トップ > アウトドア >  登山・ハイキング >

上高地から行く秘境「北アルプス 涸沢カール」の絶景紅葉へ 1泊登山ガイド

山と高原地図 編集部

更新日: 2024年11月14日

上高地から行く秘境「北アルプス 涸沢カール」の絶景紅葉へ 1泊登山ガイド

アルプスの紅葉名所は数々ありますが、その筆頭格と言えるのが、北アルプス・穂高連峰の秘境「涸沢(からさわ)カール」。

約6時間の道のりを進めば、山裾全体を紅葉が埋め尽くす圧巻の絶景が……!早朝、日の出によりで山肌が赤く染まる「モルゲンロート」も、筆舌に尽くしがたい美しさです。
今回は上高地から涸沢カールを目指す、1泊2日の登山コースをご紹介します。

【上高地から涸沢カールへ】アルピニスト憧れの地「涸沢カール」

【上高地から涸沢カールへ】アルピニスト憧れの地「涸沢カール」
上高地の奥に広がる氷河圏谷「涸沢カール」

今回紹介する「涸沢カール」が位置しているのは、北アルプスの南部・穂高連峰の中腹 。こう書くと少し分かりにくいかもしれませんが、「上高地のさらに奥」と言えば、少し聞き馴染みがあるでしょうか。

実はこの涸沢カールは、標高3,000m級の穂高連峰からなる日本有数の氷河圏谷で、その雪溶け水が槍沢(やりさわ・槍ヶ岳を水源とする雪溶け水)と合流して梓川となり、上高地へ注ぎ込んでいます。この涸沢カールは、まさに景勝地・上高地の「母なる自然」と言えるでしょう!

【上高地から涸沢カールへ】紅葉シーズンは9月下旬~10月上旬

【上高地から涸沢カールへ】紅葉シーズンは9月下旬~10月上旬
陽光で輝く「涸沢カール」のナナカマド

夏山の最盛期である6月~9月も素晴らしいのですが、最も人気が高いのは9月下旬~10月上旬の秋の紅葉シーズン!涸沢カール一帯を覆うナナカマドやダケカンバなど、高山帯の木々が一面に彩り、この世の景色とは思えない絶景を作り上げるのです。

山で1泊しなければならないため少しハードルは高いですが、それでも毎年多くの人がこの景色を求めて山へ登ります。紅葉の涸沢カールについて、詳しく紹介していきましょう!

【上高地から涸沢カールへ】スタートは上高地 穂高連峰と紅葉のコラボレーションを楽しもう

【上高地から涸沢カールへ】スタートは上高地 穂高連峰と紅葉のコラボレーションを楽しもう
信州屈指の秘境「上高地」から、さぁ登山開始!

涸沢カールへの登山口は、言わずと知れた景勝地「上高地」。現在はマイカー規制されているため、岐阜県高山・平湯温泉近くの「あかんだな駐車場」もしくは、長野県松本「沢渡駐車場」からバスで行く必要があります。

■高山側:濃飛バス(あかんだな駐車場~上高地 大人往復2,800円)/ 濃飛バス

■松本側:アルピコ(沢渡駐車場~上高地 大人往復2,800円)/ アルピコ交通株式会社

バスに揺られること40分〜50分。
バスが上高地に到着したら、そこから徒歩2~3分の場所にある名所「河童橋」から登山スタートです。登山道の入り口はとてもわかりやすいのでご安心ください。まずは一つ目の中継地・徳沢を目指しましょう!

穂高連峰とその前衛峰となる明神岳、そこから流れてくる梓川の清流が織りなす、上高地の代表的な風景が広がっています。梓川のエメラルド色に目を奪われてしまうはず!

まるで油絵のような、紅葉彩る「北穂高岳 」

スタートから10km程はひたすら梓川に沿って歩く、整備された平坦な道が続きます。
ほとんどが樹林帯で景色変化には乏しいですが、周囲には明神岳 や北穂高岳、屏風岩など迫力ある高山群がひしめいており、秋の時期には紅葉との素晴らしいコラボレーションを鑑賞することが可能です。

道は明瞭で迷う心配はなく、道中には上高地明神館や徳 澤園など、休憩ポイントが多いのも嬉しいところ。道中、登山者同士のコミュニケーションを楽しみながらマイペースで進みましょう。

なお徳沢 名物「コーヒーソフト」は絶品なので、ぜひ徳 澤園に立ち寄ってみてください!

氷壁の宿 徳澤園

住所
長野県松本市長野県松本市上高地
交通
上高地バスターミナルから徒歩で約2時間
料金
1泊2食付=12000円~(相部屋)、15500円~(個室)/徳澤園オリジナルがまぐち=1200円/
どこを見渡しても紅葉と高山のコントラストが堪らない!

登山開始から約3時間半、横尾山荘に到着をしたら本格的な登りに入ります。景色もここからが本番!涸沢カールまで続いていく穂高の渓谷美を堪能できます。

見上げれば、地表のコントラストとの対比がとても鮮やかで、体力の消耗を忘れて登山の楽しさに没頭できることでしょう。

横尾山荘

住所
長野県松本市安曇上高地横尾
交通
松本電鉄上高地線新島々駅から上高地行きバスで1時間10分、終点下車、徒歩3時間
料金
1泊2食付=10000円/手ぬぐい槍穂柄=600円/切り絵柄=800円/

【上高地から涸沢カールへ】片道約6時間 で「涸沢カール」が作り上げる紅葉絨毯へ

【上高地から涸沢カールへ】片道約6時間 で「涸沢カール」が作り上げる紅葉絨毯へ
樹林帯の先には「奥穂高岳」の頂が立ちはだかる!

横尾ロッジから約2時間、本谷橋を越えて「Sガレ」と呼ばれる上り坂に到着すれば、少しずつ登山道にゴツゴツとした石が転がり、周囲の木々が淡く色づき始めます。これは「涸沢カール」がいよいよ近くなってきたという兆候。そして目の前、紅葉越しに奥穂高岳の山容を望めば、ようやく「涸沢カール」へと到着です。

巨壁のような穂高連峰を彩る紅葉の絨毯!

涸沢ヒュッテのデッキへと上がると、そこに広がっているのは氷河地形に発達した紅葉の絨毯!赤・オレンジ・黄色の三色が織り込まれ、ハイマツや岩稜とのコントラストが、他に類を見ない絶景を作り上げます。
見れば見るほど引き込まれていく絵画のような風景は、多くのアルピニストを魅了して止みません!

北アルプスの初秋は紅葉VSテントの色彩対決

涸沢カール登山の定番は、この紅葉を見上げる「涸沢テント場」で宿泊する山旅スタイル。
涸沢ヒュッテや涸沢小屋に予約して泊まることも可能ですが、毎年競争率が高く断念することも。テント場は予約なしで利用できます。ヒュッテ内のトイレも利用できます。
受付を済ませてテントを設営したら、あとはのんびりと過ごしましょう。

時間がある方は、涸沢カールより少し高いところにある「ザイテングラード(奥穂高岳・涸沢岳まで行く尾根道)」の手前くらいまで歩いてみても良いでしょう。北アルプスの常念岳(じょうねんだけ) や蝶ヶ岳までを見渡す、大パノラマを楽しむことができます。

【上高地から涸沢カールへ】宿泊の醍醐味は美しい「モルゲンロート(朝焼け)」!

【上高地から涸沢カールへ】宿泊の醍醐味は美しい「モルゲンロート(朝焼け)」!
三脚&長時間露光を使って撮影を楽しもう!

日中の鮮やかな紅葉が素晴らしい「涸沢カール」ですが、実はそれ以外にも様々な魅力を有しています。ポイントは「ここに泊まる人しか出会えない非日常」。

1日の終わりに向かって雲が動き、明暗を作り上げる日没前後、宝石のように輝く星空が広がり始めます。紅葉シーズン中には1,000張にもなるという「テント夜景」など、数々の感動的な景色に出会えるでしょう。

アルピニストが一度は憧れる「涸沢カール」の燃える絶景

中でも一番の醍醐味と言える景色が「穂高連峰のモルゲンロート」。モルゲンロートとは登山用語で「朝焼け」を指し、山に宿泊する際に見逃せない光景の一つです。

涸沢カールからは日の出を望むことはできませんが、奥穂高岳と涸沢岳に日が当たり、オレンジ色の美しい山容へと染め上がります。

下部の紅葉、中央の朝焼け、上部の岩稜と三段構成からなる幻想的な風景は、息を呑む絶景です。完全に明るくなるまで、高山ならではの景色変化を思いっきり堪能しましょう!

多くの登山者が利用するコースだから下山も安心

下りも急な箇所は少なく、後半は林道歩きになるため、距離は長いですが初心者でも安心して歩きことができます。

一度は見たい絶景!上高地から「涸沢カール」へ1泊2日の山旅を

一度は見たい絶景!上高地から「涸沢カール」へ1泊2日の山旅を
岳人を魅了する「涸沢カール」秋の絶景

上高地まで行った経験のある方は多いと思いますが、その奥の「涸沢カール」まで行ったことのある方は少ないのではないでしょうか?

涸沢カールに行く場合は日帰りすることができません。テントや食糧・水分を大型のザックに詰め、15km歩かなければならない時点で初心者にとってハードルが高いのも事実です。

しかしながら、その労力をかけてでも見てほしい、感動的な景色がそこに広がっています。ぜひ準備を入念にし、紅葉の時期と天気を見計らいながら、登山計画を立ててみてください。きっと、一度見たら忘れられない絶景が待っていることでしょう!

■涸沢カール
住所:長野県松本市安曇上高地
電話番号:090-9002-2534(涸沢ヒュッテ)
アクセス:上高地から徒歩で往復10時間~12時間(涸沢ヒュッテorテント場で一泊することが必要)
上高地バスターミナル→(50分)→明神→(1時間)→徳沢→(1時間10分)→横尾→(1時間)→本谷橋→(2時間)→涸沢カール ※片道約6時間

<チェックリスト>

  • 例年の紅葉シーズンは9月下旬から10月中旬です。
  • 北アルプスでは登山届の提出は義務付けられています。長野県のホームページからコピーして記載し、上高地バスターミナルのポストに提出してください。
  • テント泊を想定する場合、テント・寝袋が必須です。秋の涸沢カールは気温が一桁まで落ち込みます。ライトダウンなどの防寒着も持参するのがオススメです。
  • 涸沢ヒュッテなどで軽食を取ったり、カップ麺や飲み物などを購入できます。しかし念のため、行動食と水分は十分に持ち歩きましょう。
  • 横尾から涸沢カールまでは本格的な登山道となります。登山靴や防水・保温ウェアなど装備は入念に準備しましょう。
  • 天候不良や体調不良(高山病)などの場合、決して無理をしないように。時には引き返すことも重要です。
  • 時間には余裕をもって計画しましょう。
  • ルートは地図でよく確認しましたか?

取材・写真・文章:土庄雄平

山と高原地図で山歩きを楽しもう

『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図です。谷や尾根、等高線や登山道を綿密に描き、実踏調査に基づいた登山ルート・コースタイムなどを掲載、

その『山と高原地図』シリーズアプリは、慣れ親しんでいる地図をお手持ちのスマートフォンでも見られるだけでなく、GPSを使って地図上で現在地を確認したり、自分が登ったルートの記録をする、といった機能により 登山・ハイキングがますます楽しくなるアプリになっています。

記録したルートをメールで送信して、PCで登山記録を管理したり、登山コミュニティサイトに投稿して記録を共有することもできるので、活用方法は無限に広がります。地図データは全てスマートフォン本体に格納しますので、携帯電話の電波が届かない山中でも安心して使用することができますよ。

アプリアイコン
アプリ名称山と高原地図山と高原地図ホーダイ
料金DL1回につき650円(税込)月額500円(税込)もしくは

年額4800円(税込)
※初回DLから7日間は無料

DLできる登山地図1回のDLで山と高原地図1エリア分をDL可能山と高原地図全63エリア分をDLし放題
登山計画作成機能×
ダウンロード

 

 

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

『山と高原地図』シリーズは、1965年より毎年発行、登山を楽しむ方に長く親しまれ続けているロングセラー登山地図。深田久弥による「日本百名山」をすべて収録し、主要な山岳エリアを網羅しています。

まっぷるウェブでは、登山、トレッキング、ハイキングに関する情報や、おすすめの登山ギアについて紹介していきます!

>>ウィキペディア(Wikipedia)

エリア

トップ > アウトドア >  登山・ハイキング >

この記事に関連するタグ