更新日: 2021年3月9日
【連載エッセイ・第25回】猫と田舎で暮らしてみた~6匹と僕たちの里山生活~
東京生まれ、東京育ち。9年前に奥さんと、大分・国東半島へ移住。
そこで出会った猫たちと、こんどは、自然豊かな伊豆の田舎へ。
ゆっくりと流れる時間のなかで、森や草むらで自由に駆け回る猫たちと、一緒に暮らす日々のあれこれをお伝えしていきます。(毎週火曜日・金曜日に公開)
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ぼちぼちと春の足音
さて弥生。しかし春は抜き足差し足。
まだ虫のいない今の時期なら窓や玄関の戸は開けたままで大丈夫。だけどそれももうあと半月かな? ちょっとでも水が温む頃になったその後は半年以上先までブンブンと飛び回ったり、カサコソと床を這ったりの虫地獄 (T_T) これはもう田舎に住む限り避けて通れない道なのです。
気がつけば荒涼としていた庭にもうっすらと緑が増え始めている。陽射しは早春。空気は真冬。木蓮の花がぽつぽつと咲き始めて、足元にはハコベが広がり始めたけど、冬の間に枯れたホテイアオイの浮くメダカ鉢には薄氷が張る日もある。
猫たちは太陽を浴びるのが大好き。
お日様の光を受けることで彼らは体内にビタミンDというのを生成する、と言われていたけどそんなことはないらしい。でもね、なんでもかんでもそうやって科学や実利で理由を付けなくたっていいじゃないか。人間だってお日様に当たるのは気持ちいいものだし、メダカだって水の中で太陽に当たらないと弱ってしまうんだから。
風も空気もまだまだ冷たい。春がちょっと足踏みをした朝は天城の峰から冷たい風が吹き降りてくる。そんな朝は猫たちも家の中。陽の当たる場所を選んで家の中。身を切るような風の日でも、晴れてさえいれば窓際だけは羽根布団のような春の温もりになる。どんなに寒い一日だって、晴れてさえいればもう火を焚かなくても寒い思いはせずにすむ。
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【筆者】高橋のら
1960年東京生まれ。製本業経営を経て編集プロダクションを設立。
2011年に東京から大分県国東市へ移住し、2014年に国東市から静岡県伊豆半島に転居しました。現在は伊豆の家で編集業を営みながら仕事上のパートナーでもある家内と、国東で出会った6匹の猫たちと共に暮らしています。
国東での猫暮らしを綴った著書「猫にGPSをつけてみた」雷鳥社刊があります。