更新日: 2021年3月23日
【連載エッセイ・第30回】猫と田舎で暮らしてみた~6匹と僕たちの里山生活~
東京生まれ、東京育ち。9年前に奥さんと、大分・国東半島へ移住。
そこで出会った猫たちと、こんどは、自然豊かな伊豆の田舎へ。
ゆっくりと流れる時間のなかで、森や草むらで自由に駆け回る猫たちと、一緒に暮らす日々のあれこれをお伝えしていきます。(毎週火曜日・金曜日に公開)
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いつでもどこでもべったり長女さん
「ちー」は我が家の長女猫。国東の山へ捨てられたのを助けた時、体は小さいけれどちょこまか元気一杯だったから「ちー」というありがちな名前を付けた。子猫の頃は体にはっきりとした縞があったんで最初は「しまちー」だったんだ(ちなみに同じ灰縞柄で大きいのがしま兄)。でもそれじゃ呼びにくいのでいつのまにか「ちー」になって、そしたら体の縞もいつの間にか消えてしまった。
いつも一緒にいるので僕が撮る猫たちの写真の中ではちーの写真が圧倒的に多い。だからと言ってこの子を特別に可愛がっている訳ではないし、6匹の猫たちには6等分で愛情をかけているつもりなんだが、ほかの猫たちは僕がちーだけを特別扱いしているように思っているのかも知れないな。
その点ちーは賢いせいか他の5匹との関係はすこぶる良い。無駄な争いをせず、強い兄とも弱い妹とも良好な関係を保っている。彼女には目力があり、彼女の行動はいつも目的と意志に基づいている。
そんな長女さんが2年に1度くらい原因不明の体調不良になることがある。そんな時は元気がなくなって、食事も摂らず、熱でもあるようにうずくまったままじっとしている。心配になって病院へ連れていくけど、たいていの場合は「軽い脱水があるので点滴しましょう」とか、「一晩入院して栄養つけましょう」と言われる。つまり治療が必要な悪いところはどこもないんだよね。
だから僕は彼女の体調不良は賢さゆえのストレスみたいなものだと思っている。僕たち人間が他のどんな生き物より少しばかり頭が良いせいで様々なストレスに付きまとわれるのと同じように。
庭のテーブルで彼女と共にするお茶の時間が僕の楽しみ
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【筆者】高橋のら
1960年東京生まれ。製本業経営を経て編集プロダクションを設立。
2011年に東京から大分県国東市へ移住し、2014年に国東市から静岡県伊豆半島に転居しました。現在は伊豆の家で編集業を営みながら仕事上のパートナーでもある家内と、国東で出会った6匹の猫たちと共に暮らしています。
国東での猫暮らしを綴った著書「猫にGPSをつけてみた」雷鳥社刊があります。