フランス観光の王道【ヴェルサイユ宮殿】
フランスの歴史的名所と聞くと、ヴェルサイユ宮殿を真っ先に思い浮かべる人もいるかと思いますが、実はパリから電車で一時間弱でもアクセス可能だとご存知でしたか?今回は、フランス観光の王道・ヴェルサイユを詳し...
更新日: 2020年4月13日
マリー・アントワネットと言えば、ヨーロッパの名門ハプスブルク家に生まれフランス王家に嫁ぎ、最後は革命の渦に巻き込まれ処刑されるという、波乱万丈な人生を送った女性です。彼女の劇的な人生は多くの人の想像力をかき立て、小説や映画にもなっていますので日本でも御馴染の歴史上の人物ですね。
フランスへ輿入れした後のマリー・アントワネットの生活の場は、かの有名なヴェルサイユ宮殿ですが、彼女が息抜きの場として好んで時間を過ごしたのは宮殿から少し離れた場所にある小さな離宮プチ・トリアノンでした。今回は悲劇の王妃マリー・アントワネットが愛した離宮、プチ・トリアノンをご紹介したいと思います。
プチ・トリアノンはフランスが誇る世界遺産「ヴェルサイユの宮殿と庭園」の敷地内にある離宮です。元々はルイ15世がその愛妾ポンパドゥール夫人の為に建てました。シンプルな建物の外観からは想像できない程、内装は優美で繊細なものとなっており、この時代の建築様式であるロココ様式の最高峰とも言われています。マリー・アントワネットはこの離宮を夫のルイ16世から与えられました。
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ヴェルサイユ宮殿を訪れる人は多いものの、庭園や離宮までじっくりと見て回る人はあまり多くないかもしれません。ツアー等で訪れる場合はなおさらだと思います。それもそのはず、ヴェルサイユ宮殿は庭園を含み約1000ヘクタールという広大な敷地を有しています。
ヴェルサイユ宮殿, by dominique . B, CC BY
プチ・トリアノンは宮殿から離れた場所にありますので、歩いて行くのにはかなり時間に余裕がないと厳しいでしょう。幸い、庭園内を移動する手段としてミニトレインがありますのでこちらを利用することをお勧めします。
ミニトレイン, by dominique . B, CC BY
先述のロココ様式最高峰の内装も見逃せませんが、プチ・トリアノンの魅力は何と言っても王妃マリー・アントワネットの私生活を垣間見ることが出来る点でしょう。宮殿のしきたりに従った生活に嫌気がさした彼女は、この離宮で多くの時間を過ごすようになり、お気に入りの人間だけここに入れるようにしました。
シャンデリアが豪華な食堂、ハープやピアノが飾られた「お伴の間」、白地に花柄のファブリックが可愛らしい寝室等を見れば、王妃の優雅な日常が目に浮かぶようです。
queen’s bedroom, Petit trianon, by David McSpadden, CC BY
これらの部屋は充分に豪華なのですが、ヴェルサイユ宮殿の桁外れの豪華さに比べたら、部屋の広さや色が控えめで女性らしく、あくまでも王妃のくつろぎの空間であった事が伺えます。一方で、台所やトイレも展示されており、生活感をしっかりと感じることが出来るのも非常に興味深いです。
プチ・トリアノン第二の見所は庭園です。宮廷での窮屈な生活から逃れるために、マリー・アントワネットはプチ・トリアノンを自分好みに変えていったわけですが、彼女は離宮のみならず庭園にも手を加えました。具体的には、自然の景観を利用したイギリス式庭園に変え、そこに田舎の村里を模した小さな集落を造ってしまいました。
人工的に作られたとはいえ、この集落は田舎の長閑な風景そのもので、王妃がいかに安らぎやくつろぎを求めていたかを思い知らされるようです。他にも庭園には愛人との逢い引きに使ったと言われる東屋や釣りを楽しんだ塔、見晴亭等見所が散らばっており、庭園の自然と調和し美しい景観を作り上げています。
これだけのものを造るのに必要なものはやっぱりお金です。マリー・アントワネットの場合、いわば自分の趣味に莫大な税金を投じた訳ですので、元々人気が下降していた王妃への反感はますます高まり、それも一因となって最終的には革命が引き起こされます。
彼女の末路は冒頭でも触れたとおりですが、その後の激動の時代を経てプチ・トリアノンは今日も王妃の華麗な日々を私たちに偲ばせてくれます。ヴェルサイユの一番の見所はもちろん宮殿ですが、それだけを見て帰ってしまうのはもったいない!観光の際は時間を充分にとって、王妃の私生活も垣間見に是非プチ・トリアノンを訪れてみて下さい。
Petit Trianon, by samuelnabi, CC BY-SA
【筆者】まっぷるトラベルガイド編集部
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