更新日: 2021年9月22日
【鯛よし百番(大阪府)】きらびやかでレトロな花街の世界が体感できる老舗料亭
大阪市南部のターミナル駅、天王寺からほど近い場所に、大正時代に開業した花街「飛田新地(とびたしんち)」があります。かつて日本最大級の遊郭といわれたこの街には現在も150を超える料亭妓楼が集まっており、女性はなかなか足を踏み入れにくいような、独特の雰囲気が漂っています。
そんな中で、ごく一般的な大衆料亭として営業しているのが「鯛よし百番」。昔の遊郭そのものを思わせる絢爛な造りの店内で、誰でも気軽においしい食事が楽しめるお店です。ちなみに、鯛よし百番の建物は大正末期頃の数寄屋風遊郭建築を今に伝える貴重なものとして、国の登録有形文化財に指定されています。
昼夜で異なる表情を見せる鯛よし百番
今回は、鯛よし百番の建物の様子について順番に紹介していきます。
鯛よし百番は飛田新地の南東、道が交差する角に建っていて、その華やかな外観が周辺でひと際目を引きます。夜になると2階部分を飾る赤い提灯や店内の電灯が灯り、昼間とはまったく異なる幻想的な空間に様変わり。通常営業は夜がメインで、昼は10名以上の予約のみを受け付けています。
待ち合いスペースを中心に艶やかな見どころ満載の1階
それでは、建物の中を見ていきましょう。
1階玄関には緋毛氈(ひもうせん)が敷かれていて、靴を脱いで上がります。入ってすぐ左手は、ロビーと応接室からなる待ち合いスペース。鯛よし百番の建物内部で最も絢爛豪華な待合室兼応接室「日光の間」があります。
日光の間の入り口には金獅子などの華美な装飾に彩られた「陽明門」があり、門をくぐった部屋の中はまばゆいばかりの金色で覆われています。
天井には今にも舞い降りてきそうな竜、壁には極彩色の天女や牡丹などの絵が描かれていて、これぞ遊郭の部屋といった空気感に圧倒されます。
待ち合いスペースを出て、1階にある客室へ。
1階の部屋は「牡丹の間」「鳳凰の間」「紫苑殿」の3間。「住吉反橋」と名が付いた、玄関脇の小さな太鼓橋を渡った先にあります。
どの部屋も桃山文化風の意匠を取り入れた豪華な造りで、3間をまとめて「桃山殿」とも呼ばれています。
桃山殿はひと続きの大広間にできるそうで、大宴会などで利用されることも多いとか。ここで宴会を開くことになったら、天井や欄間、襖、ガラス戸などに施されている見事な装飾や絵の数々を隅々まで楽しんでみたいものです。
中庭を囲んで個性的な小部屋が並ぶ2階
さらに2階へと移動してみましょう。
鯛よし百番の1階と2階は、建物の北東と南東にある2つの階段で行き来ができます。2階には14の部屋が中庭を取り囲むように並んでいます(2021年9月現在、4つの部屋は使用不可)。
かつて遊女たちの溜まり場だったという大部屋がひとつ、そのほかはプライベート感たっぷりな小部屋です。1階の桃山殿ほど豪華ではありませんが、どの部屋も遊郭建築独特の意匠と和風の落ち着いた雰囲気に満ちています。ここからは2階の風景やいくつかの客室をご紹介します。
まるで大正時代の遊郭にタイムスリップしたような、非日常の別世界へ誘ってくれる鯛よし百番。現在、建物の老朽化が進んでいるため2021年秋頃から修復工事が行われる予定です。
大阪に緊急事態宣言発令中は残念ながら休業していますが、コロナ禍が落ち着いた後は営業が再開されるそうです。
次回は鍋料理を中心にしたお店のおすすめメニューもぜひ紹介したいと思いますので、本サイトの更新日をチェックしてくださいね。
鯛よし百番
- 住所
- 大阪府大阪市西成区山王3丁目5-25
- 交通
- 地下鉄阿倍野駅から徒歩10分
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 17:00~23:00(閉店、要予約)
- 休業日
- 月曜(年末年始休)
- 料金
- 寄せ鍋=3685円/ちゃんこ料理=3135円/会席料理=4400円~
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【筆者】jigen
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