「週刊ヤングジャンプ(集英社)」にて連載中の、原泰久さんによる超人気コミック「キングダム」。2019年の実写映画版第1作の公開から約5年。2024年7月12日(金)には、シリーズ4作目『キングダム 大将軍の帰還』が待望の封切り!
7月号では、映画最新作の公開に向けて物語のおさらいをしつつ、明かされているロケ地、撮影のエピソードなどをご紹介していきます。
取材・文:353
今月の聖地巡礼トリップは
おさらい
紀元前245年、春秋戦国時代。戦災孤児で奴隷の少年・信(しん/山崎賢人)と漂(ひょう/吉沢亮)は、いつの日か「天下の大将軍」に成り上がることを夢見て、剣術の修行に励んでいました。
しかし、やがて漂だけが王宮へ連れていかれ、二人は離れ離れに。再会の誓いを胸に信は村で修行を続けますが、ある日、瀕死の状態で漂があらわれ、絶命。最期に手渡された地図を頼りに、信は村を飛び出ていきます。
地図に書かれた場所で信が出会ったのは、漂と瓜二つの秦王・嬴政(えいせい/吉沢亮)でした。
象山影視城
ロケ地は実際に中国!
納得の「リアル」
ロケは、多くの部分が物語の舞台である中国でおこなわれています。
ロケ地の拠点として選ばれたのは「象山影視城(ぞうざんえいしじょう)」という映画村。春秋戦国時代の宮殿を再現したオープンセットがあることが、決め手となったそうです。
また、中国だからこそ用意できた約100頭もの「馬」。延べ1万人もの兵士役エキストラ。700人のスタッフ——。かの世界的大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』にも引けを取らないような映像の数々は、こうして「CGではない説得力」から生まれたのですね。
象山影視城
- 住所
- 浙江省 寧波市 象山県
静岡県裾野市須山地区
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映画の冒頭、信と漂が奴隷として生きる村。このロケ地に選ばれたのは、静岡県裾野市。須山地区にロケセットが設置されました。
時代考証によれば春秋戦国時代の中国・秦は緑豊かだったということで、市民ボランティアの協力により、畑を耕し、木や草を植え、土の色まで当時のものに近づけたのだそう。
ちなみに、総勢200名以上の市民がスタッフやエキストラとして参加したこの「ファーストシーン」の撮影が、じつは全撮影のクランクアップ! そう知った上で、もう一度観てみるのもおすすめです。
若竹の杜 若山農場
(栃木県宇都宮市)
「吹き矢の戦い」の舞台がココ!
中国だったり、今はもう解体されてしまっているオープンセットだったりと、なかなか「ロケ地巡り」のハードルが高い『キングダム』シリーズ。
そんななか、例えば序盤の「吹き矢の戦い」で舞台となる竹林などは手軽に訪れることができるロケ地です! 場所は、栃木県宇都宮市の「若竹の杜 若山農場」。土日祝は竹林のライトアップもされていて、間違いのない「映えスポット」と言えるでしょう。
おさらい
原作の「蛇甘平原編」を軸に構成されるシリーズ2作目。
王都奪還から半年。隣国「魏」が侵攻をしてきたという知らせが入り、蛇甘平原(だかんへいげん)に軍が招集されます。
歩兵として戦に加わることになった信ですが、いざ歩兵隊の最小単位である「伍」を組む段になると、集まったのはどうにも頼りなさそうなメンバーたち。中でも、哀しい目をして口数も少ない羌瘣(きょうかい/清野菜名)などは謎しかなく——。
『キングダム2』のロケは
創意工夫に溢れていた
コロナ禍で
どのように製作が進んだ?
ロケは2020年。映画の制作現場はコロナ禍に突入。しかし、むしろそんなことは思わせないスケールなのがこの2作目です。第1作では予算の都合で描かれなかった合戦シーンもふんだんに盛り込まれ、日本映画の限界突破に挑戦した作品と言えるでしょう。
世界的に映画・ドラマの撮影がストップしていたこの時期。中国ロケも必要な本作を、ではどのようにロケをしたのか。松橋真三プロデューサーはインタビューにて、「究極のリモート撮影」を考えたと語っています。
「究極のリモート撮影」
とは?
「究極のリモート撮影」について、松橋プロデューサーは「選りすぐりのダイナミックなシーンを中国で現地スタッフに撮ってもらうという方法です」と説明しています。
中国で撮影予定だったシーンを絵コンテに起こし、日本で撮れるシーンと中国でなければ撮れない(大量の馬や兵士が出てくるような)シーンに仕分ける。そして、ジャッキー・チェン作品なども手がけるアクション監督を現地の監督として立てる——。
海を越えたリモート撮影で、およそ1,000人のスタッフ・キャストを動かす。単純に「すごい」ですよね!
おさらい
原作の「馬陽の戦い」と「紫夏編」を軸に構成されるシリーズ3作目。
蛇甘平原の戦いから、さらに半年ほど後。今度は隣国「趙」が秦へ侵攻してきます。嬴政がこの戦いの総大将に任命したのは、長らく戦場から離れていた王騎(おうき/大沢たかお)。修行中の身にあった信も、王騎と共に嬴政のもとへ戻ってきました。
総大将の命を受けるにあたり王騎は、かねてより嬴政が掲げている「中華統一」という目標の、そのわけを問います。嬴政の信念を支えていたのは、かつて自分を救ってくれた紫夏(しか/杏)の存在。3作目にして、初めて明かされる嬴政の過去。物陰から聞いていた信も、想いを新たに戦地へと向かうのでした。
工場用地(長野県東御市)
前作同様、コロナ禍ど真ん中に製作された本作は、中国における「究極のリモート撮影」をふんだんに使用。並行して、日本国内でも工夫を凝らしたロケが多数おこなわれています。
例えば「中国のような広大な大地」のロケ地として使われたのは、長野県東御市の工場用地。Googleマップで見つけ出したというこの「巨大な空き地」は、不幸中の幸いと言うべきか、コロナ禍により建設がストップし空き地となっていたのだそう。
高さ約12メートル×長さ約200メートルの巨大なグリーンバックを設置して多くのシーンが撮影されました。
採掘場跡(兵庫県赤穂市)
兵庫県にも多数!
映画第3作目のロケ地
王騎から「飛信隊」という名を授かった信たちが、馮忌(ふうき/片岡愛之助)の首を取るため攻めていった岩山は、兵庫県神戸市北区の白水峡(はくすいきょう)にて撮影。花崗岩が風化した丘陵地の露出した岩肌は、信たちの心が折れそうになるのも納得のロケーション。印象的でしたね。
また、この「馮忌戦」のロケは兵庫県赤穂市の採掘場跡でもおこなわれたとのことです。
『キングダム』のロケ地は
いかがでしたか?
実写化不可能とも言われた人気コミックを、原作者全面協力のもと実写化していくという奇跡。そして、コロナ禍という未曾有の「壁」が立ちはだかっても、国内最大規模の予算とスケールで逆境を好機に変えていく製作陣の胆力。
気軽に訪れることのできる「ロケ地」が少ないのは寂しくもありますが、実写映画ゆえの「時代性」を含めて、この超大作をお楽しみいただければと思います。そして2024年7月12日(金)公開のシリーズ4作目『キングダム 大将軍の帰還』では、どんな景色を見せてもらえるのでしょうか。期待しかありません!
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