更新日: 2022年3月24日
【私の移住体験】初めての移住×仕事は「地域おこし協力隊」で!自身のスキルを活かした田舎暮らしの始め方
東京生まれ・東京育ち、東京で社会人生活6年。ずっと都会で過ごしてきた私ですが、新型コロナウイルス感染症の流行で、地方移住に興味を持つようになりました。
「地方移住に興味はあるけれど、どうやって移住したらいいの?」「仕事や家はどうするの?」そんな疑問をもった私は情報収集を開始し、「地域おこし協力隊」という制度にいきつきました。地方移住について何も知らない、周囲に移住経験者もいない。そんな私が、縁もゆかりもない茨城県常陸大宮市へ飛び込むことになったのです。
「地域おこし協力隊」の制度を利用し、東京から移住した私の体験をレポートしますので、私と同じように悩んでいる方のヒントになれば嬉しいです!
目次
移住先の常陸大宮市について
茨城県北西部の関東平野と山地の境界部に位置するのが常陸(ひたち)大宮市。東側に久慈川、南側に那珂川の2大河川に挟まれた、自然の恵み豊かなまち で、市内にはJR水郡線が走り、水戸へのアクセスの良さもさることながら、そののどかなロケーションもまた魅力の一つです。
自然の恵みだけではなく、温泉やキャンプ場など観光施設も多数あり、アウトドア派な人にもおすすめのまち です。
地方移住に興味を持ったきっかけ
東京生まれ、東京育ちの私にとって、東京は何でも揃う便利な場所であり、そこから離れるという考えはこれまで一切ありませんでした。そんなところに、突如現れた新型コロナウイルス。「働く=出勤する」という概念は取り払われ、リモートワークやテレワークといった働き方が浸透しつつあります。
私自身も2020年はほぼリモートワーク。人と直接関わることも外出もできず、「東京で暮らす意味はあるんだろうか」と変化のない生活に嫌気がさし、仕事自体に疑問も抱きはじめました。
ちょうどその頃、テレビで地方移住者の密着VTRなどが頻繁に流れるようになり、「そうだ!私だって地方で仕事をしてもいいのではないか?」と思うようになったのです。
地方移住の第一歩!まずは移住先や仕事を探そう
地方移住に興味をもったものの、移住先の選び方、仕事の探し方など、わからないことばかり。仕事との兼ね合いもあり、新年度が始まる4月から新生活を始めたいという気持ちもありました。
「移住」や「地方」といったキーワードでネット検索をし、見つけたのが「移住スカウトサービスSMOUT」というサイトでした。新しい暮らしがしたい人や地域と関わりたい人などに向けて、おすすめの地域からスカウトが届く移住スカウトサービスなのですが、このサイトで「地域おこし協力隊」という文字を発見!
これが私の移住第一歩です。
地方移住と就業がどちらもかなう「地域おこし協力隊」という制度
『遅咲きのヒマワリ~ボクの人生、リニューアル~*』というテレビドラマを見ていたので、「地域おこし協力隊」という制度自体は知っていました。高知県四万十市が舞台になったこのドラマで、主人公が「地域おこし協力隊」として働いていたのです。
「地域おこし協力隊」とは、都市から田舎に移住し、農業や地場産品の開発・販売などを行い、その土地への定住を促す制度のこと。自治体は、隊員1人あたり470万円/年(令和3年度) を上限に財政措置を受けて移住者を協力隊として委嘱し 、隊員は1年以上 ~3年以下 、自治体からの仕事を請け負います。任期後は起業サポートなどもあるそうです。
協力隊の任期は最大3年。地方移住に興味がある人、地域おこし・町おこし・町づくりを仕事にしたい人など、本人のやる気や勇気さえあれば、縁のない地域へ移住し、仕事をすることができます。住宅の貸与もあるので、初めて地方移住する方はこの制度の利用を検討してみるとよいと思います。
2021年4月1日現在、茨城県内の地域おこし協力隊は65名で、常陸大宮市は私を含め4名が活動しています。
*『遅咲きのヒマワリ~ボクの人生、リニューアル~』- フジテレビ(2012年10月~12月)
「地域おこし協力隊」について詳しく知ろう!
「地域おこし協力隊として働きたい!」と思っても、一体どの地域を選んだらいいの?どんな仕事があるの?移住してもその地域に馴染めなかったら……等々、沢山の疑問があると思います。私自身がそうでした。
私が移住するにあたり決め手となった情報をご紹介します。
【行き先】移住先は「実家に日帰りできる距離」がおすすめ
地域おこし協力隊は全国様々な自治体で募集があります。行きたい地域が決まっていればよいのですが、私の場合、「どの地域を選んだら良いのだろうか」と悩みました。
なんといってもこれから暮らしていく場所であり、3年後には定住する可能性もあります。適当な選択はできません。
最初はドラマの影響で、「移住といったら大自然と隣り合わせの、東京から遠く離れたところ!」と考えていました。しかし、長期休暇では実家に帰省することもあるでしょうし、友人の多くは東京在住。コロナ禍で気軽に会うことはできないものの、できれば東京に日帰りできる距離が良いと思うようになりました。
飛行機でしか行けない地域は旅行で行けばいいですし、生活するにあたってはある程度の便利さがほしいなどと、だんだん考えが固まっていき、最終的に以下の三点に絞り込みました。
・東京に日帰りできる距離であること
・同じ関東地方
・ほどよい田舎
当初は同じ関東圏に過疎のイメージはなかったのですが、探してみないと分からないと思い、関東地方に絞って「地域おこし協力隊」の募集を探すことにしました。
その際に利用したのが「JOIN」というサイトです。
JOINには、「地域おこし協力隊」の隊員募集情報や隊員インタビューなど、「地域おこし協力隊」に関する情報が数多く掲載されています。他には「地域おこし協力隊 募集」や「地域おこし協力隊 応募」といったワードで検索したりもしました。
このようにして見つけたのが、現在協力隊として活動する、東京にほど近い茨城県常陸大宮市だったのです。
【仕事】経験や知識など、自身のスキルを活かせる仕事を探しましょう
移住したい市町村があったとしても、果たしてそこに自分のやりたい業務や自身のスキルを活かせる仕事があるかどうか。ここも重要なポイントでしょう。
縁のない地域に移住すると、そこでの生活に慣れるのに時間がかかるものです。住む場所と仕事が一気に変わればなおのこと、体力面・精神面で疲れてしまうと予想し、「これなら長期的に、本気で取り組める!」と思う業務に応募しようと決めたのです。
常陸大宮市の場合、以下6つの業務で募集がありました。
・御前山ダム活用コーディネート業務
・竹林活用コーディネート業務
・ふるさと納税コーディネート業務
・農業支援業務(新規就農)
・情報発信コーディネート業務
・チャレンジ業務(フリーミッション)
私は現在「情報発信コーディネート業務」を担当しています。もともと、本業に加えて隙間時間にライター業をしていたこともあり、「情報発信は文章を書く・写真を撮ることが好きな方におすすめ」という説明に目が留まったのです。
「住みたいと思った場所」と「やりたい仕事」が一致。さらに新年度採用ということで条件が揃ったのが、常陸大宮市だったのです。
ちなみに「チャレンジ業務(フリーミッション)」は、比較的どの自治体でも募集があり、企画書等を提出する提案型の業務。希望した自治体で「こうした業務がやりたい」「この業務はここではないとできない!」というくらいの熱意が必要でしょう。
フリーミッションなのでどんな業務にもチャレンジできますが、その一方で難しい面も。活動を広げすぎたり、軸がぶれてたりしてしまうと、結局何も形に残せないまま3年間が終わってしまうという可能性もあります。
【確認するべき事項】情報はくまなくリサーチを
「地域おこし協力隊」といっても、自治体によって募集要項は異なります。業務内容もそうですし、活動場所、勤務日、勤務時間、雇用形態、待遇・福利厚生などもしっかり確認しておく必要があります。
・活動場所について
常陸大宮市は平成16年10月16日、那珂郡大宮町・山方町・美和村・緒川村・東茨城郡御前山村の、旧5町村が合併して誕生しました。
私の場合は市の魅力をPRするという「情報発信」が仕事なので、活動範囲は市内全域です。
・勤務日/勤務時間について
様々な求人を見ましたが、常陸大宮市を含め、「月~金の週5日勤務」という条件がほとんどでしたが、地域によっては「週4日勤務」というところもあります。
勤務時間は地域によって異なります。常陸大宮市の場合は、1日7時間(9:00~17:00/内休憩1時間)、土日・祝日など、勤務時間外に勤務した場合は勤務時間内で調整します。
・副業について
最近は「副業可」とする自治体も多く、常陸大宮市でも、協力隊の業務に支障をきたさない範囲で副業することができます(要相談)。
以前から本業以外でもライター業をしていた私にとって、ここも大きなポイントでした。最大3年間の任務を終えた後に定住することになると、フリーランスとして起業する可能性
も大いに考えられます。私のように、既に副業をしていて、今後も続けていく予定のある人は、「副業可」である自治体を探すとよいですね。
・雇用形態について
常陸大宮市の場合、市の「会計年度任用職員(地域創生課所属)」となります。この「会計年度任用職員」というパターンが多いような印象です。その他、私が調べた限りだと、雇用関係なしで個人事業主として委託される場合があるようです。
・待遇/福利厚生について
社会保険、休暇、住居、貸与物品などの条件はしっかり確認する必要があります。住居は市が借り上げた物件が貸与されることがほとんどで、転居にかかる費用や生活必需品、水道光熱費は自己負担になることが多いようです。
・車の貸与について
貸与物品で重要なのが「車」です。車は貸してもらえる自治体が多いのですが、念のため「自家用車の用意が必要か否か」を確認したほうがよいでしょう。また、運転免許に関しても必須かどうか、募集要項をしっかりと確認する必要があります。
常陸大宮市の場合、自家用車の用意は必要ありません。
【運転免許が必要かどうか】豊かな自然が多い地域は「車の免許」が必須であることも
「地域おこし協力隊」は、過疎地域等に移住して地域活動を行う制度です。エリアの特徴として、どうしても公共交通機関は不便なところが多く、車の運転は必須となることがほとんど。運転免許については、以下3つのパターンに当てはまるかが問われることが多いようです。
・普通自動車運転免許を所持している方
・普通自動車運転免許を所持しており且つ日常的に運転している方
・普通自動車運転免許を○月〇日までに取得予定の方(○の部分は採用年月日)
私の場合、運転免許は所持していたものの「ペーパードライバー」だったため、2つ目の「日常的に運転している方」には該当しません。つまり、ペーパードライバー歴が長くても受け入れてくれる自治体でないといけない、ということになります。
運転に関して不安がある場合は、しっかりと自治体の方に相談しましょう。またオートマ限定の場合は、それでもよいかどうかを確認したほうが良いでしょう。
【生の情報を聞く】移住したい地域が決まったら先輩隊員(OB・OG)に話を聞こう
Uターン等を除き、縁もゆかりもない地域に飛び込むことが多いかもしれません。かくいう私も、地域おこし協力隊でくるまでは、この土地のことを何も知りませんでした。
良く知らない地域への移住、任期も最大3年間ということで、不安がたくさんあって当然です。そんな時は、先輩隊員(OB・OG)の活動状況や、退任後の様子を調べてみるとイメージがわきやすくてオススメです。
常陸大宮市の場合、各種SNSと地域おこし協力隊のブログから生の情報が得られます。
・Twitter @hitamaru
・Instagram @hitachiomiya.chiikiokoshi
・Facebook @hitachiomiya.chiikiokoshi
・協力隊ブログ「ごじゃっぺライフ」
・YouTube「常陸大宮市地域おこし協力隊おしゃべり」
ブログでは、各隊員のプロフィールや活動の様子、活動の本音などが掲載されています。
また、常陸大宮市公式のYouTubeでは、現隊員とOB・OGとのトークが視聴できます。動画で情報が得られると、より一層安心材料になりますので、ぜひ見てみてください!
その他にも、常陸大宮市の募集要項(令和3年度)では先輩隊員の紹介もありました。任期中の活動内容や退任後についても記載があると、活動状況が明確に分かるのでうれしいですね。
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