アメリカ・シアトル!トランジット時間を使って小旅行!10時間の一人旅
今回ご紹介するのは、アメリカ・シアトル。ニューヨークやロサンゼルスと比べると、知らない人が多いのではないでしょうか。私もそのうちの一人でした。実際に行くまでは、シアトルといえば何か思い浮かべられないほ...
更新日: 2019年5月20日
私は食べること、食に目が無いので、旅行を計画する際には現地の食に関する情報が最も重要な判断材料となります。この事を、この記事をお読みになる皆さんに先立ってお伝えしたかったのには、訳があります。
なぜなら、シアトルは海の幸も山の幸も美味しく、農産物も素材自体が美味しく力強く、その季節を感じさせる滋味豊かな食物たちは、ヨーロッパに匹敵するものさえ感じさせるからです。
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今回は、そんな知られざる「シアトル」の、アメリカの中にありながら、どこかヨーロッパを彷彿とさせる「食文化」と、後半では、「パリに開かれているようなマルシェ」がここ、アメリカにもあるということを、お伝えしたいと思います。
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まずここシアトルに私が引っ越してきて、実際にびっくりさせられたことの一つが、シアトル市民の「食に対する意識」です。私の想像していたよりも驚くほどはるかに、シアトルは消費者である人々の食に対する意識も、こだわりも強い人が多かったのです。
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何気ない一杯のコーヒーに対してはもちろんのこと、良いものを食べるためなら、もう少しお金を出しても良い、と考える人達が多いため、オーガニックの新鮮な野菜や果物、卵もケージフリー(放牧し育てる鶏から得る卵のこと)のものが普通のスーパーマーケットで気軽に手に入れることができます。
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クリームチーズも、ホルモン剤を使用していない牛の牛乳から作っているものが一般のスーパーマーケットで入手することができ、小麦粉などは漂白していないものが主流で流通しています。
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とりわけ、そんな環境に優しく、体に良いものを手に取るよう心がけているシアトルの人達が口を揃えておすすめするのが、一年の春から秋にかけて盛大にシアトル各地で開催される、シアトルの「ファーマーズマーケット」。
これは、パリでいうところのマルシェと同じ、シアトル市民になくてはならない「シアトルの台所」で、シアトルやワシントン州産のローカルで美味しいものが生産者の方々を通じてダイレクトに集まってくる、素晴らしい市場なのです!
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この一年の春から秋の初めの頃になると、シアトルのダウンタウン近郊でも水曜から日曜日にかけて、必ずどこか大きな公園や有名な観光スポットの一部、人々がよく利用する通りを利用してファーマーズマーケットが開催されているので、シアトルに観光で短期に訪れた人々がここに訪れることを予定に組み込んでいなくても、あるいは意識して探し回らなくても、ばったりと、シアトルのどこかのファーマーズマーケットに遭遇することがあります。
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そんなここ、シアトルのファーマーズマーケットの中では、パリのマルシェのように、デリケートで流通が難しかったりする果物や、一般のスーパーマーケットにはまだ出回っていない稀有な食材に出会うこともできます。
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また、ここでは新鮮な素材とそれを使ったこだわりの手作りのジャムや蜂蜜、焼き菓子やオーガニックのパン、その場で出来たてを食べられる多種多様なフードトラックが人々の人気を博しています。
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…ところで、このファーマーズマーケット、そもそもはもっと大切な理由があって始まりました。
それは、野菜や果物をこのマーケットで購入すれば、生産者の方に直接還元でき、彼らのより良いものづくりのために、私たちが少なからず協力できる、ということです。
また、多くのシアトルのスーパーマーケットも彼らのこうした活動を後援、あるいは支援していて、この、街ぐるみの食に対する環境と意識の配慮が、消費者の食に対する意識や関心のみならず、生産者の方々を支え、それを最も必要とする料理人達を育て、何か新しいことに取り組めるような環境が、ここでは整っていると感じます。
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しかし、ここまで良い点ばかりを取り上げてお話しさせていただきましたが、このマーケットにも「非常に残念なところ」もあります。
それは、「季節が秋の後半から冬に近づく」と、この「ファーマーズマーケットの数がめっきり激減してしまう」ということです。
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シアトルは、冬の降雨量が月に平均して3分の2にも及ぶため、外でこうしたマーケットを広げておくことが難しいからと言われています。「でも、そんなこと言わずに、」そんなわがままを考えさせてしまうほど、シアトル市民に愛され、私たちを虜にしているファーマーズマーケット。
「雨が降ろうが槍が降ろうが、冬でもシアトルのどこかで開催しているファーマーズマーケットはないものか?」と、一瞬でも考えてしまった、準シアトル市民の素質を持つ貴方!のために、今回は、本当はあまり教えたくない、私のお気に入りの「1年中開催している」シアトルのファーマーズマーケットをこっそりと、お伝えします。
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シアトルの中心街からもほど近い、ここフレモント地区で毎週日曜日に開催されるこの市場。シアトルのファーマーズマーケットの中でも、「蚤の市」を同時に開催しているなど、特に個性的で見ごたえがあります。美味しいものもたくさんあって、近くには他にも観光地として有名なスポットが幾つかあり、魅力満載のファーマーズマーケットです。
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…さて、今日は実際にその、毎週日曜日に開催されている、フレモントのファーマーズマーケットを歩きます。
ご存知の方もおられるかもしれませんが、「フレモント地区」は、かの有名なカリフォルニア州に本拠地を持つ、「Google(グーグル)」の「シアトル支社の所在地」でもあります。
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これがきっかけとなり、今やシアトルの中でも注目を集め、世界中からも一目置かれる場所となりました。ちなみにこのファーマーズマーケット、本当にこの「Google(グーグル)のシアトル支店」を「たった一本はさんだだけ」の、お隣の通りで毎週開催されています。
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さて、話をマーケット戻します。このフレモントサンデーマーケットの通りの最初には、いつも花屋さんがお店を構えていて、まず見る者の心を和ませます。
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そして、
それからだんだんと通りの奥に進むにしたがって、チーズや紅茶、オーガニックのパンや、焼き菓子、切り花、とれたてのはちみつや手作りのジャムなど、どれも美味しそうなコーナーが並ぶさらに先へと足を運ぶと、このマーケットで一番の目玉とも言える、その場で出来たてを味わえる様々なフードトラックやブースが立ち並ぶエリアに到着します。
では今日も、ひと通りあたりを見渡してみます。
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巨大なフィッシュアンドチップスが自慢のお店に、グレービーソースをかけていただくアメリカンビスケットや、タコスなどのメキシコ料理、ケバブやファラフェル(ひよこ豆を擦り潰して丸めて揚げたコロッケ)を挟んだ野菜たっぷりのサンドイッチ、本格的な石窯を使ったピザ、などなど、果てはアイスクリームやコーヒーのお店まで、個性的でとても美味しいフードトラックの数々が勢ぞろいします。
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さて、そんな美味しそうなお店の数々が軒を連ねる中、今回初めて見かける新顔のフードトラックを発見しました。アメリカ人好みのインパクトあるフレーバーで人々が列をなす、「揚げたてミニドーナッツのお店」です。
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私達は今回、そのアメリカらしいおもしろい味の組み合わせで目を引いた、ミニドーナッツ目当てに列に並びます。私達がオーダーしたのは、メープルシロップを使ったグレーズ(砂糖がけ)に、たっぷりのベーコンビッツ(ベーコンを細かくカットしたもの)が乗った、「メープル・ベーコン味」のミニドーナッツ。
ちなみにこちら、1箱6個入りで5.45ドルでした。
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少し待って、オーダーしたミニドーナッツを店員さんから受け取ると、近くに空いていたベンチがあったので、そこに座って、早速いただいきます。まだ温かいこのほわっほわのひとくちドーナッツをぱくり、と口の中に頬張ると、思わず笑顔がこぼれます。
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たっぷりかかったとろり、と甘いメープルシロップのグレーズに、程よい燻製の香ばしさと塩味の効いたベーコンが絶妙なアクセントです。つい、もうひとくち!と、癖になる組み合わせの味でした。
ヨーロッパのようなマーケットと、アメリカにしかない味を同時に味わえる、フレモントのサンデーマーケット。
2つの国をまたにかけて体験できるのは、きっとここでしかないおもしろさでしょう。
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さて、甘いものでちょっとひと休みしたあとは、今度はこのマーケットの入り口近くを右手に曲がってすぐのところに併設して開催されている、「蚤の市」を見てまわりませんか?
ここには、「蚤の市」という名が付くだけあって、服飾雑貨や古着に古本、食器やランプにアクセサリー、中にはアーティストの卵がハンドメイドで製作したアートまで、実に様々なものが並んでいます。
その圧倒されるほどの品数の多さに、誰もが時が経つのを忘れてしまいます。あなたももしかしたら、意外なヴィンテージものや、お気に入りになるお宝に巡り合えるかもしれませんよ!
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…いかがでしたでしょうか?
このフレモントサンデーマーケットは、シアトルのダウンタウンから乗り換えなしのバスで辿り着くことができるほか、現在、シアトルのあちこちに設置されているレンタル自転車を使えば、あっという間にアクセス可能です。
また、散歩が好きな方なら、映画「sleepless in Seattle/めぐり逢えたら」の舞台になった、シアトルでも人気の高いエリア「ウエストレイクトレイル」を、のんびり散策しながらここまでいらっしゃるのもオススメです!