご容赦ください。