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駅弁の定番「幕の内弁当」全国おすすめ10選! ロングセラーの安定感と人気の秘密

駅弁こんしぇるじゅマルワ

更新日: 2021年12月12日

駅弁の定番「幕の内弁当」全国おすすめ10選! ロングセラーの安定感と人気の秘密

駅弁の売り場で真っ先に目を引くのは、ウニ、カニ、イクラをはじめとする魚介類、全国のブランド牛など、ご当地自慢の食材を主役に据えたもの。今日の気分は豪華な海鮮かな、ボリューム重視でお肉かな? いやいや、それともお寿司――? パッケージを見比べて、あれこれ悩むのは楽しいものですね。

そんな華のある食材の競演のさなかにあって、ちょっぴり控えめに見える存在が「幕の内弁当」。しかしながら、つやつやの白いごはんに梅干を乗せ、黒胡麻をぱらり。そしておかずの中心には、「幕の内弁当」の “三種の神器”、焼き魚・かまぼこ・玉子焼き。流行に左右されず、美味しいものが少しずつ一折にぎゅっと詰まった姿は、常に優等生的な安定感を放っています。

今回は、地産のお米や伝統食を盛り込んだ、各地の「幕の内弁当」をご紹介します。

※掲載は順不同です。
※時期や年によっては販売していない駅弁もあります。
写真:マルワ

「ふつうの津軽の幕の内弁当」 つがる総菜(新青森駅・弘前駅ほか)1,100円

「ふつうの津軽の幕の内弁当」 つがる総菜(新青森駅・弘前駅ほか)1,100円

まず北東北から、五能(ごのう)線五所川原(ごしょがわら)駅の「つがる総菜」が作る、『ふつうの津軽の幕の内弁当』。
平たい器は面積広め、掛け紙の柄は、地元の伝統工芸である織物「こぎん刺し」がモチーフになっています。あえて「ふつう」を謳っている点が、とても気になります。

掛け紙を外してみれば、あらびっくり!の豪華さ。おかずの品数の多さは、決して「ふつう」ではありません。ホッケ醤油漬け焼き、煮物、ホタテの唐揚げ、ホタテ貝柱の黄身焼き、きゅうりのからし漬け、「いがめんち」、「すしこ」、なすの紫蘇(しそ)巻き、玉子焼き、菊おひたし。津軽の伝統の味を盛り込んだ贅沢なこの駅弁は、おかずの比率が高いので、お酒のお供にも。

噛みしめるごとに風味が増す「いがめんち」は、イカのゲソを包丁でたたき、野菜と一緒に小麦粉を混ぜて揚げ焼きしたもの。「すしこ」は、蒸したもち米に浅漬けの赤紫蘇などを入れて発酵させた、いわば “ごはんの漬物” で、鮮やかな色とさっぱりした味わいがクセになります。こうした伝統食との新しい出会いが、駅弁の醍醐味ですね。

「みちのく 山形びより弁当」 もりべん(山形駅・仙台駅)1,150円

「みちのく 山形びより弁当」 もりべん(山形駅・仙台駅)1,150円

南東北からは、山形駅の「もりべん」が作る『みちのく 山形びより弁当』をご紹介。少し小ぶりなサイズは、軽めの食事をしたいときにぴったりです。

細かく仕切られた器は、一見すると、おかずのアパートメントのよう。黒胡麻と梅干を飾った山形県産米のごはん、おかずは上列左から順に、こごみ胡麻和え、ポテトとホタテのマヨネーズ焼き、玉子焼きと鮭の塩焼き。下列左から、野菜の煮物、牛肉の甘辛煮とニンニクの芽、笹かまぼこ、わらび醤油漬と赤かぶ酢漬。地産地消、山海の恵みが詰まっています。

珍しいのは、マヨネーズ味のおかず。幕の内弁当は和風の献立が多いなか、途中で味に変化が感じられてとても良かったです。笹かまぼこや山菜にも個性を感じました。

「上野弁当」 しまだフーズ(上野駅ほか)1,150円

「上野弁当」 しまだフーズ(上野駅ほか)1,150円

次にご紹介するのは、“常磐線・水戸~上野の旅” がコンセプトの『上野弁当』。

動物園でシャンシャンに続いて双子のパンダが誕生し、来年(2022年)の公開を控えて今後さらに注目が集まるであろう「上野」。掛け紙には、パンダをはじめ、愛犬ツンと並ぶ西郷隆盛像、不忍池から見た弁天堂とスカイツリー、上野動物園の旧正門のイラストが入り、上野色満載で目を引きます。
……でも、はたして中身は? 何が入っているの? 掛け紙から内容をイメージできない、ロシアンルーレット的な要素の高い駅弁は、「食品表示ラベル」をチェック。これで概要がつかめます。

茨城県水戸の「しまだフーズ」が手がける、この駅弁のテーマは、水戸からターミナル駅の上野を結ぶ「常磐線の味めぐり」。

ごはんとおかずの面積比は5:5。ごはんは茨城県産のコシヒカリ。白飯を覆う「老舗上野の海苔」に、「大洗吉田屋」の大きな梅干。焼き鮭、蕪の漬物、煮物、レンコンのたまり漬け、つくば鶏の幽庵焼き、かぼちゃとキノコのさつま揚げ、椎茸の肉詰めフライ、玉子焼き、桜シューマイ、常陸牛のしぐれ煮、炙りハマグリ串。色鮮やかなおかずがギュウギュウ詰まった、具だくさんでオトク感のある一品です。

「新宿弁当」 丸政(新宿駅ほか)1,200円

「新宿弁当」 丸政(新宿駅ほか)1,200円

東京の地名つながりで、次は『新宿弁当』をご紹介。乗降客数が世界一多い駅とギネス認定された新宿の名を冠する駅弁だけに、こちらも期待が高まります。

調製元は、山梨県小淵沢(こぶちざわ)の「丸政」。
新宿駅は山梨や長野へ向かう中央線のターミナル駅であることから、中央線沿線の特産品を活かした幕の内弁当になっています。掛け紙に使われている錦絵は、明治22年(1889)に新宿-立川間を結んだ甲武(こうぶ)鉄道(現JR中央線)の開業広告。左下にある「内藤とうがらし」のマークが気になりますね。

「内藤とうがらし」は、江戸時代に内藤町(今の新宿駅周辺)で盛んに栽培された唐辛子の一種。当時は蕎麦の “薬味” としてとても人気があったとか。その「内藤とうがらし」を使って黒く艶やかに炊いた椎茸が、この駅弁の特徴。一般的な唐辛子のようなピリッと直線的な辛味ではなく、ふくよかで滋味深い味わいです。

ご飯とおかずの面積比は4:6。信州野沢菜炒め、自家製タレ使用の炭火牛焼肉、甲州名物ソースかつ、かまぼこ、八ヶ岳高原玉子焼き、甲州煮。ごはんの上には、信州味噌の原点といわれる安養寺味噌を使った鮭の味噌焼きと、甲州小梅。デザートに巨峰寒天餅も。ボリュームのあるおかず、少し濃いめの味付けでごはんがどんどん進む、とても食べ応えのある駅弁です。

「幕之内弁当」 日本ばし大増(東京駅ほか)1,100円

「幕之内弁当」 日本ばし大増(東京駅ほか)1,100円

東京駅で買える幕の内弁当では、東京駅限定販売の『東京弁当』が有名ですが、駅弁の価格帯のなかではアッパークラス。もう少し手軽に買える、リーズナブルな幕の内はないの?――そんな方におすすめしたいのが、同じ調製元「日本ばし大増」が提供する、ずばり『幕之内弁当』です。

白飯には定番の黒胡麻と梅干し。和風たれの軟骨入り鶏つくね揚げ、銀鮭塩焼き、玉子焼き、がんも煮、きくらげ入り揚げかまぼこ、海老の磯辺揚げ、ひじき煮、野菜の煮物、青唐辛子味噌。幕の内弁当の三種の神器を中心に、美味しいおかずがコンパクトにまとまっています。

栄養価的にもバランスがよく、シンプルながら、さすが「日本ばし大増」と感じる一品。パッケージの写真と実際の見た目が違わない点も良心的だと思いました。

「銀だら幕之内」 日本ばし大増(東京駅ほか)1,380円

「銀だら幕之内」 日本ばし大増(東京駅ほか)1,380円

こちらも「日本ばし大増」の駅弁ですが、幕の内弁当の中でも「魚」を前面に打ち出している点が面白い『銀だら幕之内』。
ギンダラの旬は秋から冬、白身でクセがなく、加熱しても硬くならないことから人気の食材で、価格はちょっぴり高めです。お弁当も、濃紺に白抜きの掛け紙が高級感を演出しています。

主役はもちろん、こだわりの味噌を使った銀だら柚香みそ焼。そして、調製元自慢の江戸うま煮、玉子焼き、かまぼこ、柚子胡椒が香る揚げ物。
献立の種類が少ない分、どのおかずも大ぶりで、食感やうまみがしっかり楽しめます。

「日本橋 -幕之内-」 (東京駅ほか)1,200円

「日本橋 -幕之内-」 (東京駅ほか)1,200円

東京駅や品川駅から東海道新幹線に乗る方におすすめしたいのが、「ジェイアール東海パッセンジャーズ(JRCP)」の『日本橋-幕之内-』。新幹線改札を入った中の売店で買うことができます。

歌川広重「東海道五拾三次 日本橋 朝之景」を用いたパッケージには、「旅の始まりは今も昔も日本橋」のキャッチコピー。日本橋は五街道(東海道・中山道・日光街道・奥州街道・甲州街道)の起点ですから、旅の始まりのお供にぴったりですね。

フタを開けてまず驚くのが、白飯を覆う銀鮭塩焼きのサイズ。あまりに見事なので測ってみたら、約17センチもありました。
俵形のごはんに紀州梅の梅干し、牛肉とゴボウのすき焼き、蓮根とかぼちゃの天ぷら、江戸前海苔の餡をかけた焼き豆腐。野菜のうま煮やアサリの煮付けも入り、江戸の味わいを今に伝えるラインナップです。

この駅弁は、日本食糧新聞社が平成22年(2010)から毎年実施している業務用専門展「ファベックス」にて、令和2年(2020)総菜・べんとうグランプリの「駅弁・空弁」部門で優秀賞を受賞。美味しさはお墨付きです。

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

駅弁大好き歴25年。平成の”Windows95”時代から某IT企業のインストラクターとして全国の官公庁・小中学校へのパソコン導入に携わりながら、各地の駅弁や名産品を食べ続けるうち「うまいもの」「みやげもの」で日本地図が描けるようになりました。これまで全国を旅して食した駅弁は2,000個以上、「駅弁大会」と聞けば連日通って“大人買い”、休日は朝昼夕と駅弁が食卓に並ぶような家庭です。時々ちょっと苦手な食材もありますが、そこはすべて「実食」してのルポがモットー。食味の感想には個人差がありますので、その点はご容赦ください。