更新日: 2023年8月27日
極彩色の錦絵の世界!佐賀県唐津の紅葉名所「環境芸術の森」
蝉の声が鈴虫の音に代わり、暑さが和らいでくればいよいよ秋の訪れ。紅葉シーズンの到来ですね。紅葉といえば京都が有名ですが、中でも逆さ紅葉で有名な洛北の「瑠璃光院」は、相変わらず不動の人気です。
その瑠璃光院に匹敵するほどの美しい「逆さ紅葉」が見られるスポットが、佐賀県唐津市に存在することをご存知でしょうか?九州の佐賀県に、そんなスポットがあるなんて意外ですよね!
今年の秋は、佐賀で紅葉狩りと行きませんか?
目次
SNSで人気急上昇!佐賀県唐津市にある「環境芸術の森」とは
佐賀県といえば、吉野ケ里遺跡や、有田や伊万里の焼き物、がばいばあちゃんなど観光というと今一つ印象が薄いイメージですが、実は魅力あふれる隠れスポットが数多く存在します。
その一つが佐賀県唐津市厳木(きゅうらぎ)にある「環境芸術の森」。近年、SNSを通じて人気に火がつき、今や九州の中でもっとも注目される紅葉スポットの一つとなっています。
環境芸術の森は、唐津市厳木町にある作礼山(さくれいざん・標高887m)の中腹に存在します。約10ヘクタールにおよぶ広大な森は、この山の所有者であり、同市で造園業を営んでいる環境芸術家、鶴田正明(つるだ・まさあき)氏によって造られました。
1980年、原因不明の病に倒れて亡くなった鶴田氏の次男(享年17)。衝撃の死をきっかけに、鶴田氏は食べ物や環境問題に思い馳せるようになりました。健やかな身体を作る原点はきれいな空気や水であり、それを作り出すのは森であると再認識し、当時手つかずの山林原野を私財で購入。40年の歳月をかけて石や土、モミジやカエデ、イチョウなど1万本以上の広葉樹を植え付けて再生させたのです。息子の治療で献血協力をしてくれた方々への、恩返しでもありました。
鶴田氏は、もともと数々の造園コンクール受賞歴をもつ腕利きの庭師。すべてを人工的にしてしまうのではなく、自然のままに活かせるものは活かすのが鶴田氏のやり方です。
自然の形態に寄り添いながら、そこに調和するように新たに石や木を組み合わせ、今ある美しい森を作り上げました。
「昔の森を取り戻す、昔の川を取り戻す、昔の土を取り戻す」の信念のもと、「人が手を加えることで森の美しさを守りたい」という願いを込めて名付けられた「環境芸術の森」。春夏には美しい新緑、秋には燃えるような紅葉で、人々にやすらぎと癒やしを与えてくれています。
環境芸術の森
- 住所
- 佐賀県唐津市佐賀県唐津市厳木町平之667
- 交通
- 長崎自動車道 多久ICから車で約50分
- 営業期間
- 通年(風遊山荘は特別観覧期間中のみ公開、4月中旬~6月中旬頃と11月1日~30日頃まで※それ以外の期間は要予約)
- 営業時間
- 9:00~16:00
- 休業日
- 年中無休
- 料金
- 入場料=高校生以上700円、小・中学生300円、幼児無料
環境芸術の森は人里離れた山の中!運転にはご注意を
環境芸術の森がある唐津といえば、佐賀県の北西に位置し、玄界灘に面した港湾都市。環境芸術の森は、同市内でも内陸方面の、人里離れた深い山中にあります。もちろん道は整備されていますが、うねうねしたヘアピンカーブが続き、運転が若干不安になるかもしれません。
公共交通機関や送迎バスはないため、レンタカーやタクシー、あるいは団体ツアーなどに参加する必要があります。
駐車場は入口から少し離れたところにあるので誘導に従って停車しましょう。個人の場合は坂の途中にある切符売り場でまずチケットを購入、団体ご一行様はさらに先の団体窓口にて受付を済ませます。
なお、森の中にお手洗いはないため、心配な方は散策前に入口横のトイレに立ち寄っておきましょう。
「風遊山荘」で味わう極上の「逆さ紅葉」
お目当ての逆さ紅葉が見られるスポットは入口奥にある風遊山荘(ふうゆうさんそう)。その2階広間となります。この石段を昇り、左手にある玄関から入りましょう。
なお、環境芸術の森自体は通年営業ですが、風遊山荘のみ、春の4月中旬から6月中旬と秋の11月1日~30日(いずれも予定)の特別観覧期間のみの開放となっています。
※特別観覧機期間以外の観覧は要予約
2階広間の様子。「逆さ紅葉」は、漆塗りのテーブルに映り込んだ紅葉のリフレクション。テーブルの表面を傷つけないように、ハンカチやタオルが用意されていますので、その上にカメラやスマートフォンを置いて撮影しましょう。
見てください!この極彩色に彩られた錦絵のごとく艶やかな世界を!
極上の紅葉、まさに和の美です。思わずため息が漏れてきます。
もちろん、窓際にある椅子に座って記念撮影もOK。混み合うときは係の方の誘導にしたがい、譲り合いながら気持ちよく撮影しましょうね。
100年前、唐津市佐志(さし)にあった古い遊郭から出た廃材を、風遊山荘を建てる際に再利用。古民家風の重厚なたたずまいはそのままに、アンティークな骨董品や調度品がさらに風情を醸し出しています。
テーブルには環境芸術の森に関する写真集や関連書籍、パンフレット類などが並び、自由に閲覧することができます。モニターには美しい森の姿が映し出され、自由にのんびり過ごしてくださいね。
2つの散策コースを楽しむ
風遊山荘の逆さ紅葉を堪能した後は、ぜひ外に出て森の中を散策してみましょう。体力に合わせて、15分と30分の2つの散策コースが用意されています。
【15分のショートコース】
15分のショートコースは、風遊山荘前に造られた庭園をぐるっと一周するコース。池の入口からスタートします。
風がなければ、散り紅葉とリフレクションがダブルで楽しめる庭園の池。こちらも人気の撮影スポットです。
遊歩道の脇にはこんなかわいいアヒルの彫像も。園内にはアヒルのほか、トイレ前のカエルや団体受付横のリスなど遊び心あふれるアニマル彫像が潜んでます。
散策道はどこを切り取っても絵になる光景で、まさに錦秋の候。こんな風雅な庭を堪能できるとは、日本人はやはり贅沢ですね。そばには庵もあり、ひと休みに最適です。
小さな沢のせせらぎ、苔むした岩、岩を覆う散り紅葉と、風流な秋の余韻に浸りながら橋を渡り、スタート地点に戻ります。15分でも十分森の美しさが堪能できますよ。
【30分のロングコース】
30分のロングコース、橋を渡り、そのままグルっと大回りで森を一周するコースです。緩やかな坂が続きますが、緑、赤、黄、オレンジ、そして空の青のコントラストがすばらしく、その極彩色に目を奪われます。
1万本のもみじは、伊達ではありません。山の斜面に沿って植えられた真紅のもみじが覆いかぶさり、下には真っ赤な絨毯が敷き詰められ、まさにもみじのトンネル。圧巻の一言です。
こちらは環境芸術の森の中でもっとも古く、樹齢1,000年以上ともいわれるもみじの大木。高さ8m、幹周り3mもあり、森の主のような存在感を放っています。あまりの巨大さに搬出できず、3分割にして、車3台で運んだという逸話も。帰り道にもう一本、樹齢600年以上ともいわれるもみじの大木がありますのでそちらもお見逃しなく。
森の中でゆったりくつろげるよう、コースの途中にはベンチがあちこちに用意されています。紅葉の森林浴シャワーと心地よい空気に包まれて、心ゆくまで癒やされてくださいね。
小腹が空いたら甘味処はいかが
風遊山荘の1階には、コーヒーや甘酒、お茶等を販売しているカフェが併設されています。また特別観覧期間中は四季の銘菓や葛切り、お抹茶などが楽しめる甘味処なども臨時営業中。散策後に小腹が空いたら、足休めに立ち寄ってみてください。
※2020年9月現在、新型コロナウイルスの影響で1階喫茶はテイクアウトのみとなっております。
お帰りの際には農産物直売所も立ち寄ってみて
駐車場までの道中には農産物直売所が営業しています。地元で採れたみずみずしい新鮮野菜がお値打ち価格で販売されています。
遠方からお越しの方で重たい野菜を持って帰るのはちょっと……という方には、秋の味覚の代表、焼き芋はいかがでしょう。遠赤外線の壺でじっくり焼かれた焼き芋は、甘みがギュッと凝縮してホクホク、絶品の美味しさです。
紅葉の余韻に浸りながら、焼き芋片手に食べ歩きも楽しいですね。
まとめ: 佐賀が誇る絶景紅葉スポット!感動的な逆さ紅葉を見逃さないで!
佐賀に現れた、とてつもなく美しい錦絵の世界の森は、造り手の切なる想いが込められた究極の紅葉スポットです。次回九州を訪れる際には、ぜひ佐賀県唐津の環境芸術の森まで足を伸ばしてみてください!
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