更新日: 2022年3月24日
【私の移住体験】豊かな自然と温かい人の輪。北陸の小京都「越前大野」でプチ移住体験
サラリーマンのかたわら、トラベルライターとして活動している私。
旅が好きなことはもちろんですが、将来は移住暮らしに憧れており、「自分がここで暮らしたらどんな生活になるだろう?」という視点でも、現地を観察するように心がけています。
今回は、私が大好きで何度も訪れている場所の一つ、福井県の「越前大野」でプチ移住体験をする機会に恵まれました。
この記事では越前大野での滞在についてお伝えします。
目次
風光明媚な城下町「越前大野」
福井県山間部に位置する、人口約3万人の地方都市「大野市」。
雄大な山々に囲まれ、歴史の面影を色濃く残す、風光明媚な城下町です。
福井県全体の5分の1を占めるほど広大な面積を誇り、九頭竜(くずりゅう)ダムや刈込池(かりこみいけ)方面など、豊かな自然に恵まれています。
車で行くなら高速利用で東京から約6時間、大阪からは4時間ほど。
電車の場合は、越前大野駅まで福井駅から越美北線がありますが、運行本数が少ないので、京福バスの利用が便利です。
・京福バスHPはこちら
今回プチ移住の拠点とさせていただいたのは、ゲストハウス「越前大野の縁側」。
大阪から越前大野に移住をした陽気なオーナーが迎えてくれ、地に根ざしたローカルな滞在で「暮らすような旅」を体感するにはもってこいのゲストハウスです。
2泊3日、ローカルな人の輪にも加わりながら、ディープな大野時間を味わうことができました。
■越前大野の縁側
住所:非公開(JR越前大野駅から徒歩数分)
交通情報はこちら
>>越前大野の縁側について
>>youtubeのルームツアー
【越前大野の魅力①】 自然の恵み「湧き水」
越前大野の大きな特徴といえば、町のいたるところから出る「湧き水」です。
福井県山間部は豪雪地帯のため、山々に降り積もった雪が浸透し、地下を伝わってゆっくりと大野盆地へ流れ込みます。
市内にある20箇所以上の湧水点は、地域の暮らしや産業の大きな基盤。
豊かな水は人々の喉を潤すだけでなく、美味しい米作りや蕎麦打ち、酒造など、豊かな食につながっているのです。
豊かな自然の恵みを味わうため、滞在中は自炊にチャレンジ!
地元で評判の内田製麺所さんで購入した、名水仕込みの「つるもちラーメン」を調理します。
ゲストハウスで自家栽培している野菜を添え、最高の一杯をいただきました。もちろんスープも湧き水を使用しています。(内田製麺所HPはこちら)
食の基本といえる「水」は、食材本来の美味しさ高め、引き出してくれる存在。
日常で忘れがちな水のありがたみを感じ、自然の恵みをいただく自炊の喜びに立ち戻った気がします。
【越前大野の魅力②】 リラックスした人間関係 ~よそ者を受け入れてくれる地元民の輪
利害関係が伴う人付き合い。ビジネスとプライベートの壁。
都会暮らしでは、かしこまった人間関係が多く、素朴な人づきあいの機会は希少になりつつあります。
建前の人間関係に苦労する経験は、大なり小なり誰にでもあるのではないでしょうか。
一方、越前大野には自然体の人が多く、本音で語り合うローカルな人の輪を感じることができました。
中でも面白かったのが、各人好きなものを持ち寄って、酒を飲みながら焚き火を囲む夜のひととき。
年齢が上でも下でも関係なく、フラットに気ままに過ごせる場。
好きな時間に参加し、好きな時間に帰る。良い意味で、誰に気を遣うわけでもなく、遣われることもない。外から訪れた私も、スッとその輪に溶け込むことができました。
移住においては、どんな人がそこに住んでいるかはとても重要なポイントです。
越前大野では、年齢や出身地などに関わらず、「肩の力を抜いてさ、ひと息つこうぜ」と気さくに声をかけてくれる、温かい人の輪があるのです。
【越前大野の魅力③】 充実のアウトドアライフが楽しめる
元々登山が大好きな私は、以前から越前大野周辺の山に遠征していました。このあたりの自然は何度登っても飽きることはなく、毎回より深く魅了されています。
「越前大野の縁側」のオーナーさんが移住をした理由の一つも、この豊かな自然にあるのだとか。
「スノーボードが大好きで、冬はいつでも滑りに行けるから」というのが、移住の決め手になったそうです。
アウトドアが楽しめるという点は、登山が趣味である私にとってはとても重要なポイント。
上述の荒島岳をはじめとし、赤兎山(あかうさぎやま)や経ヶ岳(きょうがたけ)、銀杏峰(げなんぽ)や部子山(へこさん)など、魅力的な山に富んでいます。
日本三霊山の一つ「白山(標高2,702m)」に続く長大な登山道も近く、土日のお休みで日本屈指の山のいただきを踏むことも可能です。
また、季節を通じて見られる自然の姿や景色が大きく変わるのもポイント。何度も同じ山へ通いながら、四季の変化を五感で捉える暮らしに憧れます。
ゲストハウス「荒島旅舎」開業のお手伝い
お世話になった「一宿一飯の恩義」として、「越前大野の縁側」が新しく開業する宿泊施設建設のお手伝いをしてきました。
新しい宿泊施設は、越前大野から眺める日本百名山・荒島岳にインスピレーションを受け、「荒島旅舎(あらしまたびしゃ)」と名付けられました。
越前大野の中心に位置する3階建てのビルをリノベーションし、地域の人との共同運営で2020年7月にオープン。
すでに旅人と地域の人の、欠かせない交流の場となっています。
色々な個性やスキルを持った人が集うからこそ、自分一人では難しいことも形にできる!多様な人が集まることで、地域を盛り上げていく基盤になるのだと強く実感しました。
一度訪れれば、自らの移住構想や将来設計について、有意義な刺激をもらえるはず!
現在は、自由に働ける場として、「カンケイ商店」というコミュニティ施設も準備されています。
ディープな越前大野を体験したい人にオススメの宿。楽しい企画が次々と生まれる場所に、ぜひ訪れてみてくださいね。
※「荒島旅舎」は2020年8月に一般予約を開始。今後は「越前大野の縁側」ではなく、「荒島旅舎」での滞在を推奨していくそうです。ゆくゆくは、「越前大野の縁側」は閉鎖される予定です(2021年5月現在)。
■荒島旅舎
住所:福井県大野市元町8-17
メールアドレス:arashimahostel@gmail.com
ご予約はこちら
快適さより質的な豊かさを。悠々自適な「越前大野暮らし」
最後にご紹介したいのは、暮らしの満足度について。
都会と比べると田舎は娯楽施設が少なかったり、最寄りのコンビニから遠かったりなど、不便というイメージがあるかもしれません。
しかしながら、それを「快適性の欠如」と考えてしまうのは、都会暮らしに慣れすぎてしまっているからではないでしょうか。
映画館やゲームセンターといった娯楽施設に頼らなくても、のびのびと遊べる環境があります。いつでもどこでも物が手に入らないからこそ、より物のありがたみを理解し、物にあふれた生活を脱却することもできます。
越前大野は都市であるにもかかわらず、驚くほど人口密度が低いのも特徴です。
広い土地を生かして家庭菜園や農業を営む家庭が多く、時計ではなく、太陽を見ながら過ごす一日。
生活をするのに十分な利便性も確保されていて、都会と田舎のバランスを絶妙にとっているような場所です。
単なる旅ではない「移住体験」を味わうには?
今回のプチ移住体験では、北陸の小京都・越前大野の自然や人との交流を満喫することができました。
こうした「暮らすような旅」スタイルを自分一人で手配するのはなかなか難しいもの。
地元に住むような体験がしたい人は、「荒島旅舎」や「越前大野の縁側」のような宿に、「ディープな旅を楽しみたい!」という旨を伝えてみてください。現地の人と繋いでくれたり、ローカルなスポットを紹介してもらえたりします。
素晴らしい一期一会の出会い、これまでの価値観を刷新してくれる体験が、あなたを待っているでしょう。
取材・文章・写真:土庄雄平
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