更新日: 2021年11月11日
鉄道の魅力が盛りだくさんの東武博物館へ!漆黒の車体がカッコイイ蒸気機関車も!
東京、千葉、埼玉、群馬、栃木の1都4県を走る東武鉄道。創立は明治30(1897)年と歴史が古く、浅草を起点とし通勤・通学の利用が多い東武スカイツリーラインや東武アーバンパークライン、観光地へ向かう日光線や鬼怒川線、池袋を起点とし埼玉県西部へ走る東上線など、広いネットワークを誇っています。
そんな東武鉄道の歴史や鉄道交通のしくみを知ることができるのが、東武スカイツリーライン東向島駅の高架下にある「東武博物館」。
明治30年代、東武鉄道が開業した当初に走っていた蒸気機関車などの展示や、運転体験ができるシミュレーション、実際に走る電車を線路脇から眺められるコーナーなど、東武博物館は、電車大好きキッズはもちろん、ママやパパも大満足できるミュージアムなんです。
目次
東武博物館ってこんなところ
東武鉄道は明治32(1899)年に、東京の北千住から埼玉の久喜までの39.9kmが初めて開通しました。明治40(1907)年には栃木県足利町(現在の足利市)まで開通、その後いくつもの鉄道会社と合併し、現在では463.3kmと、関東の私鉄では最長、全国でも第2位の営業距離を誇ります(1位は近畿日本鉄道の501.1km)。
開業当初から旅客だけでなく貨物輸送も行い、明治後期には関東の絹織物の中心地だった桐生・足利地域の繊維製品の大部分が、東武鉄道を経由して東京へ輸送されていたそうです。
創立以来120年以上にわたり、人とものを乗せ、夢と文化を運んできた東武鉄道の歴史と、交通の役割やしくみを紹介する東武博物館。
身近な交通機関である鉄道やバスについて、子どもたちが親しみながら学べるよう、長い歴史のなかで実際に使用されてきた貴重な車両を多数展示。実物の運転台で体験できるシミュレーションなど、実際に見て触れて体験できるコーナーも充実しています。博物館の真上を走る東武スカイツリーラインを間近で観察できる、立地を生かしたコーナーもあり、体験型のミュージアムとなっているんです。
館内は東武鉄道の出発点となった蒸気機関車を展示する「東武の幕開け」、歴史を紹介する「東武のあゆみ」、鉄道が安全で快適に走るしくみを紹介する「安全・快適にはこぶ」など8つのコーナーに分かれていますが、今回は鉄道大好きな筆者が特におすすめしたい、東武博物館の見どころを中心にご紹介します!
>>公式ホームページ
※新型コロナウィルス感染症対策のため、混雑状況により入場制限を実施中。再入館はできません。また、展示によっては内容の変更や休止の場合もありますので、ご利用の際は最新の情報をご確認ください。
東武博物館
- 住所
- 東京都墨田区東向島4丁目28-16
- 交通
- 東武スカイツリーライン東向島駅からすぐ
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 10:00~15:30(最終入館15:00)
- 休業日
- 月曜、祝日の場合は翌日休(12月29日~翌1月3日休)
- 料金
- 大人200円(交通系電子マネーの場合、現金の場合は210円)、小人(4歳~中学生)100円(20名以上の団体は半額、障がい者手帳持参で本人と介護者2名半額)
東武博物館の見どころ.1 貴重な車両が12両も!実物車両の展示がスゴイ
東武博物館いちばんの目玉は、たくさんの実物車両が展示されていること!
明治から始まる東武鉄道の歴史をつくり、引退後も大切に保存されてきた貴重な実物車両が、12両も展示されているんです。
明治・大正・昭和を走った蒸気機関車と東武鉄道初の電車
まず注目したいのが、入館すると目に入る迫力ある蒸気機関車!これは、明治31(1898)年、開業のために英国から輸入された蒸気機関車12両のうちの1両なんです。
東武鉄道は蒸気鉄道として開業し、旅客や貨物列車を蒸気機関車が牽引して走りました。最初に開通した北千住から久喜の区間をこんな立派な蒸気機関車が走っていたなんて、いまではちょっと想像がつきませんが、のべ80両以上の蒸気機関車が活躍していたのだとか。当初は旅客と貨物輸送の両方を担っていた蒸気機関車ですが、徐々に活躍の場が減り、昭和41(1966)年に全て廃止されたそうです。
引退まで約70年走り続けた蒸気機関車は、途中何度か改造されましたが、展示車両は開業当時の姿に復元されています。
ちなみに東武鉄道では、2017年から半世紀ぶりに蒸気機関車の運行を復活しました。かつて北海道で活躍していた蒸気機関車等を譲り受け、「SL大樹」として、栃木県の下今市から東武日光間と、下今市から鬼怒川温泉間を運行しているので、実際に乗ってみるのもおすすめですよ。
英国から輸入した蒸気機関車の実物はもう1両あり、東武博物館併設の「SLスクェア」でもカッコイイ漆黒の蒸気機関車を見ることができます。SLスクェアは東武博物館から徒歩2分ほど、東武スカイツリーラインの高架下にあるので、ぜひ見に行ってくださいね。
次にご紹介したいのは、大正13(1924)年に浅草から西新井間を電化した際に製造された、東武鉄道初の電車です。
レトロな木造の車両は、まるで映画やアニメの世界にタイムスリップしたかのよう。車内に入ると大正ロマンな雰囲気にうっとりします。写真映えもするので座席に座って記念撮影するのもいいですね。
日光・鬼怒川観光の足として活躍した電車たち
日光や鬼怒川への観光の足として欠かせない東武鉄道ですが、次にご紹介したいのは、そんな日光・鬼怒川方面へ走った豪華な特急列車です。
博物館の中庭には、昭和26(1951)年、戦後最初に製造された日光・鬼怒川方面への特急列車が展示されています。前面にある金色の3本線の形から「ネコひげ」の愛称で親しまれたそうです。
東武鉄道が日光方面への観光輸送を目的として、東武日光まで開通したのは昭和4(1929)年。当時から日光東照宮や中禅寺湖などの美しい景観は日本有数の観光地で、外国人観光客にも人気がありました。
東武鉄道は日光へ開通後早々に、豪華展望車付き特急列車の運転を開始し、昭和10(1935)年には、ゆったりとしたクロスシートで室内灯にシャンデリアを施したデハ10形車両を走らせていたそうです。きっと憧れの列車だったんでしょうね。
次に特急として活躍したのが、昭和35(1960)年に運行を開始したデラックスロマンスカーです。正面から見ると、ボンネット型でとってもカッコイイ!縦長に配置してあるライトが特徴的です。
6両編成の車両には当時からクーラーが完備され、ビュッフェやジュークボックス付きのサロンルームもあったそうで、最先端の列車でした。昭和39(1964)年にはスチュワーデスも登場しました。
長きにわたって東武鉄道の看板特急でしたが、平成3(1991)年に引退し、現在の特急スペーシアにその座を譲りました。
ところで、現在の看板列車である特急スペーシアには、個室があるのをご存知でしょうか。
個室専用車両に6室あるそうですが、現在日本の鉄道で個室を有する車両は珍しくなっているのだとか。
東武博物館には、そんな特急スペーシアの個室の展示もあるんです。個室内にも入れますよ。動くホテルのようなゆったりとしたシートに座ると、旅気分が盛り上がります!
実は筆者はこの個室に乗りたくて、スペーシアで鬼怒川まで行ったことがあるんです。
かつて東武鉄道は東武日光駅までだけでなく、その先の日光東照宮や奥日光への交通手段も手掛けていました。日光駅前から馬返まで運行していた路面電車、日光軌道線です。日光軌道は明治43(1910)年に開業し、昭和22(1947)年には東武鉄道と合併、昭和43(1968)年まで通勤通学や観光輸送に活躍しました。
こんなかわいい路面電車が走っていたら、旅気分が盛り上がりますよね!車内へ乗車することもできますよ。車内に掲示してある路線図を見ると、日光東照宮や中禅寺湖までのアクセスを担っていたのがわかります。
東武博物館にはこの他に、東武鉄道初の電気機関車や大型貨車、レトロなキャブオーバーバスやロープウェイなど、全部で12両の実物車両が展示されているので、ぜひチェックしてくださいね。
東武博物館の見どころ.2 運転士気分を味わおう!実物の運転台で体験できるシミュレーション
実際に体験できるコーナーが充実しているのが、東武博物館のうれしいポイント!電車好きキッズに大人気なのが、実物の運転台で運転体験ができるシミュレーションです。
3台の電車シミュレーション(2021年10月現在、感染症予防のため1台休止中)のほか、路線バスのシミュレーションや、模型鉄道を操作できるシミュレーションもあって、盛りだくさんなんです!
まず挑戦したいのは、電車シミュレーション。もちろん筆者も並んで体験してみました。
50050系は加速とブレーキが一体になったワンハンドルの運転台。現在では、ほとんどの電車がワンハンドルになっているそうです。
「戸閉」のボタンに灯りがつき、発車OKを知らせるブザーが聞こえたら、ハンドルを加速の方向に倒して出発進行!前面の大きなフルハイビジョン画面に、実際に走るようすが映し出され臨場感いっぱい!本当に運転している気分でわくわくが止まりません!
もう1台のシミュレーション、8000系は昔ながらの2ハンドルで運転体験ができます。筆者はこちらのシミュレーションも体験してみました。画面の上には現在の速度が表示され、規定の速度に近づけるように運転します。左のハンドルが加速、右がブレーキですが、スピードを調整するのに両手を別々に動かすのが難しい!
運転の方法は、スタッフの方が丁寧に教えてくれるので、小さな子どもでも、もちろん大人でも、安心して運転士気分を味わえますよ。
模型が大好きなキッズにうれしい、模型電車の運転体験ができるシミュレーションもあります(2021年10月現在2台休止中)。
ハンドルを操作すると、1/45スケールの模型電車が動き出し、線路に設置された信号に注意しながら走らせます。信号に従って運転しないと、自動列車停止装置(ATS)が働き急ブレーキが!臨場感あふれる模型電車の操作に、ドキドキです。
頭上にモニターがあり、信号機や模型電車からの眺めも映し出されますよ。
東武博物館の見どころ.3 線路脇から電車を観察できる!ウォッチングプロムナード
東武スカイツリーラインの高架下にある東武博物館。この立地を生かしてつくられているコーナーが、博物館2階にある「ウォッチングプロムナード」です。実はここ、東向島駅ホームの真下にあたる部分で、なんと実際に走っている電車を線路と同じ目線で観察できるんです!
電車が来るのを待っていると、電車がホームに停まり、目の前に車輪とエンジンが!普通はこんな近くから見られないので、斬新な発想に驚きです。
ホームに停車する電車もあれば、スピードを落とさず通過する電車もあって、それはもう迫力満点!写真スポットとして人気なのも頷けます。
東武博物館の見どころ.4 汽笛を鳴らす蒸気機関車や、関東平野を走る模型のショーも見逃せない!
東武博物館では、毎日開催される大迫力のショーも必見です。
1つめは、毎日11:00、13:40、14:40(2021年10月現在)に開催される蒸気機関車のショー。最初にご紹介した英国製の蒸気機関車B1形5号に、実際に機関士さんが乗り込み、大きな汽笛を鳴らすと、シュッシュッという音とともに車輪が回転!
まるでそのまま走りだしそうな迫力に、キッズもママも大興奮間違いなしです。
2つめは、東京スカイツリー®から日光男体山まで関東平野をイメージした、横14m、奥行き7mの巨大ジオラマで行われるパノラマショー。東京から日光までの広大な路線を走る東武鉄道の1日を紹介しています。
毎日、10:30、11:25、13:15、14:15、15:00(2021年10月現在)になると、浅草駅から出発する東武スカイツリーラインや特急スペーシア、リバティ、引退したデラックスロマンスカーけごん、りょうもうなど、1/80スケールの模型電車が約13分間、約180両も走るんです!それぞれの車両の特徴や役割も紹介されますよ。
鬼怒川線にはSL大樹も走るので必見です!
東武博物館のミュージアムショップでオリジナルグッズをチェック!
東武博物館のミュージアムショップには、東武鉄道の人気電車のマグネットクリップや、SL大樹の投炭スコップストラップ、パズルなど、東武博物館のオリジナルグッズが並びます。電車好きはどうしてもチェックしてしまうんですよね。
ミュージアムショップのみ利用の場合は、入館券を購入しなくても買い物することができます。
東武博物館へ行ってみよう!
今回は鉄道の魅力がいっぱいの東武博物館をご紹介しましたが、いかがでしたか?
鉄道好きでなくても、アニメ『鬼滅の刃』で蒸気機関車に興味を持った人も多いのではないでしょうか。実物を見ると真っ黒で迫力ある姿に、きっと感激しますよ!
東武博物館は、体験できるコーナーが充実しているのも魅力。運転シミュレーションやウォッチングプロムナード、迫力あるショーは、キッズもパパもママもテンション上がること間違いなしです。
小さな子ども連れだと何かと荷物が多くなりがちですが、ベビーカー置き場や無料のコインロッカーがあるのも安心。リーズナブルな料金でたっぷり遊べる東武博物館へ、おでかけしてみてはいかがですか。
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