更新日: 2022年1月16日
【鬼滅の刃】遊郭編の世界観を満喫できる聖地スポットをご紹介
累計発行部数1億部を突破し、2020年10月に公開された「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は興行収入400億円を突破するなど、今や日本の経済の中心にいるといっても過言ではない「鬼滅の刃」。無限列車編での主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)らの成長、炎柱・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)の勇姿は、見る人全ての心を動かしたことでしょう。
2021年には無限列車編の続編となる「遊郭編」の放送も発表されており、原作完結後もまだまだ鬼滅ブームはとどまるところを知りません。今回は遊郭編の放送に先駆け、遊郭編の世界観を味わえるスポットをまっぷるトラベルガイド編集部が独自に調査しました。
子どもも大人も楽しめる鬼滅の刃の聖地スポット。
全集中 旅の呼吸 壱ノ型で、鬼滅の刃の聖地・スポットへおでかけしてみてはいかがですか?
※本記事には「鬼滅の刃 遊郭編」「鬼滅の刃 無限列車編」のネタバレを含みます。
鬼滅の刃とは?
2016~2020年まで「週刊少年ジャンプ」に連載されていた、吾峠呼世晴による少年漫画。単行本の売上は累計1億5000万部を突破した大人気作品です。(電子版を含んだ2021年2月時点の数字)
2020年10月には「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が公開され、発行部数や興行収入など歴代の作品群が持っていた記録を次々と塗り替え、社会現象にもなっている作品です。
~鬼滅の刃 立志編のあらすじ~
舞台は大正時代の日本。竈門家の長男・炭治郎は、亡き父に代わって一家の大黒柱となり、母親や妹・弟たちとつつましい生活を送っていました。
ある冬の日、いつものように山を下り、麓の村へと炭売りに出かけた炭治郎。翌日家に帰り着くと、「気をつけてね」と見送ってくれた家族が無残な姿で発見されます。ただ一人、一命を取り留めた妹の禰豆子(ねずこ)も、まるで鬼のような姿に変貌しつつありました……。
妹を人間へ戻すために、家族の仇を討つために、炭治郎の戦いが始まります。
〜鬼滅の刃 遊郭編のあらすじ〜
無限列車での任務から4ヶ月が過ぎた頃、炭治郎たちが鍛錬、療養の場としている蝶屋敷に元忍の音柱・宇髄天元(うずいてんげん)が現れます。任務で女の隊員が必要だと、蝶屋敷に従事する女性隊員・神崎アオイ(かんざきあおい)を半ば人さらいのように連れて行こうとしていたところに、炭治郎そして我妻善逸(あがつまぜんいつ)と嘴平伊之助(はしびらいのすけ)が駆けつけ、自分たちが代わりに行くと申し出をします。
宇髄さんの任務地は「鬼の棲む”遊郭“」。先んじて遊郭に潜入していた宇髄さんの3人の奥さんとの定期連絡が途絶えたため、偵察に行くというものでした。
舞台は吉原遊郭。ここから遊郭編の物語が始まります。
鬼滅の刃 遊郭編の聖地 鯛よし百番(大阪府)
吉原遊郭は現在の浅草あたりに位置する実在の場所でしたが、今や遊郭の影を残すような建物は周辺にはありません。そこで編集部が発見したのが、大阪府にある元遊郭建築を利用した「鯛よし百番」という料亭でした。
鯛よし百番は大正時代に遊郭開業した巨大な花街の中に建つ大衆料亭。大正末期頃のものとされる絢爛な造りが内外観ともに当時のままの形で残り、国の登録有形文化財に指定されている建物です。
ここからは遊郭編のシーン、登場人物の部屋ごとにスポットをご紹介します。
【鬼滅の刃遊郭編の聖地】吉原遊郭のシーン
遊郭といえば、赤い提灯を下げた建物を想像される方が多いのではないでしょうか。アニメ遊郭編のPVでも、暗闇に浮かび上がるような赤を灯した建物が軒を連ねる吉原遊郭の映像が公開されていました。
鯛よし百番が建っているのは、大阪市西成区にある「飛田新地(とびたしんち)」の一角です。飛田新地はかつて日本最大級の遊郭といわれ、今もその匂いを色濃く残す街。街の中には150を超える小さな料亭妓楼が軒を連ね、独特の雰囲気が漂っています。鯛よし百番は道が交差している角にあり、2階建て数寄屋風遊郭建築のレトロモダンな外観と大きな店看板がひと際目立ちます。
遊郭潜入のため藤の花の家紋の家で準備を整える炭治郎たち。宇髄さんの下調べにより鬼が潜んでいると思われる店は3軒に絞られており、くノ一である3人の奥さんたちがそれぞれの店に潜入をしていました。
ときと屋に潜入した「須磨(すま)」、荻本屋に潜入した「まきを」、京極屋に潜入した「雛鶴(ひなつる)」を探して情報を得るようにと指示を受けた炭治郎たちは、潜入の際極力目立たぬよう遊女の姿に扮し吉原遊廓へ出発します。
吉原遊郭の冒頭の説明部分で出てくる大広間のシーン。室内の様子や装飾、壁の模様などの雰囲気を感じられるのが鯛よし百番の「桃山殿」という部屋です。「牡丹の間」「鳳凰の間」「紫苑殿」の三間があり、まとめて桃山殿と呼ばれています。
桃山殿は鯛よし百番の中では最も大きな客室で、各部屋に桃山文化風の意匠を取り入れた豪華な装飾が施されています。三間続きの大広間にできるため、大宴会などにも利用されてきたそうです。
「鳳凰の間」と「紫苑殿」は廊下との間にある御所車や花鳥を華やかに描いた襖絵が目を引きます。鳳凰の間には部屋名の鳳凰をあしらった釘隠しが見られます。紫苑殿の天井は、鳳凰の間や次に紹介する牡丹の間の格天井とは一風変わった船底天井になっています。
三間のうちいちばん広い部屋が「牡丹の間」。天井は格天井になっていて、ひとつ一つの升にすべて異なる植物絵が配されているのが特徴的です。欄間やガラス戸の上部の板透かし彫りが見事で、出入口の板戸には桃山風の女性像が描かれています。室内をよく見ると、板透かし彫りや部屋の釘隠しに牡丹があしらわれています。
【鬼滅の刃遊郭編の聖地】炭治郎の部屋<ときと屋>
鯛よし百番の中には、階段が北東と南東の2か所にあります。2階の北側に並ぶ部屋のひとつ、「千代の間」。入り口は敷石の路地になっていて、井戸とつるべがあります。ガラス戸を開けて入る室内は、歌人「加賀の千代女」をモチーフにした造りだそう。
変装した炭治郎、善逸、伊之助の中で、素直そうと遣手婆から好感を持たれ一番乗りで店への就職が決まった炭治郎。花魁道中を行なっていた鯉夏(こいなつ)という花魁のいる「ときと屋」へ潜入することになります。
千代の間は日本人形が置かれていたり、壁面に竹が使われ天井も小竹編みになっていたりと、女性が好みそうな雰囲気の造りになっています。
この日本人形、前髪を結っているのですが、雰囲気がどことなく炭子(遊郭に潜入した際の炭治郎の名前)に似ています。
【鬼滅の刃遊郭編の聖地】須磨の部屋<ときと屋>
鯉夏花魁への荷物を運んでいる最中に、炭治郎は宇髄さんの妻・須磨の噂話を耳にします。噂話をしていた女の子たちとともに鯉夏花魁の元へ足を運んだ炭治郎は、須磨は「足抜け(借金を返さずに遊郭から抜け出すこと)をする」と日記を残し、部屋から姿を消したと鯉夏花魁から伝えられます。
そんな須磨の部屋に近い雰囲気を持つのが2階南側にある「淀の間」。趣向を凝らした鯛よし百番の部屋の中でも和風のシンプルな造りで、船底天井や竹の桟を用いた落ち着いた空間になっています。正面の窓の向こうには中庭が見えます。
【鬼滅の刃遊郭編の聖地】善逸の部屋<京極屋>
南東階段から2階へ上がり、右側にある大広間はかつて遊女たちの溜まり場だったといわれています。北側に床の間があり、南側には料亭になってから造られたと思われる舞台があります。廊下の反対側に当たる東側はバルコニーになっています。
炭治郎に続き、アタシの目に狂いはないと自信たっぷりの「荻本屋」の遣手婆に伊之助が引き取られていきます。3人のうち一番最後まで売れ残ってしまった善逸。最後に訪れた「京極屋」の遣手婆に、宇髄さんは「いっそタダでもいいんでこんなのは」と善逸を突き出します。
無事京極屋に潜入を果たした善逸ですが、宇髄さんにぞんざいな扱いをされた悔しさから吉原一の花魁になると意気込み、三味線の演奏に熱を入れます。2階の大広間の舞台はまさに善逸が三味線を演奏していた舞台のよう。背景のタイルが並んだようなあしらいも、よりその雰囲気をもたらしています。
ちなみに耳がいい善逸は一回聞けば三味線でも琴でも弾けるとのこと。他の遊女たちの間で(不細工だけど)すごい新人が入ってきたと噂になるのも頷けますね。
「三味線の腕を上げてもどうしようもない、宇髄さんの奥さんを探さないと」と物思いにふけながら善逸が廊下を歩くシーンでは壁に派手な模様が見られます。鯛よし百番の1階には菊の花をあしらった壁画や船底天井が印象的な廊下、2階には東海道に見立てた印象的な廊下があります。
【鬼滅の刃遊郭編の聖地】まきをの部屋<荻本屋>
場所は変わって伊之助の潜入した荻本屋。白粉で顔を変な風に塗ったくられていた伊之助ですが、地顔はとても美形で荻本屋の女将さんたちを驚かせます。
荻本屋に潜入していた宇髄さんの妻・まきをは部屋に閉じこもりきりで出てこないと噂されており、不審に思った伊之助はまきをの安否を確かめに行くことに。持ち前の勘の鋭さで嫌な雰囲気を感じとっていた伊之助は、まきをの部屋にたどり着きその惨状を目にします。
鯛よし百番2階の北西にある「鈴の間」は真正面に障子、左側に床板があり、左奥に見える火灯形の窓がまきをの部屋の鏡台のように見えたり…と、どことなくまきをの部屋の雰囲気を漂わせます。この部屋は天井に板張りの格天井、床柱にねじれた丸木などが使用されているのが特徴。きらびやかな部屋が多い鯛よし百番の中では非常にスッキリとした印象です。
伊之助は天井裏に異変を感じ、まきをのためにと部屋の前に用意されていたうどんを天井に向かって投げつけます。格天井の様子はまきをの部屋とそっくりです。
その後伊之助は暴れ出した何者かのあとを追いかけ、荻本屋の廊下や階段を走り回ります。
※遊郭建築の建物は狭く急な造りになっているので、全集中・常中を身につけていない皆さんは絶対に走ってはいけません。
鯛よし百番の1階から2階に至る南東階段の周囲の壁には、大阪の夏の風物詩、天神祭の賑わいが描かれています。
【鬼滅の刃遊郭編の聖地】鯉夏花魁の部屋<ときと屋>
2階の大広間の向かいにある、中庭に面した「紫式部の間」。ここは部屋を入ってすぐ目に飛び込んでくる火頭障子窓がとても印象的です。壁に描かれた日本画や船底天井など和風な造りになっていますが、柱に刻まれた雲の柄や火頭障子窓の帯装飾などエキゾチックな雰囲気も合わせ持っています。
炭治郎が潜入したときと屋の鯉夏花魁。炭治郎にお菓子をこっそり渡すなど優しい一面が見られ、店の女の子たちからも大層好かれています。鯉夏花魁の部屋の襖には花の模様が描かれており、その華やかさは紫式部の間の装飾に通ずるものがあります。
ここで思わぬ発見。室内の柱に描かれた模様、よく見てみると何かの模様に似ていませんか?鯉夏花魁を狙って部屋に侵入してきた、あの人物の帯の柄と…
鯉夏花魁を監視するように壁に付されている装飾。物語の展開を思うとゾッとしてしまうような発見でした。
【鬼滅の刃遊郭編の聖地】蕨姫花魁の部屋<京極屋>
善逸が潜入した京極屋の蕨姫(わらびひめ)花魁。部屋の片付けを命じていた女の子の耳を出血するほどつねりあげたり、その女の子を庇った善逸を吹き飛ばしたりと、鯉夏花魁とは対照的に周囲の人たちを震え上がらせる暴力的な人物です。
鯛よし百番の玄関を入ってすぐ左手に位置する、待合室兼応接室の「日光の間」。まばゆいばかりの金色に包まれた絢爛華麗な装飾は、まるで蕨姫花魁の部屋を彷彿とさせます。東側の壁面は牡丹の花の絵で飾られ、天井を見上げれば龍が、北側正面の壁には天女が舞っています。下に敷かれたカーペットの真っ赤な色も合わさって、これぞ遊郭といった空気感に満ちています。
壁に描かれた花の模様は蕨姫花魁の部屋そのもの。花びらの様子、色づかいなど細部までじっくりと眺めたいところです。
日光の間の入り口にある「陽明門」は日光東照宮の陽明門を模倣して造られたもので、細部に施された獅子などの派手な装飾に目を奪われます。
蕨姫花魁が部屋でとある人物と言葉を交わしているシーンには花の模様をあしらった天井が写り込んでいます。そんな天井に近い雰囲気があるのが、2階の南西側にある「由良の間」です。
この部屋は、鯛よし百番の2階の中では格式が高いとされている大部屋。その大きな理由になっているのが、ひとつ一つの升に種類豊富で鮮やかな花が描かれた、折り上げ格天井です。天井外側の四辺の升には赤穂四十七志士の名前も刻まれているので、忠臣蔵にちなんだ部屋名になのかもしれません。この部屋に入ったら、じっくりと天井を見学したいものです。
【鬼滅の刃遊郭編の聖地】煉獄槇寿郎の酒壺?
話は遊郭潜入前に遡り、炭治郎が無限列車での戦闘で命を落とした煉獄さんの訃報を生家の煉獄家に伝えに行くシーン。虚ろな表情で玄関口の掃き掃除をしていた煉獄さんの弟・千寿郎に炭治郎が事情を説明していたとき、酒を片手に怒声を上げる父・槇寿郎が現れます。
槇寿郎さんが持っていたその酒に似た壺が鯛よし百番内にありました。2階のとある一室に飾られているので、見つけられたらラッキーです。
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鬼滅の刃 遊郭編の聖地へ思いを馳せよう
いかがでしたか?
ご紹介したように、鯛よし百番では色々なところで鬼滅の刃遊郭編の雰囲気を感じることができます。作品をきっかけに、現代にまで残る貴重な遊郭建築に触れてみてください。
鯛よし百番
- 住所
- 大阪府大阪市西成区山王3丁目5-25
- 交通
- 地下鉄阿倍野駅から徒歩10分
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 17:00~23:00(閉店、要予約)
- 休業日
- 月曜(年末年始休)
- 料金
- 寄せ鍋=3685円/ちゃんこ料理=3135円/会席料理=4400円~
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【筆者】jigen
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