更新日:2020年4月13日
オーストリア【ウィーン】を徹底解説!観光からグルメ・お土産までウィーンの楽しみ方を伝授!
すぐれた芸術や建築物にあふれ、グルメも多彩な楽しみ方ができるウィーン! 街なかにはさまざまな様式の歴史的建築物や芸術作品にふれられるスポットが点在し見ごたえ満点。グルメは高級レストランから庶民的な店まで、ウィーンのローカルな空気感にひたれる飲食店が多数。ワイン貯蔵用の地下室を酒場にした「ワインケラー」や大衆レストラン「バイスル」などスタイルもいろいろ。ウィーンの楽しみ方を一気にご紹介!
ウィーンで生まれた19世紀末アートは幻想的な美しさ!
19世紀末、ハプスブルク帝国が凋落していく予感のなか、グスタフ・クリムト率いる若き芸術家たちは、真の芸術を求めて20世紀へと向かっていった。この時代に生まれた、幻想的かつ退廃的な美しさを放つ世紀末アートの世界にふれてみたい。
Il bacio, by bleucerise, CC BY-ND
接吻 (Der Kuss)
グスタフ・クリムト (Gustav Klimt) 1862〜1918年
クリムトの最高傑作。特徴的な金箔の衣装と、セクシュアリティの官能的表現は、当時キリスト教の道徳観に抑圧されていた民衆に熱狂的に支持された。モデルはクリムト本人と、恋人エミーリエ。
Egon Schiele, by Raxenne, CC BY
ほおずきの実のある自画像 (Selbstporträt mit Lampionfrüchten)
エゴン・シーレ (Egon Schiele) 1890〜1918年
短い生涯のうちで描いた100点余りの自画像のなかで、おそらく最も有名な作品。鋭いタッチと角ばった輪郭、色彩の誇張にシーレの特徴がよく表れている。また、鑑賞者を見下すような視線に、画家の自尊心が見てとれる
ウィーン美術館&博物館で、時代を超えた名作を鑑賞
分離派の作品のほか、欧州全土から収集した美術品が並ぶミュージアム。歴史ある建物にも注目したい。
家の孤島 (Island Town)
作者 エゴン・シーレ
制作年 1915年
シーレの母親の故郷であるクルマウ(チェコ語ではチェスキー・クルムロフ)の街並み。
【近代美術館】
20~21世紀の多彩なモダンアートが中心。絵画や彫刻、写真、映画、ビデオ作品、家具などがコレクションされている。現代美術の所蔵数では中欧随一で、つねに話題の現代アートを入れ替えで展示している。
Turmbau zu Babel - Pieter Bruegel 1563, by rpi-virtuell, CC BY
バベルの塔 (Turmbau zu Babel)
作者 ペーテル・ブリューゲル
制作年 1563年頃
16世紀に活躍した画家、ブリューゲルの代表作のひとつ。旧約聖書の「創世記」に登場する伝説の巨大な塔で、人間の驕りを象徴している。細密な描写に注目。
【美術史博物館】
かつてのハプスブルクの宮廷美術館でヨーロッパ絵画の流れがすべてわかる。とくにルーベンスとブリューゲルのコレクションは世界で最も充実している。大理石の床や壁、天井の装飾も必見。
ウィーンの街なかで見る革新的建築に目をみはる
19世紀末に沸き起こったユーゲント・シュティールの建築ブームのなか、偉大な建築家たちが手がけた作品を今も街なかで見ることができる。
ヨーゼフ・マリア・オルブリヒ (Joseph Maria Olbrich) 1867〜1908年
ヴァーグナーの後継者分離派のシンボルを設計
ボヘミア出身。ヴァーグナーの弟子で、分離派には結成当初から参加。ドイツのダルムシュタット芸術家村の建設に携わり、そこに制作拠点を置いた。師の理念を受け継ぎ、機能美と装飾性が融合した斬新な建築を遺した。
建築家 Episode
ダルムシュタット芸術家村の展示会場や芸術家たちの住居のほとんどはオルブレヒが設計を手がけた。
アドルフ・ロース (Adolf Loos) 1870〜1933年
時代が求めた装飾性を否定し、簡素さに普遍的な美を追求
ドレスデンで建築を学んだあとアメリカに渡り、シカゴの高層ビル群や実用的なデザインなどに強い影響を受けた。「装飾は犯罪のひとつ」と提唱するロースは、分離派の装飾性を激しく攻撃し、徹底的に装飾性を排除したシンプルな建物を造った。当時市議会をも巻き込む大論争が起こり、ロースは批判の的になった。
建築家 Episode
ロースの建築は「飾り気がなさ過ぎる」ことを理由に、建築許可がおりないことも多かったという。
ウィーン【リンクシュトラーセ】で壮麗建築めぐり
19世紀、市壁を取り壊した跡地に造られたリンクシュトラーセ(通称リンク)は、全長約4㎞、幅57mの大通り。周辺にはネオ・ルネサンスやネオ・ゴシックといったさまざまな様式の建築物が建ち並んでいる。
ブルク劇場
ヨーロッパ一美しい劇場
1776年ヨーゼフ2世が創建し、その後改装されて現在の建物は1888年に建てられたもの。現在ではドイツ語圏演劇の権威ある殿堂となっている。
カール教会
細部まで美しいバロック教会
オーストリア・バロックの巨匠、エルラッハの代表作。ペストが大流行した1713年、マリア・テレジアの父カール6世によりペストの守護聖人ボロメオを祀る教会として建立された。
ウィーンの公園 緑に囲まれてのんびりピクニック!
ウィーンで自然を感じたいとき、時間に余裕があるときは、リンク外へ足を延ばしてみよう。面白い発見があるはず。
プラーター
直径61mの大観覧車「リーゼンラート」で有名な公園。夜にはイルミネーションも灯り、ロマンティックなムードがよく似合う。アトラクションは、大小合わせておよそ250ある。
ドナウタワー
地上252mのランドマーク。回転式展望レストランがある地上170mの地点へは高速エレベーターで昇ることができる。ドナウタワー周辺は緑が多く、市民が集う公園になっている。1964年建造。ドナウ川沿いに立つ。
屋内の展望コーナーから眺望できる。
ウィーンのグルメ【伝統料理】世界の郷土料理が融合!
周辺諸国の食文化の影響を受けつつ、独自の味わいを確立してきたウィーン。高級レストランから庶民的な店まで、多彩な味を楽しもう。
前菜 仔牛のカルパッチョパンプキンオイル €15
Rauchfangkehrers Carpacciovariation vom kalbs
香ばしい仔牛やラムのカツレツを細切りにし、緑黄色の野菜をちりばめる。美容と健康に良いとされるかぼちゃの種やオイルが添えられた料理。
【ツム・ヴァイセン・ラオホファングケラー】
創業1848年、アーティストや映画・舞台関係者が足繁く通ったことでも知られる老舗高級レストラン。店内は大きく4つに分かれ、すべてチロル風なインテリア。料理は伝統に則りながらもプレゼンテーションはモダンで、ワインリストも非常に充実。
仔牛のステーキ €37
Jungrind steak
部位の異なる仔牛肉のそれぞれのおいしさを味わう一品。やわらかくジューシーでクセがない。付け合わせの野菜も新鮮そのもの。
【ツム・シュヴァルツェン・カメール】
スタンディングのワインバーでオープンサンドをつまんでいる人々の間を縫って、右奥のレストランへ。重厚なウィーン世紀末風のインテリアと純白のクロスが、別世界へと誘う。
ウィーンのグルメ【バイスル】気軽に味わえる家庭の味!
ウィーン市民になった気分で肩肘張らずに食事とお酒を堪能しよう。
バイスルって何?
伝統料理とワインやビールを供する大衆レストラン。なかには高級店もあるので、入店前にメニューで値段を確認するとよい。
シュニッツェル €14.90
Figlmüller Schnitzel
直径30㎝ほどのウィーン風カツレツ。味の秘密はヒマワリオイルでカリッと揚げること。大きいが極薄なので女性でも軽く食べられる。
【フィグルミューラー】
お客の9割がシュニッツェルを注文し、同店とすぐ近くのベーカー通り店ではそれぞれ1日に400枚ずつが売れるという、シュニッツェルの名店。
ヒュナーブルスト・ミット・ブラットスピナット €14.80
Hühnerbrust mit blattspinat
鶏肉の中にほうれん草を詰めたオーブン焼き。ホワイトソースがよく合う。
【ミューラーバイスル】
200席あるが、3つに区切られているせいか落ち着いた雰囲気。奇をてらわないオーソドックスな伝統料理は味、ボリュームともに期待を裏切らない。クラシックなインテリアが歴史を物語る。
【筆者】まっぷるトラベルガイド編集部
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