南フランス旅行に行こう! 〜 コート・ダジュール編
パリ、モン・サン・ミッシェルと共にフランス旅行の目的地として人気の南フランス。一口に「南フランス」と言っても、西は大西洋、東はイタリアに接しており、各地方によってその特色はかなり異なります。けれども日...
更新日:2018年4月2日
20世紀を代表する芸術家コクトーが愛した南フランスの全てがここにあります。
南フランスのイエールという町をご存知ですか。コートダジュールと言う言葉を耳にすると、皆さんはニースやカンヌを想像されると思いますが、”コートダジュール”という言葉は、南フランスのほぼ最南端にある人口約6万人の温暖でターコイズブルーの海が美しいイエールで19世紀に生まれました。南仏イエールはコートダジュールという言葉発祥の地です。
イエール観光局公式日本語サイト https://www.bonjourhyeres.com/
筆者撮影
南仏イエールは年間300日以上が晴天、オレンジと椰子の木が街路樹として生いしげり、40kmある海岸線はターコイズブルーの海、イエール諸島の2つの島ポルクロ島とポルクロル島は1963年にヨーロッパで一番初めに出来た海洋国立公園で、センターにある旧市街は石畳の中世の名残が見られ、歴史駅建造物も多く観光業と園芸農業が盛んです。町の正式名称はイエールレパルミエール(HYERES LES PALMIERES)と言い、名前にパルミエール(椰子の木)という言葉が入っています。19世紀にアフリカから輸入され温暖な気候に定着し、町のいたるところに植えられ8000本ほどに及びます。現在もイエールの幾つかの園芸農家で栽培され、フランスをはじめヨーロッパ各地に出荷しています。
筆者撮影
(アクセス)パリから高速列車TGVでイエール駅(HYERES)下車、所要時間約4時間30分。
フランス国有鉄道サイト https://www.oui.sncf
エールフランス航空国内線でシャルルドゴール空港およびオルリー空港からイエールの海側にあるトウーロン-イエール空港(TOULON-HYERES)空港まで所要時間約1時間20分。
エールフランス航空サイト https://www.airfrance.co.jp/
18世紀から19世紀にかけイエールの温暖な気候と豊かな自然が人気となり、豪華なパレスホテルが建築され電車の開通もあり、フランス国内はもとより英国などから文化人、貴族、英国ヴィクトリア女王、作家の人たちが、冬の太陽を求め滞在されました。そして20世紀初頭、パリに住むノアイユ子爵夫妻が休暇を過ごすための別荘ヴィラノアイユを、海や島、オレンジ色の瓦屋根の旧市街を一望するイエールの高台に建てました。
筆者撮影
この邸宅は船の形に見立てた外観の鉄筋コンクリート建築で、シンプルで美しく合理的なデザインが特徴のモダニズム建築です。当時ル・コルビジェ(1887年生まれ−1965年死去)などと共に活躍していた、パリ在住の建築家ロベール・マレ・ステヴァンス氏(1886年生まれ−1945年死去)による設計です。
筆者撮影
ヴィラノアイユは床面積2400㎡あり、船の先頭の形をしたキュービズムの庭(ゲヴレキアン氏設計)、スカッシュコート、屋内プール、隣接する年中花や緑で溢れる庭園があり、邸宅内は光り取りの窓や当時では珍しいそれぞれの部屋にプライベート浴室を保有し、ベランダ、デザイナー設計の家具の数々、芸術家が作ったランプシェードなどがあり、大変文化的に貴重な場所です。
筆者撮影
ノアイユ子爵夫妻は芸術家に活動の場や機会を提供、経済面でも活動を支援するメセナとして知られ、このヴィラノアイユで20世紀を代表する芸術家たちがバカンスを過ごし、美しい自然と太陽の恵みにインスパイアされ制作活動をしました。ジャン・コクトー( 1889年7月5日 – 1963年10月11日)、アルベルト・ジャコメッティ( 1901年10月10日 – 1966年1月11日)、マン・レイ(1890年8月27日-1976年11月18日)、ダリ(1904年5 月11日 – 1989年1月23日)、ルイス・ブニュエル(1900年2月22日 – 1983年7月29日)などがこのヴィラノアイユで休暇を過ごした事が有名で、現在も彼たちの作品や写真が常設展で展示されています。
どの時代にも芸術家が 南フランスを好み芸術活動をしていましたが、20世紀にはジャン・コクトーもその1人として、南仏の陽光とカラフルな建物や自然の色に魅了されました。ジャン・コクトーとはどんな芸術家だったのでしょう。20世紀を代表する芸術家の1人でとして知られ、マントンの街にコクトー美術館もあります。1889年にパリ郊外で生まれ、詩人であり、小説家、評論家でもあり、劇作家、映画監督、脚本家、そして画家としても才能を発揮し活躍しました。
筆者撮影
ジャン・コクトーの才能に魅了されたノアイユ公爵夫妻は、コクトーを支援し応援しました。彼を邸宅に招き他の芸術家たちとの交流の場を設け、音楽コンサートなど開いたり映画撮影をしたりしました。現在もヴィラノアイユにはコクトーが書いた音楽コンサートのプログラムや、彼の小説(山師トマ・1923年)が書かれた11冊もの草稿ノートがあり、その当時コクトーに対する経済支援ということで、ノアイユ夫妻が買い取り2017年に一般公開されました。
また1930年に彼が初めて監督した映画(詩人の血)への資金も提供。このような事から長い間交流が続き、50年にも及び書簡、手紙やイラストがコクトーとノアイユ子爵夫妻の間で交わされました。
(観光局のサイトに記事がございます。:https://www.hyeres-tourisme.com/2017/08/cocteau-les-noailles/)
またコクトーが書いた大きな絵、写真の数々がここコクトーゆかりのヴィラノアイユで常設展として展示され、彼たちの生きた時代や背景、雰囲気などが垣間見る事ができ大変興味深いです。芸術家コクトーゆかりのヴィラノアイユはあまり日本では知られていませんが、必見のオススメスポットです。
筆者撮影
現在ヴィラノアイユは文化の発信地および中心地として、1年を通して芸術家作品の展覧会、国際イベント、参加型アトリエなどを行っています。
Villa Noailles(ヴィラノアイユ)
Montée de Noailles
83400 Hyères France
水曜日から日曜日まで午後のみ営業中。
月曜日と火曜日は休みです。
http://villanoailles-hyeres.com/festival-2018/pw/
イベント情報
毎年4月下旬・イエール国際モードと写真のフェステイバル開催(2018年4月26日から30日)
毎年7月・工業やインテリアデザインの国際コンクール開催
南フランス在住20年、元気なアラフィフ。大阪、オーストラリアで現地ガイドとして勤務後、37歳で南仏の大学で観光学科の学士号取得。南仏現地観光局勤務中。南仏暮らしと文化、美しい町や村、景色を紹介致します。
https://ameblo.jp/provence83/
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。