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飛び地!分割‼ 越県合併⁉ 決断した3つの村の事情

飛び地!分割‼ 越県合併⁉ 決断した3つの村の事情

平成の大合併をはじめとした地域再編には複数の市町村が一緒になったり、一つの行政が複数に分かれたり、地域によってさまざまな理由で変化しました。

今回はそんな地域再編に伴う3つの村について紹介します。

村がまるごと飛び地になった全国唯一の村 ~北山村の場合~

地図を眺めていると奈良県に上北山村、下北山村という地名があり、さらに南には北山村という村があります。「上」「下」の下に北山村があるんだ!と思っていると、そこには「和歌山県」の文字が!?

『和歌山県?』

地図を見ても和歌山県とは接していません。何かの間違いなのでは?と不思議に思える北山村。本当に和歌山県なのでしょうか。

村がまるごと飛び地になった全国唯一の村 ~北山村の場合~

三重県と奈良県の県境に和歌山県の文字が!

北山ってどこにあるの?

和歌山県熊野地方は熊野古道や熊野大社で知られる地域です。熊野地方を流れる熊野川の支流に北山川には風光明媚な大峡谷で国の特別名勝「瀞峡」があります。その瀞峡の上流部に奥瀞峡と呼ばれる秘境があり、その地域一帯に北山はあります。

北山ってどこにあるの?

約18kmの峡谷「奥瀞峡」

北山は平家ゆかりの地だった!

北山は北山郷といわれ、平氏の末族だったという言い伝えや平氏ゆかりの寺々が多数あります。また室町時代では禁闕の変(きんけつのへん)後、南朝方の北山の宮が潜匿(せんとく)されたという歴史もあります。

上組、下組に分かれていた北山郷は明治22年の市町村制の実施により上組は「上北山村」下組は「下北山村」になりました。

北山は平家ゆかりの地だった!

北から「上北山」「下北山」そして「北山」と地名が並ぶ

木材と筏師の村

北山村になった地域は、昔から林業が栄え、伐採した杉を水運を利用して北山川から熊野川を下って新宮まで運んでいました。
川は激流のため筏師といわれる職人が存在し、当時の北山村は筏師が人口の大半を占めており、当時のブランド杉として伏見城や江戸城に使用されたと言い伝えもあります。

木材と筏師の村

水運を利用して河口の町「新宮」へ

そして全国唯一の飛び地の村が誕生した!

明治4年に廃藩置県が実施され、北山郷のうち上北山村と下北山村になった地域は奈良県に編入しました。

一方北山村になった地域では地理・歴史から見れば、林業によって新宮とは関係が強く、新宮が和歌山県に編入されたため、新宮との繋がりを重視した住民の意向を踏まえて和歌山県に編入されました。こうして和歌山県に全国で唯一の飛び地の村が誕生しまし、北山村は和歌山県で間違いはなかったのです。

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

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