更新日: 2022年3月24日
【私の移住体験】時代はノマドワーク!「多拠点生活」で暮らすように旅する贅沢を味わおう
コロナ禍で厳しい状況にある世界経済。
あらゆる経済が停滞し、旅行業界も大きな打撃を受けています。
都心にあるオフィスを手放す企業、郊外に住居を移す人も急増し、リモートワークが徐々に浸透し始めるなど、これまでの常識が崩れつつあります。
コロナが発生しなければ、そんな時代が来るとは想像もできなかったことでしょう。
大変な状況がある一方で、変えたくても変えられなかったことが改善されている面もあり、ニューノーマルの価値観に期待する部分もあります。
「この新時代に思い切って都会を抜け出し、自分のスキルを活かして自由に生きる価値観を具現化してみたい。」
そんな方のために、私が実践する「多拠点生活」のメリット・デメリット、そしてその醍醐味をご紹介したいと思います。
目次
父との死別が人生を変えた
私はもともとスキーとサーフィンが大好きで、学生時代には「修行」と称し、国内外への旅を繰り返していました。大学卒業後は企業に就職。関東で会社員人生を送ります。
スポーツ用品業界での仕事は一般企業よりも自由で出張も多かったものの、旅をしながら暮らしていた生活への未練を捨てきれずにいました。
そんな折、父との死別により「人生は一度きりなんだ」と強く実感。8年間熱意を持って勤めた企業の退職を決意し、スキーとサーフィンをしながら世界一周をする旅に出たのです。
勢いで始めたフリーランス。スキーとサーフボードで仕事ができるまでに
世界一周中に記録として書き始めたブログや、その旅の最中にスタートしたweb媒体での執筆がきっかけとなり、「トラベルライター」のお仕事をいただけるようになったのが2016年のこと。
世界一周旅を終えてからは、バックカントリースキーガイド(手付かずの雪山フィールドを登って滑るアクティビティ)を志し、苦労して資格を取得。日本全国で国内外のお客様をガイドすることはもちろん、時には海外の雪山や海でもガイドをします。
このようにして、旅先やガイド仕事の合間に寄稿記事を書く、という仕事のスタイルが確立していきました。
当初は勢いだけで走り出したフリーランス生活でしたが、必死に研鑽を続け、ご縁に恵まれながら、どうにか仕事として成り立つようになったのです。
ありがたいことに、スキー用品業界の第一線で勤務した経験を買ってくださる企業もあり、バックカントリーガイド・商品販売・スキーギア加工・販売オペレーションマネジメントなど、多岐にわたる業務を請っています。
大人数でプロジェクトに取り組める大企業とは異なり、行動力と自己管理能力、そして誰にも負けない専門性と幅広いマルチタスクが必要なフリーランス。
熱意をもって自分を磨き続けた、会社員時代の8年間が報われる思いです。
多拠点生活のメリット①自分の好きな場所で生活できる
多拠点生活のメリットをご紹介します。
まずは生活する場所について。
私の自宅は神奈川の郊外にあります。その他には静岡県浜松市(実家)、長野県野沢温泉村、北海道札幌市の3箇所に拠点を置き、季節や仕事に合わせて移動し、生活しています。
冬の間は基本的には長野県野沢温泉村に滞在。スキープロショップ「COMPASS HOUSE(コンパスハウス)」でショップマネジメントやガイドの仕事をしています。
月に一度くらいのペースで北海道札幌市に移動し、北海道全土でスキーガイドもしています。ガイド業務が終了したらまた野沢温泉へ。仕事に応じて移動する生活です。
夏は神奈川県の自宅に滞在しながら執筆をしたり、月に数日東京都内の「Patagonia(パタゴニア)」というアウトドア企業の直営店で仕事をしたり。
時間があれば浜松でサーフィンレッスン、インドネシアなどでサーフィンガイドをすることもあります。
私の場合は幸いにも、魅力に溢れ、愛着ある土地がいくつもあり、そこが拠点となりました。
もともと旅が好きなので、各拠点を移動しながら仕事をする暮らしは、充実感に溢れています。「暮らすように旅する」というコンセプトを、真に体現しているようで幸せを感じられるのです。
自分の興味や才能を活かし、固定概念に縛られることなく、好きな場所で自由に暮らせるのはフリーランスのメリットです。
多拠点生活のメリット② いつでも自然を感じながら生活できる
もう一つのメリットは、自然と共に生活できることです。
都会は刺激に溢れており、その刺激を浴びることも時には必要だと思います。
しかし海や山に囲まれて育った私にとって、自然はまるでビタミンのようなもの。自然に身を委ねていると心が落ち着き、睡眠時間が太陽の動きと連動します。健康であることを実感できるのです。
初めての土地や珍しい土地を訪ね、ガイドとしてお客様を案内し、その景色や地産料理に感動してくれた瞬間は最高の気分!天職だと認識する瞬間です。
季節に合わせて旬な場所をめぐり、朝日・夕日を眺めながら暮らせるというのは、お金に代えがたい贅沢です。拠点に温泉があるため、「毎日温泉に入れる」という嬉しいオマケも大きいですね!
多拠点生活のデメリット①移動と出費
メリットがあれば、もちろんデメリットもあります。
多拠点生活には移動がつきものです、費用もかかります。「移動が苦手」という方にとって多拠点生活は不向きかもしれませんが、私の場合は車での移動がほとんど。装備や機材、生活用品を常に車に積みこみ、全国どこへでも出かけて行きます。
もともと無理がきく方で、長距離運転も得意。しかし、年を重ねるごとに運転には気をつけるようにしています。
移動に伴い、交通費も膨大になるので工夫が必要。
移動先ごとに仕事の日程をまとめることはもちろん、仕事が発生した場合はその近郊にて別の仕事が得られるように営業活動をするなど、なるべく最小限の経費になるように努力しています。
多重生活では生活費が重複してしまうことが多く、その点は大いに考慮すべき点です。
私の場合、幸いにも契約している仕事先にて間借りや居候をさせてもらえるため、固定費が必要な物件はありません。
家賃などの固定費は、交通費と同じく負担になる可能性が高いので、滞在する期間と頻度に応じて、最適なバランスの物件を選ぶことをおすすめします。
拠点以外への出張が発生した場合は、リーズナブルな宿泊施設を利用したり、携帯できる小型の山岳テントで寝たりすることもあります。
そこは過去の旅経験を充分に生かせる点。安くてお得な宿を探すノウハウと、どこでも寝られるスキルをフルに生かして、経費を節約しながら行動しています。
日本の宿泊施設は、全体的に綺麗でハズレが少ないですし、治安も良いので旅をするにはこと欠きません。安くてお得な宿を探すときは「じゃらん」、宿泊還元が受けられる「Hotels.com」などの比較サイトを使っています。
多拠点生活のデメリット② 家族と離れる時間が長くなる
家を長期間不在にしてしまうことも忘れてはいけません。
家族を連れてのノマド生活も考え、当初はチャレンジしていました。
しかし、経済的負担や妻の精神・肉体的負担を考慮した結果、家族は妻の実家近くに定住し、私が「ノマド単身赴任」という形をとっています。
そのため家族に長い間会えない日々もあり、冬季の繁忙期などは、3週間に一度帰宅できれば良い方です。
自分が寂しいだけならまだしも、家族にとっては父親が不在となるわけですから、家族からの理解と協力は不可欠です。
私の場合、結婚前から国内外を飛び回っていたこともあり、妻は今も変わらずたくましく支えてくれており、感謝は尽きません。
好きなことを仕事にさせてもらっているという感謝を胸に、家族のために必死に走り周り、家に居られる時は一緒の時間を精一杯過ごすことを心がけています。
究極の多拠点生活「バンライフ」
多拠点生活において、近年SNSなどで話題になることも多い「バンライフ」もおすすめです。
バンライフとは、車で寝泊まりし、移動しながら営む生活のこと。かつては「宿泊費節約のため車中泊で我慢する」というイメージが強かったのですが、今は違います。
海外では、数十年前からキャンピングカーブームがありましたが、日本でもようやく「バンライフ」というワードと共に、市民権を得るに至りました。今ではバンライフ用にさまざまなアイテムが開発・販売され、快適で贅沢な旅ができる車種もでてきました。
かく言う私も長年のバンライフ愛好家。
幼い時、家族と行った車中泊旅行から考えると、30年を超えるバンライフキャリアです!
バンライフの魅力は、宿泊費が節約できることはもちろん、何と言っても好きな景色を目の前に寝られること。
また、チェックイン・チェックアウトの時間に縛られず、自由に時間を使え、気ままに予定変更ができること。
自分の寝床がまるで移動する秘密基地の様に居心地良く、どこへでも快適な空間を持ち歩けること。
挙げ始めたらキリがないくらい、魅力が詰まった生活様式なのです。
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