更新日: 2021年10月25日
【全国】美しすぎる風景「絶景峠」8選 峠をめぐるおすすめ旅
山地が国土の3分の2を占め、雄大な山脈や急峻な地形が多い日本には数えきれない山岳絶景があります。北アルプスを望む長野県の「上高地」 や、5つの湖沼を育む北海道の世界遺産「知床」 などは、その代表例と言えるでしょう。
今回は、山岳絶景の中でも山脈を越える道「峠」にフォーカスします。日本には数えきれない程の「峠道」 が存在しますが、山と道が織りなす風景は筆舌に尽くしがたいほど美しく、実に感動的。雄大なパノラマや圧倒的な存在感を放つ山々など、個性豊かな表情を見せてくれます。
日本が誇る至極の絶景峠を8つ、厳選してご紹介していきましょう!
目次
- 【北海道×絶景峠】1.世界遺産を走る「知床峠」
- 【北海道×絶景峠】2.眼下には屈斜路湖の大展望!カルデラの峠道「美幌峠」
- 【秋田県・岩手県×絶景峠】3.森林限界から青空へ!東北・八幡平山上の「見返峠」
- 【福井県/滋賀県×絶景峠】4.紅葉の名道として近年話題!鯖街道「おにゅう峠」
- 【福井県/岐阜県×絶景峠】5.美濃から越前へ続く狭路!絶景酷道・奥揖斐「冠山峠」
- 【長崎県×絶景峠】6.雲仙の山岳絶景と大海原を望む島原半島の「仁田峠」
- 【徳島県×絶景峠】7.祖谷の秘境を縫う大パノラマの道!四国「落合峠」
- 【熊本県×絶景峠】8.緑あふれる山岳絶景が広がる!阿蘇の隠れ名峠「俵山峠」
- 絶景峠を通じて「日本を再発見」する旅へ
【北海道×絶景峠】1.世界遺産を走る「知床峠」
国内の旅行先として、誰もが一度は憧れる北海道の世界自然遺産「知床」。オホーツク海の根室海峡や羅臼岳(らうすだけ)など、原生の自然が海から山へとひと続きになっているという、極めて稀有な場所です。
国内屈指の秘境と言える知床ですが、実は唯一、車で横断できるルートが存在します。それが今回紹介する峠、「知床峠(知床横断道路 )」です。
標高738mとそれほど高くないものの、緯度が高いため、この標高で既に森林限界*。晴れていれば、知床連山の主峰「羅臼岳」の大パノラマが広がります。
*森林限界…高い木々が生えなくなる高度
また、西にはオホーツク海、東には北方領土も望む特殊なロケーションで、世界遺産の中をドライブする非日常さも堪りません!
知床峠は霧に包まれることも多いため、天気予報やライブカメラで、あらかじめ天候をチェックして向かうと良いでしょう。
※羅臼町湯ノ沢~斜里町字岩尾別道道交差点までは冬期全面通行止めとなっています。
詳しくは国土交通省Webサイトをご確認ください。
知床峠
- 住所
- 北海道斜里郡斜里町知床国立公園内
- 交通
- JR釧網本線知床斜里駅から斜里バス羅臼行きで1時間20分、知床峠下車すぐ
- 営業期間
- 4月下旬~11月上旬(知床横断道路開通期間)
- 営業時間
- 情報なし
- 休業日
- 11月上旬〜4月下旬は冬季閉鎖
- 料金
- 無料
【北海道×絶景峠】2.眼下には屈斜路湖の大展望!カルデラの峠道「美幌峠」
北海道の東側は、日本屈指の絶景峠の宝庫。知床峠とともに、もう一つ外せないスポットが国道243号線 「美幌峠(びほろとうげ)」です。カルデラ地形を形成する、屈斜路湖(くっしゃろこ)の外輪山* にあたり、道内でも人気のドライブコースとして知られています。
*外輪山…複式火山で火口中央を環状に取り巻く外側の山の連なり
人気の理由は、峠の先に広がる絶景パノラマ!津別・北見の丘陵地帯から屈斜路湖、そして知床連山の南端に当たる百名山「斜里岳(しゃりだけ)」の山容まで、360度にわたり道東の世界観を楽しむことができます。
車でアプローチできるにもかかわらず、まるで登山をしたかのような爽快感と満足感!
屈斜路湖畔には温泉もたくさんありますので、温泉旅としてもオススメです。
【秋田県・岩手県×絶景峠】3.森林限界から青空へ!東北・八幡平山上の「見返峠」
秋田県と岩手県の県境にあたり、たおやかな山脈を形成している奥羽山脈の「八幡平(はちまんたい)」。日本百名山の一つにも選ばれており、東北のハイキングスポットとして高い人気を誇っています。
地形が緩やかかつ残雪が豊富なため、大規模な湿原や湖沼が発達しています。山上の楽園とでも呼びたくなる、独特の雰囲気を醸し出している光景が特徴です。
今回紹介する「見返峠」は八幡平の登山口にあたり、日本絶景道の一つ「八幡平アスピーテライン」の頂上に位置しています。高い木が少なく、道の先には空が思いっきり広がるので、開放感もひとしお。
見返峠は八幡平から岩手山へ続くロング縦走コースの起点ともなっており、途中にある畚岳(もっこだけ)の山容が見事です!周囲の八幡平温泉郷は秘湯の宝庫なので、ぜひ立ち寄ってみてください。
※八幡平アスピーテラインは11月初旬~4月中旬頃まで全面通行止めです。Webサイトから最新の情報をご確認ください
見返峠
- 住所
- 岩手県八幡平市八幡平山頂
- 交通
- JR盛岡駅から岩手県北バス八幡平頂上・八幡平蓬莱境行きで1時間50分、八幡平頂上下車すぐ
- 営業期間
- 4月中旬~11月上旬
- 営業時間
- 情報なし
- 休業日
- 11月上旬〜4月中旬冬季閉鎖
- 料金
- 無料
【福井県/滋賀県×絶景峠】4.紅葉の名道として近年話題!鯖街道「おにゅう峠」
続いては、福井県と京都を結ぶ街道「鯖街道(さばかいどう)」。途中、滋賀県の山間部も経由しながら進みます。
この街道はかつて、若狭湾の魚介類を運搬するための物流網の役割を果たしていたのですが、中でも鯖を運ぶことが多かったことから、「鯖街道」と名付けられました。
一番メジャーなルートは国道である27号線や367号線ですが、近年話題となっているのが、その国道から派生する滋賀県高島市の「おにゅう峠」。元々は地元ハイカーやバイクに乗る人など、知る人ぞ知る峠でしたが、いつしか高島市の観光名所となりました。
見どころは一筆書きのように続く道のりと、峠を振り返った時に見られる紅葉の尾根。10月下旬から11月上旬にかけては、道沿いを鮮やかな赤色や黄色が彩ります。滋賀の秘境が作り出す、絵画作品のようですね。
運が良ければ、早朝に雲海と紅葉のコラボレーションが見られることもあり、紅葉シーズンには多くのカメラマンが集います。緑溢れる、夏の季節もオススメです。
■おにゅう峠(オニュウトウゲ)
住所:滋賀県高島市朽木小入谷
交通:大津市街から車で約1時間半
休業日:冬季閉鎖はありませんが、12月〜3月は積雪で通行困難になることがあります
料金:無料
カード(利用の可不・可)
駐車場:峠にあり(無料)
公式WEBサイトはこちら
【福井県/岐阜県×絶景峠】5.美濃から越前へ続く狭路!絶景酷道・奥揖斐「冠山峠」
俗語で「酷道」という言葉があるのですが、「国道でありながら過酷な道路状況」を意味し、「こくどう」という同音をもじって使われています。
日本全国には様々な酷道が存在しますが、「絶景の国道」といえば、林道冠山(りんどうかんむりやま)線の「冠山峠 」が代表格でしょう。
冠山峠は標高1,050mの峠で、岐阜県の奥揖斐(おくいび)から福井県今立郡(いまたちぐん)を繋ぐ道路の頂上に位置しています。「奥美濃のマッターホルン」と呼ばれる冠山の登山口でもあります。
岐阜側は深い樹林帯に覆われた道で、急なカーブが連続します。景色変化が面白く、福井側は対向車とのすれ違いが困難なほどの狭路!崖のすぐ上で、ガードレールもない道のためヒヤヒヤしますが、これほど冒険心そそる山岳道路はなかなかありません。
岐阜・福井の県境がいかに秘境か。それをダイレクトに感じさせてくれる野趣溢れる絶景道です。
※11月下旬~6月中旬頃までは冬季閉鎖となります。詳細はWebサイトをご確認ください
■冠山峠(カンムリヤマトウゲ)
住所:岐阜県揖斐郡揖斐川町塚
交通:大垣市街から車で約1時間40分、越前市から車で約1時間
休業日:11月中旬〜6月上旬まで冬季閉鎖
料金:無料
駐車場:峠にあり(無料)
【長崎県×絶景峠】6.雲仙の山岳絶景と大海原を望む島原半島の「仁田峠」
長崎県南部、有明海に突き出る島原半島は、雲仙普賢岳 の噴火によって作られ、まるで一つの山のように見える地形をしています。次の峠は、島原半島の最高点「仁田峠(にたとうげ)」 です。
標高1,080mの仁田峠は、雲仙普賢岳を中心とする雲仙山塊のくぼみに位置しています。 途中の道は「仁田峠循環自動車道路 」と呼ばれ、県内屈指のドライブコースとしても知られています。展望所からは赤茶けた存在感抜群の山容と、山麓の大海原を望む絶景が!
標高1,000mを越える峠ながら、冬季閉鎖がないのも特徴です。冬には仁田峠から雲仙・妙見岳を繋ぐロープウェイに乗り、霧氷(空気中の水分が過冷却で木々に付着する現象)鑑賞も楽しめます。
仁田峠
- 住所
- 長崎県雲仙市小浜町雲仙551
- 交通
- JR長崎本線諫早駅から島鉄バス雲仙行きで1時間20分、雲仙下車、島鉄バス雲仙営業所で乗り合いタクシーに乗り換えて20分、仁田峠下車すぐ(雲仙ロープウェイ仁田峠駅)
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 見学自由、雲仙ロープウェイは8:31~17:23(上り最終17:03)、11~翌3月は~17:11(上り最終16:51)
- 休業日
- 小浜仁田峠循環線は天候により通行止めの場合あり、雲仙ロープウェイは悪天候時休
- 料金
- ロープウェイ(往復)=大人(中学生以上)1300円、小人650円/ロープウェイ(片道)=大人(中学生以上)730円、小人370円/
【徳島県×絶景峠】7.祖谷の秘境を縫う大パノラマの道!四国「落合峠」
次にご紹介するのは徳島県の「落合峠 」。
日本三大秘境の一つとして知られる「祖谷渓(いやけい)」の北東部、三好市に抜ける県道の頂上にある峠です。この県道は1994年に「県道44号線」として認定されたものの、長らく一部未舗装路となっていました。
現在は全面舗装路として開通しており、一般車両でも通り抜けることが可能です。
日本屈指の深い自然を走る秘境の道は、樹林帯を曲がりくねりながら上っていき、標高1,400m程までくると森林限界を迎えます。
標高1,513mの峠からはすばらしい絶景が。南には四国の屋根を形成する剣山(標高1,955m )や三嶺(標高1,894m) などの山々、北には瀬戸内海の大パノラマが広がります。四国の雄大な大自然を堪能ください!
10月上旬から下旬にかけては紅葉が特に美しく、峰々が鮮やかな赤色に彩られます。この峠は、祖谷山地の最高峰、「矢筈山(やはずやま)」登山口 としての役割も果たしています。
■落合峠(オチアイトウゲ)
住所:徳島県三好市東祖谷落合
交通:三好市街から車で約1時間
休業日:冬季閉鎖はありませんが、12月〜3月は積雪で通行困難になることがあります。
料金:無料
駐車場:峠にあり(無料)
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