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壮大な南アルプスの紅葉に出会う!静岡県オクシズ「林道東俣線」ハイキング

山と高原地図 編集部

更新日: 2024年9月7日

壮大な南アルプスの紅葉に出会う!静岡県オクシズ「林道東俣線」ハイキング

日本の秋の風物詩である紅葉。北から南へと次第に赤く染まっていき、心洗われる鮮烈で美しい風景を心待ちにしている方も多いことでしょう。

今回ご紹介したいのは、静岡県の秘境オクシズにある、「林道東俣線(りんどうひがしまたせん)」の紅葉です。今までに見たことのない、絵画のような世界が待っていますよ!

静岡の奥座敷「オクシズ」とは?どんなところ?

静岡の奥座敷「オクシズ」とは?どんなところ?
南アルプスのお膝元!オクシズの井川地区エリア

静岡といえば美しい海に一面の茶畑、そして日本が誇る富士山というのが一般的イメージでしょう。しかし、この情景は太平洋沿岸から見た景色で、静岡のほんの一部なのです。
今回ご紹介する「オクシズ」こそが、静岡市の大部分を占めるエリア。中でも「林道東俣線」のある「井川地区」は、大井川鐵道の終着駅より北側、南アルプス山麓地域を指します。

オクシズのほとんどが山間部にあたり、ひたすらに雄大な自然が根付いています。「ここが同じ静岡市なのか!?」と、思わず首を傾げたくなるほど秘境感たっぷりの場所なのです。

大スケールの紅葉が現れる!「畑薙第一ダム」までアクセス

大スケールの紅葉が現れる!「畑薙第一ダム」までアクセス
カーブを曲がるごとに圧巻の紅葉が!

まずは「林道東俣線」のある、井川地区までのアクセスをご紹介しましょう。
東京から向かう場合、東名高速道路・静岡ICを降りて国道362号線を進みます。大井川に交わったら、左折して県道77号線を北上。途中、大井川鐵道の奥泉駅で道が二つに分岐するので県道388号線へと進みます。

大井川鐵道の終着駅である井川駅を越えると、そのまま県道60号線(南アルプス公園線)へと繋がります。この辺りから、かなり道幅が狭くなるので十分注意して運転してください。

そのまま大井川をたどり、登山口となる畑薙(はたなぎ)第一ダムへと向かうのですが、この区間が最初の見どころです!紅葉シーズンである10月下旬〜11月中旬になると、井川駅から畑薙第一ダムまでの間で、森の雰囲気が劇的に変化するのです。

ヘアピンカーブに差し掛かると、先ほどまでは緑一色だった森が一面オレンジと黄色、赤色に彩られ、鮮やかな紅葉を見せてくれます。

ハイキング前から感動の連続!「南アルプス公園」の紅葉

井川駅から25kmほど林道を進むと、紅葉の先に大きなダムが現れます。これが登山の起点となる「畑薙第一ダム」で、南アルプスから流れる大井川源流を活用した、水力発電施設です。
まだハイキングを開始していないもの、南アルプスの紅葉がダムを抱えるように彩る景色に、ついうっとりみとれてしまいます。

秘境林道からハイキング開始!眼前へ迫る南アルプスの紅葉

秘境林道からハイキング開始!眼前へ迫る南アルプスの紅葉
最高のパノラマに期待が膨らむ!「畑薙第一ダム」

畑薙第一ダムの駐車場に車を止めたら、いよいよハイキングのスタート!
実はこの畑薙第一ダムから続く「林道東俣線」は南アルプス登山においてメインルートであり、主要な峰々へと登山道が張り巡らされています。

これらの登山道を利用すると本格的な登山となってしまうため、今回はあくまで「林道」を散策する、手軽なハイキングルートをご案内します。
通常のハイキングでは山頂を目指す「登山」が定番ですが、秋の紅葉シーズンであれば、「林道ハイキング」だけで、素晴らしい景色を味わうことができるのです。

中には自転車で南アルプス山麓を走ろうとする強者も!

最初は舗装林道をしばらく歩きます。
約1.5kmほどで「沼平ゲート(沼平登山指導センター)」に到着。これより先は未舗装林道(林道東俣線)で、通行ゲートとなっています。
この沼平ゲートより先は一般車両が通行できず、自転車や歩行者のみ通行可能。まさに秘境への入口です!

壮大な紅葉は「林道東俣線」の秋の風物詩

ゲートを通過して進んでいくと、先ほどは遠くに眺めていた鮮やかな紅葉が、眼前へ迫ってきます。通常のモミジ狩りで見る紅葉とは明らかに違う、アルプスらしい、大スケールの紅葉が広がります。

どこを見渡しても絶景なので、カメラを持ってきた方は撮影がはかどること間違いなし!
コントラストとシャープネスを少し高めに設定しておくと、紅葉のパッチワークをくっきりと写真に収めることができます。広角レンズを保有している方は、ぜひ持参してくださいね。

様々なところに反射する紅葉に、思わずうっとり。

隠れた紅葉ポイントは、足元!紅葉の木々が覆い尽くしているこの林道では、川や水たまりの水面にまで紅葉が映り込みます。ささやかですが、こうした小さな色彩の発見を楽しみながら歩けば、起伏のない、やや単調な林道歩きも楽しいものです。

一面が色づく感動の風景!「畑薙大吊橋」で錦絵の世界を満喫

一面が色づく感動の風景!「畑薙大吊橋」で錦絵の世界を満喫
大迫力の渓谷美と、見渡す限りの絶景を眺めながら進む!

沼平登山指導センターから約3km弱、心地よい林道歩きを楽しんでいると、大井川に橋が架かっているのが見えてきます。これが目的地としていた「畑薙大吊橋(はたなぎおおつりばし)」です。南アルプス山麓の大井川にはいくつもの吊橋が架けられており、マニアの間では、それらの橋を巡るのが密かな楽しみとなっています。

紅葉へと続く「畑薙大吊橋」は、まるで絵画の世界のよう!

中でも紅葉の時期に一段と美しいと言われるのが、この畑薙大吊橋。画面に収まりきらないほど大きいスケールの紅葉を背景に、一直線で架かる凛とした佇まいが印象的です。

遠目からだけでなく、近づいても素晴らしい絶景が。
吊り橋のワイヤーが額となり、対岸の紅葉へと吸い込まれるかのよう。この絵画的な風景は堪りません!
撮影時には、吊橋を渡る姿を入れてみてください。遠近感が出るのでお勧めです。

紅葉の光景を上手に撮るのは難しいものですが、この南アルプス公園は観光客が少なく、心ゆくまで美しい色彩に浸り、撮影を楽しめるのもポイントです。

山の下から上まで全山紅葉は、ここでしか見られない絶景

橋を渡る途中に北側を眺めれば、そこにはどこまでも続く南アルプスの渓谷美と紅葉が。目の前にある小さな山は「上千枚山(かみせんまいやま)」。マニアックな登山愛好家にすらほとんど知られていない山ですが、紅葉の時期は特に鮮やかな色彩を放ちます。

無名な「上千枚山」も燃えるような絶景の山に!

時間と体力に余裕がある方はもう少し歩き、河川敷へ降りられる場所まで進みましょう。上千枚山が眼前に迫る絶景ポイントなので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね!

帰りは来た道を折り返し、約2〜3時間の軽ハイキング!南アルプスが作り上げる、雄大な紅葉を心ゆくまで満喫できるコースです。

林道東俣線の紅葉はアクセスが少し大変ですが、それでも一度は必ず訪れて欲しい、穴場の紅葉名所です!

ハイキング帰りに!温泉グルメにあの絶景スポットに立ち寄り

ハイキング帰りに!温泉グルメにあの絶景スポットに立ち寄り
ハイキングの後にほっこり温泉&ご飯が嬉しい

畑薙第一ダムまで戻って今回のハイキングは終了ですが、せっかくオクシズの中でも最も奥の秘境に来たのですから、ここでしか楽しめないスポットへ立ち寄りましょう。

まず定番は、畑薙第一ダムから車で10分の場所にある「南アルプス赤石温泉 白樺荘」。温泉付きの宿泊施設なのですが、日帰り入浴が可能で、食事をいただくこともできます。深い山奥では特に、こういう場所がとてもありがたく感じられます。

白樺荘の温泉は露天風呂も設けられ、お風呂から先ほどの南アルプス公園の紅葉を望むことができます。食事は大井川で採れた川魚「ヤマメ」を使った「やまめおろし蕎麦」が絶品!

温泉でぬくぬく、ほっこり食事を満喫すれば、休日の幸福度がぐっと上がること間違いなしです!

静岡市南アルプス赤石温泉 白樺荘(日帰り入浴)

住所
静岡県静岡市葵区静岡県静岡市葵区田代ハネ草利1110-5
交通
静岡ICから車で約2時間半
料金
日帰り入浴=大人510円、子ども200円
あの超有名な絶景スポットも、実はすぐ近くに!

もう一つお勧めしたいのは、畑薙第一ダムから大井川鐵道まで戻って立ち寄ることのできる「寸又峡(すまたきょう) 夢の大吊橋」です。

ミルキーブルーの寸又川を渡れることで有名な絶景吊り橋も、実は今回紹介したオクシズの井川エリア近くにあり、幻想的な佇まいを堪能できますよ。

寸又峡

住所
静岡県川根本町静岡県川根本町寸又峡
交通
静岡ICから車で約2時間
料金
情報なし

登山愛好家だけじゃない!今年はアルプスの紅葉を満喫しよう

登山愛好家だけじゃない!今年はアルプスの紅葉を満喫しよう
アプローチは大変なものの、一度は見たい南アルプス錦絵の世界

日本アルプスというとどうしてもハードルが高いと感じてしまいがちですが、「山登り」ではなく「山の麓でのハイキング」なら、体力や経験がなくても、広大で美しい自然の世界を満喫できます。

今回ご紹介した、オクシズ/井川地区の「南アルプス公園の紅葉」はその代表格。
10月末から11月中旬、晴れたタイミングを狙ってお出かけしてみてはいかがでしようか。忘れられない鮮やかな光景が、あなたを待っていますよ!

■林道東俣線
住所:〒428-0501 静岡県静岡市葵区小河内
電話番号:054-354-2163(沼平ゲート)
アクセス:静岡ICから畑薙第一ダムまで車で約2時間半、畑薙第一ダムから沼平ゲートまで徒歩約15分、沼平ゲートから畑薙大吊橋まで往復徒歩2時間

取材・文章・写真:土庄雄平

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