更新日: 2024年6月11日
シーボルトも愛した長崎市の花「紫陽花」の鑑賞スポットをご案内
梅雨を彩る紫陽花(あじさい)。初夏の風物詩でもある紫陽花は、全国各地で6月から7月上旬に見頃を迎えます。
天気がいい日はもちろん、雨の日は憂鬱で出かけるのがおっくうな時でも、色鮮やかでこんもりとした紫陽花は、私たちの心を明るくしてくれます。
そんな紫陽花、実は長崎にゆかりあることをご存知でしょうか。今回は長崎と紫陽花のつながりと長崎の紫陽花の名所をご紹介します。
長崎市内のシーボルト記念館、眼鏡橋、興福寺、風頭公園、グラバー園、そして日本を代表する花の王国・ハウステンボスの見ごろを迎える紫陽花スポットを一挙ご紹介!
長崎から世界へ-歴史とゆかりが深い花「紫陽花」
鎖国や幕末、キリスト教の歴史や原爆など、日本の歴史で重要な舞台になった長崎。
中国や西洋の文化が融合したユニークな土地なのですが、紫陽花もまた、長崎と海外とのつながりに大きく関係しているのです。
紫陽花は日本原産の花。現在では日本だけでなく、ヨーロッパやアメリカにも広く栽培されています。今日紫陽花が世界中で見られるのは、実は長崎からヨーロッパに持ち込まれたのがきっかけなのです。
鎖国時代にオランダとの貿易の拠点だった出島には、オランダ商館がありました。
長崎で紫陽花と言えば、江戸時代にオランダから来日し、商館医として赴任したシーボルト。このシーボルトこそが、紫陽花をオランダに持ち帰り、ヨーロッパに紹介した人物なのです。
長崎では紫陽花を「おたくさ」とも呼びますが、これはシーボルトの愛した日本人妻、「お滝さん」にちなんだもの。紫陽花を「オタクサ」という名で海外に紹介したことで、その呼び名がいまでも使われているのだそうです。
長崎市では毎年、「ながさき紫陽花(おたくさ)まつり」というイベントが行われていました。
2020年からはイベント自体はなくなったものの、梅雨の時期の6月頃には長崎市内あちこちに紫陽花の花が見られます。
紫陽花は長崎市の花でもあり、街のマンホールにも紫陽花の花が。
そんな紫陽花とつながりの深い長崎で、ぜひ訪れてほしい紫陽花の名所をご紹介します。
長崎で紫陽花を見るならここ!紫陽花の名所をピックアップ!
長崎では至る所に地植えされている紫陽花がありますが、6月頃に鉢植えの紫陽花が一堂に集められる場所もあります。
紫陽花と言えばシーボルト「シーボルト記念館」
シーボルトは西洋医学が学べる私塾・鳴滝塾を開きました。現在はその跡地に隣接した「シーボルト記念館」があります。
シーボルト記念館は、日本近代医学の父とも呼ばれるシーボルトの生涯を紹介する資料館。シーボルト宅跡には鉢植えの紫陽花が、シーボルト記念館の入り口付近には地植えの紫陽花が見られます。
紫陽花の時期に長崎に来られるならぜひ、紫陽花観賞とともにシーボルト記念館を訪れてみてください。歴史の教科書で学んだシーボルトがぐっと身近に感じられます。
入場料金は大人100円、小・中学生は50円と、気軽に入れる価格なのもうれしいですね。
シーボルト記念館
- 住所
- 長崎県長崎市鳴滝2丁目7-40
- 交通
- JR長崎駅から長崎電気軌道3号系統蛍茶屋行きで9分、新中川町下車、徒歩7分
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 9:00~16:30(閉館17:00)
- 休業日
- 月曜、祝日の場合は開館(12月29日~翌1月3日休)
- 料金
- 大人100円、小・中学生50円(障がい者入館半額、長崎市内在住者の障がい者無料)
市内で人気のフォトスポット!眼鏡橋(中島川)
日本三大名橋の一つとして数えられる眼鏡橋。日本初のアーチ式石橋であり、川に映る橋の反射でめがねに見えて写真映えもする長崎の人気の観光名所です。
6月頃には眼鏡橋の掛かっている中島川沿いにたくさんの色とりどりの紫陽花が観られます。長崎市内で一番紫陽花が綺麗に見えるフォトスポット。地植えのものも見られますが、ほとんどが鉢植えできれいに陳列されています。
中島川沿いにはカフェやお店も並んでいるので、紫陽花を見ながら中島川をゆっくり散策し、疲れたらカフェやベンチでひとやすみしてみてください。
長崎の紫陽花寺・興福寺
眼鏡橋から徒歩10分ほどのところに、「寺町通り」という石畳の道があります。10ほどの寺院が連なる中、その一つに長崎の紫陽花寺ともいうべきお寺、「興福寺」があります。
長崎には唐寺(中国寺)はいくつかありますが、興福寺は日本で最初の黄檗禅宗の唐寺で、ここの2代目住職が眼鏡橋を掛け、眼鏡橋はこの興福寺の参道として作られたと言われています。
興福寺では6月頃になると境内に100種類のヤマアジサイが飾られ、鉢植えのものは1,000鉢ほど。地植えのものもあり、境内の紫陽花やヤマアジサイは80年ほど前から育てられてきたそうです。
毎日丁寧に手入れされ、紫陽花の時期には毎年「紫陽花季(あじさいき)」という紫陽花まつりが開催されます。
2024年5月24日(金)~6月9日(日)
入山料:一般300円
※紫陽花パスポート(500円)を購入すると、6月30日まで何度も入山可
興福寺
- 住所
- 長崎県長崎市長崎県長崎市寺町4-32
- 交通
- JR長崎駅から長崎電気軌道3号系統蛍茶屋行きで4分、市民会館下車、徒歩8分
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 7:00~17:00
- 休業日
- 無休
- 料金
- 拝観料=大人300円、中・高校生200円、小学生100円/(障がい者と同伴者無料)
眺望が素晴らしい花の名所・風頭公園
眼鏡橋から興福寺方面に歩くとお寺の裏にある風頭(かざがしら)山。標高約150mの場所にある風頭公園には坂本龍馬の像が立ち、人々の憩いの場となっています。
展望台もあって眺めもバツグン。長崎の港を一望することができます。春は桜の名所としても知られていますが、初夏は紫陽花が咲く花の名所でもあるのです。
公園内のあじさい園は展望台から少し下がったところにあります。ここにある紫陽花はすべて地植えのもので、満開の時は色とりどりに咲く紫陽花に目を奪われます。
山の上にある公園なのでバスや車で行く人が多いのですが、歩くのが好きな方は眼鏡橋から寺町通りへ向かい、そこから坂と階段をあがっていくこともできます。
道中にも紫陽花が咲いており、長崎の美しい景観が楽しめますので、脚力に自信がある方はぜひ登ってみてくださいね。ただし、坂が急な場所もありますので、ご注意ください!
季節の花が楽しめるグラバー園
かつての外国人居留地にある長崎定番の観光地、グラバー園。
世界遺産に登録された旧グラバー住宅や国指定重要文化財の旧リンガー住宅、旧オルト住宅など、長崎で活躍した外国人商人たちが住んだ洋風建築物を見学できる他、長崎港を一望できる美しい景色が見られます。
また、グラバー園は花の名所としても知られており、四季折々の花が園内を彩ります。もちろん、長崎の花である紫陽花も植えられており、6月上旬に見頃を迎えます。
園内にはいくつかの紫陽花スポットが点在していますが、最も写真映えするのは旧オルト住宅と旧ウォーカー住宅にある紫陽花。グラバー園の紹介では、よく旧グラバー住宅と花の庭園の画像が使われますが、旧グラバー住宅は残念ながら現在は保存修理工事中。記念撮影をしたい方は、旧オルト住宅がおすすめです。
グラバー園
- 住所
- 長崎県長崎市長崎県長崎市南山手町8-1
- 交通
- JR長崎駅から長崎電気軌道1号系統崇福寺行きで7分、新地中華街で長崎電気軌道5号系統石橋行きに乗り換えて6分、大浦天主堂下車、徒歩7分
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 8:00~17:40(閉園18:00)、GW、7月中旬~10月上旬、クリスマス時期、イベント時は延長あり
- 休業日
- 無休
- 料金
- 入園料=大人620円、高校生310円、小・中学生180円、小学生未満無料/音声ガイドペン(保証金)=800円(200円)/衣装レンタル(レトロ写真館、30分)=600~1000円(新作)/(障がい者手帳持参で入園料半額)
花の王国・ハウステンボス
長崎市内からは少し離れますが、長崎でも有名なテーマパークであるハウステンボスもオススメの紫陽花スポットです。
ヨーロッパの街並みを再現した広大な場内には「花の王国」をテーマに、一年中四季折々の花で彩られています。
2024年5月25日~6月30日は「フラワーフェスティバル・あじさい祭」が行われており、日本最多の1,250品種の紫陽花を見ることができます。800m続くあじさいロード、花の広場、あじさいの運河、あじさいマーケットなど場内に紫陽花の見どころが満載!
ハウステンボス
- 住所
- 長崎県佐世保市長崎県佐世保市ハウステンボス町1-1
- 交通
- ハウステンボス駅から徒歩すぐ、長崎空港から西肥バスで約50分、長崎空港から高速船で50分
- 営業期間
- 通年
- 営業時間
- 9:00~21:00(入場締切20:00)※季節により変動あり
- 休業日
- 無休
- 料金
- 一日パスポート7000円※チケットのタイプによって金額が異なります。詳細は公式ページでご確認ください
紫陽花観賞は長崎観光とともに!
紫陽花の名所は全国各地にありますが、紫陽花と長崎の持つストーリーはほかにはありません。
特に雨の日は人出も少ないので、あえて梅雨の時期、雨の日に紫陽花を見に行くというのも賢明な楽しみ方かもしれません。
気候や条件等にもよりますが、長崎の紫陽花の見頃は6月上旬~中旬。梅雨の季節・初夏の季節には紫陽花と歴史を求め、長崎を訪れてはいかがでしょうか。
月刊まっぷる6月号の「初夏のあじさい名所」もチェックしよう!
梅雨を彩る紫陽花(あじさい)。全国各地で6月から7月上旬に見頃を迎えるあじさいの厳選10スポットをご紹介します!あじさい寺として代表的な鎌倉の長谷寺、明月院、京都の三室戸寺のほか、岩手県のみちのくあじさい園、茨城県の雨引観音、福岡県の高塔山公園など初夏を彩るあじさいスポットをピックアップ。大人気のスポットから、やや穴場なスポットのなかから自分好みのあじさい名所をチェックして、初夏の風物詩を見に行きましょう。
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