更新日: 2021年11月1日
【東北】憧れの高級旅館~温泉宿ガイドブックのプロがおすすめする、一度は泊まりたい至高の宿
コロナ禍の長期化もあり、旅の「行き控え」で楽しみがない...という人は多いのではないでしょうか。
そんな近ごろのトレンドは、従来なら支出していたはずの旅行コストを憧れだった高級旅館やホテルにドン!と費やす「一点豪華主義」。贅を尽くした料理と温もりに満ちた温泉、ハイエンド宿ならではの極上空間は、スペシャルなひとときを叶えてくれます。
ここでは、山のジビエ料理と湯の恵みに憩う「山人-yamado-」(岩手県)、食に重きをおいた憧れの和オーベルジュ「御宿かわせみ」(福島県)、美しい茶室造りの露天風呂付き客室が好評の「櫻湯 山茱萸」(山形県)をクローズアップ。
ホテル・旅館の取材歴20余年、まっぷるマガジン『温泉やど』シリーズで2500件以上の宿に関わってきた編集者が、「プロの目利き」でおすすめするイチ押しの高級宿をご案内します!
執筆者のプロフィール
過去20年に渡って国内・海外の旅館やホテル、旅行全般のメディアを制作しているプロダクション「編集屋チョーク」です。
創刊28年の『温泉やど』シリーズをはじめとする「まっぷるマガジン」を通して、関わってきた宿は2500件以上。宿の良し悪し・見極めには“そこそこ”自信あります。
趣味は「品のある」宿の考察、支配人との一献、あとは庭いじりと猫いじり。
取材・撮影には特急で馳せ参じ、宿選びの参考にしていただける現場のライブ感と実直なレポートをお届けします!
予約時におさえておきたいポイントは?
満ち足りた至福の滞在を体験したいときにダンゼンおすすめの高級宿ですが、もちろん個々の期待や優先事項はさまざま。
せっかくお金を出すなら失敗したくない!という人のために、これから紹介する宿は、下記のカテゴリーに着目しています。予約時のポイントをおさえながら、自分のニーズに合わせた宿選びを!
- 客室…当然ですが、客室クラスが上がれば料金も上がります。さっくり素泊まりで一泊、料理のグレードを上げて部屋はモデレートで、おこもりできる連泊可能な客室がいい、1部屋の定員や眺望が優先など、まずは自分のプライオリティに順番をつけて、ベストマッチな客室選びを。今回は参考となる客室の広さも紹介しています。
- 部屋付き温泉…高級宿は客室に源泉かけ流しの露天風呂や内湯を備えていることが多々。ただ、なかには客室風呂は白湯、温泉は大浴場のみという場合もあります。温泉を重視したいなら、ぜひともチェックしておきたい項目です。
- 食事…部屋食、専用個室、食事処と大きく3つのパターンに分かれます。高級宿の場合、広間にずらーっと膳が並ぶことはまずありません。おこもり滞在がねらいなら部屋食に徹している宿がおすすめですが、ダイニング食の場合でも100%に近い宿がかなり慎重に密を避ける安全対策を実施しています。
- パブリックスペース…観光ではなく「宿そのもの」が旅の目的、というときは館内・敷地内に何があるのか、何ができるのか、は気になるところ。これはHPで紹介している宿が多いので、事前に確認しやすいポイントです。
なお、本記事の表示料金は、2名で宿泊した場合の1名料金の目安となっています。
山人-yamado-(岩手県・湯川温泉)
山の営みと文化を伝え、
その恵みを敬う湯宿
山を熟知する仕事人たちを「山人」と呼ぶ西和賀の地を尊び、肥沃な山の滋味でもてなす安らぎの宿。訪れる湯客に山のやさしさや恵み、温かさを伝える仕事をしたいという思いから宿の名としたそうです。
自社農園の安心野菜をはじめ、料理長みずから手摘みする芽吹いたばかりの山菜、西和賀名物のすっぽん、エジカや熊といった山肉を熟練の料理人たちが独創的に仕立てたジビエ料理が評判を呼んでいます。
トータルの魅力は、和と北欧風を融合した独特のセンスが生きる造作ながら、おしゃれ過ぎず、あくまで山に寄り添う姿勢。客室はすべて半露天風呂付きというラグジュアリーな設計ですが、高級感と素朴さのバランスが良く、その成熟した空気感が山人の小世界といえます。あるがままの景観を優先した空間は自然といごこちがよく、またマタギ文化を尊ぶ山料理にも押し付け感がないのが好印象です。
専用テラスと半露天風呂付きの客室群
ロビーラウンジのある母屋を中心に回廊でつながる客室は、メゾネットタイプの「靖山樓」、清らかな沢に臨む「麓花坊」と「麓樹坊」の3つに棟分けされ、全12室に自然の営みを感じる源泉かけ流し100%の半露天風呂が配されています。
いずれも設計や調度は異なりますが、共通するのは天井の高さ。雪深い地域ならではの切妻ルーフが室内空間を㎡数以上に広く感じさせるためか、ほどよい解放感と安らぎ感がいい塩梅です。またアースカラーを基調にした家具類もシンプルかつ上品で、山の宿によく似合う落ち着いたインテリア。
麓花坊にある「雪椿」、麓樹坊の「椈」と「桂」は、専用テラスや露天風呂のサイズがひと回り大きく、アッパークラスの扱いとなっていますが、すべての客室が大人向きのスイート仕様といっていい造作です。
客室タイプは以下のようになっています。
<靖山樓>
・萌木/深緑/錦/雪華…1階リビング+2階ロフト風ツインベッド+専用テラス+半露天風呂(いずれも約46㎡)定員2名
<麓花坊>
・雪椿…リビング+和風ツインベッド+専用テラス+半露天風呂(約47㎡)定員2~3名
・蕗の薹/堅香子/羊草…リビング+ハリウッドツイン+専用テラス+半露天風呂(いずれも約41㎡)定員2名
<麓樹坊>
・椈/桂…リビング+ツインベッド(トリプル可)+専用テラス+半露天風呂(いずれも約52㎡)定員2~3名
・水木/黒文字…リビング+ハリウッドツイン+専用テラス+半露天風呂(いずれも約48㎡)定員2名
野趣あふれる貸切の露天風呂も
客室の露天風呂で自在に湯あみを満喫できるのはもちろん、山の麓を流れる小鬼ヶ瀬川沿いには野天風呂「湯場一寸」が用意されています。
初夏は蛍が舞うほどのピュアな清流が、夜は満天の星が身近に迫り、そのここちよさは「あ~極楽」という言葉が口をついて出てしまう、という表現がぴったり。夏は降り注ぐ森のミスト、冬は雪見風呂も楽しめますよ。
利用は部屋ごとの貸切システムで(5:30~22:30、1回30分)、予約は宿泊日当日のチェックイン時に。
山の恵みを結晶した滋味深い創作料理
料理は、初めて目にするような食材もあり、新しい境地が開かれたと驚く湯客も多いとか。森の恵みは多種多彩なバリエーションで、春夏秋冬それぞれの美味を知り尽くした料理長が、その時期にもっともおいしい食材を目利きしています。
また山に精通した料理人ならではの、レシピの幅広にさも感服。野草や山菜、きのこ類、川魚といった脇役になりがちな食材も、ここでは主役級の一品となって膳をにぎわせます。
用意される宿泊料理は年間をとおして、おおむね5~6プラン。西和賀の天然食材をフルに使ったシンプル美食プラン、メイン含むジビエ料理2品を加えたスタンダードプラン、三陸の鮮魚と肉系のダブルメインプラン、マタギ文化に焦点を当てたジビエ肉を極めるプランのほか、幻の地古鶏と呼ばれる南部かしわ「銀雪」を余すところなく食べ尽くすコースや、地元名物のすっぽん丸鍋をコース仕立てで味わうプランも話題性たっぷりです。
朝食は好きなものを好きなだけ
朝食は、創作料理をオーダー形式で。このシステムがなかなか好評です。
まずは基本として6種の小鉢を詰め合わせた箱膳と豆乳鍋が供され、あとは品書きの中から好きなものをチョイス。イチから手作りした鹿のソーセージや白金豚のベーコン、岩魚の一夜干し、自家農園の朝摘み野菜、季節のフルーツジュース、特製オムレツなど、土地の食材を駆使した自家製メニューをいくつでも好きなだけ注文しながら味わうことができます。
山の時間を自在に過ごすラウンジ
湯上がりのひとときや、客室以外でのんびり過ごしたいときのおすすめは、ラウンジエリアやその2階にある屋根裏DEN風の読書室へ。
自慢のサウンドシステムから流れるスウェーデンJAZZをBGMに、読みたかった本にふけるもよし、ただただ無為の時間を味わうもよし、自分好みの山の時間に憩うことができます。
編集者からのおすすめポイント
「山人-yamado-」のチェックポイントはこちら!
・山に寄り添い、山の恵みを尊ぶ姿勢が好感度大
・野趣ある地元食材の料理プランが豊富
・全室が露天風呂付きで季節折々の景観が身近
こういったあたりに着目しながら、ぜひ「山人-yamado-」を楽しんでみてはいかがでしょうか?
ジビエはていねいな下ごしらえが施されているので、初めてという人でも抵抗感なく味わえますよ♪
お宿のデータ
山人-yamado-
やまど
所在地/岩手県和賀郡西和賀町湯川52-71-10
アクセス/JR北上線ほっとゆだ駅から乗り合い「湯けむりタクシー」で7分(200円)
電話番号/0197-82-2222
宿泊料金/1泊2食付(税・サ込)3万1900円~6万5000円
駐車場/20台
子ども/宿泊不可
>>「山人-yamado-」をネットで宿泊予約
御宿かわせみ(福島県・飯坂温泉)
意匠を尽くした唯一無二の料理
”かわせみ流”に心躍る味の佳宿
東北エリアで一度は泊まってみたい憧れの宿、となれば必ず上位ランクに名を連ねる美食の佳宿です。日本旅館ながら、料理を楽しむために泊まりがけで出かけてみる、というオーベルジュ的なコンセプトを提案し、季節を問わず食事目当てのリピーター来訪が絶えません。
最大の魅力は、ここでしか味えない傑作料理の数々。とくに「吟味特撰」と呼ばれる月替わりの一皿は〝かわせみ流〟を希求した独創性の高いメーンディッシュで、冴えわたる料理人の腕や高級食材はもとより、前後料理のバランスを意識し、全体の流れのなかでエッセンスとなる仕立て感覚が秀逸です。
また宿の誕生とともに一本一本の木々が植えられ、20年ほどの月日を経て形成された3千坪の庭は、人工的な観をあえて最小限に留めた自然林庭園。まさに「翡翠の里」と呼ぶにふさわしい景色が広がり、心を潤してくれます。
枠にとらわれない〝かわせみ流〟日本料理
料理ともてなしに徹底したこだわりをおき、調理人だけにとどまらず全スタッフの研鑽と精進から生み出されるのが〝かわせみ流料理”。和洋それぞれの基礎と伝統に、かわせみ独自の意匠が融合され、舌の肥えた大人をうならす逸品が膳にのぼります。
大前提である最高級の食材選びはもとより、創意工夫がより引き立つのは、腕の立つ料理人だからこそできる技。とくにメーンディッシュとなる「吟味特撰」は、食感、器、彩り、温度にいたるまで完璧に配慮された至福のスペシャリテで、食材の意外な組み合わせやオリジナリティの光るソース、目も楽しませる演出に驚かされます。
前後の味や余韻、繋がりなどを意識した順序への気遣いも大きく、以下のように通常の会席料理とは少々異なる進み具合。この考え抜かれたバランスの良さがまた、料理への高い評価に結びついているといえます。
・前段料理(始まりの箸染め、先附、椀)
・前菜
・吟味特撰
・後段料理(口替り、進肴、酢物、飯物、デザート)
スタートから極上尽くしの前段料理
箸染めや先付などの前段料理にも旬の高級食材が惜しみなく使われるほか、かわせみの手にかかると個性を発揮した一品に。
日本料理の真髄ともいえる椀物は、繊細かつ奥深い味わいの吸地が絶品。会席でいう八寸のような位置付けにある前菜は、季節を映すだけでなく、こだわりの器と演出、とりどりの小鉢が楽しい趣向となっています。
気になる後段料理は?
吟味特撰の前後には、三陸沖が誇る高級鮮魚の造りや、珍しい食材合わせも少なくない創作ソルベが口替りとして供されます。
後段料理もまた、もちろん手抜かりはなく、とくに進肴は吟味特撰に使われる食材や余味との兼ね合いが考慮され、ときには濃厚な肉料理、ときには涼しげな魚介と巧みなバランス感覚が冴え、まだまだ食指を誘いますよ。
宿泊者限定お持ち帰り「味土産」も!
食の宿というだけあり、夕食のあとには夜食のおむすび、翌朝は目覚めの名水に始まって、一日の活力の源「元気になる朝ごはん」、さらに注目は「かわせみ味土産」と名付けた宿泊者専用のお持ち帰りセレクション。
極上仙台牛を使った炭火焼ステーキ重(8640円)やすき焼きサンド(4104円)ほか、旬の限定品が登場することも。もちろんこれも“かわせみ流”、ただのお弁当ではありません。付け合せや特製ソースにも、ひと捻り、ふた捻りと絶妙の工夫が仕込まれています。希望の場合は、予約を忘れずに。
気品にあふれた上質な数寄屋客室
客室は和の規律に則った美しい数寄屋風、すべて次の間付き二間以上という広さを確保しているのは、日本の宿の伝統である“部屋食でのもてなし”に徹する思いから。
大きく分けると2階の6室がスタンダード、1階2室が露天風呂付きアッパークラス、渡り廊下を抜けておもむく離れタイプ4室が露天風呂付きハイクラスといった構成で、それぞれ趣が異なる造作です。スタンダードクラスといえども全室に古代檜の内風呂をしつらえ、二間以上が基本。小さな庭園を配した客室、洋間のリビングが付く客室もあり、朝夕の部屋食に際して十分に快適なスペースが確保されています。
また露天風呂付き客室は、濡れ縁や月見台が施され、水鳥が遊ぶ池、竹林、見事な枝ぶりの木々が茂る自然林庭園が目の前に迫るのが魅力。かなり人気が高いため、早めの予約が鉄則です!
客室タイプは以下のようになっています。
<2階 数寄屋風客室 スタンダード> 6室 ※コロナ対策により2021年7月現在4室で稼動中
・Aタイプ…和室15畳+6畳+檜内風呂(「杜鵑花」は12畳+洋リビング+4畳+檜内風呂)2~4名定員
・Bタイプ…12畳+6畳+檜内風呂(一部洋リビングあり)2名定員
<1階 露天風呂付き特室 ジュニアスイート>
・小萩…和室12畳+ツインベッドルーム+4畳+檜内風呂+温泉露天風呂/2~4名定員
<1階 露天風呂付き特別室 スイート>
・海棠…和室15.5畳+6畳+4.5畳+板の間4畳+檜内風呂+温泉露天風呂/2~5名定員
<離れ 露天風呂付き特室 ジュニアスイートヴィラ>
・雛罌粟/紫苑…和室12畳+8畳+4畳+檜内風呂+温泉露天風呂/2~5名定員
<離れ 露天風呂付き特別室 スイートヴィラ>
・侘助(平屋タイプ)…和室12畳+8畳+6畳+板の間3畳+檜内風呂+温泉露天風呂/2~5名定員
・花圃(メゾネットタイプ)…和室12畳+6畳+ツインベッドルーム+4畳+檜内風呂+温泉露天風呂/2~5名定員
東北を代表する名湯と庭園美に癒やされる
パブリックは、1階・2階ともに庭の眺めを堪能するロビースペースや書斎セクションがあるほか、湯上がりにおすすめのサロン、陶磁器やガラス製品を取りそろえた土産処など。シンプルながらも上質で、品のよさが際立ちます。
庭園内には「飯坂明治大正ガラス美術館」も併設し、希少価値の高い明治期・大正期の和ガラスを展示、歴史・文化を紹介しています。(コロナ対策により2021年7月現在休館中)
大浴場に満たされるのは、奥州三大名湯のひとつに数えられる飯坂温泉。日本武尊の時代に開湯したと伝わる東北きっての古湯で、14本もの源泉を誇るだけあり、内湯も露天風呂も体を包む豊富な湯量が快適。滞在中、深夜も含めいつでも利用可能なのがうれしいですね。
編集者からのおすすめポイント
「御宿かわせみ」のチェックポイントはこちら!
・”かわせみ流料理”の名に恥じないクオリティと技術の高さ
・使っている食材の上質さと目利きはさすが
・割烹料亭のような部屋食は高級感と優越感大
こういったあたりに着目しながら、ぜひ「御宿かわせみ」を楽しんでみてはいかがでしょうか?
何といっても料理。食材の豪華さだけでなく、斬新な意匠と至高の味わいを満喫してください。
お宿のデータ
御宿かわせみ
おんやどかわせみ
所在地/福島県福島市飯坂町小川端2-14
アクセス/福島交通飯坂線飯坂温泉駅からタクシーで10分(飯坂温泉駅から送迎あり)
電話番号/024-543-1111
宿泊料金/1泊2食付(税・サ込)4万2570円~8万2170円
駐車場/15台
子ども/宿泊可(施設使用料5500円、+年齢により大人の30・50・70%)
>>「御宿かわせみ」をネットで宿泊予約
櫻湯 山茱萸(山形県・赤湯温泉)
湯のぬくもりと木の手ざわり
旬の味わいが紡ぐ至福の時間
山茱萸(さんしゅゆ)とは、ハルコガネバナやアキサンゴとも呼ばれる里山の木。春には金色の花をつけ、秋にはグミに似た深紅の実を結びます。そんな可憐さと素朴さを併せもち、小宿だからこそできる「付かず離れず」の安定したもてなしや上品な茶室建築の客室が好評。くつろぐなら〝大人の和〟に限るという向きには格好の選択肢となりうる宿です。
間取りは全室ほぼ同等というシンプルな構成ながら、品位のある客室空間とそれぞれに露天風呂をしつらえているのが最大の魅力といえます。
全7室という規模はスモールラグジュアリーをイメージさせますが、トレンドに走ることなく、凛とした和の趣で統一。華美な設備はありませんが、それがいっそう落ち着きを醸し、旅慣れた大人のリピーターが多いというのもうなずけます。
趣が異なる7つの客室露天風呂
野山の花の名が冠された客室は、もっとも広い1室(大山蓮華)をのぞき、6室は共通のレイアウト。専用の庭をリビング、寝室、主室が囲む邸宅風の間取りで、室内にある渡り廊下の先に、それぞれ趣異なる露天風呂を配しています。
純和風の造作と相まって時代に流されないタイムレスな格調がありますが、シャワーブースは床暖房、フリーwifiはもちろん、2台のテレビやDVD・CDプレイヤー、コーヒーメーカー、タオルウォーマーも全室の標準装備で、近代ニーズに沿った過ごしやすい仕様。
また通常の浴衣に加え、ふかふかのバスローブやルームウェアが用意され、好みのスタイルで完全おこもり滞在も実現できます。
客室タイプは以下のようになっています。
・一人静(ひとりしずか)
・花筏(はないかだ)
・白山吹(しろやまぶき)
・都忘れ(みやこわすれ)
・釣船草(つりふねそう)
・秋海棠(しゅうかいどう)
以上すべて、前室+主室9畳+寝室9畳+リビング6畳+シャワーブース+露天風呂(約68㎡)2~5名定員
・大山蓮華(おおやまれんげ)
前室+主室12.5畳+寝室10畳+リビング8畳+シャワーブース+露天風呂(約79㎡)2~6名定員
味の要は土地のもの、旬のもの
食事もまた、夕食は和の基本に則った懐石料理。
まずは土地の恵みを尊重したいとの思いから、山形の風土が育てた食材を中心に、伝統的な郷土料理をもまじえた季節の品々を供しています。とくに地元の旬菜にはこだわりをおき、山形のソウルフードともいえる「ひょう」や入手が難しい天然月山筍などが膳にのぼることも。
また山形が誇る日本三大和牛のひとつ、米沢牛にも強い情熱をもち、吟味したA5ランクが使われています。
通常の懐石プランにも必ず盛り込まれるほか、米沢牛しゃぶしゃぶ会席、シャトーブリアンのステーキが付く米沢牛尽くし会席も名物プラン。米沢牛の特徴は人肌程度の温度でも溶け出すほど融点の低い脂質で、食したとたんに肉のやわらかさと甘み、上質な脂の香ばしさが口のなかに広がります。
食事は朝夕とも完全部屋食で
朝食は和食・洋食のいずれかを好みでチョイスできる趣向です。
例えば2名で宿泊の場合、1名は和食、1名は洋食というセレクションもOK。和食は小鍋の巾着、洋食は焼き立てパンや手作りスープがおいしいと評判で、和食と洋食をシェアして朝ごはんを楽しむ湯客が多いとか。
また日本旅館の伝統として、夕食・朝食とも食事は部屋出しへのこだわりが信条。おこもり滞在をコンプリートしたい場合にはうってつけです。
上杉の湯治場として活躍した歴史の名湯
最後にパブリックですが、館内にそろっているのは床しい雰囲気が湯治場のような大浴場、東洋美術が展示された茶室風ギャラリー、ライブラリー兼湯上がりサロンなど。あえて派手さをおさえたファシリティで、落ち着いた湯宿の真髄を追求するスタイルが好印象です。
客室の露天風呂、大浴場とも、引き込んでいるのは赤湯温泉。
開湯920余年の歴史を誇り、小野川温泉とともに米沢藩の湯治場として繁栄、藩主専用の御殿湯も設けられていたほどの名湯です。泉質は硫黄を含む塩化物泉で保温効果が高く、冬場はとくに湯冷めしづらいのが実感できると評判。大浴場、客室風呂とも、滞在中いつでも好きなときに湯あみを堪能することができますよ。
編集者からのおすすめポイント
「櫻湯 山茱萸」のチェックポイントはこちら!
・十分な広さを確保した上品な数寄屋客室
・全室が赤湯温泉かけ流しの露天風呂付き
・米沢牛へ向けた熱い情熱
こういったあたりに着目しながら、ぜひ「櫻湯 山茱萸」を楽しんでみてはいかがでしょうか?
素朴な郷土料理と名湯にも心癒やされますが、とくに吟味を重ねた米沢牛の料理が大好評です。
お宿のデータ
櫻湯 山茱萸
さくらゆさんしゅゆ
所在地/山形県南陽市赤湯740
アクセス/JR山形新幹線(奥羽本線)赤湯駅からタクシーで5分(赤湯駅から送迎あり)
電話番号/0238-43-3020
宿泊料金/1泊2食付(税・サ込)3万9000円~5万5000円
駐車場/15台
子ども/宿泊可(大人の50・70%)
>>「櫻湯 山茱萸」をネットで宿泊予約
至福のときが待つ、極上温泉やどへ
東北でおすすめ度の高い極上温泉宿3軒を紹介してみました。
全国で何千軒もの温泉宿を長年取材してきたプロの編集者がセレクトした珠玉の宿です。
近場でゆっくりのんびり、絶品の夕餉と良泉にまどろんで心と身体をリセット。
こんな贅沢な時間を過ごしに行きませんか?
東北の新着記事
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
【筆者】編集屋チョーク
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過去20年に渡って国内・海外の旅館やホテル、旅行全般のメディアを制作している編集プロダクションです。まっぷるマガジンを通して、関わってきた宿は2500件以上。宿の良し悪し・見極めには“そこそこ”自信あります。
趣味は「品のある」宿の考察、支配人との一献、あとは庭いじりと猫いじり。二輪・四輪問わず、輪っかの付いているものなら何でも好き。取材・撮影に特急で馳せ参じ、宿選びの参考にしていただける現場のライブ感と実直なレポートをお届けします!